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	<title>水中考古学／船舶・海事史研究 &#187; 保存処理マニュアル</title>
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	<description>水中考古学／船舶・海事史研究は日本水中考古学の発展を目指しています。</description>
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		<title>７. 金属の処理　(電解還元法・ER)</title>
		<link>http://www.nauticalarchaeologyjp.com/conservation/manual/20061125503.html</link>
		<comments>http://www.nauticalarchaeologyjp.com/conservation/manual/20061125503.html#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 25 Nov 2006 07:47:57 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[みなさまのご要望にお答えするべく水中遺跡から発掘された金属製品の保存処理方法を紹介します。特に日本では水中遺跡からの金属片の処理に関してはあまり論文などもないので専門家の方々でも参考になると思います。今]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>みなさまのご要望にお答えするべく水中遺跡から発掘された金属製品の保存処理方法を紹介します。特に日本では水中遺跡からの金属片の処理に関してはあまり論文などもないので専門家の方々でも参考になると思います。今回は電解還元法（Electrolytic Reduction)－－－ER法について説明します。基本として理解することは、遺物の中で水素を発生させ遺物中に溶け込んだ化合物と水素が結合し遺物の外へ排出されることである。</p>
<p>前回のアップデートではERを行う前までのプロセスを解説したので、それを読んでいない方にはそちらを先に読むことをお勧めします。</p>
<p><span id="more-503"></span></p>
<p><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/002_resize.jpg" width="450" height="270" alt="" class="left" align="left" />前回のアップデートではこの錆の塊であるコンクリーションについて解説した。今回は、鉄製品をコンクリーションから取り出した後の保存処理の説明をする。</p>
<p>電気還元法（ER）は設備が簡単で、費用もそれほどかからず、また、金属全般で使えるため、保存処理をするものにとって有効な手段であるといえる。遺物の金属が還元する作用と、発生する水素が遺物表面の錆を除去する物理的効果の二つの効果がある。ERを使う場合、その方法だけでなく、電気還元の原理も理解する必要がある。それにより電気分解法がなぜ使われるかを理解し保存処理を効果的に進めることができる。錆についてのメカニズムやER法を用いるまでの事前プロセスは前回のアップデートで紹介した。ここではER法に必要な設備、方法、その他必要な知識を詳しく解説する。金属製の水中遺物の保存法に関しては日本ではほとんど事例がないのでここでは込み入った説明なども丁寧にしてみることにした。保存処理の専門家でも水中の金属遺物についてはとくに有効な方法を模索中であるそうなのでこのマニュアルを頼りに日本でも利用できる方法の確立を目指してほしい。</p>
<p>簡単にERのセットアップを説明する。遺物をアルカリ電解液の中に入れ、周囲をスチールなどで囲う。遺物にマイナス電流（陰極）、そしてスチールにプラス(陽極)の微電流を流す。遺物の中で水素が発生し、ナトリウム化合物と結合する。そして、そのままプラスへと引き付けられるため、遺物の中から化合物が抜け出ることになる。電解液の中に溶け込んだナトリウムの量が増えなくなるまで続ける。電解液の化合物の量が増えないということは遺物から錆の原因となるナトリウムなどの化合物が内側から抜け出たことを意味し、保存処理の完成である。</p>
<p><font size="+2">設備</font></p>
<p><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/005_resize.jpg" width="450" height="302" alt="" class="left" align="left" />電流を供給するボックス。電圧などをコントロールする必要がある。</p>
<p>直流電流をコントロールする設備が必要となる。遺物に一定の電流を長期間（遺物によっては数ヶ月）流し続ける必要がある。遺物から電解液に溶け込む化合物が電流の流れに影響を及ぼすため、電流・電圧・抵抗などをコントロールできるものが必要である。ただし、精密なコントロールをそこまで必要としない。リップル(波及)電流が０．５％程のもので良い。この設備は多少機械に強い人であればバッテリーチャジャーなどから作ることができる。（variable autotransformerをInput　Alternating　サーキットに取り付けるなど）</p>
<p><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/001_resize.jpg" width="450" height="358" alt="" class="left" align="left" />遺物に電源を提供するシステムはそれほど大掛かりな設備を必要としない。ここでは自分で電流供給する設備を組み立てているところ。</p>
<p>ERに使うコードは一般的な被覆銅線で対応できる。大きな遺物などはより強い電流を流す必要があるため、より安全性の高いコードを使うことを薦める。使用しているコードが暖かくなった場合、発火する可能性があるためより安全なコードに変える。</p>
<p>遺物などに電流を流すために簡単な方法としてクリップを使う。ステンレススチールのクリップ（Muller clip）などが良い。遺物のサイズが大きい場合(例えば大砲など)においてしっかりと掴み、電流を流すためには他の方法も臨機応変に考えなくてはならない。ステンレススチールを使う目的は電解液で反応しないためである。銅のクリップの場合、遺物ではなくクリップが反応してしまう。クリップだけでなく銅のコードも注意する。被覆銅線であっても一部傷がついている場合もあるので、シリコンなどで修復するか電解液に触れないように位置を変える。(もちろん鉄は使えない。電気を通す最も還元されにくい物質を使うことが望ましい)　ステンレススチールでも時にはめっきされているものがあるので注意すること。カドミウム・亜鉛のめっきなどが一般であるが、この場合塩酸に浸しめっきを剥がせば使うことが出来る。</p>
<p>遺物を囲み陽極の役目を果たすスチールはもちろん錆つかず電解液と反応しないもの、そして柔軟性のあるものが良い。マイルドスチールなどが使い勝手が良い。例えばスチール缶などを使うことも可能である。この場合、スチール缶自体が電解液と遺物を入れる容器となるため、費用の削減にもなる。ステンレススチールが得に良いとされているが、値段が高く、また種類によっては電解質に反応するものもあるので実験を行うことを薦める。</p>
<p>電解液と遺物を入れる容器は錆がつかなく、また電流を通さないものであれば基本的には何でも良い。（陽極自体を容器として使う場合は別）特にプラスチックなら注意を特に払う必要はない。PVCパイプやガラスなども一般的に使われる。さて、陽極を容器として使う方法には幾つかの利点がある。大きな遺物を保存する場合、なるべく遺物の形に合わせ、一回りほど大きな容器を使用することが望ましい。容器を特別に作る必要もある。そしてこの作った容器に合わせてスチールで内側を囲む必要があり、無駄が多い。スチールで容器を作ったほうが安く済む場合が多い。容器に直接電流を流すので感電すると思うかもしれない。しかし、ERに使用する電流は３Vから最大で３２Vまでであり、ほとんどの場合３－６Vを使う。人体は約３２V以下の電流はほとんど通すことがないため“ビリッ”と感じることはない。</p>
<p>電解質に溶け込んだ塩化物の量を調べるための設備も欠かせない要素のひとつである。硝酸第2水銀を使った滴定検査（容量分析）が比較的簡単で正確な塩素化合物の量を知ることが出来る。この他にも様々な方法で電解液に溶け込んだ化合物の量を測ることができる。テキサスA&#038;Mでは硝酸第2水銀を使った滴定検査を使用しているが、日本の大学や研究所などによっては別の方法が効果的であることもある。例えば、薬品の値段なども国によって違う場合もあり、また、大学によっては設備も違うので一番安価で簡単に済む方法を模索することを薦める。近年では簡単な残留塩素テスターやデジタル方式のものもあるようでいろいろと探してみるのも良いだろう。電解液中の塩化物の濃度をチェックし、化合物の量が一定になりだしたら電解液を新しいものに変える。これを繰り返し、電解液に化合物が溶け出さなくなるまでERを繰り返しおこなう。</p>
<p><font size="+2">セットアップ</font></p>
<p>セットアップは以下のことを考慮に入れる必要がある。</p>
<p>１．	遺物の大きさと現状</p>
<p>２．	保存処理を行わなければならない遺物の数</p>
<p>３．	直流電流のパワー（どれだけコードをつなげられるか）</p>
<p>４．	容器の数、大きさなど</p>
<p>理想とする設置方法はひとつの容器にひとつの遺物、そして遺物の形に合わせてスチールが囲んであることであり、ひとつの遺物にひとつのパワーサプライを要する。遺物のすべての表面からスチールまでの距離はどこでも同じであることが良く、距離はスチールと遺物の接触を避ける必要がある。この方法では遺物にかかる電圧を調整できるのと、電解液に溶け込んだ塩素の量も遺物ひとつであるため保存処理が完了したかすぐにわかる。この方法は遺物の数が多いとパワーサプライを多く使うため効率が悪くなる。特に重要な遺物、遺物の数が少ない場合や大きな遺物には適した方法といえる。</p>
<p>次に、ひとつの容器に幾つかの遺物をいれ、それぞれの遺物の周りにスチールを個別に囲み、パワーサプライは遺物ひとつにつきひとつである。この際、別の遺物とスチールの距離同士が近いと電流の流れに支障をきたし、保存処理が巧くいかない場合もある。又、すべての遺物から同時に塩素がとけるため、その遺物の処理が終わったのか明確に調べることが出来ない。しかし、電解液を節約できるのと、遺物にかかる電流は個別にコントロールできる利点がある。</p>
<p>さて、最後にひとつのパワーサプライで多数の遺物を処理する方法であるが、スチールを容器の周り、そして容器の底にも取り付ける。遺物の位置が近すぎたり電流が巧く流れずに一つの遺物だけに電流が集中したり、しなっかったりの問題が生じるために遺物の位置を頻繁に変えてきちんとすべての遺物から水素が発生しているかをしらべる。底に取りつけたスチールは電解液の対流を促す。この方法は遺物にかかる電流をそれぞれにコントロールすることは出来ない。しかし、一度にたくさんの遺物を処理することができ、またパワーサプライもひとつで済むので最も経済的な方法である。小さな同じ形、大きさ、状態の遺物をまとめて行うのには良い方法である。現状の極端に異なる遺物や大きさが統一されていない場合は同じ状況の遺物を探して処理するか、別のセットアップの方法で行う。</p>
<p><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/006_resize.jpg" width="450" height="302" alt="" class="left" align="left" />遺物をERで処理している様子。プラスチック容器の内側をスチールで囲み、真ん中に遺物を取り付ける金属の棒を通す。</p>
