ユネスコ水中文化遺産

ユネスコ水中文化遺産会議~アフリカで開催

お馴染みのユネスコ水中文化遺産条約ですが、そろそろ加盟国が50国を超える勢いで伸びています。近年では、フランスなど大国の条約承認、そして、イギリスやオーストラリアでも承認の準備が進んでいます。

特にイギリスやオーストラリアなど、昔から水中文化遺産の取り組みが盛んな国では国内法とユネスコの条約の間に矛盾が生じないために、最初に国内法の整備が必要でした(現在ある水中文化遺産に対する保護法の整備など)また、州の法律と国の法律、そして、国際法のすり合わせなど時間を要しました。

そんななか、アフリカ(ナイジェリア)で地域(アフリカ大陸)の水中文化遺産を検討する国際会議が開催されました。アフリカ各国の専門家や政府役人などが参加し、アフリカ大陸でどのような水中文化遺産に対する保護が必要かなど検討・議論されたようです。まだ数は少ないですが、アフリカでもユネスコの条約を批准する動きが高まることでしょう。すでにナミビア、チュニジア、コンゴ、ナイジェリア、モロッコなどが批准しています。すでにアフリカの様々な地域で水中考古学の調査が着々と進められています。特に東海岸の国々が力を入れているようです。条約を批准せずとも調査をどんどん進めています。今回の会議で広く国際的な取り組みも進められていくでしょう。

水中文化遺産の取り組みは実はアジア地域では消極的です。アジア地域でユネスコ水中文化遺産条約を承認した国はイランとカンボジアだけ。もちろん、タイや韓国・中国では水中考古学の調査が積極的に行われていますし、近年では特に若い世代の研究者を中心にベトナムやインドネシアでも取り組みが始まっています。今回のアフリカの国際会議の成功をもとに、アジアでもこれからもっと盛んに取り組みが行われていくことが期待されます!

 

 

 

水中考古学の勝利!

Belitung沈没船といえば、インドネシアで発見された9世紀のアラブ・インドの船で、搭載されていた遺物から中国とインド洋を結んだ重要な資料として知られています。ただ、問題はトレジャーハンターによって発掘されたこと。以前、スミソニアン博物館でその遺物を展示する予定がありましたが、商業目的で発掘(盗掘)された遺物を科学的な博物館で展示して良いのかと話題になったのは記憶に新しいかもしれません(このサイトをよく読んでいる人であれば...)。結局のところ、スミソニアンは展示をキャンセルしました。

すると、ここで一転。先日発表されたニュースではなんと、この沈没船の再発掘が行われるとのこと。トレジャーハンターが堀り残した船体や金銭的価値の低いと思われてその場に残された遺物をきちんとした考古学的発掘をおこなう計画を発表しました。その発掘には出来る限り現地の考古学者を使い、地域の水中考古学の発展に貢献するそうです。ユネスコの水中文化遺産のワークショップなどに参加した研究者などを対象にメンバーを集めたりするそうです。

今までスミソニアンがここまで本格的に東南アジアの水中考古学に関与したことは初めて。インドネシアもつい最近トレジャーハンターをシャットアウトする方向を示したばかりです。これを契機に地域の水中文化遺産保護の基礎が固められるのではないでしょうか?考古学者が中心となり沈没船を発掘する取り組みが東南アジアでは主流になってきたことの証でしょう。

ただ、気になるのが次にトレジャーハンターが向かう先はどこになるのでしょうか?今までの水中考古学VSトレジャーハンターの歴史をみると、水中文化遺産保護の取り組みが遅れている地域にトレジャーハンターが集まる傾向があるようです。つまり、アジアでは日本、ミャンマー、北朝鮮などということになりますね。日本も今回のニュースの動きを真剣に見極め、今後どのように水中文化遺産の保護に取り組んでいくか考えるべきではないでしょうか?

水中考古学が評価され、世界各地で貴重な発掘が行われています。これからもどんどんすばらしい発見があることでしょう。これから10年先、東南アジアの水中考古学の発展は眼が離せそうもありません。

アジア太平洋地域水中文化遺産会議

さて、先月マニラでアジア太平洋地域水中文化遺産会議が行われました。私も鷹島海底遺跡で以前に研究した内容、ベトナム白藤江での調査など発表で参加いたしました。

アジア太平洋ということで、アフリカ東海岸から南米(太平洋側)の国々と非常に大きなエリアではありますが、多くの学者が参加されていました。聞いたところによるとこの会議には実はもっと多くの人が応募したそうですが、多くの人は拒否されたようです。トレジャーハンターや研究者として疑問のある人は参加できないという少し厳しい会議でした。日本人も東京海洋大学からの先生方を始め数名参加されていました。また、日本を研究する「海外」の研究者もいました。

さて、この会議、第1回ということですが、大盛況のようでした。多くの国の、特に若手の研究者が水中文化遺産の保護、そして水中遺跡の研究など様々なテーマで発表を行い、ディスカッションを行っていました。これがアジアの水中考古学の最前線だなと感じました。やはり、韓国はものすごい進んでいますね。新しく保存処理施設(海洋文化遺産センター)を作るようです。国が水中考古学を支援している様子が伺えます。また、インドの研究者も一丸となり研究を進めています。遺跡の現地保存方法の模索や、アンカーの研究などいろいろです。また、東アフリカからの研究者による鄭和の船のサーヴェイの発表の後に一番最初に発表者に真剣に話し込みに行ったのは中国からの先生でした...これは、典型と言うか、やっぱりね、と思いました。マニラ・ガレオン船の研究もどんどん進んでいるようですね。メキシコも国が水中考古学を推し進めて30年がたちます。

