海の日について

「海の日」っていつだったか覚えてますか?

もともと7月20日は、「海の記念日」だったのが、国民の休日となりました。しばらくして、いわゆるハッピーマンデーとして変動することとなり、7月の第3月曜日になっています。子供にとっては夏休みである場合も多いですね。

7月20日の海の記念日の由来は実は古いんです。明治天皇が、それまでの軍艦ではなく巡視船の明治丸に乗って東北巡行に向かい、目的を終えて横浜に帰港した日を記念しています。現在、東京海洋大学のキャンパスにある明治丸です。

本日のニュースで 報道されていましたが、 2020年のオリンピックに際して、休日をまとめることが決められたそうです。オリンピック観戦や運営などをスムーズに行うことが目的なようですが。そもそも、史実に由来した記念日を好き勝手動かすと、その意味が薄れる気がします。例えば、ある都合により誰かの誕生日を動かすことってできますか?

まとめて休日が取りやすいようにとか、オリンピックがあるから動かすということは、「海を考える」ことよりも、それらの理由が優先されているように思います。明治天皇のイベントは、ひとつのきっかけとして、また、巡視船や訓練船として長いキャリアを誇り、多くの人に愛された明治丸も象徴として適していると思います。国民の「海離れ」が進んでいるのも確かなので、この際、少しでも真剣に考えていただければと思います。

私は「海の日」を、日本の歴史の中で海が果たした役割について考える日だと理解しています。海に囲まれた日本は、海無しには生きられず、全ての歴史事象は海と関わっています。例えば、今の自分と海は関係無い、と言えるでしょうか? 海と日本人の関わりはあまりにも深いので、逆に特定できないのかもしれませんが、例を一つ。まあ、ありがちな説ですが、非常にわかりやすいです。

日本の文化の象徴として、文字があります。もちろん、漢字は中国から伝わりました。海を介して伝わっています。日本は、早くから漢字に影響を受け、早くから独自の形に変えて、自らの文化としました。韓国やベトナムも漢字文化を受け入れ、ながらく中国の漢字の影響が強く、自らの文化として変化させていくのに時間を有しています。これは、海が文化を受入れるハイウェイとして機能し、また、必要であればバッファーゾーンとしても機能したことを意味していると言えます。日本人にとって、付かず離れずの関係を保つことができたのは、日本文化の形成に大きな影響を及ぼしています。

また、歴史以外で言えば、日本の気候でしょう。海があるから比較的緩やかな四季の変化を見ることができるとも言えますね。豊かな海の資源も健康な暮らしを支える役割を果たしています。

海の文化を忘れないためにも、海の日のきっかけとなったことも大切なのかもしれません。オリンピックは、大きなイベントです。ですが、日本の文化の礎である海をないがしろにしてもよいのでしょうか?

では、明日から海を介して日本に伝わったものを全て使うのやめましょう…。もう、インターネットも使えませんね、海外の技術を多用していますから。石油も日本じゃほとんど取れません。海があっての石油です。 魚も食べません。オリンピックも、海外から伝わったものですよね?マラソンも、ギリシャ側がペルシャの軍隊がマラトンに上陸したところを奇襲をかけて勝利した戦いに由来しており、まあ、制海権をめぐる争いです。

どれだけ海が大切か、考えるきっかけになれば良いと思っています。「海の日」を国民の休日としているのは、日本だけのようですので、それは誇りに思って良いことでしょう。

海を守り、人間と海の関係を調べ、考える。そんなきっかけとなってくれれば幸いです。海の日を動かしたことによって、その意味を調べてくれる人、考えてくれる人、そんな人が増えてくれれば、動かして良かったなと思えるのかも。海のようにおおらかに。

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