水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

大王の棺 シンポジウム

読売新聞から

昨年夏、熊本から大阪を結ぶ海路をたどった大王のひつぎ実験航海。古代の謎と海へ挑戦したこの航海の記念シンポジウム「大和王権と『九州王国』」が、5月21日に福岡で開かれる。阿蘇ピンク石が大王のひつぎ(石棺)となって畿内の大王陵に納められた背景はなにか。シンポジウムを前に、謎の扉をたたいてみよう。

     ◇

 2005年8月26日夕、大王のひつぎ実験航海船団が、歓迎の市民が待つ目的地の大阪南港(大阪市)に到着した。熊本・宇土を出航して34日目、1006キロ・メートルの航海だった。

 古代の技術レベルで復元された古代船「海王」、約3トンの石棺の蓋(ふた)を載せた台船「有明」、4トンの身を載せた同「火の国」が拍手の中で無事南港の岸壁に着岸、古代復元航海は成功した。

 その時、「海王」が引く台船の上に20年来この実験航海を夢見てきた高木恭二宇土市教委文化振興課長(考古学)が乗っていた。「感激でした。古代に石棺を本当に海路で畿内まで運ぶことができたことを実際の海で証明した。すごいことをやったと思った」

 その実験航海の記録映像(前・後編計53分)が高木課長の報告を交え、シンポジウムで初公開される。

「大王航海」シンポ 大和王権と「九州王国」

  5月21日(日)午後1時~5時 イムズホール(福岡市・天神、イムズ9F)で。

 聴講無料。申し込みは、郵便番号・住所・氏名・電話番号を明記し、はがきの場合は〒810―8581中央区赤坂1―16―5読売新聞編集管理部あて。FAXでは092・715・5809へ。問い合わせ先は092・715・5803。

文化財保存修復 研究施設完成

水中考古学はその遺跡の立地状態から考えて、保存処理とは深い関係を持っています。保存処理なくして水中考古学発掘はありえません。PEG保存処理槽や真空凍結乾燥機は水中遺物の保存に必要。保存処理を学ぶ学生が水中遺跡にも興味をもっていただければ幸いです。この新しいセンターの皆さんの今後の活躍を期待しています。

山形新聞から

文化財保存修復へ最新設備導入-芸工大に研究施設完成

山形市の東北芸術工科大文化財保存修復研究センター(松田泰典センター長)が建設を進めていた新しい研究施設が完成した。文化財保存修復を専門とする東日本唯一の研究拠点で、国内最新鋭の設備や機材を導入。研究水準の高度化、若手研究者の育成を目指す。

 同センターは、芸工大の付属機関として2001年に設立。これまで68件の受託事業を行っている。05年度から5年間、文部科学省の「オープン・リサーチ・センター整備事業」の認定を受けた。「地域文化遺産の循環型保存・活用システムの総合的研究」をテーマに、県内をはじめ東北各地の文化財を守る拠点として、本格的な活動を進める。5年間の総事業費は約8億7000万円。

 完成した研究施設は、キャンパス南側の体育館に隣接している。4階建てで総床面積は約2300平方メートル。1階には遺物処理室、エックス線撮影室などを設けた。2階には温度と湿度を一定に保つ収蔵庫、3階には絵画修復室、立体修復室がある。4階は展示室で、修復が終了した作品や修復作業の過程をパネルで紹介する。

 設備面では、新たに水害などで腐った木材を再生する「PEG保存処理槽」、水を吸った書類を保存処理する「真空凍結乾燥機」を導入。いずれも関東以北では最大。長さ5メートルの木材も修復可能。

 赤外線を反射させて大型の文化財の構造を調べる「屋外用3次元計測装置」も導入した。建造物のほか、遺跡を丸ごと計測することもできる。

 施設内部は定期的に一般公開するほか、住民参加のイベントなども企画する予定。松田センター長は「災害などで損壊の恐れのある文化財がたくさんある。地域の文化遺産を守るため、行政とも連携しながら研究を進めたい」と話している。

網にかかった青銅の像

  ギリシャのKalymnos島付近で漁師が約1mほどの青銅の像を引き上げたため、文化庁にすぐに報告(及び提供)をしたそうです。この像は馬に乗る男性で、一緒に引き上げられたアンフォラや他の青銅などから紀元前1世ごろのものと見られています。この地域からは他にも似たような発見が相次いでおり、幾つもの沈没船がこの付近にあることがわかっています。
  また、1995年に引き上げられた銅像は現在アテネ国立博物館に展示されており、文化庁が発見者に報酬として 440,000 euro 支払ったそうです。


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巣山古墳の「準構造船」?

