ライブラリー

今日は、海事・水中考古関係の本を紹介します!
日本語で書かれたものを中心に、また、初心者向けの一般図書です。アマゾンなどで買えるものを選びました。フィクションなど、水中考古学と直接関係のない本もありますが…
ここでは、数冊を網羅しますが、それぞれの詳しいレビューは、機会のある時に書いていきたいな~と思ってます。
では、さっそく見ていきましょう!

 

1.海洋考古学入門:方法と実践(東海大学出版)

木村淳 小野林太郎 丸山真史

「入門」とありますが、少し難しめかもしれません。「海洋考古学」とは何か、学問の定義、実践的な方法論など書かれており、多少マニュアル的な部分もあります。内容は実践的ですが、わかりやすく絵や写真なども多く書かれています。世界の研究の事例、島嶼部の考古学、動物考古学などなど。読みごたえ、ボリュームあり。

大学生向けの実践的な入門書なのじゃ!

 

2.水中考古学:クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで (中公新書)

井上たかひこ

水中考古学について数々の書籍を出されています。日本人として初めて水中考古学の分野でマスター(大学院)を出ています。テキサスA&M大学が世界をリードしていた時期に大学院に在籍し、青銅器時代のウルブルン沈没船(トルコ)、地震で沈んだ海賊の町ポートロイヤル(ジャマイカ)などで発掘にさずさわっています。その体験記だけでなく、水中遺跡が解明した歴史の謎について書かれています。一般向けの読みやすい歴史書に仕上がっています。

新書で読みやすい水中遺跡の解説書

 

3.海底に眠る蒙古襲来:水中考古学の挑戦 (吉川弘文館)

池田 榮史

鷹島海底遺跡、蒙古襲来の歴史が詰まった遺跡ですね。沈没船では日本初の国史跡の指定を受けています。1281年の弘安の役で実際に使われた中国の船が2隻発見されています。内容は、主にこの遺跡の調査のお話です。調査の様子や苦労話などを語っています。歴史書としてではなく、調査の進め方などが良くわかります。

世界に誇る日本の水中遺跡調査体験談!

 

 

4.沈没船が教える世界史 (メディアファクトリー新書)

書いた人=管理人。

もう、10年ほど前に書いたものになるのでしょう...タイトルの通り、世界の沈没船から分かる様々な歴史を紹介。結構、タイトルが気に入っています。世界のおさらいのようであり、有名な歴史事象の中で語られることの少ない船の活躍を描いています。

高校生・大学生向け~沈没船から世界史を眺める

 

5.水中文化遺産:海から蘇る歴史 (勉誠出版)

(編)林田憲三

簡単に説明しますと、数名の研究者によるシンポジウム・研究集会で発表された内容をまとめたモノ。アジアの水中文化遺産の取組について専門家の方々が書いています。著者それぞれ水中文化遺産・水中考古学に対するアプローチや考え方の違いがちょっと見え隠れしているところが面白かったりします…。(当時の)最新研究事例や概説ありと、好きなところから読み始めてもいいかと思います。管理人も執筆しています。

 

水中文化遺産調査の研究事例・論文集

 

 

 

6.水中遺跡の歴史学 (山川出版社)

(編)佐藤信

水中遺跡研究の歴史学からのアプローチ。日本の歴史学者が考える水中遺跡を研究する意義、また、考古学者からも論考が載せられています。個別の論集ではありますが、本全体を通して「水中遺跡を研究する意義とは何か?」について書かれており全体としてまとまりを持っています。日本の現状や世界の水中文化遺産保護の現状なども書かれています。ちなみに、表紙の写真は倉木崎海底遺跡で金属探知機を使った調査の様子。写っているいるフィン(足ひれ)は、私の私物。木村さんに貸していました…

 

水中遺跡を研究する意義とは?

 

 

 

7.文化遺産の眠る海:水中考古学入門  (DOJIN選書)

岩淵聡文

おそらく、ここで紹介した本の中で最も専門的。しかし、水中文化遺産とは何か、研究する意義、今後の日本の進む道などについて書かれています。実践や方法論、また、歴史のおさらいではなく、水中文化遺産の核心を綴っています。本当に水中文化遺産について学びたい人には必読の書となっています。大学生向けの解説書として捉えるのが良いでしょう。

 

水中文化遺産とは何か?その問いに答える

 

8.季刊 考古学123号

考古学研究者にはおなじみの季刊誌。以前、水中考古学の特集を組みました。アジアや日本での水中考古学研究について詳しく知ることができます。出版からだいぶ時間がたっているので、最新の現状ではありません。もう一度、特集を組んで欲しいですね。

 

水中考古学特集号は研究者には必読!

 

 

9.遺跡発掘師は笑わない:元寇船の眠る海 (角川文庫)

桑原水菜

フィクションです。シリーズものですが、著者の方がしっかりとリサーチをして詳しく書かれています。鷹島海底遺跡の調査についてです。もちろん、事実ではないですが、現地調査を行っているので臨場感は本物です。水中考古学の専門書は読みたくないけど、調査の様子などを知りたい人にはオススメ。思わぬ展開でテンポよく読んでいけます。

 

水中考古学調査フィクション小説の決定版

 

 

10.発掘された日本列島2017

文化庁

毎年、文化庁が行っている発掘速報展示の図録です。この年は、水中遺跡に焦点を当てていました。毎年、展示を見に行くファンも多いようです。展示で紹介された遺跡は、どれも日本を代表する遺跡です。写真も多く、文章も一般向けです。ざっと水中遺跡研究の成果を知りたい人は手に取って読む価値あり。

 

文化庁が本気を見せたか?水中遺跡の保護に向けて…

 

 

11.アンゴルモア (角川コミックス)

たかぎ七彦

はい、漫画です。アニメにもなりました。蒙古襲来を題材とした漫画で、ついこの前、対馬編が終わりました。現在は、博多辺が始まっています。水中考古学との関りは…?特にないといえばないのですが、あるといえばある。日本の水中考古学といえば、蒙古襲来の沈没船が見つかった鷹島海底遺跡ですね。様々な遺物が発見されていますが、筆者さんは、実際に鷹島まで来て遺物をじっくり観察しています。登場する船、アンカーなども勉強されて細部までわかるところはしっかりと画いています。歴史フィクションなので、史実を書いているわけではありませんし、あるはずのない武器なども描かれています。が、見ごたえはあります。水中考古の成果が活かされている作品です。

 

漫画の世界にリアリズムを提供する水中考古学でありたい...

 

 

12.The Origings of the Lost Fleet of the Mongol Empire  (Texas A&M University Press)

書いた人=管理人

はい、紹介させてください。英語の本ですが、私が書きました。洋書なので値段は少し高めです。鷹島海底遺跡について、2004年頃までの成果をまとめたものです。特に、神崎港周辺から出土した500点ほどの木材の詳細な実測調査の成果をまとめています。専門的ではありますが、一般向けに書いています…英語の勉強のおともにどうぞ。韓国からの船は,やっぱり鷹島には来ていないようですね。中国南部~福建省あたりでしょうな~。

鷹島の遺跡について英語で読もう…

 

 

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