水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

WAC 6 in Kingston, Jamaica 世界考古学会議 ジャマイカ大会

2007年5月にジャマイカで開催される世界考古学会議(World Archaeological Congress)本大会の情報がインターネットで公開されています。海事、水中、船舶考古学関連の発表に関しては徐々に詳細が分かってくるとおもいます。2006年大阪で開催された中間大会に引き続き、各国から多くの研究発表が寄せられるでしょう。

ミノア文明の船の調査開始

1985年にタイタニック号を発見したことで有名なロードアイランド大学海洋学部教授のロバート・バラードさんがクレタ島の近海でミノア文明の船の調査を開始するようです。すでにソナーによって古代船である可能性が確認されており、クレタ島の北西75マイルのあたりを調査する予定のようです。同大学の考古学者、メアリー・ホリンシェッドさんは、あまり詳しく分かっていないミノア人とミケーネ、エジプト、シリアとの交流がはっきりするかもしれない、と述べています。

ミノア文明はエーゲ海のクレタ島でおよそ2600-1450BCに栄えた青銅器文明です。

文化財としての港湾施設の保存について

Underwater Cultural Resource Management (UCRM)
各国では水中文化財保護に注目が集まっていますが、従来の沈没船の保護だけではなく、港湾施設等も文化遺産として取り扱うガイドラインの作成も進んでいます。上記はイギリスのEnglish Heritageのサイトです。サイト内には下記のタイトルのPDFファイルで港湾施設保護のポリシーが紹介されています。興味のある方はアクセスしてみてください。

Ports: the impact of development on the maritime historic environment

数百年前のスペイン船、地中より発見

フロリダ州ペンサコラのアメリカ海軍航空基地の地中に埋められた数百年前のスペイン船が発見されました。その船はスペインによる最初の入植地がつくられた16世紀中ごろのものの可能性があります。ペンサコラ湾では数隻のスペイン船が沈んでいますが、地中から発見されるのは大変珍しいことだそうです。大変深くに埋められており、発掘にはかなりの費用がかかるため、発掘の予定はないとのことです。

村上水軍博物館

まだ行ったことがない博物館ですが、前々から気になっています。ここでも水中考古学調査を行えばかなり良い結果が出るはずです。サイドスキャンやマルチビームを使った海底面の探査からはじめるべきでしょう。

http://www.city.imabari.ehime.jp/bunka/suigun/

四国ミュージアム回廊:一館目 村上水軍博物館(愛媛県今治市)/3 /四国

 ◇海賊気分そそる潮流体験、尽きないロマン城跡発掘つづく
 船が能島に近づくと、エンジンを止める。止まるはずの船は激しい潮の流れに乗って揺れながら移動し続ける。身を乗り出して海面をのぞくとあちこちで白い渦が巻いている。村上水軍が城を築き、瀬戸内海の拠点を置いた能島に手が届くほどの距離まで船は近づく。現在の能島は無人島で、ひっそりとしているが、海賊たちが熟知していたという荒々しい潮の流れはかつてのままだ。
 能島の周りを約20分でぐるりと1周する潮流体験。地元の若手漁師で作る宮窪水産研究会が97年に始めた。4~10月の土日と祝日に実施され、昨年は約5700人が訪れた。村上水軍博物館のスタッフもボランティアガイドを務めている。
 形式はまったく違うが、同館と潮流体験は瀬戸内海を舞台に活躍した水軍にまつわるロマンが根底にある点で共通している。潮流体験で水軍気分を味わった後で、歴史を博物館で学ぶと楽しい。能島の要さいとしての役割を知ってから潮流に乗ってみるのも味わいが増す。「どちらが先でもいいんですが、両方体験してもらうのがベスト」。学芸員の田中謙さんも提案する。
 能島では博物館を主体とした発掘事業が進められている。03、04年度には岩礁に杭を打ち込んだ岩礁ピットの調査をした。水軍が使った船着き場の跡と考えられているものだ。05年度からは城跡の発掘に移った。同館周辺の遺跡で発掘が済んでいるのはごくわずか。50以上が未発掘だ。学芸員の中川和さんは「発掘から明らかになることは本当に多い。いずれ島しょ部の人たちの当時の暮らしが詳しく分かってくるでしょう」。調査結果は同館の速報コーナーを使ってすぐに展示に反映させる。発掘が進むほどコーナーがどんどんにぎわうことだろう。
 「この博物館は、館内を見ただけでは十分ではありません」。矢野均館長は話す。同館を拠点として周辺地域全体をフィールドミュージアムと位置づけているからだ。展示物を館外の景色や町並みと結び付けながら見ることで相乗効果を出すことがスタッフの狙い。「館内をゆっくり一巡りしたら、外に出て潮風に触れたくなりました。周りの風景も違って見えますね」と矢野館長に話すと、「そうでしょ」と笑みを浮かべた。【津久井達】

◇ミュージアムガイド
【住所】愛媛県今治市宮窪町宮窪1285
【電話】0897・74・1065
【入場料】大人200円、中学生以下無料、     団体(20人以上)160円
【開館時間】午前9時~午後5時
【休館日】月曜(祝日は開館)と年末年始
【行き方】車で大島南ICから15分。バス
の場合、JR今治駅から高速バスで同市吉海支所前下車。島内バス宮窪行きに乗り換え。

5月30日朝刊
(毎日新聞) – 5月30日18時2分更新

水中文化遺産の保護

[ 問題 ]

国連(UN)が定めたLaw of the Sea では水中文化遺産保護を唱えています。この国際法には問題点があります。その一つにはEEZ(排他的経済水域)については曖昧であることです。そして、もう一つの問題点とはなんでしょう?

