水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

古代Illyrianイリュリア人のボート

クロアチアとボスニア・ヘルツェゴヴィアの国境付近で行われた考古学調査により、古代イリュリア文化に関連する遺物や船が発見されたようです。詳細な情報がまだないのですが、今後の研究進展に期待します。

今年の発見トップ10

アメリカの一般雑誌Archaeologyが今年の考古学発見トップ10を発表した模様。なかなか考古学的に面白い発見があった年なのでしょうか?ものすごい発見と言う発見は目に付きませんが、ヨーロッパ最古のホモ・エレクタスのあごの骨の発見、42,000年前の中国から発見された人骨から靴をはいていた可能性が指摘されるなどが興味を引きます。

さて、海事考古学に関する発見も2件ほど入っております。やはり、ナミビアのダイヤモンド採掘所で発見されたポルトガル船の発見が挙げられています。そのほかにもロシアで発見された3000年前の捕鯨跡の遺跡・遺物も当時の人々と海とのつながりを教えてくれます。

来年はどんな発見があるのでしょうか?特に発見ではありませんが、来年からUNESCOの水中文化遺産保護法案が正式に条例として認められます。これに関し日本も含め各国がどう動くか見守る必要があるでしょう。

 

 

 

The secret of Maya Blue: Scientists analyzed bits of the sacred blue pigment the Maya used during human sacrifices and other ceremonies - and concluded that it was made through the ritual burning of a mix of ingredients, including indigo, minerals and copal incense.
Masked mummy of Peru: An intact 1,700-year-old mummy, bearing a wooden mask with seashell eyes, was discovered in a burial mound beneath a busy Lima neighborhood. Archaeologists suspect the remains were those of a master weaver from Peru’s Wari culture, based on the knitting needles and balls of yarn that were buried along with the mummy.
The stone with soul: Researchers found a 2,800-year-old funerary monument in southeastern Turkey that provided a fresh perspective on ancient religious beliefs. A 13-line inscription was chiseled into the basalt stone, in which a high official refers to food offerings that were made “for my soul that is in this stele.” This proves that the Iron Age culture believed the soul was separate from the body and could inhabit a monument.
Brown gold from Oregon: About that ancient poop … the 14,300-year-old preserved feces found in eastern Oregon’s cave provided the best evidence yet that humans had colonized the Americas that long ago. Researchers even extracted DNA from the coprolites - which could help clear up longstanding mysteries about the identity of the first Americans.  
Oldest oil paintings: Researchers discovered the world’s oldest-known paintings in a maze of caves in Afghanistan’s Bamiyan Valley – yes, the same place where the Taliban blew up two giant statues of Buddha in 2001. (You’ll find more about Bamiyan below.)
The first European? An excavation in a cave in northern Spain turned up a chunk of a Homo erectus jawbone that has been dated back to 1.3 million years ago. That suggests that the ancestors of modern humans made their way into Europe about 500,000 years earlier than previously thought. 
The earliest shoes: An analysis of 42,000-year-old human toe bones from a dig in China provided evidence that the person, known as Tianyuan 1, wore some form of footwear.
Pristine Portuguese shipwreck: Geologists working on an underwater diamond-mining project off the coast of Namibia turned up something more scientifically valuable: a 16th-century cargo ship that was buried on the seafloor, safe from underwater treasure hunters. The find netted almost 50 pounds of gold coins, plus navigational instruments, elephant tusks and other treasures.
The colossal heads of the Roman Empire: Archaeologists are uncovering the monumental marble heads of Roman emperors at a dig in central Turkey, where a first-century metropolis once flourished. Last year, Hadrian’s head was found at the site of Sagalassos’ Roman baths. This year, the researchers recovered fragments of statues depicting Marcus Aurelius and Faustina the Elder (wife of the emperor Antoninus Pius).
The origins of whaling: A 20-inch-long walrus tusk, found at an archaeological site on Russia’s Chukotka Peninsula, bears the carvings of a seal, a bear and a boatful of people hunting a whale from a boat. The tusk dates back about 3,000 years, which would make the carving “the earliest evidence for whaling,” said Daniel Odess, curator of archaeology at the University of Alaska Museum.

Trouvadore号発見!

Trouvadore は1841年に沈没したスペインの船で、当時奴隷を運んでいました。船はタークス・カイコス諸島付近で沈没しましたが、何人か無事に脱出した人々は近くの島に住み着き生活を始めました。今日この周辺の島に住んでいる人は何らかの形でこの船(の歴史)と関わっています。

今回はアメリカの政府機関NOAAとShips of Discoveryとい研究機関の共同で調査が行われたようです。このほかにも1816年に沈没したアメリカ船Chippewaも発見されています。この他に別のアメリカ船Onkahyeも同海域で沈没したようですが、まだ発見されていません。これらの船は19世紀にアメリカが奴隷貿易の取り締まりのためにカリブ海に派遣したものです。

沈没船データベース

http://oxrep.classics.ox.ac.uk/index.php?option=com_ships&act=view&task=show

 

こんなサイトがあります...

