アジアで進む水中文化遺産の保護

ここ1-2年の間にアジアでもどんどん水中文化遺産保護の動きが高まり始めています。韓国や中国はもちろんですが、一見すると経済的に水中文化遺産をマネージメントするのは難しいのでは?と思える国も進んで水中の文化遺産の保護を国の政策として打ち立てています。

今日は、ここ1ヶ月以内ほどに入ってきたアジアでの水中文化遺産保護の動きについて書かれた一般ニュース記事を集めてみました。どの国も「現状維持」をベースにマネージメントを強調しているのが特徴といえます。水中考古学はお金がかかるというイメージがありがちですが、ユネスコなどが打ち出している水中文化遺産の保護はどれも遺跡のマネージメントで現状での保存を最優先しています。つまり、お金がそれほどかからないことになります。発掘をするという考古学のパラダイムから遺跡をどのように保護・管理しながら情報を得るかというパラダイムへの返還が顕著に見て取れるのではないでしょうか?

 

それでは、最初にスリランカから。

Daily Mirrorからの記事を少し解釈を加えて解説します。元の記事はこちら。No salvaging of wrecks

記事を読む限り、国として方針が定まったように感じられます。また、”strictly implement the law against any form of salvaging of ship wrecks”とありますので、すべての沈没船において(遺物などを持ち去る行為を)禁止することになったようです。沈没船などは良い漁場にもなりえるので、そのことも評価されているようです。ただし、沈没船はダイバーからの観光収入もあるので、沈没船ダイビングについてはOKが出ているようです。現在のところ、スリランカ周辺では約50隻の沈没船が確認されているとのこと。

ひとつ興味深いのは、「コマーシャルダイバーが沈没船を調査することを禁止したわけではない」こと。ただし、遺物を持ち去ることは出来ない。また、引き揚げは国からの許可・指導を受けないと行えないそうです。ユネスコのスタンダードに沿った政策のように感じられますね。ただ、沈没船のパトロールなどを行わないといけないかもしれませんね。まだ多少解決していクべき問題はあるでしょうが、大きな一歩を踏み出した様子です。

 

さて、次にインドネシアはこちらの記事から。Indonesia’s Shipwrecks Mean Riches And Headaches (PHOTOS)

Huffingtonpostからですが、写真などが幾つかあるので、ご覧ください。

インドネシアは現在までに、国が把握しているだけでも500隻ほどの沈没船が確認されています。9世紀のインド洋からの船で中国と貿易をしていた船や、ジャンク船、ヨーロッパの船など実に様々です。2010年に水中文化遺産を保護する法律が出来るまでは、サルベージ会社(トレジャーハンティング)が介入し、国の合意の上(賄賂が横行していたようです)で遺物などを売買していました。しかし、今日ではこれらの行為が違法とされているようです。これまでに国に届出をせずに盗掘された沈没船もあるでしょう。インドネシア周辺の海には1万隻ほどの沈没船がまだ残されている計算もあるようです。

しかし、国の管理などが行き届いていない面もあるようです。漁師などが遺物を引き揚げて売ることはごく一般的に行われているようです。なかなか漁師すべてに禁止令を出したりパトロールをするなど課題は残されているようです。

 

それでは、最後に台湾から。Taiwan Todayからの抜粋です(記事ID Publication Date:03/09/2012)

日本語のニュースなので、抜粋をご覧ください。台湾については個人的な意見は書きませんので、読者のみなさまの自由な意見でお考えください。

台仏水中考古学協力で、海洋文化遺産の保護へ

行政院文化建設委員会とフランスの水中・海底考古学調査部は6日、4年を1期とする、「台湾・フランス水中考古学協力行政協議」を締結すると共に、座談会を開催した。文化建設委員会資産総管理処準備室では、水中文化遺産の保存・メンテナンスおよび宣伝は世界各国が日増しに重視しつつある課題であることに鑑み、澎湖島から台湾海峡にいたる範囲における水中文化遺産の長期的な調査作業に積極的に取り組んでいる。

同準備室ではまた、法令の制定で水中文化遺産を破壊や盗難から守り、関連の歴史文献の収集などで研究を助けられるよう期待。専門的な実験室と修復室を設けて引き揚げられた遺物の保存と修復を行うと共に、海底調査や撮影、発掘、修復の専門人員の育成にも努める。同時に、海洋文化遺産に対する国民の認識を向上させ、特に「それぞれの場所での保護」と「盗難防止」などの国際的な観念の普及を進めて世界との連結を図る。

(中略)

...当時、南シナ海と台湾本島、澎湖島、東南アジア諸国、日本、朝鮮の間の「アジアの地中海」で頻繁な海上貿易があったことの証拠である。古代において台湾は「海のシルクロード」の重要な拠点の一つであり、豊富な水中文化遺産に対する研究と保護が待たれている。

 

 

 

 

 

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