沈没船引き上げ 宝 トレジャーハンター

最近何かと話題のトレジャーハンターの動向について、いろいろな情報をもとに集めてみました。

つい先日、Greg Stemm氏が代表のOdyssey Marine社が大西洋で今までにない大量の金貨などを積む沈没船を発見し話題になりました。この沈没船はBlack Swanと言われていますが、秘密とされています。このニュースが出たとたんこの会社の株価が上がっています…投資する人も増えるでしょうが。

さて、この会社は考古学的調査をしてないことは確実です。以前にRepublicという船を発掘(破壊)したときも、船体に穴を開けROV(水中ロボットを使い販売できる価値のあるものを取り出しています。

今回の船もマニラガレオン船だと言われていますが、詳しいことはわかりません。この会社は1641年に沈んだイギリス船Merchant Royalを捜していたのは事実ですし、またジブラルタルでEssex号も発見しています。このEssexについても発掘許可をスペイン政府からもらっています。本来であれば管轄の地元自治体にサルベージ許可を申請するのですが、何も知らない政府の高官に話をつけ合意をもらったそうです。ですので地元自治体は許可を与えていないと反対しています。

現在、UNESCOでは水中文化財保護の条約制定を推し進めています。UNESCEOの原案があり、ネットでもごらんになれます。 http://unesdoc.unesco.org/images/0012/001260/126065e.pdf

世界20カ国がこの法案を採択すると国際法となります。今年、もしくは来年中には目標に到達し、国際法としての効力を発揮します。この法案では各国が国を中心となり水中文化財保護を進めていくこと、そして水中文化遺産の現状維持、遺物の売買の禁止などが掲げられています。つまり、トレジャーハンティングもそろそろ合法でなくなる日が近くなっています。

さて、Black Swanに戻りますが引き揚げられた遺物は会社の本部にあるフロリダに送られました。ここで保存処理が行われるようです。水中から引き揚げられた遺物は保存処理なしではすぐにぼろぼろになってしまいます。引き揚げられた遺物のリストなどあれば船の特定は可能なのですが…未だにこのような盗掘が耐えません。水中も陸上も同じ遺跡であることは変わりないのですが。報道のされ方にも問題があるようです。

また、スペイン政府がフロリダに会社に起訴を起こしたようです。国際法では軍艦などはもともと政府の持ち物として認められており、沈没した後も所有権は残されます。つまり、もしガレオン船であればスペインの所有権があるのでスペイン政府の許可が必要となります。これを無視して盗掘したのであれば、もちろん国際法違反となります。

何十年か前になりますが沈没船から必要な遺物を引き揚げた後、発見されるのを恐れてダイナマイトで完全に船体を粉砕したトレジャーハンターがいたそうです。現在ではこのような遺跡の破壊行為はトレジャーハンターの汚名行為なので行われることはないでしょう。  まだ水中文化遺産保護に関心の薄い政府などから許可をもらい合法で引き上げを行っている会社がほとんどです。一応考古学者(大学で考古学を学んだ者)を調査に同行させており、ある程度簡単な遺物の位置などを記録していますが、やはり考古学調査と呼ぶにはあまりに簡単・適当のようです。また、遺物に興味があるため、その他の有機物、船体などは引き揚げられず放置されることがほとんどのようです。

このような引き揚げにくらべ、海洋考古学本来の調査は全く違います。例えば3300年前のウルブルン沈没船は10年ほど発掘を行い、現在でも遺物一つ一つ調査・研究が行われています。また、トルコ海洋考古学博物館は人気1-2を争う博物館として地域の重要な観光資源となっています。さらにはスウェーデンのヴァーサ号博物館は年間75万人が訪れます。つまり、500億相当のお宝とかいってますが、儲けるのは一部の人だけですぐに忘れ去られてしまいます。きちんとした海洋考古学調査では遺物を後世にのこし、地域の発達、博物館収入など間接的にさまざまな人が儲けることができるのです。

日本でも沈没船の引き上げが話題となってしまいましたが、これを機会にUNESCOにのっとった考古学的調査、海洋考古学に興味を持っていただけるきっかけとなればよいのではないでしょうかと考えています。

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