<p>セットアップの方法も細かい違いがいろいろとある。テキサスA&#038;Mではプラスチック容器の真ん中に真ちゅうのバーを置き、ここからクリップを下げて遺物をはさむ。容器の周りをスチールの網で囲むが、スチールは容器よりも高く、はみ出るものを使う。このはみ出た場所に電極をつなぐ。それぞれの保存処理施設、大学、研究所などで容易に入手できるものを使い、特にひとつの方法にこだわることはない。遺物保存の際に何を行ったかをきちんと記録しておき、常により有効で確実な方法を模索することが重要である。</p>
<p><font size="+2">電解液</font></p>
<p>鉄の保存に使われる電解液は炭酸ナトリウム（Na2CO3）と水酸化ナトリウム（NaOH）である。</p>
<p>まず、炭酸ナトリウムであるが、約５－１０％（ｐH11.5前後）の電解液がだいたいの遺物において使用する一般的な電解液の濃度である。比較的入手しやすく、水酸化ナトリウムに比べ熱を発生しないため使いやすい。水酸化ナトリウムは電気を通しやすいので２％－５％の濃度で使用する。水酸化ナトリウム発熱の危険性、および入手しにくい場合がある。ERは時として数ヶ月間電流を流し続ける。この間、水酸化ナトリウムは悪臭を放ち、また吸い込むと多少毒性のある蒸気が発生する。皮膚と電解液の接触も極力避けるべきであり、慣れていないと扱いにくい薬品である。安全設備の整った環境で保存処理を行う必要がある。　　</p>
<p>５％の炭酸ナトリウムと２％の水酸化ナトリウムを比べた実験の結果、炭酸ナトリウムのほうが遺物の処理にかかる時間が短かった。しかし、使用した水の成分によっては水の中の化合物が遺物の表面に付着、反応してしまう可能性があることが明らかになった。これにより遺物内部のナトリウムは表面から抜け出せなくなる。しかし、電解液のナトリウムの濃度が一定となるため、注意しないと保存処理が完了したものと勘違いする可能性もある。これを防ぐためにはグルコン酸ナトリウムを電解液に足すことで多少防げる。しかし、完全に防ぐには蒸留水、もしくは脱イオン水を使用する。ただし、遺物の表面に何も付着物が見受けられなければ水道水で処理を始めても良い。このほかに、炭酸ナトリウムを使用した場合、スチールに化合物が付着しやすく定期的にスチールを変えることが必要となる。水酸化ナトリウムの場合、化合物が付着することなく電解液中に解けた状態にあるため、遺物表面およびスチールへの付着は少ない。また、炭酸ナトリウムはｐHが水酸化ナトリウムに比べ低くなるため、還元する能力は低いといえる。特に海中に長期間あった遺物は水酸化ナトリウムで処理する必要があるが、それ以外の鉄製品はより安全な炭酸ナトリウムで処理可能である。</p>
<p>電解液に使う水には特別に注意する必要がない。普通、海水から引き上げられた遺物の場合、遺物中の化合物の量が水道水に含まれる化合物よりも比率が高いため、すぐ水に抜け出る。淡水から引き上げられた遺物の場合、マイナスイオン水などを使う必要がある。また、積極的に雨水を使うことを推薦する。保存処理において一番消費するのが水であり、この資源を無駄にするかしないかで保存処理研究所の費用が相当異なってくる。さて、遺物中の化合物が抜け出し、水道水よりも化合物の含まれる量がだいたい同じぐらいになってきたら蒸留水やマイナスイオン水を使い遺物から化合物が完全に抜け出るのを待つ。</p>
<p><font size="+2">電流密度</font></p>
<p>電流をどれだけ掛けるかがERを成功させる上で重要な問題となってくる。“遺物表面の面積に対して何アンペア”というのが基本であり、様々な保存処理の専門家が別々の主張を行ってきたが、遺物の状態によっても電流を変える必要があり、一概に“これ”という値を探すのは難しい。１平方ｃｍにつき０．００１－０．０５Ampほどの電流が水素の発生を抑えながら保存処理を行う場合であり、０．１Amp以下では水素の発生が促されるため遺物表面のコンクリーションの除去も可能である。</p>
<p>遺物の形や状態により表面の面積が分かりにくい場合があるが、水素の発生する様子や遺物の色の変化、化合物の出てくる割合を見ながら調節する。電流密度が強すぎると必要以上に遺物の表面を剥がしてしまう可能性があるので気をつけること。正確に電流密度・抵抗などを調べることも可能だが、もっと簡単で確実に決める方法もある。</p>
<p><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/004_resize.jpg" width="450" height="318" alt="" class="left" align="left" />ER中の大砲から水素が発生している様子</p>
<p>遺物をセットアップしたあと、多少高めのセットアップで電流を流す。このとき、遺物から水素が発生することを確認する。しばらく放置しても水素が発生しない場合は遺物に電流が流れていないためでありセットアップや遺物とクリップの接触を確認する。水素がブクブクト沸きあがってきたらボルテージ・アンペアなどを調節し泡が時々出てくる程度にする。この状態では遺物の保存処理は進むが表面のコンクリーションを剥がす効果はない。泡の発生するスピードなどによりじっくりと遺物を処理するか物理的クリーニング効果も行うか目で見ながら確認することが出来る。ほとんどの遺物の場合、最初に多少高めの値で物理クリーニングを行い、その後設定を下げ、じっくり処理を行うのが効果的だといわれている。</p>
<p><font size="+2">野外でのER法</font></p>
<p>ERを行う際、水素の発生などに伴い悪臭が発生するためきちんとした換気設備を必要とする。しかし、大きな遺物などを処理する場合、室内での保存よりも野外で行うほうが安全で効果的である。電源設備を室内に設ける必要はあるが、それ以外は野ざらしでも遺物に影響はない。容器も軽くふたをかぶせておけば多少の雨水が混じる程度なので問題はない。多少開けた場所であればどこでも保存処理を行うことが出来る。</p>
<p><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/003_resize.jpg" width="450" height="301" alt="" class="left" align="left" />野外での大きな遺物の処理。遺物の大きさに合わせて容器を作る必要がある。</p>
<p><font size="+2">ERを成功させるために</font></p>
<p>ここではERを成功させるために注意しておく必要のある幾つかの事項について触れてみる。実際に保存処理を始めればそれほど難しいことはなく、また常に遺物の状態が確認できるため失敗することもそれほどないといえる。　　　</p>
<p>第一に陽極について。スチールなどで遺物の周りを囲むわけだが、このとき遺物表面からの距離が一定であればあるほど良い。大きな遺物で形が複雑になれば難しい。陽極から遺物までの距離が変われば流れる電流も違ってくるので一定の処理が出来なくなる。遺物の形が複雑な場合は時々遺物の位置を変える必要があり、また、そうでなくとも遺物の上面(水面に近い面)は陽極から遠くなるため時々ひっくり返す。</p>
<p>処理にかかる時間であるが、遺物の状況、鍛造か鋳造、電流密度などのセットアップによって変わってくる。例えば遺物の状態が比較的安定している長さ２mほどの鍛造された大砲であればERだけで２５０日ほどかかる。また、同じ大きさの遺物でも状態によっては５００日近く必要としたケースもある。</p>
<p>処理の時間を短くしたい場合、電解液の量が多ければ多いほどよい。また、電解液を変える作業もERの処理時間を遅くする。化合物が遺物から発生するのは最初は早いが後に遅くなる。５０－１００ｐｐｍ以下になると特に遺物から染み出るのが遅くなるといわれている。</p>
<p><font size="+1">さて、次回のアップデートではERが終了した後の処理について解説する。また、ER以外の方法についても軽く触れてみる。<br />
</font></p>
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		<item>
		<title>６．金属の処理(保存処理を始める前に）</title>
		<link>http://www.nauticalarchaeologyjp.com/conservation/manual/20061106485.html</link>
		<comments>http://www.nauticalarchaeologyjp.com/conservation/manual/20061106485.html#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 05 Nov 2006 23:57:14 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[水中から引き揚げられた金属遺物は保存処理を行うものに大きな問題を抱えてきた歴史がある。しかし、長年の試行錯誤の結果、確実で簡単な方法が保存処理方法が確立されてきた。ここでは最初に水中遺跡で最も一般的に発]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>水中から引き揚げられた金属遺物は保存処理を行うものに大きな問題を抱えてきた歴史がある。しかし、長年の試行錯誤の結果、確実で簡単な方法が保存処理方法が確立されてきた。ここでは最初に水中遺跡で最も一般的に発見される鉄（Fe）についての保存を紹介する。特に保存処理そのものでなく、錆の性質、コンクリーションの形成の理由、そして保存処理にいたるまでのステップを紹介する。</p>
<p><span id="more-485"></span></p>
<p>釘が錆びてコンクリーションと成ったもの。中が空洞になっている。また、幾つかの遺物がくっついている可能性がある。　</p>
<p>人類は鉄・錫・銅・鉛・銀・金など様々な金属、そして、青銅や真ちゅうなど合金も用途に合わせて使用してきた。金属が生成された時点から周囲の環境と反応を起こし、金属は安定した状態に戻ろうとする性質がある。水中考古学遺物を扱う保存処理に携わるものは元の金属の性質、および錆びの性質を理解することが必要である。金属は水素を基準として起電力（EMF）の違いにより電極電位がつけられている。電極電位が低い金属は陽イオンを発生しやすく活発に酸素と反応する。反対に電極電位が高い金属は安定している。ちなみに金は一番安定しており、次に銀、銅、そして水素と続く。ここまでが電極電位がプラスであり、鉛、錫、鉄、最後に亜鉛はマイナスである。つまり簡単に言えば亜鉛が錆やすく、金は最も安定している。</p>
<p><font size="+2">錆について</font></p>
<p>鉄(Fe)製の遺物は水中考古学において最も頻繁に発見される種類の遺物であり、また最も保存処理が難しい遺物である。二つの金属分子が存在するとき、ガルバニック作用がおこり、金属が酸化し、第一鉄イオン（ferrous iron）が生成される。海水は電解液に似たような働きがあり、空気中に比べ錆の生成が約１０倍早いと言われている。沈没船は一つの大きなガルバニック電池として考えられ、また、それぞれの金属も互いに影響を起こしながら反応する。また、一つの金属製品でも１００％ピュアな金属などは無く、遺物の中でもイオンが互いに影響を起こしあっている。</p>
<p>さて、水は基本的にHとOHに分かれているのが普通である</p>
<p><font size="+1">2H2O + 2e = H2 + 2(OH)</font></p>
<p>海水、つまり塩（塩化ナトリウム）が水と反応を起こすと</p>
<p><font size="+1">Na+ + OH- = NaOH</font></p>
<p>鉄はイオンを発生しやすいので</p>
<p><font size="+1">Fe+ &#8211; 2e = F+2</font></p>
<p>そして鉄は塩化物と反応を起こし塩化第一鉄を形成する</p>
<p><font size="+1">Fe+2 + 2CI- = FeCl2</font></p>
<p>塩化第一鉄は海水と反応を起こし…</p>
<p><font size="+1">FeCl2 + 2NaOH = Fe(OH)2 + 2NaCl</font></p>
