水中考古学

水中(海事)考古学:無料オンラインコース!

イギリスの水中考古学の名門校、サウスハンプトン大学で面白い企画が…水中考古学の最前線を無料で、しかも、大学のオンラインコースとして学べます!

10月から4週間のコースですが、水中考古の最前線の授業が受けられます。人類がどのように海(湖や川を含む)と関係を保ってきたか、また、どのように利用してきたかを学びます。ポリネシアの航海術、インド洋、地中海交易、大航海時代、そしてメリーローズ号、ヴァーサ号、タイタニック号などについて学びます。

誰でも授業を受けられるようです。英語が多少できなくても、興味本位で受けてみても良いのでは?

詳しくはウェブサイトで。

 

海事・水中考古学を学べる大学

海事・水中考古学を学べる大学のリストをユネスコが作成しています。

これらは、現在、大学(マスターレベル)でのプログラムが確立している大学の紹介ですので、例えば昔プログラムがあった大学や、水中考古学のクラスはあるけどプログラムがない大学は含まれていないようです。水中考古学のクラスがある大学はそれなりに(海外では)あるようです。

大学の数が多いのか少ないのか…まあ、人によって感じ方は違うでしょうか...ざっと眺めて、やはりヨーロッパはこの学問が一般的だなと感じることです。地域によってだいぶ差がありますね。

個人的には、これから10年、このリストがどのように変化するのかが楽しみです。

 

良くある質問にお答えします!

水中考古学のサイトを運営していると、いろいろな質問が寄せられますが、圧倒的に多いのが、「@@@なんですが、水中考古学ってできますか?」という質問。一か月に2~3件このような質問をいただきます。それだけ、この学問をやりたい!と思っている人が多くなってきている証拠ですので、非常にありがたく思います。

そこで、すでに何回かこのサイト内などでも書きましたが、そのような質問に対しての簡単な私の意見を再度述べたいと思います。質問をしていただいた方にもお答えしますが、こちらも読んで参考にしていただければ幸いです。

ポイントとしては、水中考古学は特別な学問ではなく、単なる「考古学」であること。単なる考古学ではあるが、調査は学際的になるため、様々な形の専門家が必要になることです。そして、誰でも調査にかかわれるので、「自分の得意な分野で水中考古学のどのようにかかわれるか」、言い換えれば、「自分の分野のアプローチからどのように水中考古学に貢献できるか」を探ってみてください。つまり、道は二つあると言えます。考古学者としての道を進むか、もしくは、別の分野(歴史学・海洋学・保存処理など)をマスターしながら考古学調査に関わるかのパターンになると思います。

最初に、考古学者として目指すパターンについての説明です。水中考古学の父と呼ばれるジョージ・バス先生も、「水中で発掘を行う考古学は、多々単に考古学と呼ばれるべきだ」と言っていますし、「考古学者をダイバーに育てるのは簡単だが、ダイバーを考古学者として育てることは非常に難しい」と言っています。つまり、過去の人類が残した痕跡やモノから過去の生活を探る考古学の基礎が最重要になってきます。モノの見方、考古学の学史、方法論などを学びます。これは、考古学の講座がある大学ではどこでも学べるはずです。これは、海外でも日本でもOKですし、水中にこだわる必要はありません。「水中」考古学の基礎の98%は「陸」の考古学です。

次に、他の分野からこの分野に貢献するパターンについて。主に、文献史学、海洋学などがメインでしょう。水中考古学は、特に沈没船の調査などにおいて、タイプカプセルのような一括性の遺跡を発掘する機会が多く、また、一つの歴史の出来事の遺跡を検証します。 この場合、考古学者だけではなく、やはり歴史を学んだ専門家の意見が必要となります。そのため、歴史の分野での研究成果と考古学の発掘の成果を融合させるためには、考古学と歴史の両方面からのアプローチが大切になります。考古学者は歴史学から、そして、歴史学者は考古学から学ぶことがたくさんあります。お互いの研究を補えるはずでしょう。海洋学ですが、水中遺跡を見つけるためには、事前調査(サーヴェイ)が必要となります。これは、サイドスキャンソナー、マルチビーム、磁気探査、サブボトム・プロファイラーなどなど名前からすでに難しく聞こえる海洋調査機材を使用します。これらのデータ処理や実際の使用に際しては、やはり、海洋学の専門の先生が調査をしたほうがより効果的であることでしょう。

