蒙古襲来

Deetz Award 

アメリカの歴史考古学学会(Society for Historical Archaeology-SHA)は毎年1月に学会を開催しています。その中で毎年ブックアワードでDeetz Awardがあり、特に新しい分野などに貢献した1冊の本が選ばれます。

今年は、このサイトではお馴染みのJames Delgado先生の”Khubilai Khan’s Lost Fleet”が選ばれました!Delgado先生はナショナルジオグラフィックテレビの取材で長崎県鷹島の元寇遺跡を訪れ、蒙古襲来に興味を持ったようです。その後も日本の水中考古学の活動を影ながら支えております。この本はそれほど専門的なことは書かれていません。考古学の本ではありますが、あまり詳しくはなく、歴史の本として売られているのか、考古学として売られているのか、微妙なところです。実は先生は私に「専門なところはお前が書くんだ」と、この本はその前座として書いたものなのです。。で、私の本は現在出版社で校正中なので、今年中には出版されるでしょうが、なにぶん英語で専門的なので、日本の読者にはほとんど届かないでしょう。機会があれば、日本語訳を出したいですね。ただし、新安沈没船の隔壁が12cmだ、蓬莱1号は8cmだ、などなど…専門書は面白く書くのは難しい!まあ、面白く書くことが目的ではないので仕方が無いか…

さて、先生の本ですが、専門的ではなくアメリカの一般向けの本ですので、日本の歴史や元寇について分かりやすく書いてあります。とても読みやすい物語のような感じです。日本人としては、物足りない気がするでしょうし、また、太平洋戦争の「神風」などにもページ数を費やしているのは、「やっぱり」アメリカ向けと感じてしまいます。それはそれでいいのでしょうし、このように海外で評価されているのは良いことでしょう。海外からみた蒙古襲来を学ぶにはとても面白いかもしれません。英語もそれほど難しくないですし、本を毎年数冊出すかなりの書き手なので、やっぱり表現力が巧いです。英語でこんな風に書けたらなといつも思います。そう考えれば英語を学ぶためには良い本でしょう。

今年のブックアワードに選ばれたのは少しびっくりしましたが、それだけ日本やアジアの水中考古学が海外から期待されているということでしょう。長崎県松浦市から発掘の報告書などが出されていますが、まだまだ日本を代表する水中遺跡を知らない日本人は多いことでしょう。もう少しポピュラーな蒙古襲来と考古学とか、水中考古学が明かす元寇の謎みたいな本があればいいですね。

ちなみに、長崎県鷹島には歴史資料館があり、現在保存処理中の遺物なども頼めば見せてくれるとおもいます。つり好きの人は是非ついでにどうぞ。

アメリカ人の見た蒙古襲来!

日本へも何度か来たことのある著名なDelgado博士が蒙古襲来と鷹島海底遺跡などについて本を出版されました。鷹島海底遺跡の発掘に参加した関係者や2008年の海洋考古学フォーラムに参加した人はデルガド博士にお会いしたはずです。鷹島にカナダからの撮影メンバーを連れてきた先生です。

さて、肝心の本の内容ですが...もちろん英語が読めないといけませんが、アメリカ人向けに書かれているので日本人の歴史好きの人には物足りないかも知れません。神風と第2次大戦の関係を多少重視しすぎている気もします。ですが、最新の考古学の情報、そして大きな視野で蒙古襲来を見ていることなどはアプローチの仕方などが新鮮に感じます。

また、鷹島の発掘や調査に参加した人には懐かしく感じるかもしれません。日本での発掘の様子や人物の紹介なども物語風に描かれています。デルガドさんを覚えてる人は読んでみるともしかしたら、「あれ、これ自分のこと?」と思うことでしょう...もちろん私もちょくちょく出てきます(写真つき)。歴史の本として部類されるよりは体験談と随筆といったところでしょうか?日本語に翻訳されるか今のところ予定はないそうです。

元寇遺跡、水中考古学に興味のある人はぜひどうぞ。値段も意外とお手ごろ価格です。