<p>結果としては、水酸化第一鉄（さらには磁鉄鉱）と塩化ナトリウムが形成される。新しく出来上がった塩化ナトリウムはまた鉄と反応し、水酸化第一鉄と塩化ナトリウムを作る。つまり、触媒のような働きを起こすのである。さらには海水中に溶け込んでいる様々な成分と反応を繰り返し、磁鉄鉱、水酸化第二鉄、硫化第一鉄なども生み出す。</p>
<p>このように鉄が海水に溶け込むと、遺物自体が失われるだけでなくｐHレベルが変化するため、炭酸カルシウムと二酸化炭素のバランスが崩れ、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムが発生してこれが遺物の周囲にある砂、貝、その他の遺物などに沈殿・付着し、硬い殻を形成する。この殻は一般にコンクリーションと呼ばれている。この殻は普通、遺物の表面に沈殿し、時間をかけて“成長”する。その際、遺物と海水を遮断する可能性が多く、遺物のオリジナルの型を残すことがある。</p>
<div id="attachment_831" class="wp-caption alignnone" style="width: 410px"><a href="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/46-57.jpg" rel="lightbox"><img src="http://www.nauticalarchaeologyjp.com/wp-content/uploads/46-57-400x302.jpg" alt="コンクリーションの写真" title="46-57" width="400" height="302" class="size-medium wp-image-831" /></a><p class="wp-caption-text">コンクリーションの写真</p></div>
<p>鉄が海水で錆びると、多くの場合硫化第一鉄、磁鉄鉱、塩化第二鉄などが形成されるが、発掘後に空気中においても反応は進む。表面を処理するだけではなく完全に塩化ナトリウムをはじめ反応を進める状態にある化合物などを取り除くことが必要となる。（ナトリウム溶液などにコンクリーションを長期間浸しておいても遺物内部の処理は行えない）金属の内側から反応が進み、内側から膨張を起こし破壊が知らずのうちに進むことがある。これらの悪条件を考えると、発掘されたのち“完全”に処理を施す必要があることがわかる。</p>
<p>金属製の遺物を完全に処理するにはコンクリーションを除去した後、電解還元法（Electrolytic Reduction）を使い遺物内部の塩化化合物などを除去することが最も効果的である。ER法を用いると遺物内部から水素が発生し塩化化合物と反応をし、遺物内部を還元する働きがある。ER法については次回の保存処理のアップデートで詳しく説明を行う。</p>
<p><font size="+2">遺物の記録・保管・物理的クリーニング</font></p>
<p>鉄製（および金属製）遺物の保存処理には下記のステップが一般的に行われる</p>
<p>1.遺物の記録</p>
<p>2.保存処理が行われるまでの保存</p>
<p>3.物理的クリーニング</p>
<p>4.遺物の記録・検証<br />
　　　　</p>
<p>5.保存処理 (ERなど次回のアップデートで紹介予定)</p>
<p>6.保存処理後の管理　（次回のアップデートで紹介予定）</p>
<p><font size="+1">遺物の記録</font></p>
<p>	遺物の保存処理を行うには記録を取る事が重要である。遺物の写真、特にX線写真、特徴、発見地点などがある。X線写真はコンクリーションノンの中に何が入っているかを見分けるための手段として用いられる。さらに重要なのは、遺物の状態とどのような処理を施したか、または保管状況などである。再処理を施す場合などに参考とするためである。また、次に性質の類似する遺物を保存する際に参考となるからでもある。（保存処理がもし失敗に終わった場合、どこを次回から変えれば成功に導けるかを知るためである）さらには、より良い保存方法、処理法を検討・研究するうえでも重要である。</p>
<p><font size="+1">遺物の保管</font></p>
<p>	金属の遺物はコンクリーションを形成するため、時として１トン以上もの塊であることもある。また、ひとつのコンクリーションの中には一種類の遺物のみであることは珍しく、木材、繊維、金属、骨などの遺物も共に塊の内側に閉じ込められている。これらの遺物の保存を促すために常に水に浸しておく必要がある。　コンクリーションそれ自体が外界からの影響を遮断する働きもあるため、コンクリーションをばらさずに現状を維持することが重要である。しかし、コンクリーションは放置すると錆が進行し、中の遺物を破壊するおそれがあるので、金属の反応を抑える溶液に浸しておくことが必要となる。（この状態においてはコンクリーション内部の遺物はコンクリーションの外にあるより長期保存可能となる。また、錆が遺物を破壊はするが、外界からの影響が少ないため、逆に錆の内部のほうが有機物の保存に適した状態が保たれる可能性もある。そのため、コンクリーションはたんなる錆の副産物といって軽視することはできない場合もある）</p>
<p>	金属の反応を抑える働きのある溶液にはアルカリ性の水酸化や炭酸ナトリウムやセスキ炭酸ナトリウムが良いとされている。この溶液のｐHは８以上でないと逆に参加を進める可能性もあるので注意が必要である。ｐH１０－１３が特に錆を防ぐことがわかっている。これは約５％のナトリウム溶液に遺物をひたすことで充分である。しかし、長期保存には向いておらず、溶液を頻繁に変えるか、一時的保存においてのみ使われる。</p>
<p>	この溶液に使う“水”は普通の水道水で充分である。または、雨水などを利用することも有効な手段である。もともと海水から引き上げられた遺物は塩分などを含んでいるため、特にマイナスイオン水などを使うことはない。水は水中遺物の保存処理で最も必要とし、どこの保存処理施設でもいかに水を巧く利用するかでコストの大幅な削減が可能となる。(例えば遺物の脱塩処理に際して新鮮な水を常に必要とするが、トイレのリザーブタンクに遺物を入れておくことなどで常に新鮮な水に取り替えることができる)</p>
<p><font size="+1">物理的クリーニング（コンクリーションの除去）<br />
</font></p>
<p>	コンクリーションは名前のとおり、遺物を包むコンクリートのようなものである。これを徐々に破壊して遺物を取り出すためには中に何があるか知る必要がある。そのためにはX線写真が必ず必要となる。X線写真を取る際に遺物の位置、方向などをしっかりと把握する必要がある。（また、X線写真をデジタル化し、フォトショップなどのプログラムでガンマ線やコントラストを変えることで写真を見ただけではわからなかった遺物が見えることもある）これらを基準に遺物を取り巻くコンクリーションを除去していく。</p>
<p>	大きなコンクリーションの場合、のみやハンマーを使いコンクリーションを割っていく。遺物とコンクリーションの間には溝や物理的な違いがあるので、コツをつかめば遺物をまったく傷めることなく簡単にコンクリーションを剥がしていくことが可能である。空圧スクライバーやドリルなどは小さな遺物に効果的に使われる。どれだけコンクリーションをはがして良いか判断に困ったときは、遺物表面に幕を張るぐらいにコンクリーションを残しておいたほうが良い。これは、ER法を行う際に、遺物内部から発生した水素が表面まで進み、コンクリーションを剥がすためである。</p>
<p>	酸などを使いコンクリーションを溶かすことも可能である。しかし、この方法は注意が必要である。次回のアップデートで紹介するが、錆の進行によっては金属が完全に溶け、コンクリーション内部が空洞化していることがしばしばある。この場合、コンクリーションの一部に穴を開け、型を取ってからコンクリーションを破壊する方法を取る。酸でコンクリーションを溶かしては型を取れなくなるのと、また、遺物自体を溶かす可能性もある。そして、酸を完全に除去しないと知らずに反応が進むこともある。酸の値段も考慮に入れるとそれほど効果的な方法とは考えられない。</p>
<p><font size="+1">遺物の記録・検証</font></p>
<p>	遺物がコンクリーションから取り除かれた後、遺物を洗浄し、検証する必要がある。この検証は主に遺物の状態を把握し、どの保存処理が最も適切かを決めるためのものである。これは重さの比較、磁石、X線などを使って検証する。基本的には３タイプに分けられる。</p>
<p>１．	遺物の芯まで金属が残っており、化学的、物理的に比較的安定しており、形がはっきりしているもの。このタイプの遺物はERを使い処理を行う。</p>
<p>２．	遺物の元の形は多少残っているものの、芯の金属は薄いなど、化学的、物理的に安定していない。このタイプはセスキ炭酸ナトリウムなどに長期間浸し、塩化化合物が染み出てくるのを待つ。（コンクリーションから遺物を取り出した後なので直接金属に働きかえるので多少の効果が期待できる）その後ワックスなどで表面を覆い、遺物を保護する。</p>
<p>３．	遺物がほぼ完全に無くなっているもの。コンクリーションが外形を維持しているので、それを元に型を取るしか方法はない。元の遺物はもちろん修復不可能である。</p>
<p>ここでは大まかに金属、おもに鉄の保存を見てみた。次回は詳しくER法(電解還元法)について詳しく解説を行う。</p>
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		<title>5.木材保存</title>
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		<pubDate>Thu, 14 Apr 2005 01:08:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[木材の保存処理は水中考古学者、特に船の考古学を学ぶ者にとっては必ずと言っていいほどマスターしなくてはいけないであろう。最近では、元興寺や奈良などで糖アルコールなどを使った保存方法が開発されている。まだ一]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>木材の保存処理は水中考古学者、特に船の考古学を学ぶ者にとっては必ずと言っていいほどマスターしなくてはいけないであろう。最近では、元興寺や奈良などで糖アルコールなどを使った保存方法が開発されている。まだ一般的ではないがこれからどんどん普及していくと思われる。　ここではテキサスの保存処理クラスのマニュアルの翻訳なので、海外で一般的に使われている方法を紹介してある。　</p>
<p>木材の保存で大切なのは、一つの方法だけにたよるのではなく、様々な保存方法の中から状況に応じて最善の処理法を選択することである。　<br />
シリコンオイルなども小さな遺物の保存にその威力を発揮する。　</p>
<p><span id="more-85"></span></p>
<p>有機物である木材は土に埋まるとだんだんと腐って分解されていく。　乾いた場所や水の中では長期にわたって保存される事がある。　沈没船では船材や他の木製品などが良いコンディションで見つかることがある、ただし完全に水を含んではいるが。</p>
<p>木材保存の成功の秘訣は木の構造を理解することが大切である。　木は大まかに分けて２つのタイプに分けられる―被子植物と裸子植物である。　被子植物・広葉樹の木材はは多孔性で導管が多い。　樫や樺の木はこの部類である。　裸子植物・針葉樹は導管が少ない。　末の木などがこの分野である。保存処理を施す前にせめて針葉樹か広葉樹であることを知っておくべきであるが、時には木の種別をする必要もある。</p>
<p>新しく切り倒された木は水分を失うために放射状（Radial）に３－５％ほど縮み、接線状（Tangential）に５－１０％、縦材状に0.5% ほど縮みます。　樫の木は放射状に４％、接線状に８％に縮みますが、含水した樫は放射状に１２％、接線状に２４％縮むことがあります。　含水木を乾かす際、保存処理をすることによって縮みを最小限に留めることが出来ます。　</p>