考古学者が歴史学をマスターしたり、海洋調査機材を覚えることも可能かもしれませんが、それよりも、その分野の専門家との共同・学際調査がより効率が良いことは明らかでしょう。しかし、考古学者もこれらの分野のことを少しは知っておかないと巧くこれらのメソッドを活用できないでしょう。また、協力するほうも考古学を少しは知っておくべきでしょう。水中にある文化遺産に興味を持つ人も多いでしょうが、この分野の発展には、そのように興味を持った様々な人たちの協力を得て研究を進めていくことが大切です。

最後になりますが、「水中考古学という学問」で成功をした人はいませんが、「考古学」でしっかりと成果をだして、水中考古学を行っている先生はいます。海外ではジョージ・バス先生などがその一人です。また、タイタニック号を発見したロバート・バラード先生も、「海洋学」で成果をだし、水中考古学に貢献しています。地球の70%以上を占める世界の海は広く、そして、その内の5%ほどしか人類はまだ見ていないそうです。研究の可能性は十分にあると思います。どの道を進むかは、本人次第ですが、今の自分の能力をさらに高めてそれをどのように水中にある文化遺産の保護・活用に役立てることができるかを考えるのが今後の進路を決める手掛かりになるのではないでしょうか?

水中考古学って発掘とか保存処理とか大変なの?

今回は水中考古学の調査は本当に大変なのか?ということを題材に自分の意見を少し書いてみました。少し長いですが、お楽しみください。

水中遺跡は一括性の遺跡であり、保存状況が良好であることが多いため、陸上の遺跡以上に考古学・歴史の謎を解く情報が多く詰まっていることが多い。これらの遺跡の調査は費用がかかるからと思いこんでいたら、多くの貴重な情報が失われてしまう。ここでは、水中遺跡の重要性について触れるのではなく、では、実際にどのように対処すれば良いのかを考えてみたい。沈没船を研究する意義や実際に何がわかるのか、なぜ、この研究が必要か?などの論点はこのウェブサイトのほかのページや水中考古学関連の刊行物を参考にしていただきたい。このページを書いた目的はもっと多くの人に、実際に水中考古学はそれほど大変な作業ではないことを知っていただきたいことにある。「水中考古学が日本でなかなか発達しない原因は?」と一般の人々や考古学者が聞いて連想するには以下の事柄が挙げられる。

1.遺跡の発見が困難であり遺跡の数が少ない

2.発掘に特別なトレーニングなどが必要で難しいし、保存処理にもまた資金が必要となる

「水中考古学は大変だね」という人はだいたい水中考古学を理解していない人である。実は、これらの問題は大部分が解決されているからだ...しかし、これらの「問題点」はもちろん大変な課題その通りである。水中考古学を発達させるに当たりこれらの問題を解決する必要がある(あった)...しかし、「解決」には必ずしも「正面から攻略」する必要もなく、考古学の遺跡へのアプローチの仕方ひとつでこれらを「回避」することもひとつの解決策と捉えることができる。海外で水中考古学が成功した背景には水中遺跡に対する考古学の手法を変えることによりこれらの問題に対処してきた。日本の場合、長い間培われた考古学遺跡へのアプローチの方法があり、世界に認められる成果を残してきた。簡単ではあるが日本の考古学の特徴(また、遺跡に対する姿勢)を述べてみる。遺跡はほとんどが緊急調査であり、発掘をせざるを得ない状況にあるため、「すべての記録をそのまま残す作業」が重視されている。また、遺跡の件数が多いため、緊急発掘を通して得られた情報から編年研究が発達している。つまり、緊急発掘で得られたデータをもとに、学術的な小さな手がかりを掴んで、ある定理の証明に必要なデータ提示する方法を取る。しかし、水中遺跡を陸の遺跡と同じように考え、考古学のアプローチを水中にある遺跡に組み込もうとするために上述した「問題」が発生するのである。では、これらの問題を「解決」した海外の水中考古学とはどのようなアプローチを取っているのであろうか?

