先週のニュースまとめ

さて、先週の水中遺跡関連のニュースをまとめてみました。毎週、30~40件ほどの水中考古学関連のニュースがありますが、今週は、面白いニュースが詰まっていました。

ちょっと欲張りすぎかもしれませんが…徒然なるままに、ニュース記事を読んだ感想と簡単な解説をしています。

 

唐時代の陶磁器がスペインにも

これまで想定されていたよりもかなり早い時期から中国とヨーロッパは陶磁器の貿易で繋がっていたようです。まあ、ローマ時代にも繋がりはあったのですが、陶磁器の貿易など今までの想定よりも活発な交易が広がっていたようです。

 

チチカカ湖の祭祀遺跡~有機物や南米各地の宝が集まる

日本語のニュースです!南米チチカカ(ティティカカ)湖から祭祀遺跡が発見され、インカ帝国以前に数千キロに及ぶ交易範囲を持っていたことが判明。金や宝石など。また、骨など有機物が多く残っており、当時の状況そのままで残っていた。

 

水中遺跡の保護に向けて

毎日新聞のニュースです。2月に福岡県大野城市で行われた文化財行政担当者向け研究会の様子。これから自治体が進めていく水中遺跡の調査について、多くの自治体ではどのように取組むべきかイメージが沸かないようです。これまでの日本や諸外国の調査・活用の事例を広めていくことが大事。今後の水中文化遺産の保護に期待。残念ながら、ウェブ会員用。日曜日の新聞がある人は、是非読んでください。私も読みました…写真を見たら、あれ、私が映ってる…。

 

コロンビア政府VSトレジャーハンター

コロンビアでスペインの財宝を積んだ船が発見されています。が、過去にこの船を発見したとしてトレジャーハンター数社が国を訴えています。実際に、コロンビアはトレジャーハンターを雇って沈没船の探査をさせていたのですが、10数年ほど前にキッパリと関係を断ち切り、水中文化遺産の保護を宣言。また、スペイン政府も文化遺産として沈没船を保護し適切に活用することを要求。さあ、どうなる。

余談ですが、コロンビアの大学で水中文化遺産を学べる大学院があります。

 

水中遺跡、5つの遺跡の大発見

とくに新しい発見ではないが、これまでの水中遺跡の調査事例を紹介しています。ティティカカ湖の発見やアンティキティラ島など。

 

イタリア  学校の水中遺跡調査ライブ・ビデオで授業

シチリアで行われている水中遺跡の調査の様子を、イタリアの学校の授業にライブストリーミングする計画があるようです。子供たちは大喜びでしょうね。さて、シチリアの水中考古学行政のトップは、セバスティアーノ・トゥサ教授でした。トゥサ教授は、日本にも来て水中遺跡の調査を行っており、私も個人的にお付き合いさせていただいておりました。

先週のニュースではありませんが、アジア水中考古学研究所から以下の文章を引用させていただいてます。

アジア水中考古学研究所を通じて、日伊の水中考古学の交流と発展に尽力しておられたイタリアの水中考古学者セバスティアーノ・トゥサ教授が2019年3月10日、エチオピア航空の飛行機事故により幽明境を隔てられました。
ケニアで開催のユネスコの水中文化遺産保護条約関連会議での基調講演のため、ナイロビへ向かわれていた途中でした。アジア水中考古学研究所として、トゥサ教授が安らかな眠りにつかれますように、心からのご冥福をお祈り申し上げます。

 

1540年代のオランダ船発見

大型タンカーから落ちたコンテナを捜索中に沈没船を発見!オランダ近海で発見された沈没船の中では最古のオランダ商船だそうな。オランダ大航海時代を目前にした時代で貴重な遺跡であるそうです。浚渫や工事などで、このように歴史的な船を発見することは、よくあります。陸と同じですね。

 

黒海の沈没船ドキュメンタリー映画作成

黒海は、古代の湖の上に海水が混じらずに「浮いている」世界でも珍しい「海」です。淡水で無酸素の層は、バクテリアなどもほとんど存在しない死の海の様相です。しかし、有機物は完璧に保存される状況にあります。沈没船のマストや帆を操作するロープなども腐らずに残っています。これまでに、様々な時代の数十隻の船が発見されています。また、昨年夏、ほぼ完璧な保存状況のローマ時代の沈没船が発見され世界各地でトップニュースとなりました。それらの沈没船のドキュメンタリー映像が作られているそうです。今から期待が持てますね!

 

カーボベルデ

日本にとって残念ながら馴染みが薄い国、あまりリゾート化されていないので、私の個人的な行ってみたい国ランキングでは上位に食い込んできます。そんなカーボベルデですが、ユネスコの水中文化遺産保護条約を批准しました。そう、政府がしっかりと国際的なスタンダードで水中文化遺産を守っていくと他国に宣言したことになります。

 

PO8…ブロックチェーン、トークン、文化遺産への投資など?

PO8という会社について。カリブのいくつかの島々で試験的な取組が開始されているようです。水中文化遺産の金銭的付加価値に対してトークンを発行し、それを売り買いできるシステム。遺物自体はPO8が保存処理・管理・博物館で公開するようです。遺物の価値が高まれば、トークンの値段も上がるとのこと。なんだか難しい話であり、遺物の所有権を売買してよいものか…管理にも相当お金がかかるはず。引き揚げ遺物も一括で管理されていればトレジャーハンターではない!と言えるかもしれないが…難しい問題です。

 

ギリシャで水中博物館(沈没船)がオープンするような

ギリシャは水中遺跡の調査に力を入れています。水中の遺跡を発掘する取り組みは19世紀から始まり、20世紀の初めに水中文化遺産について法律を作っています。ですが、遺跡の一般公開はなかなか進んでいなかったようです。ここへきて、現地に保存された沈没船遺跡をミュージアムとして公開・活用するようです。

 

ここから先は、おまけです!

 

大和 沈没から74年

戦艦大和…水中にあってもどんどん朽ちていくのでしょう。人々の記憶も薄れてゆく。戦争遺跡をどのように管理するのか、そろそろ真面目な検討が必要かと思います。

 

月城堀から1600年前に作られた最古の模型船と木製盾出土

韓国のニュースですが、日本語の記事です。最古の精工に作られた模型の船が出土したそうです。構造船やら準構造船やらの話をする前に一度じっくり観察・研究したい遺物です。

 

ラッコの調査。考古学的アプローチ

考古学的手法を用いてラッコがいつから道具を使って貝の殻を割り始めたのか研究が進んでいるようです。ラッコが割った殻から利き腕がわかるようです。過去の水辺で堆積して現在陸となった場所を調査しているのか、水中に溜まったラッコが割った殻を調査しているのか…不思議な記事ですが、面白かったです。日本語の記事。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

トップに戻る