<p>船を作る時、木材がどのように（どの方向から）切り出されたかによって縮み方が違ってくる。外板などを板目に抜いた（Flat-Sawn）材は縮小率の違いにより板がそることが多く、柾目（Rift-Sawn）の場合は縮小率が低いが、非常に効率の悪い板の抜き方のため、四つ割る（Quarter-Sawn）が頻繁に使われる。この方法で切り出された板は縮小率が小さい。切り出した方法により時にはどんな保存処理を施しても割れてしまうことがある。</p>
<p>木材の劣化・分解の理由は　１)物理作用―温度変化、湿度変化など　２)ムシ、動植物によるもの　３）菌類による分解がある。　菌類の発生は湿度が６５％以下の状態であれば大体防げる。　含水木は形が原型を留めていても化学的にもとの材とは異質なことが多く、また、材の強度も極端に低くなることが多い。　</p>
<p>Waterlogged Wood<br />
すべての木材は長く水に浸かっているとバクテリアが木の細胞壁を破壊する。まず、水に溶ける物質、デンプンや糖質が木から抜け出す。　その他にもなめし、色素、などが抜ける。　時間が進むと加水分解によりセルロースが分解され、リグニンのみが残る。そしてリグニンもまた除々に分解されてゆく。セルロースとリグニンの分解により分子の隙間ができ、水が浸透しやすくなる。細胞の間など隙間には水の分子が入り込み細胞壁を破壊していく。リグニンと中に入っている水が木の原型を一見すると保っているように見える。　セルロースが抜け出ても木の重量はほとんど代わることがなく、木はスポンジのように水を吸収しだす。　含水木は水に浸かっている間は形をとどめている。　一度水が乾きだすと表面張力と圧力の違いにより細胞が崩れ極端に縮小する。　縮小率の違いは含水量と木の分解の進行度によってことなる。木の含水率は次の式で計算する。</p>
<p>（含水時の重さ　－　炉で乾燥させたあとの重さ）/ 乾燥させた重さｘ１００</p>
<p>含水率が２００％以上のときは分解が進んでいる木材とみなされる。　５００％以上水を含んでいることも珍しくなく、ときには１０００％に達することもある。　含水木は３つのクラスに分けられる。　ClassIIIの広葉樹が保存処理には一番難しいと言われている。<br />
ClassI　	４００％以上<br />
ClassII		１８５－４００％<br />
ClassIII	１８５％以下</p>
<p>Waterlogged Wood Conservation<br />
含水木の保存処理は２つのプロセスから成り立つ。　１）木材の内に浸透し硬化する薬品(ポリエチレングレコールや糖質など)を使って木を強化すると同時に脱水する　２）脱水すると際に木の縮小を最小限に抑える（凍結乾燥など）。</p>
<p>良く使用される方法を書きに示す。どのような方法を使うにせよまず脱塩処理を済ましてから保存処理を行うこと。もし脱塩処理を完全に終わらせずに保存処理を始めると、保管場所すべての遺物に悪影響を与える可能性がある。</p>
<p>Polyethtlene Glycol (PEG)　<br />
ポリエチレングレコール（PEG)はH₂OCH（CH₂OH₂）CH₂OHからなる合成物質である。　常温では分子量の低いPEG（３００－６００）は液体状で中間（１０００－１５００）は粘性があり、分子量の高いPEG（３２５０－６０００）ワックスのような状態である。　PEGはいろいろな分子量で購入することが出来る。PEGはアルコール（エタノール、メタノール、イソプロパノールなど）と水に溶かしやすい。　一昔前まではPEG４０００が吸湿性が高いことを理由に良く使われていたが、分子構造が大きいため密度の高い木材には浸透しにくいという欠点がある。そのため、現在ではPEG１５００などが良く使われる。</p>
<p>PEGを使った保存処理方法は簡単で成功率が高かったため一般に普及した最初の木材の処理方法だと言えます。この方法はPEGが細胞を固めると同時に脱水することが出来ます。基本は木材を水に漬け、水温を６０℃ほどまで上げます。　何日か何ヶ月おきにPEGを少しずつ（１－５％）足しています、ときには何年も保存処理にかかる場合があります。　PEGを足していく量・間隔は木の状態、大きさなどによってさまざまです。　PEGが２０－３０％ほどに達すると常温では固まってしまいます。　PEGは少しづつ木に浸透して水を置換します。　最終的にはPEGを７０－１００％まで高めます。　遺物はその後PEGから取り出され、表面のPEGを落としてから常温まで冷まします。　その後ドライヤーやお湯を使って遺物の表面のPEGを落とします。</p>
<p>PEGはアルコールと水に溶けますが、溶媒の値段を考えると水を使ったほうが、特に船などの大きな木材を保存する場合は安くすみます。　ただし水を溶媒として使う場合は殺菌剤を水に足す必要が時にはあります。(アメリカでは)Dowicide１（オルトフェニルフェノール）を　使っているPEG の重さの０．０５－０．１％ほど足します　(他の殺菌剤を使う場合はPEGや木材に影響がないかまず調べてから使うこと)。　１７世紀のスウェーデンのヴァサ号の保存処理にはPEGの重量に対し１％の殺菌剤（ホウ酸７/10とホウ酸ナトリウム３/１０）を使用した　(Barkman 1975:82)。　小さな遺物に対してはアルコールのほうが使いやすい。　アルコールを使用したほうが処理時間が短くて済み、また仕上がったときの色が薄くまた軽い。処理時間を早めるのであれば遺物をエタノールなどにつけ完全に脱水してから処理を行う。　ただし、特に完全に脱水をしなくともきれいに仕上がるにで特に重要でない限りは脱水を徹底することはない。　アルコールを使うときには温度が上がり過ぎないように注意すること。　</p>
<p>PEGは金属を腐食させるので注意すること、とくに鉄には良く反応する。　PEGを使う場合、必ず鉄の付いていない木材に限ることと、遺物を入れる容器にも鉄以外のものを使うこと。</p>
<p>小さな木材を処理することは簡単なプロセスで出来る。ガラス、またはスチールの容器はどこででもあり、PEGの量もそれほど掛からない。温度が管理できる炉(オーブン)が必要である。大きな木材は時には何トンものPEGを必要とし、　遺物の大きさに合った容器、そして温度を一定に保ち液体を循環させる装置が必要となる。発掘の後に大きな木材の保存を予定しているのであれば設備と費用と検討し計画を立てなければならない。ここで紹介している木材保存法の中で、PEGと水を使っての処理が一番良く使われている。</p>
<p>Sucrose<br />
スクロース(ショ糖)・砂糖を木材の保存に使おうという考え方は他の方法に比べかなり安く処理できると言う利点から開発された(Parrent 1983, 1985)．　方法はPEGとほぼと同じでPEGの変わりにショ糖を使うというだけである。　木材を洗浄し脱塩してから以下の処理を行う。</p>
<p>１．ショ糖１－５％の水の中に遺物を浸ける。保存状況の悪い木材の場合、５％から始めると良い。　<br />
２．DowcideAか他の殺菌剤を溶水に足す。　最初に入れておけば木材に染み込むので後で足す必要はない。<br />
３．ショ糖を足す量、また次に足すまでの期間は木材の現状が悪いほど量は多く、期間は短くて済む。　最初は１-５％ぐらいから上げていき、５０％を越えてからは１０％づつ足していく。もし心配であれば１－５％のままで７０％まで上げていく。　７０％で木材は保存できたと考えてよい。<br />
４．必要ならば昆虫や鼠などからの害を防ぐため薬品を混ぜることも考えられる。これは保存処理後の管理状況にもよるが、薬品を加えなくてもよいのであればそのほうが良い。　管理状況が芳しくない場合にのみ薬品を最初に殺菌剤とともに入れる。(もちろん木材、ショ糖などに反応しないものを選ぶ)<br />
５．木材のなかにショ糖が浸透したら、遺物を乾かす。　この場合湿度を急激に下げないようにする。　湿度が下がると木材に亀裂が入るので、湿度を調節しながら保管・管理される場所の湿度に戻していく。<br />
６．保管場所の湿度は７０％以下が適切である。８０％以上になるときの中からショ糖が染み出てくることがある。</p>
<p>砂糖を保存処理に使う場合、スクロースを使うべきである。　黒砂糖などは避けること。砂糖の種類によっては吸湿性の違いにより表面がいつまでも湿っているような結果となることがある。　スクロースを使用した場合はほとんど問題がない。</p>
<p>保管状況が管理できればスクロースで処理された木材は長期間保存することが出来る。　この方法は保存処理として確立され安価で処理できるとあって活用されている。　ただし、表面が色あせ、小さなひび割れが出来ることがある。木材の縮小率はほとんどなく長期にわたって大きさは変わらない。　保存処理に必要な機材はPEGを使う場合とおなじである。</p>
<p>Acetone-Posin<br />
木材の中の水を松やにと置き換えるこの方法は分子量の高いPEGが使えないような比較的状況の良い木材を保存するために開発された　(McKerrel and Varanyi 1972: Bryce et al. 1975).</p>
<p>１．遺物を洗浄し真水につけておく。(完全に脱塩すること)<br />
２．　遺物を完全に脱水するために３回にわたりアセトンに浸して置換する。　５－１０ｃｍほどの厚さの木材では一回で４日ほどアセトンにつけ、新しいアセトンにまた浸ける。　厚さが５ｃｍ以下であれば２日ほどで良い。　松脂は水には溶けないので完全にアセトンと置換させることが重要である。　<br />
３．容器に松脂を飽和させたアセトンと遺物を入れ、密封する。５２℃に保てる場所で保管する。　松脂は工業用（不純物が混じっていないもの）を使い、粉末のものは避ける。　アセトンを松脂で飽和させると、６７％ほどの松脂が溶け込んでいることになるが、容器に多めにいれ、底に松脂がたまっている状態にしておく。　遺物はこの沈殿した松脂の上に液中に‘ぶら下げておくか支えておく。　厚さ５－１０ｃｍほどのものは約４週間ほどで処理が終わり、５ｃｍ以下であれば２週間ほどで良い。　ただし、だいたいの目安なので木材の状況を見て判断すること。　<br />
４．遺物を容器から出し、アセトンに浸した布で表面の松脂を落とす。</p>
<p>状況の良い木材を保存する場合、洗浄後脱水前に１０％の塩化水素（ＨＣl）に浸すと良い結果が得られる。　塩化水素に浸すことにより木材の有機酸を分解し松脂を浸透しやすくさせる働きがある。　長く浸すとひび割れを起こす可能性もあるが保存後に自然の木に近い色あいに処理できると言われている。　（PEGで処理を行う際も塩化水素を使うと自然の色合いに近くなるが注意しないと小さなひび割れや縮小率が高くなることがある）厚さ５－１０ｃｍの木材では４日ほど浸し、５ｃｍ以下の場合は２日ほど浸す。　その後、常に新しい水が流れている容器などに３-５日ほど浸けておく。　完全に塩化水素を除去することが大切である。　塩化水素を使った処理は遺物を傷つける可能性があるためおかなわれないことが多い。　</p>
<p>アセトンの代わりのエタノールやイソプロパノールを使うこともある。　また、アセトンを使って常温で処理することも出来るが、処理時間が大幅に延長する。</p>
<p>松脂を使った処理方法は木材の色が自然に近く、軽く、乾いていて、また強度が強い。　その他にも接着剤など合成樹脂が使いやすいと言う利点もある。松脂は金属に全く反応しないため、鉄と木が組み合わさった遺物(複合遺物)の保存には適している。アセトンが揮発性が高いことや松脂の値段が高いことから小さな遺物に対してのみの処理方法といえよう。　また、遺物の柔軟性を保ちたいときなどは使用は避けるべきである。　もし松脂で処理した遺物を曲げようとすると曲がる前に折れる可能性がある。</p>
<p>古いアセトン・空気中から水分を吸収した溶液を使用した場合には処理がうまくいかない場合もあるが、成功率は高い。値段が多少高く、処理が失敗する可能性もないわけではないが、もっと頻繁に使っていく価値のあるほぞんしょりである。　成功率はPEGと比べても高く、また縮小率も小さい。　</p>
<p>Alcohol-Ether<br />
この方法は植物遺物の保存方法に似ている。　まず木材を洗浄し、脱塩、その後アルコール置換で完全に脱水する。　イソプロパノールかエタノールを使うのが一般的である。この後、アセトンに浸ける。　その後、ジメチルエーテルに浸してアセトンとエーテルを入れ替える。　この後、遺物をバキュームにかけエーテルを蒸発させる。　エーテルは表面張力が弱く（０．１７dyne/cm）、水（０．７２dyne/cm）に比べ乾くときに細胞壁に負担が掛からないため、形が崩れない。必要ならば１０-２０％ほどの松脂などをエーテルに加えることによって木材の形を保つことが出来る。　PVAなどを足しても良い。</p>
