水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

水中考古学勉強会のお知らせ

最近、特に去年の鷹島海底での元寇船の発見を境に、日本でも『水中考古学』という言葉がメディアなどにも良く取り上げられるようになってきました。しかし、まだまだ一般には理解されていない部分が多いようです。

そこで、今回は、このサイトを運営を代表するランドールササキと特定非営利活動法人アジア水中考古学研究所(ARIUA)が共同で水中考古学の勉強会を開催いたします!第一部は一般からの質問に対して答えるプレゼンテーション、そして第2部はARIUAの代表によるプレゼンの2本立てとなっております。

開催日:9月1日(土)
  時 間:13:30~17:00  1部:13:30~15:00  2部:15:00~17:00
  場 所:東京海洋大学・越中島キャンパス3号館4階405室
        東京都江東区越中島2-1-6 
  内 容:1部 水中考古学入門講座「水中考古学で知りたいこと」
      2部 ARIUA関東・勉強会「水中文化遺産をめぐる国内法整備の必要性」
      (報告1)国内の関連国内法と埋蔵文化財行政  林原利明(ARIUA理事)     
       (報告2)水中文化遺産保護条約から学ぶもの―国内法整備の必要性 中田達也(ARIUA会員・東京海洋大学准教授)

  その他:参加費は無料で,どなたでも参加できますが,会場準備もありますので,できるだけ事前に参加連絡をいただきたいと思います.もちろん,当日参加も大歓迎で,1・2部どちらか一方への参加も可能です.
 
チラシ(PDF)はこちら

特に第一部では皆様からの質問を元にプレゼンテーションを作りますので、質問をどんどんお寄せください。当日参加されない方でも結構です。その場合、質問はその場で出来る限りお答えしますし、また、連絡先をお答えいただければ後日詳しい情報などもお伝えすることが可能です。

この勉強会の目的は一般の特に水中考古学に関わる可能性が少ないとお考えの皆様を対象としております。これは、世界の水中遺跡の圧倒的大多数が、そのような考古学に全く興味を持たなかった人により偶然発見されているからです。考古学者が水中遺跡を発見するケースはあくまで(最近までは)例外といっても過言ではないかもしれません。つまり、一般の方々にどれだけ水中文化遺産の保護の大切さが浸透しているかが、今後の水中考古学の可能性を見極めるひとつの指標となると考えています。

内容は難しいものではないので、多くの人に参加していただければ幸いです。

イランで水中発掘(アメリカも協力)

ペルシャ湾の有名な港町の遺跡、Sirafで、この度イランの考古学者がアメリカの考古学チームとの協力のもと、水中での発掘調査を行うそうです。

イランとアメリカは政治的に色々問題があるようですが、水中文化遺産を守り、歴史を解明していく考えは一致しているようです。有名な遺跡なので、今後の調査で良い結果を期待しています。

短い記事ですが、今後もっと情報が出てくることを期待しております。

黒海のサーヴェイ:ライブ配信中!

現在、黒海の海底にある沈没船を探すサーヴェイが行われているようですが、ライブ配信をおこなっています。サイドスキャンでのサーヴェイのほかに、ROV(水中ロボット)などを使っています。すでに何隻か沈没船を発見して、それらのハイライトが編集されたビデオで見ることが出来ます。

24時間ライブ放送をしているので、いつ、何が起こるかわかりません。見る時間によって色々な作業をしている場合もありますし、ただ単にサイドスキャンの映像を見ているだけの場合もあります。ですが、もしかしたら、世紀の発見の現場を見ることになる可能性もあります!

黒海は有機物の保存状態が良い状態で残っている可能性が高い場所として知られています。マストなどが立ったまま残っている船なども確認されています。時々のぞいてみてください!

ギリシャの国立博物館 アンティキティラ島沈没船

ギリシャ国立博物館で「アンティキティラ島沈没船」の特別展示が行われているそうです。この沈没船は、今から100年ほど前に発見され、発掘されたものであり、いわば、水中考古学のルーツのような存在の遺跡です。

古代ローマ時代の様々な遺跡が保存の良い状態で発見されています。この当時は、考古学者ではなく、ハードヘルメットを被ったスポンジダイバー達を遺物を引き揚げて、それを陸にいる考古学者に渡していました。今の水中考古学の位置記技術とはかけ離れていますが、まあ、100年前のことですから...

