良くある質問にお答えします!

水中考古学のサイトを運営していると、いろいろな質問が寄せられますが、圧倒的に多いのが、「@@@なんですが、水中考古学ってできますか?」という質問。一か月に2~3件このような質問をいただきます。それだけ、この学問をやりたい!と思っている人が多くなってきている証拠ですので、非常にありがたく思います。

そこで、すでに何回かこのサイト内などでも書きましたが、そのような質問に対しての簡単な私の意見を再度述べたいと思います。質問をしていただいた方にもお答えしますが、こちらも読んで参考にしていただければ幸いです。

ポイントとしては、水中考古学は特別な学問ではなく、単なる「考古学」であること。単なる考古学ではあるが、調査は学際的になるため、様々な形の専門家が必要になることです。そして、誰でも調査にかかわれるので、「自分の得意な分野で水中考古学のどのようにかかわれるか」、言い換えれば、「自分の分野のアプローチからどのように水中考古学に貢献できるか」を探ってみてください。つまり、道は二つあると言えます。考古学者としての道を進むか、もしくは、別の分野(歴史学・海洋学・保存処理など)をマスターしながら考古学調査に関わるかのパターンになると思います。

最初に、考古学者として目指すパターンについての説明です。水中考古学の父と呼ばれるジョージ・バス先生も、「水中で発掘を行う考古学は、多々単に考古学と呼ばれるべきだ」と言っていますし、「考古学者をダイバーに育てるのは簡単だが、ダイバーを考古学者として育てることは非常に難しい」と言っています。つまり、過去の人類が残した痕跡やモノから過去の生活を探る考古学の基礎が最重要になってきます。モノの見方、考古学の学史、方法論などを学びます。これは、考古学の講座がある大学ではどこでも学べるはずです。これは、海外でも日本でもOKですし、水中にこだわる必要はありません。「水中」考古学の基礎の98%は「陸」の考古学です。

次に、他の分野からこの分野に貢献するパターンについて。主に、文献史学、海洋学などがメインでしょう。水中考古学は、特に沈没船の調査などにおいて、タイプカプセルのような一括性の遺跡を発掘する機会が多く、また、一つの歴史の出来事の遺跡を検証します。 この場合、考古学者だけではなく、やはり歴史を学んだ専門家の意見が必要となります。そのため、歴史の分野での研究成果と考古学の発掘の成果を融合させるためには、考古学と歴史の両方面からのアプローチが大切になります。考古学者は歴史学から、そして、歴史学者は考古学から学ぶことがたくさんあります。お互いの研究を補えるはずでしょう。海洋学ですが、水中遺跡を見つけるためには、事前調査(サーヴェイ)が必要となります。これは、サイドスキャンソナー、マルチビーム、磁気探査、サブボトム・プロファイラーなどなど名前からすでに難しく聞こえる海洋調査機材を使用します。これらのデータ処理や実際の使用に際しては、やはり、海洋学の専門の先生が調査をしたほうがより効果的であることでしょう。

考古学者が歴史学をマスターしたり、海洋調査機材を覚えることも可能かもしれませんが、それよりも、その分野の専門家との共同・学際調査がより効率が良いことは明らかでしょう。しかし、考古学者もこれらの分野のことを少しは知っておかないと巧くこれらのメソッドを活用できないでしょう。また、協力するほうも考古学を少しは知っておくべきでしょう。水中にある文化遺産に興味を持つ人も多いでしょうが、この分野の発展には、そのように興味を持った様々な人たちの協力を得て研究を進めていくことが大切です。

最後になりますが、「水中考古学という学問」で成功をした人はいませんが、「考古学」でしっかりと成果をだして、水中考古学を行っている先生はいます。海外ではジョージ・バス先生などがその一人です。また、タイタニック号を発見したロバート・バラード先生も、「海洋学」で成果をだし、水中考古学に貢献しています。地球の70%以上を占める世界の海は広く、そして、その内の5%ほどしか人類はまだ見ていないそうです。研究の可能性は十分にあると思います。どの道を進むかは、本人次第ですが、今の自分の能力をさらに高めてそれをどのように水中にある文化遺産の保護・活用に役立てることができるかを考えるのが今後の進路を決める手掛かりになるのではないでしょうか?

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