<p>この方法で保存された木材は木の自然な色合いを残し、また軽い。　乾燥させるために使うアルコールは新鮮なものを使う。効果的な保存方法ではあるが薬品の値段が高いため小さな遺物の対してのみの処理方法となる。アルコール、とくにエーテルは揮発性が高いため取り扱いには充分注意すること。　</p>
<p>Camphor-Alcohol<br />
この保存処理方法はアルコール乾燥法と原理はほぼ同じであるが一時的な硬化剤を加えたものと言えよう。木材の中の水がアルコールに置換され、その後に樟脳(カンファー)に置き換えられる。　カンファーは細胞の隙間を埋めるが序々に昇華（固体から気体へ変化すること）するため、細胞に圧力が掛かることなく乾燥する。そのため木材の縮小率が小さい。　カンファーはすべてのアルコールに溶かすことが出来る。　</p>
<p>１．遺物を洗浄し脱塩する。<br />
２．遺物をアルコール置換する。　木材の状態が悪いのであれば５０％アルコール・５０％水から始め、７５％・２５％、９０％・１０％などと段階を踏んでアルコールの濃度を挙げてゆく。　<br />
３．乾燥処理が済んだ後遺物の重量を正確に測る。５％のカンファーをアルコールに混ぜ、遺物を５２℃に保つ。　遺物の重量を毎日測り、重量が増えなくなったら新たに５％のカンファーを加える。７５－８０％で処理は完了する。　アルコールの量が減ってきたら足して常にアルコールのレベルを均等に保つ。　<br />
４．処理後に表面の余分なカンファーをふき取る。アルコールはすぐに蒸発するがカンファーはしばらく残る。　ニス、ワックス、ポリウレタン、その他の合成樹脂（PVAなど）を遺物の表面に塗ってカンファーが抜けるのを防ぐこともできる。</p>
<p>この方法はアルコール乾燥法と同じく成功率は高いが薬品の値段が高いため大きな遺物には向いていない。　また揮発性の高いアルコールには充分注意が必要である。　</p>
<p>Frreze－Dry　<br />
凍結乾燥方法は小さな遺物によく使われるが、遺物のサイズに合う容器があればどんな大きさの遺物でも処理は可能である(Anbrose 1970,1975;　Rosenquist　１９７５；　McCawley et al.　１９８２；　Watson 1982)．一昔前まではこの方法を使うと遺物の表面に小さな亀裂が入ることが知られていた。　これは遺物の表面に氷の結晶ができるため木材を傷つけるためにできる。　Ambrose（１９７０）によると、凍結乾燥処理前に１０％のPEG４００に浸し木材に浸透させることで氷の結晶が出来るのを防ぐことが出来る。この処理方法は瞬間凍結法には欠かせないプロセスであり、木材のほか皮製品の保存処理にも使われるようになった。　PEGは湿潤剤としての働きもあり、木材が縮むのを防いでいる。　</p>
<p>Watson(1987:274-275)によると２０％以上のPEGを使うことで遺物を乾燥させ、木材の中の微生物・菌などを除去することが出来ると言う。　２０％のPEG400は保存状況が比較的安定している遺物、10％PEG４００と１５％PEG4000の混合は状況の悪い遺物に、そして特に腐敗・分解している遺物にはPEG400を１０％とPEG4000を２５％で処理をする。　ただし、PEG4000を使う場合は処理期間が長くなる。　PEG濃度が２０％以下の時、１％ほど殺菌剤を混ぜるとコケやカビの発生を防げる。　</p>
<p>PEGによる処理後、冷蔵庫に入れ凍らせる。　その後、冷凍装置に入れ－３２からー４０℃まで温度を下げる。－２５℃からはバキュームを掛ける。　遺物の氷が昇華する際に重量が減るので、こまめに遺物の重さを量り、重量が変化しなくなったら処理は完了したことになる。木材は冷凍室から取り出された後、湿度４５－６０％の部屋で保管される。革製品などもほとんど同じ処理方法を使って処理する。</p>
<p>この処理方法は小さな冷凍室で可能だが瞬間凍結させるのが良い。　アセトンにドライアイスを入れる。　この中に遺物を数秒浸すことで瞬間凍結する。　霜が自動で処理できる家庭用冷蔵庫でも良い結果が得られたという報告もある。　バキュームなしでの処理では完全に乾燥させるのに何ヶ月も掛かることがある。　</p>
<p>このセクションに書かれている保存方法の中で凍結乾燥方法は一番設備投資にお金が掛かる。</p>
<p>SILICONE OIL TREATMENT<br />
１９９３年からDr. Wayne　Smith　とテキサスA&#038;M大学がポリマーを使った有機物の保存処理方法を開発・改良してきている。　含水木、ガラス、皮、コルク、とうもろこしなど様々なものの保存処理実験に成功している。　なめし、骨、その他の動植物遺物も保存できる。　この保存方法はこれから様々な大学、研究機関で使われることになるであろう。　保存方法をここでは簡単に紹介する。</p>
<p>１．遺物をエタノールに浸けバキューム（１０Kg）に一時間ほどかける<br />
２．脱水された遺物をアセトンに浸けバキュームに一時間ほどかける。<br />
３．シリコンオイル（SFD-1）とイソブチルトリメソキシラン（？）{isobutyltrimethoxysilane} 4%を混ぜる。イソブチルはシリコンのクロスリンカーとして使われる。　遺物を低いバキューム（５ｋｇ）で一晩待つ。　このとき、あまり強いバキュームはかけないこと。<br />
４．遺物をシリコンオイルから取り出し、表面の余分なシリコンをふき取る。<br />
５．触媒となるFASCAT－４２００を小さな容器に入れ遺物と一緒に密閉したビニールに入れる。密閉したビニールごと５２℃に保ち、触媒がシリコンオイルと木材を固めるまで待つ。</p>
<p>シリコンを使って処理した木材は自然な色合いで仕上がり、ほとんど縮小しない。　木材は非常に維持が簡単で他の方法で処理した遺物より湿気や熱に強い。　ただし、この方法は再処理が出来ないという欠点をもっているが、実際に再処理できる保存方法はほとんどないと言ってよいだろう。　</p>
<p>Reversibility in Artifact Conservation<br />
再処理が出来る方法は今まで保存処理の基本的条件であった。しかし、再処理可能だということが課題に評価されていた。　例えば、木材から完全にPEGを抜き取ることは不可能であり、またそのプロセスに木材を劣化させる。　PEGは木の細胞、リグニンなどと結びつくため、これらのポリマーの除去は不可能である。　PEGで再処理する際に再び細胞壁を傷める可能性がある。　つまり、再処理とは結果的には遺物の寿命を縮めていることになる。　再処理の際に遺物を劣化させるため、再処理をしないほうが長持ちできた結果となるのである。</p>
<p>シリコンオイルでは非常に劣化した状態の悪い木材でもPEGでは細胞を傷つけるのに対して細胞にほとんどダメージを与えることなく処理できる。　シリコンオイルで処理された木材は保存状況が良いため、種別判定も簡単に出来る。</p>
<p>シリコンやポリマーを使った保存方法は実は再処理が出来ないわけではないが、遺物を極端に劣化させる恐れがあるため再処理する可能性は今のところない。　ポリマーを使った遺物の再処理の研究を進める動きも出てきている。　ポリマーが長期保存に適していること、保存処理期間が短くて済むこと、また簡単に出来ることがこの方法の特徴である。　これから様々な遺物がこの方法で処理されていくことであろう。</p>
<p>ここで遺物の長期保存の可能性について見てみよう。　一般的に使われる処理方法は保存可能期間が短い場合が多い。　そのため、再処理できることが第一の基本と考えられてきた。　PEG処理の場合、保管される場所の環境によって遺物の寿命が違ってきた。　水に溶ける薬品を使うため、遺物の中で劣化、腐敗が進んでしまうのである。</p>
<p>ポリマーでは寿命はほとんど影響がないといえる。　ポリマーの半減期は最低２００年である。　また、保存処理に掛かる時間も短くて済む。　ウルブルン沈没船（１３００BCE）から出土したガラスのビーズの処理に掛かった時間は約２０分だった。　</p>
<p>古い方法に執着することは新しくアイディアの発展を妨げる。　シリコンがすべての問題を解決するわけではない。　ただ、この新しい方法が保存処理科学に“再処理問題”を再検討させるきっかけとなった。　シリコン・ポリマーを使った方法は今までの方法と併せて使っていくべきである。　これからもっと新しい処理方法が開発されていくことであろう。　</p>
<p>SUMMARY<br />
木材の保存処理にはこのほかにもいろいろな方法がある。　重要なのはこれらの方法を駆使して問題を解決していくことである。　保存・管理される環境、条件においてどの処理法が最適であるかを検討し処理を行う。　色、湿気がコントロールできる環境にあるか、木材の強度、金属との複合遺物であるかなど考えることはいろいろある。　ここで紹介した方法はどれも成功率が高く一般的に使われているもので一つの処理法にしぼらず、条件に応じてこれらを使用していくことを進める。　</p>
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		</item>
		<item>
		<title>4.骨・角・歯など</title>
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		<pubDate>Wed, 30 Mar 2005 08:25:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[骨や角の約７０％は無機物で格子状のリン酸カルシウム、フッ化物や炭酸で出来ている。　残りは有機物でOssein（またはコラーゲン）の一種でできている。　骨や角は熱や湿気で簡単に曲がってしまい、長期にわたって水につかっ]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>骨や角の約７０％は無機物で格子状のリン酸カルシウム、フッ化物や炭酸で出来ている。　残りは有機物でOssein（またはコラーゲン）の一種でできている。　骨や角は熱や湿気で簡単に曲がってしまい、長期にわたって水につかっていると腐りだす。</p>
<p>加水分解によって有機物は崩れ、無機物は主に酸によって溶け出す。　水中では骨や角はスポンジ状となって見つかることがしばしばある。　時には有機物がケイ酸（シリカ）などと入れ替わり化石化することがある。　保存処理としては洗浄、補強は出来ても完全に保存することは今のところ無理である。</p>
<p><span id="more-25"></span></p>
<p>表面の泥の除去作業<br />
石鹸、水またはアルコールでざっと洗うこと。　軽くブラシなどでこすってもよい。　壊れやすい骨などには注意して洗う。</p>
<p>遺物の脱塩処理<br />
海水に浸かっていた骨などは乾くと表面に塩の結晶が出来上がることがある。　結晶が出来ると表面を傷つけ、又遺物の破壊を促進する。　まず何よりも脱塩処理が必要となってくる。　動物の骨などは水道水に付けておくことで塩が抜けるが、人骨などは脱イオン水なども使用し脱塩処理を行う。</p>
<p>１．ほとんどの場合、海水から引き上げた骨が頑丈であればそのまま水道水に付けても良い。　ただし、壊れやすい場合や特に注意を払うのであれば海水７５％・水道水２５％の水につけ、その後海水５０％・水道水５０％などと、徐々に真水に慣らしていく。　水の含塩量を調べる必要があるが方法は何でも良い。　硝酸銀を使って塩化ナトリウムの量を測るなどいろいろある。正確なｐｐｍまで調べる必要はなく、水道水に比べ含塩量が低ければ良い。</p>
<p>２．遺物の状態が悪い場合はまずParaloid B-72を水で薄めて（５％ほど）骨を強化させる。　この状態でも塩は骨から抜ける、ただし多少時間がかかる。</p>
<p>３．塩が完全に抜けてから徐々に乾燥させていきます。アルコール置換の手順は５０％アルコール・５０％水に浸け、その後９０％アルコール、そして最後に１００％アルコールに浸けます。　壊れやすい遺物は２５％ぐらいから始める。　歯や角などは完全に水を抜くためもっと手の込んだ方法をとることがあります。　５％エタノールから徐々に５％づつエタノールの濃度を上げていきます。　１００％エタノールにつけた後、新しく１００％エタノールの容器に入れ替えて繰り返し脱水します。　ただし、ほとんどの場合、１００％のアセトンに二回ほど浸すことでだいたい脱水できます。　この後、遺物を合成樹脂などできちんと硬化させ、湿度の変化の少ないところで保存します。</p>
