ナノマグネットで鉄分を除去

長年、大型船の保存処理にはさまざまな問題がありました。

水中に使っていた木材を引き上げると劣化してグシャグシャになるため、化学薬品などで処理をするのに20-30年かかることもありました。PEG(ポリエチレングレコール)を使うのが一般的でありましたが、釘など鉄製品などから溶け出した鉄分が木材の中に入っていると化学反応を起こし、膨張して結果的に木材を破壊してしまうこともありました。

しかし、目に見えた変化を起こし始めるのは、処理を施してから数年経ってから。そのため、現在ではトレハロースなど新しい薬剤を使って処理することが増えていますが、メアリーローズ号や新安沈船など多くの著名な沈没船はPEGにより処理されており、ここにきて問題が発覚しています。

引き上げに数年、保存処理に数十年、やっと展示できたのに、劣化して崩れてしまう可能性がある!これは大きな問題でしたが、画期的な対処方法が生まれそうです。

簡単に言うと、木材の中に溶け込んだ鉄分を全て抜き取ってしまえば化学反応を起こさなくなるわけです。聞くと簡単そうに思いますが、鉄イオンとなって木材の芯まで溶け込んだ鉄分を実際に取り出す方法が今までありませんでした。さまざまな薬品に漬け込む方法もあるようですが、展示効果を維持、木材の現状を保つ、など条件が多くありました。

そのようななか、メアリーローズ号博物館などが中心となり進めている研究が大きな成果を見せているようです。鉄を抜き取る方法といえば、子供だったら逆にすぐに思いつくような発想です。そうです、磁石です。ポリマー単位の磁石を使い、鉄イオンを吸い上げる方法だそうです。

なかなか詳しく説明すると長くなるので、ニュース記事をお読みいただくか、論文などで発表されるのを待ちましょう。韓国の新案沈船など世界各地で問題になりつつあるPEGと鉄分の問題解決にやっと一歩近づいたような気がします。

「磁石を使う」と言う方法、気がつきそうでなかなか気がつかなかった。たぶん、大学院の授業などでこの問題を習ったときに、「磁石を使ってみたら?」と言ったら、他の学生から不思議な目で見られていたかもしれません。当たり前だけど、発想の転換と柔軟性、常識にとらわれない、など大きな発見とはこのようなものなのかもしれません。

個人的にはビックニュースだと思っています。研究成果を待ちましょう!

 

 

 

 

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