水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

サン・フランシスコ号 「日本見聞録」 現代意訳

1609年に千葉県御宿沖で座礁したサン・フランシスコ号は今年が400周年記念ということもあって話題になっているようです。サン・フランシスコ号にのっていたドン・ロドリゴは日本での体験談を書いています。それが、日本見聞録です。すでに日本語に訳されて出版されてはいましたが、かなり古い本であったので、入手しにくく、また、読みにくかったのですが、今回、現代意訳され、新しく出版されるそうです。この本を通して多くの人にサン・フランシスコ号が日本(と世界)の歴史の中で価値のある事件であることを知ってもらえれば幸いです。また、単に事件ではなく、沈没地点もほぼ特定されていますから、文化財として保護されるべき価値のある遺跡だと考えられます。

ふるさと文化研究会理事長の安藤操さんが「たにぐち書店」から出版されています。「ドン・ロドリゴの日本見聞録 安藤操意訳・解説」 Amzonや一般本屋では探しにくいみたいです、興味のある方はネットで探してみてください、何か面白い発見があるかもしれません。

泰安沈没船から竹簡発見

去年韓国で発見された泰安沈没船(約800年前に沈没)は今年も引き続き調査が行われていました。多数の木簡が発見されたのと今までに発掘された高麗時代の沈没船の中で最大級であると推測されることからなどで、考古学的価値が非常に高い沈没船として注目を集めています。今回、木簡の他に竹簡も発見されたことでNewsになっています。荷物がどのように運ばれたのか、航海・貿易ルートの解明などに新たな資料を提供することとなり今後の調査に期待がもたれます。

 

The National Research Institute of Maritime Cultural Heritage under the Cultural Heritage Administration of Korea announces yesterday that it found bamboo poles with shipment records, including types and amount of loads, departure dates, destinations and recipients. The poles were found inside the Mado ship, an ancient cargo ship that sailed about 800 years ago during the Goryeo Dynasty (918-1392), that was discovered under the sea near Taean, South Chungcheong, last June. The institute said the poles will serve as a valuable reference to determine precise dates when shipments were made and shipping conditions at that time. [YONHAP]

舟から船へ

千葉県立関宿城博物館で10月6日から11月29日まで「舟から船へ」(平成21年度企画展)が行われています。

日本の舟・船の変遷をたどる展示のようです。ふねがニホンの人々に与えた影響などを時代を追って、船の変遷とともにたどっていく企画のようです。

興味のある方はぜひ足を伸ばしてみませんか?

日墨交流400周年  サンフランシスコ号

  千葉県御宿町で400年前(1609年)にスペインのガレオン船、サンフランシスコ号が座礁・沈没しました。この船はマニラから出発し、メキシコ(アカプルコ)に向かう途中で、マニラ前総督なども乗っていました。言い伝えによると御宿(岩宿町)の住民が沈没船の乗組員などを救助したと伝えられています。当時、キリスト教の布教などを進めるスペインと日本では衝突状態にありましたが、この事件をきっかけに一時日本とスペインの関係が緩和されたこともありました(結局はいわゆる鎖国、布教活動の禁止に踏み切ることになりますが)。この事件を記念して今年、日本とスペイン、メキシコなどが日本メキシコ交流400周年記念式典などを企画し、皇太子さまなどが出席をされたそうです。

  さて、この沈没船ですが、海外のサルベージ会社などが調査を企画したり、いろいろと海洋考古学者のなかで話題にあがることの多い船です。沈没した地点は文献資料などからほぼ特定されていますが、海女さんの活動が活発であるにも関わらず沈没船や散乱した遺物の情報などがないことや、海域が荒く海底地形が沈没船の保存の状況に適していないこともあり、船体の確認にはいたっていません。しかし、バラストの下に木材などが埋もれている可能性もあり、今後の調査しだいでは発見の可能性もないとはいえません。

  今回の400周年でスペインではサンフランシスコ号について脚光を浴びつつあります。さらには、あるサルベージ会社にスペイン政府が沈没船の保護をめぐり勝訴したことなどをきっかけに、スペインは海外での自国の沈没船などの海洋文化遺産の発掘・保護に力を入れだしています。UNESCOの水中文化遺産の保護条約が日本でも話題を呼びつつあることもまた事実ですので、スペイン政府と日本の考古学団体などが協力をし、調査を行う良い機会といえるのかもしれません。

 

  

タイタニックと水中文化遺産

東京雑学大学で,中田達也さん(文教大学国際学部非常勤講師)が,
「タイタニック号の財宝と国際法」と題する講義をされますので,
お知らせいたします.

詳細は,以下のとおりです.