つい先日出土した船材かと思われる木材について。報告者や実物を見てみないことには何ともいえませんね。

奈良・巣山古墳から出土

 奈良県広陵町の国特別史跡・巣山古墳(4世紀後半)の周濠(しゅうごう)から出土し、遺体を陸路で運ぶ「霊柩(れいきゅう)船」に載せた棺(ひつぎ)の蓋(ふた)とされた大型木製品が、丸木舟から進化した「準構造船」の「波切り板(竪板)」の可能性が高いことがわかった。大阪市平野区の長原高廻(まわ)り2号墳(4世紀末)などで出土した船形埴輪(はにわ)の波切り板と酷似しており、霊柩船の形は埴輪とほぼ同じで、こうした船形埴輪自体が霊柩船を模したものであった可能性が出てきた。

 同県立橿原考古学研究所の岡林孝作・主任研究員が近く報告書をまとめる。

 大型木製品はクスノキ製で、長さ2・1メートル、幅約80センチ。今年2月、調査結果を発表した広陵町教委は、石棺の蓋にあるような突起があったことから、大型木製品は、霊柩船に載せた木棺の蓋と推定した。

 しかし、岡林主任研究員は▽長原高廻り2号墳の船形埴輪の波切り板と形状や文様が一致する▽裏面にある溝や側面の長方形の穴が準構造船を造る技法と同じ▽材質も船材に使われるクスノキ製――などから、大型木製品は船首と船尾にある波切り板と判断した。

 岡林主任研究員は、棺蓋の根拠となった突起については「飾りの旗竿(ざお)などを立てる綱を結びつけた部分ではないか」とみている。

 これに対し、町教委とともに調査した河上邦彦・神戸山手大教授(考古学)は「船材の可能性も検討したが突起の説明がつかず、構造上、棺蓋以外ではあり得ない」と反論している。

 波切り板とみた場合、一緒に出土した船の側板の形をした部材などと組み合わせると、船形埴輪とほぼ同じ形に復元できる。

 準構造船は大型化し外洋航海もできるようになった船。大王らの遺体を、仮安置する「殯(もがり)」の場から古墳まで運んだという霊柩船を、町教委はゴンドラ形の簡易な船をイメージしていたが、準構造船そのものが野辺の送りに使われていたこととなり、論議を呼びそうだ。

 長原高廻り2号墳の船形埴輪は1989年に古代船「なみはや」として復元され、話題を呼んだ。

 辰巳和弘・同志社大教授(古代学)の話「波切り板の可能性は十分あり、葬送儀礼に使われた船の形が見えてきた。そもそも船形埴輪は、葬送に使われたこうした船を模したものではないかとも考えられる」

(2006年05月08日 読売新聞)

ダイビング情報 (随時アップデートされます)

ダイビング情報のページを少しずつ集めて行きます。
ここで紹介するサイトは相互リンクされています。
まだ情報は少ないですが、リンクが増え次第ここに追加していく予定です。


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金属 保存処理

[ 問題 ]

金属、とくに鉄が海水につかると錆びます。長い間浸かっていると、周りの砂や貝などを取り込み、てんぷらの衣のように錆びの塊が膨れ上がったようになります。この錆びの塊のことは何と呼ばれていますか?

ちなみにこちらがそれです

  1. コンクリーション
  2. バラスト
  3. バルクヘッド
  4. ギネス
  5. ラスティクル


答えを見る »

水中博物館がオープン

初期ローマ時代の最大の港といえばイスラエルのCaesareaです。(時にはヘロデの港と呼ばれる場合もあります)ハイファ大学のチームが発掘を行っていました。このたび、イスラエル政府が協力し、新しく水中博物館がオープンしました。観光客が直接ダイビングして港の基礎部や沈没船、碇などを見学できます。見学者は地図を渡され、地図のコースをもとに見学します。もちろん、水中に看板などを立て、見学者はきちんと遺跡について学ぶことができます。水深は10m以下なので初心者のダイバーでも問題なく安心して見学することができます。国家がこのような水中考古学ミュージアムを作るのは世界でも珍しい例です。他の国々もこの例に倣い水中ミュージアムを成功させていくことに期待しています。


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ネイチャー誌にバーチャル考古学 (キレニア号)

英国の雑誌、ネイチャーにキレニア号の3次元復元(バーチャル考古学)についての記事が発表されました。考古学資料をもとに遺物や木材などを復元。地中海ではそれほど問題ではないですが、海中の透視度が悪いばしょでは、遺跡全体を把握するのは困難ですし、写真も取れない場合もあります。遺跡の記録をきちんと取ってあれば、このように全体を見ることが可能となります。
60年代に発掘されたキレニア号、このときしっかりと遺跡が記録されていたため、現在このようにコンピューターを使って復元することが可能となりました。

以前バーチャル考古学について書いた記事はこちら
http://www.nauticalarchaeologyjp.com/ja/article/deepsea/2005033027.html


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中国国家海洋博物館

中国は最近、国家が主体となり水中考古学に力を入れています。現在、国家海洋博物館を建設中です。 以前のニュースはこちら
今回、中国の新聞社から写真が幾つか公表されました。沈没船を丸ごと引き上げ、それを博物館に丸ごと入れるという試みですが、2007年に完成予定だそうです。

アメリカ大気海洋庁の沈没船調査

National Atmospheric and Oceanic Administration (NOAA), ことアメリカ大気海洋庁がフロリダ沖にある水中文化遺産として登録してある沈没船のなかから9件を高精度ソナーなどを使いサイトマップを作ることを表明。これらの情報は一般にも公開されるそうです。