 

1.遺跡の発見が困難であり遺跡の数が少ない

答え:遺跡をわざわざ探さないことである。

現在までに考古学発掘が行われた水中遺跡で実際に考古学者がお目当て遺跡を「探し当てて」調査に臨んだ遺跡は実は非常に少ない。海底から沈没船などの海底遺跡を見つけるのは、サイドスキャンソナーやサブボトムプロファイラー、さらには磁器探査機などを使用し海底面をくまなく探索する。同じ海域を何週間も行ったり来たりするのである。もちろん、何週間も調査をしても発見できないことが多い。しかし、これは「遺跡の数」が少ないわけではない。ここでポイントとなるのが、「考古学者が発見した遺跡」の数が少ないことである。現在までに調査が行われた水中遺跡のほとんどが実は「考古学者でない人々」が発見しているのである。主に護岸工事関係者(パイプラインの施設など)、漁業関係者、スポーツダイバーや歴史に興味のある人々である。例えば、アメリカのメキシコ湾岸には多くの油田(と海底パイプライン)があるが、これらの施設工事の際には海底の事前調査が行われ、すでに2,000件以上の海底遺跡が発見されている。また、漁師や海岸に住む人々などが発見することもある。地中海なども数千件の海底遺跡が報告されているが、ここでもスポーツダイバーなどが発見するケースが多い。お隣の韓国でも漁師が陶磁器などを発見したことから沈没船の発見に繋がることが多いようである。

つまり、「遺跡を発見するのが困難である」ことに対する解決策は「遺跡を発見する努力はなるべく最小限に控える」ことである。では何をするべきか?答えは簡単である。一般の人々(今これを読んでいる人)が水中遺跡を発見する可能性が充分にあることを自覚することである。少なくとも、私のような専門家よりも、護岸工事や埋め立て・浚渫事業に携わる人のほうが水中遺跡を発見する可能性は高い。これには、もちろん色々な人に水中考古学を知ってもらうと同時に海の上にモノを建設する際にはきちんと事前調査を義務化する必要がある。日本は水中にある遺跡に対して特定の法律が存在しない珍しい国である。考えてみれば、日本の陸上の考古学遺跡は大きな道路沿いに点在している...これは道路など公共事業の建設に先立って行われた事前調査・緊急発掘の賜物である。もし、陸上の遺跡に対して保護する法律がなかったとしたら、どうだろうか?これだけ膨大な資料が集まるはずはないのは誰が考えても結論は同じである。水中も全く同じである。逆にどこで水中と陸地を分けるのか疑問である。海の水位が上昇すれば現在の陸地は海となるわけで、例えばこれから100年後、東京の一部が水没したら、その場所は調査対象外となるのか?水中も陸上もきちんと事前調査を義務化しなければならない。

実は海底遺跡は本当はものすごく身近にあることが多い。水没した遺跡というのは、もともと陸であった場所が、水没したわけであるから、現在の陸に近い場所にあるのが普通である。深海のど真ん中に水没遺跡がある可能性はほぼない。では、沈没船はどうか?これも、基本的には陸に近い場所で沈没するケースが多いのである。沈没の原因は接触事故や浅瀬に乗り上げげたり、岩礁にあたるなどが多い。2012年の1月に豪華客船の事故があったが、浅瀬に乗り上げて座礁したようである。また、港の近くは交通量が多く、接触事故も多い。イギリスの保険会社の報告によると、過去300年ほどの統計でみると、沈没したケースの90%が実に水深50mよりも浅い地点で沈没しているのである。イギリスやオランダの東インド会社の記録もやはり、港や陸に近い場所で事故にあっている。日本の海運についての詳しいデータについて自分は勉強不足だが似たようなケースが考えられると思う。つまり、日本において、比較的浅い場所・陸から近い場所に水中遺跡があると考えると、開発が及ぶ地域、もしくは、すでに埋立地となった場所に多くの遺跡がある(あった・すでに破壊された)ことになる。

以上のことを考えると、日本において水中考古学の遺跡の発見数を増やすには一般の人に興味を持ってもらうこと、そして、法の整備が先決となる。考古学者だけがいくらがんばっても現実問題として、無理な話なのである。考古学者の役割とは、誰かが発見したときにより詳しく調査できる体制をとることと、情報の公開、そしてデータベースなどの管理が必要となってくる。このデータベース管理ということが後々キーワードとなるが、ここでは簡単に触れておくのみで次の項目に進みたい。

 