・主催:特定非営利活動法人 東京雑学大学
     http://www5.ocn.ne.jp/~tzu61017/
・講義:第702回講義
     http://www5.ocn.ne.jp/~tzu61017/kougiyotei2tuki.htm
・日時:10月8日(木) 14時~16時
・会場:多摩交流センター
     東京都府中市寿町1-5-1 府中駅北第2庁舎6階
     TEL:042-335-0100
    http://www.tama-100.or.jp/tama/aboutus.html#map

   [サテライト会場](映像生中継)    
   むさしのヒューマンネットワークセンター
     武蔵野市境2-10-27武蔵境市政センター2F
    http://www.mhnc.jp/use/index.html

・申し込み:不要.当日受付.
・参加費:無料(ただし,資料代100円程度)

中田さんは,国際法をご専門にされており,
タイタニック号をはじめとする沈没船の国際規制等について,
ご研究されています.
ARIUAの関東・東北会員連絡会へも毎回,参加されています.

今回の講義では,1912年に沈没したタイタニック号の遺品引き揚げの経緯・問題点を通して.
「UNESCO水中文化遺産保護条約」を踏まえて,解説されるそうです.

水中文化遺産(とくに沈没船)は,その取り扱いにおいて,
国際法の規制を受ける事例が多くあります.
(先日,NHKでも二夜連続で関連の番組が放映されましたね)

水中文化遺産と国際法との関係を知る良い機会とも思います.

平日昼間に開催される講義ですが,
興味がある方は,参加してみてください.

なお,当日の講義のもようについては
後日,インターネット上で公開するそうです.
http://tsgn.dyndns.org/tsgn/

NHKでもユネスコ水中文化遺産

先週、NHKでユネスコ水中文化遺産について取り上げられていました。おもに今年1月に20カ国がこの条約を採択したために日本国内でも水中文化遺産保護の動きが出てきたことによるものでしょう。

 

9月9日「クローズアップ現代」(NHK、第一)

http://www.nhk.or.jp/gendai/

9月11日「きょうの世界」(NHK、BS2)

http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/lineup/20090907.html

 

このプログラムをみた人は何か意見でもあればぜひ書き込んでみてください。番組はおもに水中文化遺産のおかれている諸問題を取り上げています。遺物の商業目的での売買を禁止するユネスコ側の主張とインドネシアなど商業的見返りがなければ水中文化遺産の調査・保護には資金を捻出できない国、そしてとレジャーハンター側の主張を対比させています。とくにNHK側の主張などもなくいろいろな意見を取り入れ、情報を伝えるという意味では良くできた内容でした。

 

個人的にもう少し詳しく取り上げてもらいたかった面は

1)もし売買が公に認められれば商業価値のある沈没船が引き上げられ、考古学価値のある遺跡は無視される可能性があること

2)考古学価値のある遺跡の調査のあとに博物館などの設置により地域の経済の活性化が行える可能性も十分あること

3)なぜ水中に遺跡があるというだけで売買が可能という論議が産まれるのか?地上であれ水没した遺跡であれ、ともに考古・歴史の価値はかわらないのでは?遺跡の立地条件だけで遺跡の価値を判断できるものなのか?

4)ユネスコの条約ではガイドラインがあっても違法行為の取り締まり罰則などについては何も触れていない。そのため、執行力にかける条約であること。この条約の問題点としてよく取り扱われていますが、ここでは触れられていませんでした

5)上の2)にも関連しますが、考古学調査で成功した例をもう少し取り上げてほしかったこと。例えばオーストラリアやトルコなど水中文化遺産保護に積極的な国の成功例など

モザンビークで水中考古学

アフリカのモザンビーク近海で1999年から何隻か沈没船が発掘されていたそうです。詳しいことはよくわかりませんが、サルベージ会社と政府が協力をして発掘を行っていたようです。遺物の一部は博物館などに寄贈されます。これらの展示を通して得られた観光収入をもとに地域の活性化を促すこともそうですが、遺物をを見て興味を持った若い学生などが水中考古学に興味を持ってくれることを文化管理局は語っています。大学などでも学術的な水中考古学の発達をのぞんでいるそうです。

 

 

Maputo — Património Internacional SARL, a company dedicated on the research and underwater archaeology, currently working under the aegis of the Mozambican government’s Institute for the Management of State Holdings (IGEPE), has delivered in Maputo on Wednesday its findings of archaeological research carried out in the vicinity of the Island of Mozambique.

The project, started in 1999, was conducted in close coordination with the Mozambican authorities, through the Education and Culture Ministry (MEC) in compliance with a contract signed between both parties.

These findings include 14 gold coins, 443.6 grams of gold and 600 coins of silver worth at current price market about 35,570, 14,259.10 and 120,000.00 euros respectively.

The MEC will take the responsibility of delivering some of these artefacts to the relevant institutions, such as the Museum of Geology and Money Museum.

The shipwrecks where artefacts were found had already been plundered, having been recovered only those that were protected by ballasts, with few a exceptions.

Património Internacional SARL reassured that this project would bring added value to national tourism, by promotion of scientific and tourist diving expeditions on a number of shipwrecks that have already been identified in Mozambican waters, and turn them as an attractive for tourism development in the Island of Mozambique.

Speaking during the ceremony, Education and Culture Minister, Aires Aly, urged the academic community, through higher education institutions, to engage in training young students in underwater archaeology.

