4.骨・角・歯など

骨や角の約70%は無機物で格子状のリン酸カルシウム、フッ化物や炭酸で出来ている。 残りは有機物でOssein(またはコラーゲン)の一種でできている。 骨や角は熱や湿気で簡単に曲がってしまい、長期にわたって水につかっていると腐りだす。

加水分解によって有機物は崩れ、無機物は主に酸によって溶け出す。 水中では骨や角はスポンジ状となって見つかることがしばしばある。 時には有機物がケイ酸(シリカ)などと入れ替わり化石化することがある。 保存処理としては洗浄、補強は出来ても完全に保存することは今のところ無理である。

表面の泥の除去作業
石鹸、水またはアルコールでざっと洗うこと。 軽くブラシなどでこすってもよい。 壊れやすい骨などには注意して洗う。

遺物の脱塩処理
海水に浸かっていた骨などは乾くと表面に塩の結晶が出来上がることがある。 結晶が出来ると表面を傷つけ、又遺物の破壊を促進する。 まず何よりも脱塩処理が必要となってくる。 動物の骨などは水道水に付けておくことで塩が抜けるが、人骨などは脱イオン水なども使用し脱塩処理を行う。

1.ほとんどの場合、海水から引き上げた骨が頑丈であればそのまま水道水に付けても良い。 ただし、壊れやすい場合や特に注意を払うのであれば海水75%・水道水25%の水につけ、その後海水50%・水道水50%などと、徐々に真水に慣らしていく。 水の含塩量を調べる必要があるが方法は何でも良い。 硝酸銀を使って塩化ナトリウムの量を測るなどいろいろある。正確なppmまで調べる必要はなく、水道水に比べ含塩量が低ければ良い。

2.遺物の状態が悪い場合はまずParaloid B-72を水で薄めて(5%ほど)骨を強化させる。 この状態でも塩は骨から抜ける、ただし多少時間がかかる。

3.塩が完全に抜けてから徐々に乾燥させていきます。アルコール置換の手順は50%アルコール・50%水に浸け、その後90%アルコール、そして最後に100%アルコールに浸けます。 壊れやすい遺物は25%ぐらいから始める。 歯や角などは完全に水を抜くためもっと手の込んだ方法をとることがあります。 5%エタノールから徐々に5%づつエタノールの濃度を上げていきます。 100%エタノールにつけた後、新しく100%エタノールの容器に入れ替えて繰り返し脱水します。 ただし、ほとんどの場合、100%のアセトンに二回ほど浸すことでだいたい脱水できます。 この後、遺物を合成樹脂などできちんと硬化させ、湿度の変化の少ないところで保存します。

表面などに付着した塩、汚れの除去作業
塩などが遺物の表面に付着することがあり、これらは薬品で落とすよりも道具で、針や小さなドリルなどで削り取ったほうが良い。 薬品などは遺物を傷つけることがあるので注意が必要です。また、遺物の表面を必ず濡らしておくことによって少しでも薬品が遺物に染み込むことを防ぎます。
炭酸カルシウム (Calcium Carbonate)の除去: ぎ酸、 または塩酸(Formic Acid)5-10%に浸ける。 浸けている間はそばで観察すること。

鉄分によるよごれの除去: 5-10%のシュウ酸(Oxalic Acid)に浸けると良い。 またはクエン酸アンモニウム、そして     その後にまたシュウ酸につけても良い結果が得られている。 硫化物付着の除去: 過酸化水素(5-10%)に浸ける。水硫化物に一度浸し、その後に過酸化水素につけることで落ちにくい付着物を取り除くことが出来る。

壊れやすい骨などには全体を薬品につけるのでなく、耳掻きなどを使い一部に薬品を塗る。 骨を完全に薬品につけると二酸化炭素が発生し遺物が割れてしまうことがある。 部分的に少しづつきれいにしていく。付着物を取り除いた後、良く水洗いをし完全に薬品を落とす。 その後に脱水をし保存する。

補強作業
合成樹脂を使う場合、溶媒でうすめて骨の細胞の隙間まで完全に浸透させる。5-10%ほどの樹脂が大まかな目安となる。 ゆっくりと脱塩・脱水した後、PVAかB-72などで硬化させる。PVAは粘性の低いものを使う。 
表面を硬化させるにはブラシなどで樹脂を浸ける。 薄く塗った後、何度か繰り返し塗る。 遺物が小さければ溶液の中に遺物を浸すことも出来る、このとき、バキュームを掛けると良い結果が得られる。 ばらばらな骨などを組み立てるときには、硬化させたときに使った同じ樹脂を使う。 ただし、粘性の高いもの、または樹脂を濃いめに使う。

種など他の植物遺物など
ほとんどの植物や種などは骨などと同じような保存処理を行う。 まず、脱塩処理、そして付着物などを取り除く。 アルコールで乾燥させ硬化、または修復して保存する。

まとめ
骨、角、そして植物などの保存処理は非常に簡単なプロセスで済む。骨などの保存状況が悪くない限り、それほど問題となることはない。 基本は脱塩、付着物の除去、アルコール脱水、そして合成樹脂による硬化・保存である。ただし、薬品を使って付着物を取り除く際、遺物の状態をチェックすること。

«
»
 

トラックバックURL

コメントを書き込む