<p>表面などに付着した塩、汚れの除去作業<br />
塩などが遺物の表面に付着することがあり、これらは薬品で落とすよりも道具で、針や小さなドリルなどで削り取ったほうが良い。　薬品などは遺物を傷つけることがあるので注意が必要です。また、遺物の表面を必ず濡らしておくことによって少しでも薬品が遺物に染み込むことを防ぎます。<br />
炭酸カルシウム　（Calcium　Carbonate）の除去：　ぎ酸、　または塩酸（Formic Acid）５－１０％に浸ける。　浸けている間はそばで観察すること。</p>
<p>鉄分によるよごれの除去：　５－１０％のシュウ酸（Oxalic　Acid）に浸けると良い。　またはクエン酸アンモニウム、そして　　　　　その後にまたシュウ酸につけても良い結果が得られている。　硫化物付着の除去：　過酸化水素（５－１０％）に浸ける。水硫化物に一度浸し、その後に過酸化水素につけることで落ちにくい付着物を取り除くことが出来る。</p>
<p>壊れやすい骨などには全体を薬品につけるのでなく、耳掻きなどを使い一部に薬品を塗る。　骨を完全に薬品につけると二酸化炭素が発生し遺物が割れてしまうことがある。　部分的に少しづつきれいにしていく。付着物を取り除いた後、良く水洗いをし完全に薬品を落とす。　その後に脱水をし保存する。</p>
<p>補強作業<br />
合成樹脂を使う場合、溶媒でうすめて骨の細胞の隙間まで完全に浸透させる。５－１０％ほどの樹脂が大まかな目安となる。　ゆっくりと脱塩・脱水した後、PVAかB-72などで硬化させる。PVAは粘性の低いものを使う。　<br />
表面を硬化させるにはブラシなどで樹脂を浸ける。　薄く塗った後、何度か繰り返し塗る。　遺物が小さければ溶液の中に遺物を浸すことも出来る、このとき、バキュームを掛けると良い結果が得られる。　ばらばらな骨などを組み立てるときには、硬化させたときに使った同じ樹脂を使う。　ただし、粘性の高いもの、または樹脂を濃いめに使う。</p>
<p>種など他の植物遺物など<br />
ほとんどの植物や種などは骨などと同じような保存処理を行う。　まず、脱塩処理、そして付着物などを取り除く。　アルコールで乾燥させ硬化、または修復して保存する。</p>
<p>まとめ<br />
骨、角、そして植物などの保存処理は非常に簡単なプロセスで済む。骨などの保存状況が悪くない限り、それほど問題となることはない。　基本は脱塩、付着物の除去、アルコール脱水、そして合成樹脂による硬化・保存である。ただし、薬品を使って付着物を取り除く際、遺物の状態をチェックすること。</p>
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		<title>3.合成樹脂について</title>
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		<pubDate>Wed, 30 Mar 2005 08:09:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[合成樹脂は保存処理に良く使われる接着剤である。　合成樹脂はポリマー(重合体)の一種で幾つかのモノマー（単量体）から出来ている。　このモノマーが他のモノマーを持つ物質と結合しポリマーを構成する。　合成樹脂は大]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>合成樹脂は保存処理に良く使われる接着剤である。　合成樹脂はポリマー(重合体)の一種で幾つかのモノマー（単量体）から出来ている。　このモノマーが他のモノマーを持つ物質と結合しポリマーを構成する。　合成樹脂は大きく熱可塑性の樹脂と熱硬化性に分けられる。<br />
熱可塑性樹脂はモノマーが２次元(平面)で構成され様々な溶媒で溶かすことが出来る。　熱可塑性樹脂は基本的には溶媒で解けいつでも分解可能であるが、熱や光に当たることで分解不可能な部分が出来ることもある。　熱や光が線状分子を架橋（クロスリンク）させ、熱硬化性樹脂に特徴的な３次元構造を作り出すことがある。<br />
熱硬化性樹脂はモノマーが三次元構造を作り出し、いかなる溶媒でも解けることはない。　ただし溶媒によっては樹脂を膨張させゲル状になることもある。　最近一般的に使われている熱硬化性樹脂にはエポキシ、ポリウレタン、スチレンなどがあり、これらは触媒によって硬質化する。<br />
保存処理では様々な合成樹脂が使われ、これらの樹脂は改良、または新しい樹脂が開発されている。ここでは特によく使われる樹脂を紹介する。</p>
<p><span id="more-23"></span></p>
<p>１．Polyvinyl Acetate　（PVA）ポリ酢酸ビニル　</p>
<p>２．Paraloid B-72　パラロイドB72</p>
<p>３．Cellulose Nitrate　硝酸セルロース</p>
<p>４．Polyvinyl Butyral　ポリビニルブチラール</p>
<p>５．Polymethyl　Methacrylate　（PMM）ポリメタクリル酸メチル</p>
<p>６．Polyvinyl Alcohol　（PVAL）ポリビニルアルコール</p>
<p>７．木工ボンドなどその他</p>
<p>８．Epoxy　エポキシ樹脂</p>
<p>Polyvinyl　Acetate　（PVA）<br />
PVAは多分有機物の保存処理に頻繁に使われるもっとも一般的な合成樹脂である。接着剤や硬化剤として使われる。　様々な粘性率のものが販売されている（V1.5-V60など）　粘性率が低いものは分子量が低く、小さな隙間にも浸透しやすい。その代わり粘着性が弱くなる。そのため粘性率が低いPVAは骨などの硬化剤として使われ、高いものは接着剤として使われる。また、熱によってPVAは硬質化するため布などを継ぎ合わせ、アイロンで固めることもできる。<br />
PVAは光に強く変色や分子構造がクロスリンクしにくい。溶媒によって簡単に分解されやすいため湿気の多いところでは注意が必要である。　土器の修復などに良く使われる。　PVAは金属以外のほとんどの物質に使える。　特に骨や他の壊れやすい有機物に粘性の低いPVAを表面に塗ることで硬化させる。遺物を直接薄めたPVAの中につけても良い。　この場合、しばらく放置し、乾かしてまた浸けることを繰り返す。　表面にPVAが着くと遺物の中まで樹脂が届かないため、軽くふき取ることを進める。　樹脂が乾く際、PVAが縮小するため細かい遺物が変形することがあるので注意が必要である。　樹脂をゆっくり乾かせば遺物を傷つけずに済む。<br />
PVAは様々な溶媒に溶かすことが出来る。溶媒の揮発性の高いほど良く溶けるため、小さな隙間まで樹脂を浸すことが出来る。　溶媒の幾つかをリストアップしてみる。　揮発性の高い順に並べてある。<br />
　　</p>
<p>１．Diethyl Ether　　ジエチルエーテル　（水混和性）<br />
２．Acetone アセトン　(水混和性)<br />
３．Benzene　ベンゼン　(水混和性)<br />
４．Ethylene Dichloride　二塩化エチレン　(無水混和性)<br />
５．Methanol 　メタノール　（水混和性）<br />
６．Methyl Ethyl Ketone　メチルエチルケトン　(無水混和性)<br />
７．Ethanol　エタノール　（水混和性）<br />
８．Toluene　トルエン　（無水混和性）<br />
９．Xylene　キシレン 　(無水混和性)<br />
１０．Amyl　Acetate　酢酸アミル　(水混和製)</p>
<p>溶媒の種類によってPVAの使い方を変えることが出来る。　例えばPVAが乾くのを遅くしたい時はエタノール・PVA５－１５％を使い、早く乾かす場合はアセトン・PVA5-15%を使う。　酢酸アミルを足すことによってPVAが乾くのを遅らせることが出来る。逆にエタノールを足すと早く乾く。　PVAはエマルション（樹脂が水の中に離散された状態にあるもので分子が水に溶け込んでいるわけではないもの）の状態で買うこともできる。これは水に溶かすことが出来使いやすく、土器の修復などには最適らしい。一度水が蒸発すると溶媒を使って樹脂を溶かすことが出来るが、水ではPVAは溶けない。PVAエマルションは接着剤用として販売されているのがほとんどなので遺物を硬化させたいときには必ず水で薄めて使う必要がある。　</p>
<p>Paraloid B-72<br />
熱可塑性樹脂のB-72はPVAに比べ使いやすいといわれているが用途によって使い分けるべきである。　時間がたっても変色せず、熱に強く、PVAにくらべ表面のつやがない。　B-72は水、酸やアルコールに強い。　そして塗料などとも反応をしない。　PVAなどとも混ぜて使うことも出来る。　Texas　A&#038;M　ではB-72を接着剤として使用している。　<br />
B-72はアセトンかトルエンを溶媒として使え、またエタノールに溶かす(エマルションのような)ことも出来る。これにより樹脂が固まるまでの時間をコントロールする。　また、塗料などが塗ってある遺物など、アセトンが塗料を溶かす可能性がある時などはエタノールを混ぜて使うことも出来る(エタノールが塗料に影響がない場合のみ)。　B-72は水を浸透圧で通す性質があるので脱塩処理前に遺物を硬化することが出来る。骨など崩れやすい遺物を発掘してからすぐに固め、その後で脱塩処理がいつでも出来るため、非常に便利である。　</p>
<p>Cellulose Nitrate<br />
酢酸セルロースは一昔前まで良く使われていたが、最近の他の合成樹脂の開発によりだいぶ使われなくなってきた。　PVAやB-72と同じように使えるが表面が崩れることがしばしばある。　酢酸セルロースはアセトンやメチルエチルケトンに溶けるが、エタノールやメタノールには溶けない。　一般的に出回っている接着剤は酢酸セルロースを使っているものが多いのでどこででも手に入りやすく応急処置が必要な場合などはすぐに使える。　ただし、なるべく早いうちに酢酸セルロースを溶かして他の合成樹脂に変えることを進める。</p>
<p>Polymethyl　Methacrylate　（PMM）<br />
PMMの合成樹脂は世界中だいたいどこででも買えます。　商品名はいろいろあるので(日本のは調べてません)。　バイクのプラスチックグラス、ゴーグルなど(アクリル板のようなもの)を溶かして使うことも出来ます。　ただし溶媒が揮発性の高いもの人体に悪影響を及ぼすものが多く、あまり保存処理には向いていません。　<br />
PMM樹脂を作るときはアクリルを細かく(グラインダーで)砕きます。　粉末のアクリルと大体同じ要領の溶媒(トルエン５０％・クロロホルム５０％)を混ぜ合わせます。注意：トルエンやクロロホルムは大変危険な薬品です！混ぜると熱が発生します。薬品の匂いをかいだりしないよう充分注意してください。　樹脂を薄めるときはアセトンを足してください。　<br />
PMMに使える溶媒は少なく、また管理が大変です。　きめ細かな物質にも樹脂は浸透しやすい性質を持ってます。　エマルションを買うことも出来ますが、PVAやB-72などのほうが一般的です。</p>
<p>Polyvinyl Alcohol　（PVAL）<br />
PVALは水だけを溶媒としているのが特徴で、これを活かしてとても使いやすい樹脂です。　PVAと同じく粘性率の違いに分けて売られています。　PVAに比べ表面につやが出来にくいです。　乾いたときの縮小率が小さく、遺物を傷つける確立はPVAに比べ低い。　このため、布などの保存処理に使われることが多いようです。　水に浸かったままの骨や紙などにも使われます。　またアルコールに溶ける塗料を使っている遺物の保存には最適です。　ただし木材に使用するのには向いていないようです。　<br />
PVALは水にしか溶けないため、使用する際には防腐剤などと混ぜる必要があります。　長期におよぶ熱、湿気、光などによってPVALが分解されクロスリンクする可能性があります。　保存処理専門家の中にはPVALを使った場合、３－５年に一度は再処理(塗りなおし)をする必要があると言います。<br />
