in situ

鷹島(元寇船)の水中遺跡の管理計画がまとまったようです

元寇の際に使われた船が発見され注目を集めている長崎県の鷹島海底遺跡について、今後の方針案がまとまったようです。

詳しくは、新聞記事をご覧ください

発見された船はひとまず海底で現地保存をし、周辺海底を探査してより多くの沈没船の発見・周知を行う予定です。現地保存と言っても、そのまま放置するわけではありません。遺跡が現在の状態で最善であるかどうかを審査し、モニタリングを行いながら水中でほとんどかえずに現状を管理を行います。遺跡の発掘行為は遺跡を破壊することです。また、保存処理など多くの資金を必要とし、また、永続的に保護・管理・活用していくためにはその体制もつくっていかなければなりません。そのためにも準備期間が必要です。

水中遺跡は、その特異な環境にあることから、陸の遺跡と同等に扱われないことがありますが、そもそも陸の遺跡と水中の遺跡の管理方法に関しては同じ考え方で良いはずです。発掘や探査方法は陸よりもテクニカルな面がありますが、しかし、そのマネージメントや活用方法は変える必要がありません。

今までは水中遺跡が出てきたら「引き上げる」かどうかという議論が中心でした。しかし、これは少しおかしな話です。というのも、現在、陸にある遺跡はそこにあることが判っていても発掘しないのが普通です。遺跡が埋まっていればある程度安定した(保存された)状態にあります。そのため、開発がおよび遺跡が壊されるときに初めて発掘調査をおこない、記録を取ります。日本の文化財行政はこれが基本です。しかし、開発がおよぶまでなにもしないわけではありません。様々な情報から遺跡のある場所を確認し、周知します。そして、その周知のエリアが開発されるときにはじめて発掘されるわけです。

水中の遺跡も保存処理や維持費にはお金がかかります。ですので、発掘せずに「積極的」に原位置での保存を行います。また、水中の開発の場合、基本的に工事などのプランを変えることは(工事の計画段階であれば)比較的容易です。陸上の工事のように決められた土地に限定されていないことが多いからですね。そのため、工事のプランを少し変えて遺跡の現状を維持することが最善のようです。

しかし、遺跡の現状が最上でない場合もあります。砂で遺跡をかぶせたり、囲いをつくるなど様々な方法で水中で安定した状態を保ちます。遺跡の保存に向いているのは、無酸素状態でpHが7程度、バクテリアなど有機物が少ないことなどなど。これらの遺跡の保存に最適な環境を水中で作り上げ、そして、きちんとその状態を保っていられるか、定期的に遺跡にもどりさまざまなサンプリングやデータを集めます。この作業がモニタリングと呼ばれています。酸素濃度やpH、堆積層などを一年を通して調べて遺跡が安定した状態にあるかを判断します。原位置保存のためのモニタリングやその方法なかなり専門的な話となってしまいますので、グーグルでin situ preservation, underwater cultural heritage management,などのキーワードで調べてみてください。

日本の水中遺跡について少しでも興味のあるかたはにはすっかりお馴染みになった鷹島海底遺跡。水中遺跡として国の指定史跡となったのは初です。もちろん、水中にある周知の遺跡は他にもたくさんありますが、そのお話はアジア水中考古学研究所(ARIUA)をご覧ください。今日は鷹島についてのおはなしですが、もちろん、他の水中遺跡についても同じような管理・マネージメント・モニタリングをおこなっていかなければなりませんね!