また、東南アジアも活発な調査が進められています。少し以前まではトレジャーハンターらが独占していた感じがありましたが、最近は若手の学者が水中考古学を盛り上げています。インドネシアは今年からトレジャーハンターに発掘許可を出すことを辞めたそうですね。フィリピンも遺物の売買は禁止。もちろん、カンボジアはユネスコ水中文化遺産保護法を可決していますから、きちんと水中文化遺産は国の法律で守られています。これから東南アジアの水中考古学はどんどん延びていくのではないでしょうか?沈没船も頻繁に発見され、調査が進んでいます。タイも昔からこの分野は先進国です。

この会議、全体を通してユネスコが上から押している感が少しありましたが、研究者同士のつながりが持てたことにより、ユネスコ主体でなく地域の研究者を中心とした新しい水中文化遺産の方向性を自ら作り出す契機となるかもしれません。また、やはり日本からの参加者が少ない印象でしたね。今回参加した国の中でトップクラスの経済力と考古学のすばらしい成果があるにも関わらず、この分野での存在感はいまいちでした。(予断ですが、リビアやイランなど独裁政治的な国のほうがユネスコ水中文化遺産保護に関しては承認が早かったですね...)水中考古学と言う分野は国が後押しをしないとなかなか発達しないものだと感じました。韓国と比べると、隣なのにどうしてここまで違うのかといつも思います。まあ、でも日本の水中考古学はこれからです!

この会議のプロシーディングスですが、こちらからご覧に慣れます。少し見にくい(使いにくい)サイトですが、すべての発表内容がPDFでダウンロードできるのは良いことですね。このような会議がこれからドンドン行われることを期待いたします。

 

 

 

 

 

 

40カ国承認!

ユネスコ水中文化遺産保護法案にすでに40カ国が承認しています!20カ国になるまでずいぶんと時間が掛かった気がしますが、ここ2年に間で40カ国となりました!中国・アメリカ・イギリスなど水中考古学がさかんな大国はまだ承認していませんが、もし、これらの国もユネスコの法案を承認するとどんどん水中文化遺産保護の動きが高まってきますね。
残念なことですが、アジアではまだまだ承認している国が他の地域に比べて少ないです。もちろん、日本はまだ何の動きを示していません。

さて、新しく加わった国にはベナン共和国とジャマイカがあります。ベナンはアフリカの西海岸に在りますが、タレントのアドゴニーさんの故郷として有名(?)です。ポルトガルの船など大航海時代の船の発見など貿易の要所です。ジャマイカはカリブ海の貿易の拠点、イギリス領・海賊の町であるポート・ロイヤル(映画パイレーツ・オブ・カリビアンでも出てくる港町です)で有名です。地震と津波により壊滅したことで、カリブ海ナンバー1の貿易港に地位は一瞬でなくなりましたが、現在でも水中には当時の町並み(の基礎部分)を残したまま沈んでいます。水中発掘も何度か行われています。

さて、来年には承認国50カ国に乗るのでしょうか?期待が持たれます。

タイタニックと水中文化遺産

東京雑学大学で,中田達也さん(文教大学国際学部非常勤講師)が,
「タイタニック号の財宝と国際法」と題する講義をされますので,
お知らせいたします.

詳細は,以下のとおりです.

・主催:特定非営利活動法人 東京雑学大学
     http://www5.ocn.ne.jp/~tzu61017/
・講義:第702回講義
     http://www5.ocn.ne.jp/~tzu61017/kougiyotei2tuki.htm
・日時:10月8日(木) 14時~16時
・会場:多摩交流センター
     東京都府中市寿町1-5-1 府中駅北第2庁舎6階
     TEL:042-335-0100
    http://www.tama-100.or.jp/tama/aboutus.html#map

   [サテライト会場](映像生中継)    
   むさしのヒューマンネットワークセンター
     武蔵野市境2-10-27武蔵境市政センター2F
    http://www.mhnc.jp/use/index.html

・申し込み:不要.当日受付.
・参加費:無料(ただし,資料代100円程度)

中田さんは,国際法をご専門にされており,
タイタニック号をはじめとする沈没船の国際規制等について,
ご研究されています.
ARIUAの関東・東北会員連絡会へも毎回,参加されています.

今回の講義では,1912年に沈没したタイタニック号の遺品引き揚げの経緯・問題点を通して.
「UNESCO水中文化遺産保護条約」を踏まえて,解説されるそうです.

水中文化遺産(とくに沈没船)は,その取り扱いにおいて,
国際法の規制を受ける事例が多くあります.
(先日,NHKでも二夜連続で関連の番組が放映されましたね)

水中文化遺産と国際法との関係を知る良い機会とも思います.

平日昼間に開催される講義ですが,
興味がある方は,参加してみてください.

なお,当日の講義のもようについては
後日,インターネット上で公開するそうです.
http://tsgn.dyndns.org/tsgn/