These artefacts will be exhibited at the Marine Museum of the Island of Mozambique that is expected to be open soon by the Education and Culture Minister.

Lionel Casson

悲しいお知らせですが、西洋海事史の権威、Lionel Casson氏が先日亡くなられたそうです。Casson氏は文献史学、水中考古学など1950年代からさまざまな研究分野から得られた資料をもとに西洋(特にギリシャ・ローマ時代)の海事史の歴史学のありかたを塗り替えてきました。海事史の第一人者として研究書だけでなく一般向けの本もいくつも出版され、精力的に活動を続けてきました。また、古代地中海だけでなくインド洋、近現代の船も研究の範囲としてしていました。彼の書籍を通じて数々の考古学者が海事史に興味をいだき、新しい研究者として育っています。

シンポジウムのお知らせ

ARIUA(アジア水中考古学研究所)からのお知らせです

日本財団助成による今年度「海の文化遺産総合調査プロジェクト」関連の研究会議が
沖縄県那覇市で開催されますので,お知らせします.
詳細は,以下のとおりです.
【主題】 南西諸島の水中文化遺産の調査の現状と課題
【調査・研究報告】
報告1「沖縄の海底遺跡の概要」 片桐千亜紀(沖縄県立埋蔵文化財センター、ARIUA会員)
報告2「黒島海底遺跡発見までの経過」 島袋綾野(八重山博物館学芸員)・片桐千亜紀
報告3「文献から探る水中文化遺産について」 渡辺美季(東京大学助教)
期 日:2009年7月18日(土)
時 間:13:00~16:30(12:30から受付)
場 所:沖縄県立博物館(講座室) 那覇市おもろまち3丁目1番1号
参加費:無料
【主 催】アジア水中考古学研究所・鹿児島大学・ 南西諸島水中文化遺産研究会 
【助 成】日本財団
【問い合わせ先】
 今帰仁村教育委員会(宮城弘樹) 電話0980-51-5477  Mail:mn-bunkazai@woody.ocn.ne.jp

 

当研究所と共同研究をおこなう
鹿児島大学法文学部・異文化交流論研究室と南西諸島水中文化遺産研究会との
共同研究事業の一環です.
この研究会議には,どなたでも参加できます.
ただし,参加されるばあいは事前の申し込みが必要ですので,問い合わせ先まで,ご連絡ください.
南西諸島の水中文化遺産やその調査の実情を多くの方に知っていただく,良い機会だと思います.
日程もせまっており,沖縄での開催ですので,関東・東北からの参加は難しいとは思いますが,
ご都合がつく方は,参加してみてください.
なお,南西諸島の水中文化遺産とプロジェクトの概要についてまとめたリーフレットを
添付しましたので、合わせてご覧ください。
会議のようすについては,日本財団公益コミュニティサイトCANPAN ブログでお知らせいたします.
http://blog.canpan.info/ariua/

 

もうひとつ,8月には,沖縄県立埋蔵文化財センターで水中文化遺産に関する講座が開かれます.
【主題】 第34回文化講座 「海に眠る琉球王国の歴史~沖縄県の水中文化遺産~」
【発表】
1「沖縄県の水中文化遺産」 片桐千亜紀(沖縄県立埋蔵文化財センター、ARIUA会員)
2「日本の水中文化遺産と海底遺跡ミュージアム構想」 野上建紀(ARIUA副理事長)
3「文化財保護法と水中遺跡」 清野孝之(文化庁調査官)
期 日:2009年8月22日(土)
時 間:13:30~16:30
場 所:沖縄県立埋蔵文化財センター 研修室  中頭郡西原町字上原193番地の7
対象者:一般(先着140名)
参加費:無料 事前予約なし
【主 催】沖縄県立埋蔵文化財センター
【問い合わせ先】
 沖縄県立埋蔵文化財センター調査班  電話098-835-8752
詳細は,http://www.maizou-okinawa.gr.jp/engan_2009/index2.html を参照してください.

最新トップテン 発掘・水中(?)調査情報 

アメリカの一般雑誌Archaeologyの最新号は水中・海事考古学特集が組まれています。2-3年に一度、夏にはこのような特集が組まれています。さて、今回はLatest Underwater Discoveriesと称して最近調査されている最もホットな発掘・調査情報が紹介されています。日本でも外国雑誌がおいてある大きな書店では並べてありますのでごらんになってください。

1.ローマ時代の大理石運搬船

2.HMS Ontario (1780年)

3.エジプト18王朝の紅海貿易船の復元航海実験

4.オクラホマ州蒸気川船(1838年)

5.アルバニアのサーヴェイ(ギリシャ・コリントからの貿易船?)

6.2400年前のDNAをアンフォラから確認

7.ベトナムーモンゴル水軍遺跡(1288)

8.フロリダ州 1559年 スペイン船

9.古代フェニキア人の貿易船(スペイン)

10.Liman Tepe (トルコ・青銅器時代の港)