現在、日本の自治体が確認・把握している水中遺跡の数は、なんと387箇所。未知なものを含めると、 なんと600件もあるという。水中遺跡研究の重要性を唱えたイギリスの地質学者チャールズ・ライエルは、海底に眠る歴史ロマンをこう語っている。 「水中に残された人類の痕跡は、大陸に存在する痕跡よりも多いであろう。」 そこで番組では、俳優・濱田岳が新進気鋭の水中考古学者、佐々木ランディ博士とタッグを組み、番組 独自の調査を敢行!世界遺産がある福岡・宗像の海底で眠る水中遺跡を大捜索する! 特に沖ノ島は、日本古来より信仰を集め、多くの神具や宝物が発見されており、海上交易の守り神だった。 沖ノ島の上陸は厳しく禁じられ調査は難しいが、今回、特別な許可を得て、大島など離れた海域で調査を試みた。沖ノ島で発見された宝物を積んだ沈没船や、更には大陸から輸入してきた貴重な 文物を積載した、あの遣唐使船が、深い海の底に眠っている可能性だってあるという。にもかかわらず、実はこの海域の本格的な学術調査は行われてこなかった。今後は、これまで見過ごされてきた水中遺跡の調査を進め、守っていくことが大事だとランディ博士は力説する。 今回は、地元漁師に伝わる沈船の情報を元に、海底を3Dマルチスキャナーで徹底調査。可能性の高い海域を最新鋭の水中ドローンでさらに精査していった。濱田岳ら調査チームらが見守るモニターに突如浮かび上がった謎の物体!悠久の時をこえた遣唐使船か!?はたまた、戦いの最中、海底へと消えた戦艦か!
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https://www.jiji.com/sp/article?k=2023052901055&g=int
今回の船、長らくサルベージが行われていたことはわかっていたようで、イギリスのメディアも懸念を伝えていました。有名な船ですので、科学的調査も実施されています。
マレーシアのEEZというわけですので、中国政府が領土を主張とか、そんな海域ではありません。ネットなどでは中国政府の野心的なあおりが見られますが、そんなはずはありません。そもそも、民間の船です。中国政府が知りつつ野放しにしていた、というのであれば、文化財・所有権を無視した行動を容認したことへの批判はでてくるかもしれません。
大きな問題は、EEZは経済活動・資源利用以外は、公海と同じであること。マレーシアは、EEZに存在する文化財などに対して何ら規制を持っていません。つまり、今回の拿捕は、マレーシア側に何も法的根拠がないのに実施したことになります。
とはいえ、英国の所有権は明確です。つまり、英国は中国に対して抗議をすることは可能です。また、許可なしに過去の軍用船から遺物を引き上げることは、国際法上の違反行為に当たります。罰則のような規定はありませんし、その行為を行っている船に対して実施できる行為も厳密にはさだめられていません。一応、これらの国有船舶を開発や違法な引き揚げから守るために必要な処置をとることは認められています。英国の政府から中国に対して正式に抗議、またはマレーシア政府に対して協力を求めるよう依頼があったのか…。それでも民間の船を拿捕するのは、国際法的には逸脱した行為のように思います。
What we need is a management strategy for the underwater naval heritage to inform a national approach to the 5000 or so naval wrecks. リンク
ですが、拘束せよとは書いてませんね。保護の枠組みをしっかりと作ることが必要だ!としています。
水中文化遺産・軍艦などへのリスペクトは年々高まっており、これらを保護する機運が国際的な常識になってきていたのは事実です。ユネスコ水中文化遺産保護条約は現在70か国以上が批准していますが、英国・中国・マレーシアは批准していません。ところが、付属文章・規則(1996年のイコモス憲・リンク)には、どの政府も反対はしていません。まあ、つまりは、水中文化遺産や政府所有船舶への報告のない引き揚げ行為は、条約の批准状況や沿岸国の法律の有無にかかわらず国際的に何らかの処罰の対象となるべき行為であると、少なくともマレーシア政府は判断した、ということでしょうか?