さて、この遺跡の最も有名な遺物といえば、「コンピューター・天体観測装置」です。小さな箱に大小様々な歯車が入った装置ですが、ここまで精密な機械が当時実際に作られていたことが実証されています。同等の技術を持った遺物は類がありません。この機械については、ウィキペディアなどで、読んでみてください。

その沈没船の展示が行われているそうです。時間とお金があれば是非いきたいですね。100年前に発掘された遺跡でも魅力は満載です。リンク先のビデオなども良くできてますので、興味のある人はご確認ください。

第4回水中・海事考古学セミナー開催決定!

去年から今年にかけていろいろと水中考古学が新聞やテレビなど様々なメディアに取り上げられております。また、今年は水中考古学に関連した書籍も幾つか出版されており、いよいよ日本でもこの学問の認知度が高まってきた気がします。

しかし、日本の水中考古学の取り組みは世界の国々に比べ遅れているのは、確かです。韓国やインド、フィリピンなど国の機関が水中考古学を先導しています。また、海に面した国で水中文化遺産の保護を法律で明確にしていない国は世界でも珍しいです。これらは事実として受け止めるべきですが、しかし、日本の考古学の成果を見ると、まだまだこの分野で充分に力を発揮していける力はありますし、貴重な遺産を守っていく必要があるのは当然です。

鷹島海底遺跡がクローズアップされていますが、実は日本にはたくさんの水中遺跡があり、列島各地で成果を挙げております。そこで、第4回水中・海事考古学セミナーの開催が決定いたしました!このウェブサイトを長年愛読していただいている皆様には懐かしい企画ではないでしょうか?第2回目の開催では100名近くもの参加者に来ていただき、水中考古学の魅力をお伝えしました。

今回のセミナーは日本各地の水中考古学の研究成果と、様々な時代の遺跡を紹介します。縄文・弥生の遺跡はもちろん、中世や近世の遺跡、そして、近・現代の研究成果をお伝えします。数名の専門家による講演、そして、その後のお客様を交えたディスカッションなどを行います。水中考古学の成果を発表するのはもちろんですが、この学問の魅力もお伝えします。もちろん、元寇の鷹島海底遺跡の船についての研究の発表などもあります。

詳しい内容などは後日発表いたします。このウェブサイト、フェースブックやツイッターなどでも情報をお伝えいたします。

【日時】 10月6日(土曜日)午後

【場所】 桜美林大学四谷キャンパス

【主催】 桜美林大学大学院国際学研究科

お問い合わせは、このウェブサイトからお願いいたします。

『旅する長崎学』「蒙古襲来 神風の島 鷹島 -水中考古学が語るもの-」が開催されます。

ちょうど鷹島海底遺跡での調査が先日終わったそうです。メディアなどで少し取り上げられるそうですので、インターネット・新聞・テレビなどで鷹島の情報を探してみてください。

そんななか、東京で鷹島海底遺跡についての講演が長崎県が企画しているようです。『旅する長崎学』「蒙古襲来 神風の島 鷹島 -水中考古学が語るもの-」が開催されます。

8月21日の一日だけのイベントですが、当日11:00から、会場前のロビーにおいて、「鷹島海底遺跡」の遺物展示を行い、  パネル展示やパンフレットの配布など、長崎県の魅力や情報を発信するそうです。

午後(17;00~)には高野晋司先生(長崎県学芸文化課専門員)や池田榮史先生(琉球大学教授)による対談もあります。

場所は江戸東京博物館 1階ホール(東京都墨田区)です。申し込みが必要とのことです。

台風接近に伴い...

大型の台風4号が日本に接近していますが、皆さんご注意を。さて、台風ですが、もちろん元寇と馴染みが深いのはご存知ですよね。今年、水中遺跡としては初の国指定を受けた鷹島の元寇関連海底遺跡ですが、今月に調査が予定されています。台風4号が九州に接近しているため、少し調査の進み具合が懸念されます。今回の調査は短期間ですので、どれほどメディアに取り上げられるか判りませんが、ニュースなどが出て来次第お知らせします。海底調査も台風では発掘出来ないのは当然です。ですが、実は台風は水中考古学者にとっては調査ができない以上に複雑な関係があります。