簡単に言えば調査された沈没船のデータベースなのですが、これはすべてローマ時代の沈没船です。今(2008年11月11日11時11分現在)のところ212件の遺跡が紹介されています。ただし、このデータベースは海事考古学者がまとめたものではなく、歴史や古典考古学の学者さんなどがまとめたものです。つまり、特に船や「水中」考古学の専門家や興味のある研究者が作ったものではないといことになります。簡単に何が言いたいのかといいますと、それだけこの学問が一般的に価値のあるものとして認識されていることでしょうか?

日本ではなぜかいまだに水中考古学を特別視したり興味本位だけで見られている気がします。特に自分は何か特別なことをしている気はしませんし、普通の考古学の研究です。でも、なぜでしょうか?たまたま自分の研究対象としているもの(船というごく一般的な道具、そしてそれを使った人間の行動パターン)がたまたま水の中にあることが多いためどうも別に見られているようです。

それはさておき、まだ立ち上げたばかりのデータベースのようで、まだまだあまりデータがないようですが、少しずつ情報が足されているようです。このような沈没船データベースはいろいろなところで作られています。例えば、オーストラリアやアメリカの州ごとにデータベースがあったりします。このようなシステムを元にそろそろ日本でも沈没船・水中遺跡のデータベース化を本格的に進めていきましょう!と考えている今日この頃です。

Journal of Maritime Archaeologyの最新号は海事考古学を大学でどう教えるかを議論

Springerから出版されているJournal of Maritime ArchaeologyのVol.3、Issue.2は「海事考古学における教育とトレーニングについて」の特集です。NASの新しいトレーニング教本を含めて、ここ最近では海事考古学で何を、どのように教えていくのかということに関して、改めて見直しが行われているようです。

アボリジニのロックアート(岩絵)と考古学

オーストラリアの先住民であるアボリニジの人たちが芸術に長け、ロックアートと呼ばれる岩絵を残していることをご存じの方がいるのではないのでしょうか。岩絵には1万年以上前の記録から近代までの時代幅は大変広いのですが、岩絵は彼らが日常体験した経験などを伝える大切な記録でもあります。岩絵のなかには船が描かれたものも多く、船のほとんどが異文化との接触の記録を伝えるものとして残されています。岩絵の船のなかで、船名が特定されているものもあり、さらには考古学的調査が実際の沈没船で行われた事例もあります。西オーストラリアで調査された19世紀の蒸気船ゼンソー(Xantho)はロックアートにも、その姿が描かれています。ナショナルジオグラフィックの記事にある、グリフィス大学の調査には海事考古学者も関わっています。

ユネスコ水中文化遺産保護法!20カ国

水中考古学を少しでもかじった人ならご存知でしょうが、ユネスコが水中文化遺産の保護条約に取り組んでいました。正式に国際法となるには20カ国の承認が必要でした。今月始め、20カ国が水中文化遺産に保護に取り組むことが決まり、ついに正式に国際法としての効力を発揮することになります。来年1月2日から水中文化遺産保護に関する国際法が生まれます。

この国際法にはまだまだいろいろな問題点がありますが、ひとつのハードルを越えましたので、今後法律の改定などが進む可能性もあります。

詳しくはこちらのニュースを。


ユネスコ水中文化遺産保護法!20カ国 の詳細は »

オハイオ州 考古学月間も

先日はルイジアナ州の考古学月間を紹介しましたが、今日はオハイオ州の考古学月間を紹介します。

オハイオ在住の人はカレンダーを探してみてください。近くでイベントが開催されているかもしれません。

さて、ルイジアナと同じくこちらもポスターには水中考古学を前面に出してきています。オハイオ州って海がないじゃないの?と思ってる人もいるかもしれません...ですが、もちろん五大湖があります。たとえ陸であっても川や湖の交通は重要でした。そのため、世界各地を見ても大きな都市は川・湖など大きな水のそばにある場合が多いようです。オハイオ州も水が人々の生活に大きな役割をはたし、水上交通が都市の発達に大きな役割を果たしました。そのため水中考古学もまた重要な位置づけがされています。

ウェブサイトリニューアル!

日本および世界の水中考古学・海事考古学の最新情報を提供しております水中考古学/船舶・海事史研究のウェブサイトをリニューアルいたしました。2005年4月にオープンして以来の初のリニューアルとなりました。今後も日本の水中考古学・海事考古学の発展のために、積極的に情報提供を行っていきますので、ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。

ルイジアナ州 考古学月間

ルイジアナ州(ニューオリンズがある州)では10月は考古学月間として、州をあげて考古学の理解を一般に広げるためのイベントが行われています。

今年の目玉は州が作成したポスターから見てもわかるとおりMardi Gras沈没船です。ニューオリンズの沖で沈没し、オイルのパイプラインを作るときに発見された船です。深海であったためROV(水中ロボット)を使って一部発掘されました。ルイジアナ州でのプロジェクトですが、発掘・保存処理はテキサスA&M大学が関わっています。