PVALを溶かすにはぬるま湯を使用してください。　油やアルーコールには強いですが、接着剤として使用する場合滑らかな表面には接合しにくいので注意が必要です。　</p>
<p>その他<br />
ボンド、アロンアルファ、セメダインなどいろいろありますが、この上に紹介した物とほとんど成分が変わらないものが幾つかあります。　会社によっては成分をきちんとかいてあるところもありますが、使う際には注意が必要です。　</p>
<p>Epoxy<br />
エポキシ樹脂は熱硬化性で様々な種類があります。　触媒を使うものそうでないものなどあります。だいたいどれも接着剤や硬化剤として使えます。樹脂が乾く際に縮小率がほとんどないため遺物を傷つける心配はありません。　ただし、一度固まると元に戻らなく、また時間が発つと変色します。　熱可塑性樹脂にくらべ数倍の力で固定されるので他に方法がないときには使われます。　割れたガラスの復元、また、型を取るときなど良く使います(ポリウレタンなど)。　　</p>
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		<title>2.保存処理の基本</title>
		<link>http://www.nauticalarchaeologyjp.com/conservation/manual/2005033021.html</link>
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		<pubDate>Wed, 30 Mar 2005 05:27:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[保存処理の基本をここでは紹介します。多少長く、同じことを繰り返し言っているようですが、一番大切なことは発掘に携わるすべての人が保存処理の基礎を学ぶ必要があることだと思います。　また、実際に保存処理を担当]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>保存処理の基本をここでは紹介します。多少長く、同じことを繰り返し言っているようですが、一番大切なことは発掘に携わるすべての人が保存処理の基礎を学ぶ必要があることだと思います。　また、実際に保存処理を担当する人は必ず保存処理を専門で学んだ人、そしてやる気があり遺物を大切に思う気持ちのある人であるべきです。　発掘の前に必ず遺物の保存処理プランを打ち立て計画性を持って発掘をし、また遺物を記録していきます。　保存処理なくして水中考古学はありえません。</p>
<p><span id="more-21"></span></p>
<p>保存処理の基本をここでは紹介します。多少長く、同じことを繰り返し言っているようですが、一番大切なことは発掘に携わるすべての人が保存処理の基礎を学ぶ必要があることだと思います。　また、実際に保存処理を担当する人は必ず保存処理を専門で学んだ人、そしてやる気があり遺物を大切に思う気持ちのある人であるべきです。　発掘の前に必ず遺物の保存処理プランを打ち立て計画性を持って発掘をし、また遺物を記録していきます。　保存処理なくして水中考古学はありえません。</p>
<p>FILE 1 保存処理の基礎</p>
<p>　　　　水中にある考古学遺物を引き上げる際に一番重要なことはまず保存処理をどのように行うかであろう。　保存処理の目的とは考古学遺物をこれから保存される場所(展示ケースの中など)において、現在の状態を維持できるように遺物を処理することである。　発掘にたずさわった関係者すべてもきちんと保存処理を理解する必要がある。　保存にはお金と時間がかかるため、発掘よりも費用が必要となる。　しかし、保存処理なくしては遺物は崩れ、歴史的価値のないものとなってしまう。　遺物を保存できないということは、将来の研究や展示することも出来なくなるのであり、つまり保存処理なくしては発掘をした意味がないことになる。　それ以上に発掘は破壊行為であるため、そこにあったものは二度と戻らない。　水中考古学は保存処理なくしては無価値な学問と言えよう。<br />
　　　</p>
<p>　　　水中で発見された遺物は保存状態が良い場合もあるが不安定な状態であることが多い。　水中で砂の中に埋もれていれば地上より保存が良いが、それでも保存処理を迅速に行わない限り無価値の遺物へと変化してしまう。　有機遺物（木、皮、縄、衣類、食物遺物、etc）は、そのまま数時間保存処理なしで乾かすだけで崩れ去り、チリの山に変わってしまうこともある。　鉄やその他の金属などしばらくは崩れずに形をとどめておく場合もあるが、処理なしではやはりボロボロになってしまう。　土器、ガラスや骨などもまた処理なしではやがて考古学的価値のないものに崩れ去っていくのである。</p>
<p>Conservation Ethics</p>
<p>　　　International Institute for Conservation (IIC)　が保存処理の倫理として提示しているものの中から幾つか挙げてみよう。　これらは美術品などの保存のスタンダードとして書かれているが、考古学遺物の保存処理でも適用できる。　これらのスタンダードを提示することで、保存処理の概念もまた理解できよう。</p>
<p>A.　Respect for Integrity of Object All Profesional actions of the conservator are governed by unswerving repect for the aesthetic, historic and physical integrity of the object.　(訳：保存処理をお行うなう場合は遺物の美術・歴史的価値、そして遺物の現状を保つことを第一に考えるべきである)<br />
　　　遺物の現状、考古・歴史・美術的価値に関わらず保存処理の目的は現在の状況を安定させることにある　(特に金銭的価値は保存処理・考古学とは無関係)。　処理後には遺物の特徴がはっきりと残っていなければならない。</p>
<p>B.　Competence and Facilities It is the conservator’s responsibility to undertake the investigation or treatment of an historic or artistic work only within the limits of his professional competence and facilities．　（訳：保存処理を行う者は、自分の能力・理解している範囲、そして保存処理施設で出来る範囲のことにとどめる）<br />
　　　自分で出来ないことはしっかりと認め、専門家にまかせること。　責任をもって保存処理が行えるか、またきちんと保存処理を理解しているかを個人でかんがえること。</p>
<p>C. Principle of Reversibility The Conservator is guided by and endeavors to apply the “principle of Reversibility” in his treatment. He should avoid the use of materials which may become so intractable that their future removal could endanger the physical safety of the objects. He also should avoid the use of techniques, the result of which cannot be undone if that should become desirable. (訳：保存処理を行う者は”処理の還元(元に戻すこと、または再処理)“が出来る処理方法を使うべきである。保存物質・薬品が遺物と結合し、それらを取り除くことが遺物に悪影響を及ぼす保存処理は使用しない。　また、保存処理のやり直しが出来ない処理方法は行うべきではない)<br />
　　　　これは現在の保存方法自体が長期保存可能(１００年以上？)であるかまだ理解できないためであり、また、新しくもっと確かな技術がこれから利用されることがあるためである。　保存処理が還元できるのであれば、新しい技術で再処理が可能になる。　果たして水中遺物の保存処理にもこのスタンダードを適応して良いものだろうか？　現在、世界の水中考古学者の間ではこのことについて疑問視されている。　問題となるのは、再処理が可能だと言われている方法がどれほど再処理するために遺物に悪影響を及ぼすのかである。　木材の保存の場合を見てみよう。　再処理が可能でないシリコンは再処理が可能なポリエチレン・グレコール（PEG）に比べ成功率が高く、遺物に与える影響が少ない。（PEGは遺物が変色し、また遺物が変形する可能性が高い）。　これでは最善の技術をもって保存処理に取り組んでいると言えるのだろうか？疑問である。</p>
<p>D.　Continued Self-Education It is the responsibility of every conservator to remain abreast of current knowledge in his field and to continue to develop his skills so that he may give the best treatment circumstances permit. (訳：すべての保存処理専門家は現在の最新技術をつねに確かめ、そして能力を最前線に高めておく必要がある)<br />
　　　つまり一つの保存処理に執着するのでなく、つねに最前線の保存処理を考え、また調べる必要がある。　勉強とリサーチをお怠らないこと。</p>
<p>　　　　水中考古学では保存処理は単なる薬品などで遺物を処理するだけの仕事ではない。　保存処理を行う際、遺物を実際に手にとって見れる唯一の立場にいるのである。　特に崩れやすい遺物を保存する時などはなおさらである。　保存処理とは遺物を修復、記録、そして保管することである。　保存処理を行う者は遺物の現状維持、そしてその遺物の歴史的価値を充分に理解することである。</p>
<p>Tenets of Conservation</p>
<p>　　　　保存処理とは別に修復作業がある。　保存処理とは記録、分析、洗浄、そして保存である。　現状維持が第一目的であり、これから保存される環境で遺物が変化することなく保存できる状態の保つことである。　修復作業とは、壊れている遺物を新しく直したり付け加えることを言う。　保存と修復を行う場合、保存に重点が置かれるべきであり、保存処理なくして修復作業はありえない。　ここでは保存処理についてのみ書かれている。<br />
保存処理を始める前にまず遺物を観察・記録し、どのような保存処理が適切かを判断しなくてはならない。　時には錆自体に重要な記録が残されている可能性もある、そのためにただ錆びているからといってすぐに洗浄する必要はない。　Plederleith　and　Werner　（１９７１）は　“保存処理は能力、技術、や判断力を必要としているのではない。必要なのはであり、けっして急いではならない‘　と言った。<br />
　　　遺物の記録とデータの管理は保存処理に携わるすべての者がもっとも基本的で重要な作業として認識しなければならない。遺物の現状維持と記録が行われるとき、記録を怠ってはならない。　記録も保存もともに重要である。　保存処理で遺物の現状を維持できるということは遺物それ自体が形として残るということであり、発掘で得られる情報以上に重要である。　実際の遺物を手にとって研究できることと出来ないことでは大きな違いがある。</p>
<p>The Role of Conservation in Marine Archaeology</p>
<p>　　　　水中考古学はほとんど第二次大戦後のスキューバの発展によって始まったと言えよう。　潜水技術の発展により、より深く潜ることが可能になってきている。　Goggin（１９６４）が水中考古学を“The ｒecovery and interpretation of human and cultural materials of the past from underwater by archaeologists (訳：水面下にある過去の人々の文化遺産・遺物を考古学者が回収しそれを研究すること)”と定義している。考古学とは個々の遺物の関係、時間と空間的分布、そしてその因果関係を学ぶ学問であり、考古学者はかならず一つ一つの遺物と遺物との関係を暦史的流れの中での位置を考え研究している。　考古学とは科学的研究分野であり、サルベージや宝探し(トレジャー・ハンティング)のような遺物の回収を目的としたものとは根本的に原理が異なる。<br />