2.発掘に特別なトレーニングなどが必要で難しいし、保存処理にもまた資金が必要となる

答え:遺跡の発掘を控え、遺物も必要以上に引き揚げない

水中ではさまざまな制約があるのはもちろんだ。時には透明度も悪く、暗闇での発掘も珍しくはない。また、海流の流れも強く泳ぎながらの作業もある。そして、何よりも作業時間が短い。水圧が体にかかった状態で圧縮された空気を吸うわけであり、急に浮上すると体に溶け込んだ空気が気泡となってしまう。これを防止するにはゆっくり浮上することはもちろんだが、深い場所で長時間潜ることが出来ない。水深50mの地点では作業時間は10分ほどで、一日2回しか潜ることができない。安全性の確保のためにきちんと水中での作業のためのトレーニングを積む必要はある。しかし、この点ばかりが強調されているが、実は「考古学者」を育てるほうが難しい。ダイバーには訓練次第で誰でもなれるが、考古学者になるには時間がかかるし、何よりも根気が必要だ。ダイビングの訓練よりも考古学者としてのトレーニングを重視するべきである。さて、次に保存処理であるが、これもなかなか難しい問題である。水中にある遺物は陸上のある遺物よりも保存状態が良いことが多い。しかし、問題はきちんと保存処理を施さないと空気に触れたとたんにボロボロに崩れだすこともある。これを防ぐには遺物を長時間(時には10年から20年)薬品に浸す必要がある場合もある。スウェーデンの有名な沈没船ヴァーサ号は20年以上も保存処理が行われていた。つまり、発掘を担当した人が遺跡の保存処理を終え、最終報告書を出すころにはすでに引退をしていた場合もある。

さて、これらの問題をどう「解決」するのか?これも、答えは意外と簡単である。発掘が難しいのあればわざわざ掘る必要はない。そして、保存処理も、しっかりとした予算がないかぎり引き揚げずに現地保存をおこなう。これで、問題は回避できる。いや、これでは考古学ではないと思うかもしれない。発掘を行わないとはどういうことだろうか?詳しく説明をしよう。

水中の遺跡は開発が直ぐに及ぶことが少ないという特徴がある。例えば、パイプラインの施設の事前調査で遺跡が発見された場合、別の場所にラインを通す。陸の道路の場合はコースの変更は他の住宅地などもあり難しいので、発見されれば緊急発掘となる場合が多いであろう。しかし、海はまだ開発の余地があるケースが多いので、そのまま現地保存が可能となる場合が多い。もちろん、陸に近い場所では海の上であってもなかなか工事のプランが変更できないこともあろう。しかし、前述したように、基本的には発掘が困難になるのは水深が深い場所であり、浅い場所ではそこまで発掘が困難ではない。また、工事以外に、例えばスポーツダイバーの方が遺跡を発見した場合などは開発が直ぐに及ぶこともないので現地での保存が優先される。現地保存をしても台風や津波などで海底面が荒らされてしまう場合もあると思う人もいるだろう。そこで、オーストラリアやインドなど世界各地で水中遺跡を台風などから守るために水中に防護壁や網をはったり埋め立てるなど現状保存方法の研究が進んでいる。それ以上に人間が破壊するケースが多いので、そちらを先に解決したい。ユネスコの水中文化遺産保護法案も現地保存を第一目的とし、それが可能でない場合にのみ対処方法を考えることを原則としいる。現地保存をすれば、もちろん、費用のかかるトレーニングや保存処理など必要ない。また、最近の水中考古学の現状は、このような遺跡のマネージメントや現状保存の研究などが重要な課題となって研究が進んでいる。

では、考古学者って何をするの?と思うかもしれない。ここで、データベースがキーワードとなってくる。考古学者は遺跡が発見されたときに、その遺跡に潜り、発掘を行わず出来るだけあらゆることを記録する。発掘はせずに、その船の遺物の特徴から沈没年代の特定やどのような船であったかを考察する。これらの記録は一般に公開し、様々な専門化の意見を問う。沈没船は遺跡の種類が豊富なので、一人で研究をすることはほぼ不可能であり、歴史家や様々な考古学のスペシャリストの助けが必要である。逆に言えば、発掘する意義のある研究が出来る人が育つまで発掘を延期していると考えることも出来る。前述したが、水中遺跡は偶然に一般の人によって発見されることがほとんどである。つまり、発見されたものが最良の遺跡であるかは分からないのである。何億円もの費用を費やして10年研究を続けた後、ほんのその30m先に同時代のもっと保存状態が良好で、発掘環境も良い遺跡が発見される可能性も否定できない。そうなると、今までの努力が無駄であったと思ってしまう人もいるのではなかろうか?では、データベースの蓄積によって好条件の遺跡を待っていたら、いつまでたっても発掘できないし、どうやって成果をだすのかと悩むところである。しかし、ここでアプローチの違いが出てくる。水中考古学は事前調査によって遺跡を発見し、学術調査によって成果を出す学問である。水中考古学者は水中遺跡のデータベースをもとに、今、何が知りたいのか?今ある遺跡から何を学べるのか?どの遺跡がそれを答えてくれるのかを慎重に吟味する必要がある。つまり、はっきりとしたリサーチ・クエスチョンを提案し、どの遺跡のどの部分を調査するのか明確に打ち出してから、部分的発掘を行うのである。例えば、17世紀から18世紀にかけての舵と舵幹の接合部について研究したいとすれば、その部分が残っている沈没船を探し出し、その部分だけを水中で記録する方法をとる。海外では遺跡のマネージメントの他に研究の的を絞りピンポイントで発掘を行うスタイルが確立されつつある。または、ひとつの遺物の種類に絞って研究することも考えられる。