特に風の強い台風は、波も強く、海底面にも影響を及ぼします。海底の砂やシルトが波の影響でかき混ぜられることが良く在ります。そうなると、海底の底に埋まっていた遺跡も撹乱されてしまうことが多いようです。もちろん、撹乱されれば遺跡内の遺物の位置関係もバラバラとなり、遺物なども劣化が進んでしまいます。こうなると、台風は考古学者にとって悪いことばかりに考えられるかもしれません。しかし、実は台風が考古学者にとって良い結果を生む場合もあります。

砂に埋もれた海底遺跡はなかなか発見できるものではありません。ソナーやマルチビームなどの音波探査機は「音の反射」で海底面を映し出す機械ですから、砂に埋もれた遺跡は見ることができません。磁器探査期やサブボトム・プロファイラーなどは砂に埋もれていても反応しますが、これらの機材だけでは何が埋もれているか判断することは難しいです。そこで、沈没船などの遺跡の発見に最も効果的なのが、一般の海に関わる人々からの情報です。実際に世界の殆どの水中遺跡が偶然に考古学者以外の人によって発見されています。

つまり、話を元に戻しますと、台風などで撹乱されると、海の地形が大きく変化します。そこで、それまで埋もれていた遺跡が顔を出すことがあります。そのときが遺跡を発見できるチャンスとなるのです。しかし、時間が経つと遺跡が劣化してしまうのは確かです。現在、海底面にある遺跡は、つまり、ごく最近の台風などにより「たまたま」海底面に露出している状態になります。この機会を逃すともう遺跡が失われることになります。沈没船遺跡は何百年も沈んだそのときの状態のように見えるため、そのまま放置しておいてもずっと残っていると思われがちですが、実はどんどん劣化が進むのです。遺跡が露出した状態なら、それは、貴重な遺跡を調査するまたとないチャンスなのです。

水中考古学が一般の間でもポピュラーで指示されている国や地域では、台風の後に、良く市民が海外に出かけてビーチコーミングなどを行います。イスラエルなどは大きな嵐のあとには良く沈没船の発見のニュースが相次ぎます。また、アメリカ東海岸でも、ハリケーンが去ったあとには似たようなニュースが飛び込んでくることがあります。

台風が去った後に、海岸に出てみたり、海に潜ってみませんか?もちろん、安全のため、完全に台風が通過してから海に行ってください。そして、何か不可思議な物体や、遺物が散乱していたら、市町村の教育委員会に連絡をしてください。また、アジア水中考古学研究所や、このページを通してもご連絡していただければ、何か大きな発見につながるかもしれません。大きな発見に繋がれば、自分の名前を水中遺跡の名前につけることも可能だったり?

 

 

ケニアと中国

何度か紹介していますが、中国はアフリカ東海岸の各地で水中考古学調査を試みているようです。鄭和の大航海の痕跡を探すことが目的ですが、本当に国を挙げて精力的に活動をしています。

その一環で、ケニアと中国は合同で訓練や調査を進めています。今年の11月からケニアのモンバサの近くの海域で合同発掘調査を行うようですが、中国船ではなく、ケニア(か周辺地域)の船で150-200年ほど前に沈没した船のようです。

今後もこの2国の水中考古の体制は強化されていくことでしょう。中国はがんばってますね。

海に沈んだタイムカプセル 水中考古学の世界

BSフジで放送中の番組、ガリレオXで水中考古学特集が組まれます!

本放送 5月13日(日)朝 9:30~10:00 再放送 5月20日(日)朝 9:30~10:00

元寇の遺跡ー鷹島海底遺跡はもちろんのこと、初島沖の瓦を積んだ沈没船など、話題は盛りだくさんのようです。

お楽しみに!

 

 

フィリピンと中国:領海問題

フィリピン国立博物館が調査を進めていた中国船の発掘が一時中止になったようです。というのも、中国政府から発掘を中止してくれとの要請があったようです。

スカボロ礁といわれる場所での調査ですが、以前から中国との領土問題が発生していた場所のようです。フィリピン政府は今回の調査の中止は中国政府の要請とは関係がないとは発表しているようですが...中国は元の時代から中国の領域であると主張。考古学調査が行われていた間も軍用機などが「嫌がらせ」のために接近していたり、軍用船が停泊したりと問題ありのようです。

このような問題は今後も起こりそうです。水中文化遺産も資源として管理・活用していく必要がありますが、領土など国際問題に発達する可能性もこのように秘めております。尖閣諸島などでも、もし日本が水中遺跡を発見したらどのように中国が出てくるのでしょうか?色々と考えさせられる問題であるように思います。