台風接近に伴い...

大型の台風4号が日本に接近していますが、皆さんご注意を。さて、台風ですが、もちろん元寇と馴染みが深いのはご存知ですよね。今年、水中遺跡としては初の国指定を受けた鷹島の元寇関連海底遺跡ですが、今月に調査が予定されています。台風4号が九州に接近しているため、少し調査の進み具合が懸念されます。今回の調査は短期間ですので、どれほどメディアに取り上げられるか判りませんが、ニュースなどが出て来次第お知らせします。海底調査も台風では発掘出来ないのは当然です。ですが、実は台風は水中考古学者にとっては調査ができない以上に複雑な関係があります。

特に風の強い台風は、波も強く、海底面にも影響を及ぼします。海底の砂やシルトが波の影響でかき混ぜられることが良く在ります。そうなると、海底の底に埋まっていた遺跡も撹乱されてしまうことが多いようです。もちろん、撹乱されれば遺跡内の遺物の位置関係もバラバラとなり、遺物なども劣化が進んでしまいます。こうなると、台風は考古学者にとって悪いことばかりに考えられるかもしれません。しかし、実は台風が考古学者にとって良い結果を生む場合もあります。

砂に埋もれた海底遺跡はなかなか発見できるものではありません。ソナーやマルチビームなどの音波探査機は「音の反射」で海底面を映し出す機械ですから、砂に埋もれた遺跡は見ることができません。磁器探査期やサブボトム・プロファイラーなどは砂に埋もれていても反応しますが、これらの機材だけでは何が埋もれているか判断することは難しいです。そこで、沈没船などの遺跡の発見に最も効果的なのが、一般の海に関わる人々からの情報です。実際に世界の殆どの水中遺跡が偶然に考古学者以外の人によって発見されています。

つまり、話を元に戻しますと、台風などで撹乱されると、海の地形が大きく変化します。そこで、それまで埋もれていた遺跡が顔を出すことがあります。そのときが遺跡を発見できるチャンスとなるのです。しかし、時間が経つと遺跡が劣化してしまうのは確かです。現在、海底面にある遺跡は、つまり、ごく最近の台風などにより「たまたま」海底面に露出している状態になります。この機会を逃すともう遺跡が失われることになります。沈没船遺跡は何百年も沈んだそのときの状態のように見えるため、そのまま放置しておいてもずっと残っていると思われがちですが、実はどんどん劣化が進むのです。遺跡が露出した状態なら、それは、貴重な遺跡を調査するまたとないチャンスなのです。

水中考古学が一般の間でもポピュラーで指示されている国や地域では、台風の後に、良く市民が海外に出かけてビーチコーミングなどを行います。イスラエルなどは大きな嵐のあとには良く沈没船の発見のニュースが相次ぎます。また、アメリカ東海岸でも、ハリケーンが去ったあとには似たようなニュースが飛び込んでくることがあります。

台風が去った後に、海岸に出てみたり、海に潜ってみませんか?もちろん、安全のため、完全に台風が通過してから海に行ってください。そして、何か不可思議な物体や、遺物が散乱していたら、市町村の教育委員会に連絡をしてください。また、アジア水中考古学研究所や、このページを通してもご連絡していただければ、何か大きな発見につながるかもしれません。大きな発見に繋がれば、自分の名前を水中遺跡の名前につけることも可能だったり?

 

 

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