もちろん、すべての遺跡が現地保存できるわけではない。時にはどうしても工事のプランを変えることが出来ずに発掘に踏み切ることもある。しかし、この方法での利点は遺跡を破壊しないことと、費用がかからないこと以外にもメリットがある。それは、考古学者ダイバーの実践トレーニングが出来ることにある。このような小さなプロジェクトを積むことにより、実際に工事などで緊急発掘が必要となっても実践で訓練されたダイバーが充分育ってくれているのである。また、少数の遺物を引き揚げ、保存処理の研究を行い、今後起こりうる大型船の緊急発掘に備えノウハウを積むことが出来る。

 

結論

水中考古学の調査や発掘には様々な壁があるように捉えられている。特に、遺跡の発見が困難であり、また、発掘や保存処理には費用と時間が掛かることが考えられる。しかし、陸上の緊急発掘をベースとした日本の考古学の考え方では大きな障害に見えても、実際にはこれらの問題点は少し違った視点(特異な遺跡への対処方法)から眺めることで解決できる場合が多い。つまり、考古学者は水中文化遺産保護へ向けての啓蒙活動と情報収集に従事し、明確な研究対処にそった小規模の(非破壊)調査を繰り返すことを第一目的とすることにある。

全体的に少し理想論的な部分もあったが、実際に水中考古学先進国ではこのような動きが最近顕著に現れている。また、もちろん水中考古学の発達にはさまざまなパターンがあっても良いわけで、日本の土地にあった手法を考えなくてはならない。しかし、すでに多くの水中遺跡が開発により失われており、また、世界に比べこの分野では国家の取り組みが殆ど無いことは非常に大きな問題であり、ひとつの解決策として提案してみた。しかし、アジア水中考古学研究所などが中心となり、日本の水中遺跡のデータベースの作成を行っている。これらの成果は世界からも評価されるべき動きである。このデータベースをもとに、地方自治体や政府が真剣に国としての対策を検討する必要がある。また、これを読んだ人で、海で作業をする人であれば、何か思い当たることがあるかもしれない。水中文化遺産保護のために自分で何をするべきか、何が出来るか考えてみていただきたい。小さなステップであれ何か大きな発展に繋がるかもしれない。

最後に、水中考古学って発掘とか保存処理とか大変なの?と聞かれたら、こう答えましょう。

「陸上の発掘の常識やアプローチをそのまま水中に当てはめると大変そうに思えるが、水中遺跡を巧くマネージメントすることにより現地保存を前提とし、非破壊調査で少しづつ成果を蓄積していく方法をとるので、思っている以上に難しいものではない。しかし、これを実現するためには、一般の人々の理解を広めることや、政府関係者が法の整備に着手することが先決である。」

 

新入生!

新学期が始まり2週間がすぎました。そろそろ新しいクラスにもなれ始め、講義の内容も本格的に難しくなってくる頃です。さて、今年の新入生はどんな生徒が入ってきたかというと...


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NASが水中考古学のフィールドトレーニングについての新刊を出版

イギリスの水中考古学調査団体NASが新たなトレーニングガイドの本を刊行しました。最初のトレーニングガイドが出版されたのが1995年。以来第2版の出版が望まれていました。新たなガイドは、第1版を踏襲するかたちで、新たな調査技術について触れられています。またカラー写真が増えたりもしています。第1版から省略されたチャプターもあるので、新・旧両方のトレーニングガイドを持っているのが良いかもしれません。また調査事例などはどうしてもイギリスやアメリカが中心となっています。価格は洋書としては、低めに設定されているので、購入し易いかもしれません。