水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

4.骨・角・歯など

骨や角の約70%は無機物で格子状のリン酸カルシウム、フッ化物や炭酸で出来ている。 残りは有機物でOssein(またはコラーゲン)の一種でできている。 骨や角は熱や湿気で簡単に曲がってしまい、長期にわたって水につかっていると腐りだす。

加水分解によって有機物は崩れ、無機物は主に酸によって溶け出す。 水中では骨や角はスポンジ状となって見つかることがしばしばある。 時には有機物がケイ酸(シリカ)などと入れ替わり化石化することがある。 保存処理としては洗浄、補強は出来ても完全に保存することは今のところ無理である。


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2. 水中文化遺産保護

さて、水中で文化遺産(沈没船など)を発見しました。 この遺跡は誰のものでしょうか? 日本の近海、例えば瀬戸内海などで沈船が発見された場合はどうでしょう。 日本(地方自治体)に所有権があるのでしょうか? 発見した人のものでしょうか? 地上で遺跡が発見された場合と異なり海上はその土地の所有権があいまいなことが多いため複雑な問題となることがあります。 また、日本の船だとそれほど問題は無いのですが、例えば韓国、中国やヨーロッパの船の場合はどうでしょうか? 沈没した当時の所有物となるのでしょうか?


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3.合成樹脂について

合成樹脂は保存処理に良く使われる接着剤である。 合成樹脂はポリマー(重合体)の一種で幾つかのモノマー(単量体)から出来ている。 このモノマーが他のモノマーを持つ物質と結合しポリマーを構成する。 合成樹脂は大きく熱可塑性の樹脂と熱硬化性に分けられる。
熱可塑性樹脂はモノマーが2次元(平面)で構成され様々な溶媒で溶かすことが出来る。 熱可塑性樹脂は基本的には溶媒で解けいつでも分解可能であるが、熱や光に当たることで分解不可能な部分が出来ることもある。 熱や光が線状分子を架橋(クロスリンク)させ、熱硬化性樹脂に特徴的な3次元構造を作り出すことがある。
熱硬化性樹脂はモノマーが三次元構造を作り出し、いかなる溶媒でも解けることはない。 ただし溶媒によっては樹脂を膨張させゲル状になることもある。 最近一般的に使われている熱硬化性樹脂にはエポキシ、ポリウレタン、スチレンなどがあり、これらは触媒によって硬質化する。
保存処理では様々な合成樹脂が使われ、これらの樹脂は改良、または新しい樹脂が開発されている。ここでは特によく使われる樹脂を紹介する。


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1.深海考古学の基礎

考古学は日々発達しています。 新しいテクノロジーを取り入れ今まで想像もできなかった調査方法も可能になりました。 時代の最先端を進む考古学、今までに誰も見ることを許されていなかった深海に眠っている沈没船を探し、それを考古学的に調査する学問、それが深海考古学です。 


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2.保存処理の基本

保存処理の基本をここでは紹介します。多少長く、同じことを繰り返し言っているようですが、一番大切なことは発掘に携わるすべての人が保存処理の基礎を学ぶ必要があることだと思います。 また、実際に保存処理を担当する人は必ず保存処理を専門で学んだ人、そしてやる気があり遺物を大切に思う気持ちのある人であるべきです。 発掘の前に必ず遺物の保存処理プランを打ち立て計画性を持って発掘をし、また遺物を記録していきます。 保存処理なくして水中考古学はありえません。


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沈没船学史

船の考古学が一般にも認識され学問として体系的に学ばれている欧米に比べ、アジアや日本では知名度も低くあまり込み入った解説はできないため、まず簡単にではあるが船の考古学の学史をここではざっと紹介してみよう。 細かな遺跡の名前や誰が発掘したなどではなく大まかな流れをここではつかんでほしい。 大きな流れとしては 1.サルベージから考古学へ 2.体系的学問としての発達――古代の船の構造の解明 3.ウル・ブルン、メリー・ローズ、その他の大事業の成功 4.これからの船の考古学


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1.Introduction

保存処理とひとことにいってもいろいろある。 ここではTexas A&M 大学の授業で使っている保存処理マニュアルを訳してみた。 このマニュアルはDr.Donny Hamiltonによって作られ水中遺物保存処理の基礎と成っている。 世界各国で水中遺物の保存処理に携わっている人のほとんとがこのマニュアルを使って勉強をした。


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沈没船ありすぎます!

アイルランドで沈没船のデータベースを作成しているようですが、現在12000件ほど確認されているようです。 これは古代の小さな丸木から1945年までに沈没した船のデータです。


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サーヴェイの基礎

発掘や実測などと違いサーヴェイといわれても何のことだか良くわからない人が多いと思う。 そこでまず、サーヴェイの定義、そしてその重要性を解説をしてみる
サーヴェイとは事前調査という日本語が一番適しているが、厳密には少し違う。 事前ということは発掘をすることを前提としていると捕らえることが出来る。 しかし、サーヴェイだけで立派なプロジェクトであり、発掘以上に重要性が高い。 まず、サーヴェイといっても、いろいろと種類がある。


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木材(船材)遺物実測整理

今、私が行っているプロジェクトである ”4000 Junks Project” の作業を紹介したい。 最初に鷹島海底遺跡について簡単に紹介します。 また、あくまで作業方法の説明なので研究成果の発表などは別の機会にします。 作業内容を公開することの一つの目的は他の考古学者などに見てもらうことです。 研究のプロセスを発表することでここで行っているよりも何かもっと良い方法などがあれば教えていただきたく、また私の方法論がよいものであれば他のの研究者にも使っていただきたい。 


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