蒙古襲来

蒙古襲来に新たな見方?

朝日新聞で、2017年1月8日の記事に『勝因は「神風」ではなかった? 「元寇」に新たな見方』といものがありました。

元寇(蒙古襲来)の新事実としており、近年出版された服部先生の本や、ベトナムのバクダン川の木杭、鷹島の調査などなどについて触れています。非常に読みやすく、大きな間違いもそれほどないでしょう。

しかし、本当に最新なのか?どうして今、記事になったのか、少しわかりません。蒙古襲来について、むかーし学校で習った程度しか知らない人にとっては読みごたえのある記事だと思います。最新の研究は、もっと先をいています。

鷹島の遺跡や最新の水中考古学の成果など、調べてみるといろいろあるかもしれません。

NHKスペシャル 蒙古襲来(幻の巨大軍船)

11月3日の夜7:30よりNHKスペシャルで蒙古襲来(水中考古学)についての特集があります!長崎県鷹島で元寇の船が発見されたことなどを中心とした内容だそうです。

NHKもここ数年取材を続けていたそうです。主に水中考古学の成果などで、軍船の特徴や、水中発掘、探査の様子など色々紹介するそうです。内容は専門的な話は殆どなさそなので、全く水中考古学や元寇について知らなくても楽しめそうな内容に仕上がっていると思います。

鷹島の遺跡は数十年もいろいろな研究者が関わってきた貴重な海底遺跡です。ここ数年は、琉球大学の池田教授が中心となっています。もともと、今回の発見も、東海大学の根元教授の探査の成果が発揮された結果ですし、それ以前は、アジア水中考古学研究所(ARIUA)などが調査を進めてきました。ARIUAの調査ではすでに500件以上の木材が引き揚げられ、6mほどある隔壁材や、大型の椗などが発見されています。

いままでの、これらの地道な調査のもとに、今回の発見がありました。現在、国の指定遺跡となりましたが、今後ますます発見が相次ぐことでしょう。実は、今回の発見は、それほど保存状態の良い船ではないというのが水中考古学の専門家からの意見です。引き揚げには資金が掛かりますので、慎重を要します。この発見よりも、もっと凄い発見がまだまだま待っているはずです。それらを探すことがこれからの作業になると思われます。これ以上の船はたくさん眠っているはずです。

実は、水中では陸上に比べて遺跡が残りやすいのです。酸素から遮断されますから、陸上ではほとんど残ることのない有機物(木材など)が残っていることが多くあります。3000年以上も前に沈没した船なども世界では発見されています。今回の発見は日本の水中考古学にとってはセンセーショナルなものですが、世界ではすでに何千もの水中遺跡が発見・発掘されています。番組では韓国や中国でも水中考古学の成果を紹介するそうですので、そちらも楽しみですね。韓国の新安沈没船や、中国の数々の沈没船のような船が日本近海にまだまだ眠っているはずです。また、もちろん、蒙古襲来で使われた船だけではありません。古代・中世の船など見えないだけで実は多くの水中遺跡が発見を待っています。

さて、番組の内容にもどりますが、実は私も出演予定です。ここでも何度か紹介しているベトナムの元寇(白藤江の戦い)の調査の様子が紹介されます。番組の最後のほうで3-4分ほどですが、出るそうです。百聞は一見にしかずですから、是非、多くの人に見てもらいたいですね。11月には簡単な調査も計画されています。

それでは、明日の夜の放送をお楽しみに!また、見た方は感想もお願いします!

Deetz Award 

アメリカの歴史考古学学会(Society for Historical Archaeology-SHA)は毎年1月に学会を開催しています。その中で毎年ブックアワードでDeetz Awardがあり、特に新しい分野などに貢献した1冊の本が選ばれます。

今年は、このサイトではお馴染みのJames Delgado先生の”Khubilai Khan’s Lost Fleet”が選ばれました!Delgado先生はナショナルジオグラフィックテレビの取材で長崎県鷹島の元寇遺跡を訪れ、蒙古襲来に興味を持ったようです。その後も日本の水中考古学の活動を影ながら支えております。この本はそれほど専門的なことは書かれていません。考古学の本ではありますが、あまり詳しくはなく、歴史の本として売られているのか、考古学として売られているのか、微妙なところです。実は先生は私に「専門なところはお前が書くんだ」と、この本はその前座として書いたものなのです。。で、私の本は現在出版社で校正中なので、今年中には出版されるでしょうが、なにぶん英語で専門的なので、日本の読者にはほとんど届かないでしょう。機会があれば、日本語訳を出したいですね。ただし、新安沈没船の隔壁が12cmだ、蓬莱1号は8cmだ、などなど…専門書は面白く書くのは難しい!まあ、面白く書くことが目的ではないので仕方が無いか…

さて、先生の本ですが、専門的ではなくアメリカの一般向けの本ですので、日本の歴史や元寇について分かりやすく書いてあります。とても読みやすい物語のような感じです。日本人としては、物足りない気がするでしょうし、また、太平洋戦争の「神風」などにもページ数を費やしているのは、「やっぱり」アメリカ向けと感じてしまいます。それはそれでいいのでしょうし、このように海外で評価されているのは良いことでしょう。海外からみた蒙古襲来を学ぶにはとても面白いかもしれません。英語もそれほど難しくないですし、本を毎年数冊出すかなりの書き手なので、やっぱり表現力が巧いです。英語でこんな風に書けたらなといつも思います。そう考えれば英語を学ぶためには良い本でしょう。

今年のブックアワードに選ばれたのは少しびっくりしましたが、それだけ日本やアジアの水中考古学が海外から期待されているということでしょう。長崎県松浦市から発掘の報告書などが出されていますが、まだまだ日本を代表する水中遺跡を知らない日本人は多いことでしょう。もう少しポピュラーな蒙古襲来と考古学とか、水中考古学が明かす元寇の謎みたいな本があればいいですね。

ちなみに、長崎県鷹島には歴史資料館があり、現在保存処理中の遺物なども頼めば見せてくれるとおもいます。つり好きの人は是非ついでにどうぞ。

アメリカ人の見た蒙古襲来!

日本へも何度か来たことのある著名なDelgado博士が蒙古襲来と鷹島海底遺跡などについて本を出版されました。鷹島海底遺跡の発掘に参加した関係者や2008年の海洋考古学フォーラムに参加した人はデルガド博士にお会いしたはずです。鷹島にカナダからの撮影メンバーを連れてきた先生です。

さて、肝心の本の内容ですが...もちろん英語が読めないといけませんが、アメリカ人向けに書かれているので日本人の歴史好きの人には物足りないかも知れません。神風と第2次大戦の関係を多少重視しすぎている気もします。ですが、最新の考古学の情報、そして大きな視野で蒙古襲来を見ていることなどはアプローチの仕方などが新鮮に感じます。

また、鷹島の発掘や調査に参加した人には懐かしく感じるかもしれません。日本での発掘の様子や人物の紹介なども物語風に描かれています。デルガドさんを覚えてる人は読んでみるともしかしたら、「あれ、これ自分のこと?」と思うことでしょう...もちろん私もちょくちょく出てきます(写真つき)。歴史の本として部類されるよりは体験談と随筆といったところでしょうか?日本語に翻訳されるか今のところ予定はないそうです。

元寇遺跡、水中考古学に興味のある人はぜひどうぞ。値段も意外とお手ごろ価格です。