今週もニュース!

今週も世界の水中考古学ニュースをお伝えします!

 

①Shipwreck From the War of Independence Discovered Off Greece

ギリシャ沈船発見!古代アテネ、アンフォラではなく…今回は、ギリシャ独立戦争時の船!

 

https://greekreporter.com/2023/03/10/shipwreck-war-independence-discovered-greece/

ギリシャで沈船発見と言えば、古代アテネ時代のアンフォラなどを連想しがちですが…今回は、ギリシャ独立戦争時の船! 19世紀ですね。水深は、4メートルと意外と浅い。テレビ、タイヤ、コンクリートブロックなどゴミの中に大砲やライフルが混じているのが見つかり、そこから歴史的発見につながったようです。
このように歴史的重要な遺跡にもゴミが溜まることが多々あります。海の清掃などをする場合など、ご注意を。貴重な遺跡や遺物も一緒に捨てていないか…。海洋問題とか海ゴミなどでダイバーさんなども清掃していますが、歴史のカケラも捨てていないでしょうか?

 

 

②ドッガーバンク(ランド)の考古学・旧石器時代からの水中遺跡

 

Magnetic fields could provide the key to studying submerged civilisations

https://interestingengineering.com/science/scientists-clues-mysterious-undersea-civilization

https://www.techtimes.com/articles/289084/20230316/magnetic-fields-key-underwater-civilizations-new-study.htm

 

 

イギリスの東・オランダの北には、大きな浅瀬があります。ドッガーバンクと呼ばれている地域です。ここには旧石器時代以降、人が住めるほど大きく、ヨーロッパ大陸の一部でした。その後、氷河期が終わり海の水位が上がると、人は内陸へと移っていきました。現在、洋上風力発電開発がこのエリアにも進んでいます。幸い、考古学調査が義務化されていることもあり、多くの遺跡が発見されています。石器時代の研究に、水中遺跡は欠かせないものになるのかもしれません。磁気探査機を使い、古代の溝など掘削の跡なども発見できるようになっています。

さて、日本も海洋開発に際して遺跡の事前調査を徹底して欲しいですね…。

 

 

https://www.thecrownestate.co.uk/media/3917/guide-to-archaeological-requirements-for-offshore-wind.pdf

 

さて、こちらの冊子(PDF)、イギリスの会社が出版した洋上風力発電に関する考古学調査のプロトコル。ぜひ、ご覧になってください。海洋開発に対して、世界ではどのような考古学調査が行われているかわかります。

 

 

③オスロの地下から歴史的護岸が発見。もと水中遺跡の調査

Ruins of the 700-year-old wharf, possibly used by royalty, found in Oslo

オスロの地下、11~13世紀ごろの港の跡が発見されました。近代以降の埋め立てにより、上部は破壊されていましたが、もともと海の中にあった基礎部分は残っていました。どうやら王室が保有していた港施設のようです。過去の埋立地であっても、その下には、このように遺跡として当時の港の跡が残っていることが良くあります。

埋立地の再開発で「もと水中遺跡」が発見されることは、海外ではよくあります。日本では、埋立地は基本的には周知の遺跡がないので調査されることがほとんどありません。

 

 

 

④本の紹介!CONTEMPORARY PHILOSOPHY FOR MARITIME ARCHAEOLOGY

https://www.sidestone.com/books/contemporary-philosophy-for-maritime-archaeology

CONTEMPORARY PHILOSOPHY FOR MARITIME ARCHAEOLOGY

Flat Ontologies, Oceanic Thought, and the Anthropocene

 

海事考古学のセオリーがぎっしり詰まった本。これは、買わないと。海事文化遺産の考え方、どのように分野が発達してきたのか。詳しく書かれています。また、蛸ちゃんたちによる海底遺跡への影響についても、しっかりと書かれています。ちょっぴり難しいですが、面白いアイディアや考え方が詰まってます。現在、オンラインで無料で読めます。

 

タコは、遺跡に住み着いて、よく光る物や小物を自分の巣に持ち帰ります。遺跡を荒らしてしまうわけですが、なんか憎めない存在です。蛸さんたちにとっては、アンフォアなど壺のたくさんある水中遺跡は、絶好のマンション…。

 

 

⑤The ancient secrets lurking beneath the Black Sea

黒海の沈没船の秘密に迫る!

https://www.bbc.com/reel/video/p0f9h955/the-ancient-secrets-lurking-beneath-the-black-sea

 

黒海は2層からなる不思議な海。下層は、無酸素層となっており、ほとんど生物の存在しない暗黒・死の海とも言える場所…。そこには、微生物などに分解されないままの木造船が残されています。数千年も有機物が破壊されずに残っている。そんな不思議な黒海の水中遺跡を紹介している動画です。