　　　　水中考古学には次の幾つかに分類される。</p>
<p>１）水面下にあるゴミ捨て場や積荷が投下された場所　</p>
<p>２）もとは地上にあった遺跡、とくに港などが沈んだもの　</p>
<p>３）水面下にあった神聖なる場所、神社など　</p>
<p>４）　沈没船　　</p>
<p>　　　ここでは主に沈没船の保存処理について書いてあるが、ほかの水中遺跡、または地上で発見された遺物にでも応用できる。沈没船はタイムカプセルに例えられることが良くある。　ただし、この例えは遺物中心的な考え方であることを理解してほしい。　沈没船にはそこにあった遺物の記録・カタログ以上に重要なものがある。　例えばその船の上で行われた人々の生活、そして人と者との関係など遺物を研究することを通して学ぶことが出来るのである。<br />
　　　船が港を離れるとき、船は隔離された生活空間となる。　船の上で一定期間生活するための必要最低限の持ち者が積み込まれる。　船長、船乗り、乗客など様々な人がそこで生活をしそれぞれが必要な物を持ってくる。　積荷やこれらの個人の持ち物から、当時の技術、貿易、武器、生活用品、貴重品を学ぶことが出来る。　これらの情報から当時の生活、身分関係、貿易ルート、社会情勢などを文献資料、他の考古学資料から研究する。　<br />
これらの研究を可能にするにはきちんと計画された調査目的を明確に示した発掘作業が必要になる。　発掘の計画の中にはもちろん保存処理がなくてはならない。　保存処理の計画されていない発掘は貴重な考古学的情報が失われるだけでなんの特にも成らない発掘としか言いようがない。<br />
　　　水中遺跡から発掘された金属、とくに海水から発掘された場合は地上で発掘された金属製品の保存処理と全くことなる。　金属が海底にあるとCrustation　(コンクリーション)と呼ばれる厚い殻が金属に回りに出来る。　これはおもにカルシウム、マグネシウム、錆、砂、シルト、貝殻、サンゴ、海藻、その他近くにあったものが取り込まれ凝結する。　コンクリーションは小さいものから大きなものまで、何１００ｋｇ以上の塊になり、何百種類もの遺物を含むこともある。　<br />
　　　コンクリーションの保存方法は発掘作業に似ている。　まず、行うべきことは遺物を保存することと出来るだけ多くの記録を取ることである。特に記録は重要である。　困苦リーションそのものの状態、中に入っている遺物の詳細記録、保存処理のプロセス、写真、X線写真などが必要となる。鉄が残っていない場合には型を取り、金属以外の遺物がコンクリーションに含まれていた場合の保存、そしてコンクリーションに残っていた型、たとえば種や昆虫の跡形などにも注意を払う必要がある。　（１５５４年のスペイン船の発掘では、コンクリーションの中からゴキブリの型が見つかった）　これらの見つかった遺物の位置関係などもすべて正確に記録する必要がある。　保存処理を行う者のみがこれらの遺物の位置関係を知ることができるので、保存処理に携わる者は必ず考古学の知識が必要となる。<br />
　　</p>
<p>　</p>
<p>　　　　この写真はサン・エステバン号(１５５４年スペイン船・テキサス，パドレ諸島沖に沈没)で発掘されたコンクリーションである。　このなかに碇が二つ、大砲（と気の枠組み）、その他の小さな遺物が含まれており、長さ４以上、重さは２ｔあった。　保存処理施設はこのように大きなコンクリーションに対応できるだけの場所、機械、その他保存に必要な設備を整えなくてはならない。　そして、保存処理完了後、展示・保存できる場所も考える。　これには、クレーン、大きな水槽、直流電源設備(金属の保存処理については後に詳しく説明する)、何１００ｋｇもの薬品、蒸留水などを用意する。　コンクリーションは海水の状態や鉄など様々な要素によって出来方が違い、真水ではコンクリーションは出来ず、また、熱帯地方の海のほうが出来やすい。　寒い地方の海ではコンクリーションが少ないため保存処理はそのため楽である。<br />
　　　トレージャー・ハンターの中には遺物の正確な位置はそれほど重要でないと言う人もいる。　海の中で波や砂の動きによって遺物が散乱されるため、記録を残す必要がないという。　このような考え方では考古学的価値は薄れ、すでに幾つかの重要な文化遺産が世界各地で失われてきた。　発掘の際、そして保存処理でも精密な記録を残すことによって、今まで失われていた歴史の謎が解明されていくのである。　とくに沈没船の発掘では保存処理は最重要であることを認識してほしい。</p>
<p>Basic Conservation Procedures</p>
<p>　　　水中遺跡（とくに海水）からの遺物の保存処理は他の遺跡に比べ非常に難しいといわれている。　まず、脱塩処理を迅速に行うべきである。　金属は特に錆易く、脱塩処理を怠ると無価値の遺物と化してしまう。<br />
遺跡を発掘する際、調査に参加するものはこれらのことを念頭に入れておかねばならない</p>
<p>１．どのような遺物があがるのか？　大きさ、性質、ETC.</p>
<p>２．発掘された遺物は必ず多少の変形や崩れが起こること。　</p>
<p>３．発掘現場に必ず保存処理に詳しい者が参加すること。</p>
<p>４．保存処理施設、設備を発掘前に確保すること。　</p>
<p>　　遺物によっては新しく施設を 作らなくてはならに場合もある。　引き上げられた遺物は熟練した保存処 理専門家によって最初から最後まで責任をもって処理すること。</p>
<p>５．考古学作業とは発掘、保存、展示、出版をいう。　</p>
<p>　　　発掘はほんの一部にしかす ぎない。　発掘で得られた情報と保存処理で得られた情報を併せて研究し、 結果を発表して初めて考古学作業が完了したことになる。　</p>
<p>Field Recommendations</p>
<p>　　　遺跡の場所などによっては発掘現場のそばに簡単な保存処理施設を作らなければ成らない場合がある。　この場合、幾つか注意事項を示しておく必要がある。　いずれにせよほとんどの作業はきちんと設備の整った施設で行い、簡易保存処理は一時保存と記録に専念する。</p>
<p>１．すべての遺物の正確な位置(３次元で)の記録、遺物のナンバリングをする。　後 で番号がわからなくならないようにきちんと登録・記録すること。</p>
<p>２．コンクリーションの殻は壊さず保存する。　遺物がコンクリーションの中にあ る限り位置関係はかわらない。　今すぐに処理を行わなくも大丈夫。</p>
<p>３．大きな遺物、例えば箱や樽などは発掘する際に一括してあげる。　遺物を引き 上げた後、しっかりと固定させれば、保存処理施設で発掘することが出来 る。　そのほうがより正確に、また安く済む。　</p>
<p>４．すべての遺物は完全に海水の中につけておくこと。　または水酸化ナトリウム　 （ｐH 10-12）につけておくこと。　遺物の入った容器を日光のあたらな い場所に置くことでカビの発生などを防げる。</p>
<p>Laboratory Conservation</p>
<p>保存処理施設でのプロセスにはだいたい次の６つに分けられる。</p>
<p>１．保存処理が行われるまでの保管・管理<br />
すべての遺物は完全に水につけておくことが基本である。　水酸化ナトリ ウムか炭酸ナトリウム（１％）などにつけておく。　コンクリーションは	そのままのこしおくこと。</p>
<p>２．どの保存処理を行うかを検討し計画を立てる<br />
遺物を観察し、どのような保存処理が可能かそのプランをたてる。</p>
<p>３．洗浄<br />
X線写真はコンクリーションの中に何が入っているかを確かめるためにひ つようである。　ドリルやノミなどで少しずつ殻を壊していく。　薬品に	よる洗浄も可能である。　ただし、殻と一緒に金属を溶かす可能性もある ので注意が必要である。　小さな空気ドリル(歯医者で使われるようなも	の)などは使いやすい。</p>
<p>４．保存処理加工<br />
保存処理は人によって同じ遺物でも全く違う処理方法を行う場合が多い。 このような時はこうすればよいなどのマニュアルはなく、遺物それぞれ違	う特徴をもっている。どのような処理方法であれ、貴重な考古学情報を維 持できる保存処理であれば良い。　保存処理には様々な物があり、それぞ	れ利点と欠点がある。　それらを覚え、与えられた遺物がこれから置かれ る条件の下でベストな状態で保管されるような処理を心がける。</p>
<p>５．修復（必要ならば</p>
<p>６．保管または展示</p>
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		</item>
		<item>
		<title>1.Introduction</title>
		<link>http://www.nauticalarchaeologyjp.com/conservation/manual/2005033019.html</link>
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		<pubDate>Wed, 30 Mar 2005 04:38:05 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Randall Sasaki</dc:creator>
				<category><![CDATA[保存処理マニュアル]]></category>

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		<description><![CDATA[保存処理とひとことにいってもいろいろある。　ここではTexas　A&#038;M　大学の授業で使っている保存処理マニュアルを訳してみた。　このマニュアルはDr.Donny　Hamiltonによって作られ水中遺物保存処理の [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>保存処理とひとことにいってもいろいろある。　ここではTexas　A&#038;M　大学の授業で使っている保存処理マニュアルを訳してみた。　このマニュアルはDr.Donny　Hamiltonによって作られ水中遺物保存処理の基礎と成っている。　世界各国で水中遺物の保存処理に携わっている人のほとんとがこのマニュアルを使って勉強をした。</p>
<p><span id="more-19"></span></p>
<p>このマニュアルをここで紹介する意義は日本の人々に保存処理に関する基礎知識、とくに考古学に興味がある人に知ってもらいたいと思ったからである。　あとでも紹介するが、水中考古学の発掘には保存処理は無くてはならないものである。　今後水中遺跡の発掘に参加する人は必ず保存処理の知識を身につけておく必要がある。　水中遺物専門の保存処理ではないにしろ、日本の保存処理については最近の技術発達がめざましく今後の実績に期待している。　しかしながら、実際に水中発掘に参加した人達の間で保存処理の基礎的知識が薄く、また重要性があまり感じられなかった。そのためこれから水中での発掘をする際にはこのマニュアルを読んでから参加してほしい</p>
<p>このマニュアルをここで紹介する意義は日本の人々に保存処理に関する基礎知識、とくに考古学に興味がある人に知ってもらいたいと思ったからである。　あとでも紹介するが、水中考古学の発掘には保存処理は無くてはならないものである。　今後水中遺跡の発掘に参加する人は必ず保存処理の知識を身につけておく必要がある。　水中遺物専門の保存処理ではないにしろ、日本の保存処理については最近の技術発達がめざましく今後の実績に期待している。　しかしながら、実際に水中発掘に参加した人達の間で保存処理の基礎的知識が薄く、また重要性があまり感じられなかった。そのためこれから水中での発掘をする際にはこのマニュアルを読んでから参加してほしい。</p>
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