中国政府が見過ごしていたのか…。これも難しいですね。少なくとも中国政府は、地域の文化遺産を守るリーダーである、という主張を近年打ち出しており、水中文化遺産の保護に積極的に取り組んでいます。中国側は、ここまで問題になる、まさかマレーシア側が拿捕するとは思ってもいなかったのでしょう(だって、拿捕する法的根拠がないから)。中国側は、今回の拿捕を講義することは可能ですが、それでも英国の船に対して行っていた違法行為に対しては責任を負う必要は出てくるかもしれません(民間船のオーナーが)。
日本は、どうでしょう…
日本もEEZ内のサルベージ行為に対して法的根拠で対抗できません。文化遺産のサルベージを資源の掘削にあたるとみなすことはできませんー国際法上文化遺産は資源ではないと定義されているので、これを覆す必要があります。日本側がEEZ内の中国の資源採取にたいしてこれまで拿捕したことはありませんよね、確か…遺憾に思う、というステートメントのみです。
また、多くの日本の船舶もすでに各地でサルベージされちゃってます。それらにたいして日本は行動をとって来なかった、見て見ぬふりをしてきました。巡洋艦などがフィリピンやインドネシアなどで回収されちゃってます。そう、中国と同じく見過ごしていました。まあ、さらに、領海内においても開発に対して船舶遺跡の保護がきちんと適応できているかというと、かなり怪しい。少なくとも英国・中国・マレーシアは、領海内において水中遺跡の保護を明確に示しており水中遺跡の管理を実践しています。
中国は、EEZや公海においても自国に起源のある文物の保護の権利を主張していますし、英国はユネスコ条約の批准の準備を進めています。
それに対し日本は、1)太平洋において、所有権が明確な沈没した船舶の大多数を持つ。2)最もサルベージの対象となった(なりうる)船が多いのに政府見解は皆無。3)水中文化遺産の保護に関する明確な法律が存在しない珍しい国。4)水中遺跡の保護にかかる直接予算は世界最低水準であるのに海の広さは世界有数の広さ。5)ユネスコ条約の批准については政府内で話題に上がる機会もほぼなく、検討・審議もされていない。
対岸の火事ではないのです…
ネットの書き込みなどで見受けられるコメントに対してコメント。
イギリス国民怒るだろうな→→日本の船もつぶされてますが…
中国政府は文化的価値感がない→→日本政府と中国政府の水中遺跡の取り組みの違い・予算規模を見てから判断しましょう。
しばらくは、どのように動くか見守りたいと思っています。英国の呼びかけに対して保護を進めて行く国際的な取り組みが実施されていくでしょうが…水中文化遺産保護の動きに半世紀の遅れをとっている日本…どうする?
英語のニュースですが、詳しく書かれています。
こちら、以前からサルベージが行われていたと書かれています。
引き揚げられたベルが海軍博物館に展示されています。有名な船で何度も考古学調査が行われていた船のようです。
こちらにも、簡単に気になる点がいくつかあるのでご覧ください!
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国家文物局や海南省人民政府などの部門は海南省三亜市で21日、中国深海発掘調査活動の最近の重大進展を発表した。中国は昨年10月、南中国海北西大陸棚の水深約1500メートルの海域の2ヶ所で古代沈没船を発見した。沈没船の水中永久測量基点は今月20日に設置された。また初歩的な捜索・調査及び映像記録が行われ、中国深海発掘調査の新たなページがめくられた。
http://japanese.china.org.cn/photos/2023-05/22/content_85480947.htm
引用
中国は2022年10月に有人潜水調査船「深海勇士号」を利用し、南中国海北西大陸棚の水深約1500mの海域の2ヶ所で古代沈没船を発見した。うち1ヶ所の遺物は磁器が中心で、文化財の数は10万点を超えると推測された。引き揚げられた文化財から、明時代の正徳年間(1506−1521年)のものと大まかに判断され、「南中国海北西棚田1号沈没船」と名付けられた。別の1ヶ所は大量の原木が中心で、海外から貨物を積み中国に向かった古代沈没船と大まかに判断された。時代は約明の弘治年間(1488−1505年)と見られ、「南中国海北西棚田2号沈没船」と名付けられた。沈没船遺跡中心堆積エリア南西隅水中永久測量基点が今月20日に設置され、大まかな捜索・調査と映像の記録が行われた。中国深海考古学の新たな章が開かれた。
http://j.people.com.cn/n3/2023/0522/c95952-20021977.html
【5月22日 CGTN Japanese】 中国国家文物局は20日、有人潜水艇「深海勇士号」を利用して、「南海西北陸坡1号沈没船」に対する初めての考古調査を行い、沈没船遺跡の核心堆積区の南西角に水中永久測量基点を設置しました。初歩的な捜索調査と映像記録が行われ、南海西北陸坡1号・2号古代沈没船遺跡の考古調査が正式に始まりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/308b9b84ef915bd4ef4dcda7b4122f5aa61e40fd
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ちなみに…
6月に新しく絵本が出版されますので、ぜひご購入を検討していただければ嬉しいです! タイタニックは登場しませんが、世界の沈没船を紹介しています。たくさんのふしぎシリーズは、年間購読を基本としているので、あまり書店に並びません。アマゾンなどで購入をお勧めしています。また、アマゾンでは取り扱い数が多くないそうで、すぐに入荷待ちになるとか。その間、古本などテンバイが行われ、定価よりも高い値段のモノが出回るそうです… だって、定価は770円!
今すぐ注文しよう!
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Archaeologists on ‘first-of-its-kind’ mission to map ancient underwater cities
Magnetic fields could provide the key to studying submerged civilisations
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