海洋開発と水中遺跡 イスラエルの場合

海洋開発、特に洋上風力発電、資源(ガス・油田など)の採掘は、海底の環境を大きく変えてしまうことがあります。そのため、環境アセスメントなどが行われます。開発が環境(生物など)に影響しないかを調べています。イスラエル近海では、近年、油田・ガスなどが発見され、新たな経済基盤になると考えられ、大きくニュースなどで報道されています。また、トルコなど隣国との海の境界線に関してもイザコザガあったようです。

諸外国では、環境アセスメントに水中文化遺産の調査も含んで考えることが常識です。水中遺跡は、陸の遺跡と同様に9割は開発対応です。が、幾つか問題があります…

そこでこのニュース。

海洋開発を行なっていた業者ですが、イスラエルの文化遺産局は、遺跡調査のレポートの提出を要求しました。法に従って原因者負担(開発業者が調査費用を支払う)によって調査を行ない、レポートを提出。調査レポートは、一般に公開されるのですが、レポートの一部は白紙。洋上プラットフォームの建設予定地内に9つの水中遺跡(そのうちいくつかは沈没船2隻以上が存在)があったそうですが、その場所や詳細は「極秘」。

なぜ?

それは、遺跡がイスラエルの領海の外だから...

現在、接続水域や排他的経済水域(EEZ)にイスラエルの文化財保護の法律は適用されません。つまり、開発業者が遺跡の一次的なオーナーとなっており、その位置などについては公開の義務がない。というか、どの法律・国際法を適用すべきか曖昧なんです。遺跡を破壊するか、もしくは、保存するか、商業価値のある遺物だけ引揚て売却するか…。

と、ここまでが、ニュース記事の概要。

 

さあ、日本はどうでしょう?

文化財保護法は、領海内にしか適応されません。つまり、遺跡が発見されれば、どうなるか「わからない」が実のところ。日本もイスラエルも同じですね。ただし、国際社会の規律を守る必要があるので、所有権が明確な沈没船等については、所有者に報告し、むやみな引き揚げ作業はできません。

所有権が明確な沈没船には、軍事目的の船舶があります。スペインなどは戦国時代に日本に来たガレオン船なども自国の船として主張しています。勝手にスペイン船の「財宝」などを引き揚げることはできません。

知らずに破壊しても国際問題となります。スペインは、これまで数回裁判を起こしてすべて勝訴。

 

イスラエルの会社は、事前に調査をしているので、どうやら他国の船(所有権の明確な船)はなさそうです。ただし、イスラエルやトルコの沖には数千年前の水中遺跡も発見されていますから、青銅器時代の沈没船なども含まれているかもしれません…。そんな貴重な遺跡、どうなるんでしょうか?

さて、最後にもう一度、日本について。

 

そもそも、水域の開発で遺跡調査をほとんど実施しない珍しい国なんですが、文化財保護法が適応されることになっています。本来は、開発に対して行政が指示をする(できる)はずです。が、これは大きな問題です。遺跡を破壊してから、気が付いたら大変…。海洋開発に際しては慎重にあるべきですね。自治体は、環境アセスなどと同様に海域の様々なデータを提供するよう要求できるはずです。

今後、海の開発に際して自治体がどのように対応していくか、しっかりと見据える必要があるようです。

引用元:https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-israeli-gas-giant-noble-energy-found-ancient-shipwrecks-mediterranean-israel-covered-it-up-1.9127798?v=1600077149737

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です