 

 

⑥Texas A&M grad student explores ancient warfare with naval ram project

ポエニ戦争中のアエガテス島海戦で使われた衝角の鋳造実験中!

https://sciencex.com/wire-news/440442776/texas-am-grad-student-explores-ancient-warfare-with-naval-ram-pr.html

ローマVSカルタゴの戦いの海戦、アエガテス島沖。当時の船の先端に取り付けられた武器、衝角が発見されています。テキサスA&M大学の大学院生が、それらの衝角の3Dデータから、鋳造実験として実際の衝角を造る計画を進めているとか…

ちなみに、体当たり用の衝角ですが、19世紀の軍艦にも装備されています。鉄製の軍艦は防御力が高く大砲だけでは撃沈できないとされていました。そのため、大砲を打ち込んで舵などを破壊し機動力を奪った後に、衝突させて船を乗っ取る先方が取られていました。日露戦争の戦艦三笠にも装備されていました。しかし、日本海軍が一斉射撃や新弾頭の開発、統制の取れた艦隊運動などにより大砲による攻撃だけで敵の艦隊を撃滅できることを証明しました。それにより攻撃力重視・大砲主義が進み(弩級艦の登場)、衝角は姿を消しました。古代ローマの戦術が、日本海海戦まで残っていたって、すごいことですね。

 

 

 

⑦NMK underwater museum in Kenya 

ケニアの水中遺跡公園整備が進む!

 

https://constructionreviewonline.com/projects/nmk-underwatermuseum/

 

ケニアの水中考古学は日々進歩しています。Fort Jesusのあるモンバサでは40年いじぃう前に沈没船の調査が行われ、国立博物館がその遺物を管理しています。近年では、中国政府と協力してイゴメニ沈船の発掘調査を行いました。明時代の鄭和の船の可能性があるとして調査が始まりましたが、どうやら西洋の船であると判明…。ケニアは水中遺跡公園として観光客を呼び込み、持続可能な事業、ブルーエコノミーの一環として進めているようです。

 

 

⑧スカンジナビア半島で100年ぶりの発掘

 

4 Years After Discovery, the First Viking Ship Burial Found in Over 100 Years Reveals its Lost Secrets

スカンジナビアでは、およそ100年ちょっと前、木造船で造られたお墓(棺)の発見が相次ぎ、ヴァイキング時代の船の研究が進みました。今回、100年ぶりにヴァイキング船のお墓の発掘が進んでいます。数年前に地中レーダーで発見されていたものだそうです。ただ、船体の木材は、ほぼなくなっていたようですが、鉄の金具の位置などから復元可能。成果に期待しましょう。

 

 

 

⑨オーストラリア、ユネスコ水中文化遺産保護法の批准まで、あと少し。

https://www.miragenews.com/underwater-heritage-and-taxation-agreement-with-944213/?fbclid=IwAR3geBbG-gS89qZhpKULDq9qtGf49NRV_2ZKEDnx6MbN0k9lSYodfeZaJ8I

 

 

ユネスコ水中文化遺産保護条約、批准国がどんどん増えています。そろそろ80か国。オーストラリアでは、議会の承認プロセスを進めているようです。条約に批准しようがしまいが、水中遺跡の保護はもちろん国内法で整備可能。そのため多くの国では、「わざわざいそいで批准する必要もない」との意見でした。

特にオーストラリアのように、それぞれの州で独自に水中遺跡を保護する体制や法律があると、それぞれがユネスコ条約とのすり合わせをする必要があります。場合によっては、各州で法律の改正も…それは、面倒だと。また、政治的に批准するメリットが少ないといってこともありました。が、やはり国際世論の高まり、自国の文化遺産が他国にある場合などもあり、批准に向けて動き出しました。

10年ほど前から研究者や文化財関連に関わる政府関係者が動き出し、やっと…。実際に批准するまで、あと1歩。今年中に批准されるかな~とみています。

 

 

 

 

⑩「水中考古学と地球科学―文理融合から導く総合学術知」

https://www.youtube.com/live/eRDS72eqL9w?feature=share

 

 

東海大学で水中遺跡のシンポジウムが行われました!

オンラインで配信されていますので、ぜひごらんください!

 

ロマンしかない 水中遺跡や地球科学のシンポジウム NHK静岡

https://www.nhk.or.jp/shizuoka/lreport/article/000/95/

 

 

引用元:https://www.nhk.or.jp/shizuoka/lreport/article/000/95/

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