  1. 遺物の売買を1950年以降の沈没船について認めている。
  2. 遺物の売買を発見の時点から100年前以内に沈没した船に関しては認めている。
  3. 保護の管理のガイドラインがなく、またどこの国が中心となりこの法律を執行するかが定められていない。
  4. 保護のガイドラインはあるが、どこの国が中心となりこの法律を執行するかが定められていない。
  5. この法律に加盟した国の沈没船のみにおいて保護が適応されるため、採択していない国の沈没船は保護の対象外となる。


答えを見る »

沈没船の保護

去年、イギリス南部でロブスター漁をしていた地元のダイバーが発見した軍艦Resolution(1703年沈没)であることが判明しました。これをうけ、1973年に採択された沈没船保護法に基づき国家により管理・保護されることが決まりました。この法律はイギリス国家が文化的価値のある水没遺跡に対して現状維持や調査を直接指示管理できることが定められています。イギリスの文化庁の発表によると”沈没船などはわが国にとってかけがえの無い歴史の一部である”そうです。


沈没船の保護 の詳細は »

大王の棺 アップデート

「大王のひつぎ」に航海功績賞…日本航海学会
 日本航海学会(会長・小林弘明東京海洋大学教授)は、平成17年度の「航海功績賞」を、同年夏に行われた「大王のひつぎ実験航海」(読売新聞西部本社など主催)に授与することを決めた。25日に東京で開催される同学会総会で、実際の航海を主導した独立行政法人・水産大学校(本村紘治郎学校長)に表彰状を贈る。

 同学会は毎年、航海技術に関する成果をあげた船や船団の中から選定し、同賞を授与している。現代船にかかわる功績や新技術が対象となることが多いが、今回の授賞理由は「時空を超えた古代船航海に挑戦し、九州から畿内までの石棺曳航(えいこう)航海を成功させて、航海学上貴重な成果をおさめた」となっている。

 本村学校長は「歴史の解明のため本校の学生が漕(こ)ぎ手として奮闘した航海が、航海学上も学会の評価を受け、たいへん栄誉あることだ」と話している。

 「大王のひつぎ実験航海」は、九州産の阿蘇石で造られた石棺(石のひつぎ)が畿内の継体大王陵(大阪府高槻市)などで出土することから、石棺と古代船、石棺積載曳航台船を復元して昨年7月24日に熊本県宇土市を出航、同8月26日に無事、大阪市・南港に到着した。

Yomiuri Onlineより

世界の水中考古学博物館

ここでは各地にある水中考古学博物館のなかでもとくに”水中に一番近い”もののベスト5を紹介します。

1. ヘロデの港

この遺跡については以前のお知らせにのせてあります。イスラエルのローマ時代の港です。ダイバーがマップをもとに自らが泳いで回れる博物館です。水中文化財を動かさずそのまま有効利用している良い例です。 
2. アレキサンドロスの灯台

これも有名な遺跡です。ヘレニズム時代より栄えたナイルにあった大きな都市でした。ここは地震による水没した港とその灯台の後が発掘されています。

3. フロリダ水中文化遺産保護地域

フロリダ州では水中の自然保護地域のほか水中文化遺産の保護地域も設けています。法律により守られており、現状維持の保護などが行われています。アメリカにはこのほかにも幾つかの遺跡、地域が保護されており、一般に公開されているところもあります。

4. ドミニカ共和国の水中博物館

こちらはドミニカ共和国のサマナ湾で1724年に沈んだスペインのガレオン船(Guadalupe と Tolosa)をインディアナ大学の水中考古学チームが主体となり保護・活用をしています。シュノーケルでも遺跡を見ることができます。

5. 中国国家海洋博物館(建設中)

こちらはお馴染みの現在建設中の中国の海洋博物館です。沈没船、Nanhai 1号をそのまま引き上げ博物館にぶち込む予定です。タンクの中で作業をしている様子を見学させるというものです。パブリック考古学の最前線を行っている気がします。成功すれば(というより現在の中国を見る限り成功させるでしょう)このような試みは世界初でしょう。もちろんヴァーサ号やメリーローズなどは船をそのまま引き上げ、博物館で丸ごと展示しています。


世界の水中考古学博物館 の詳細は »

SPIEGEL 水中考古学ニュース

ドイツの由緒あるニュース雑誌、Der Spiegelが水中考古学特集スペシャルを出版しました。どうやらオンラインでは特定の記事しか見れず、写真もそれほどありません。トレジャーハンターなども多く扱っていますが、3月にここテキサスA&Mにも取材に来ていました。自慢ですが私の写真も結構でかでかとでています。ドイツ語なので内容はそれほど詳しくわかりませんが… 参考にまで雑誌の表紙の写真をコピーしました。洋雑誌がおいてある店を探してみてください。