ベトナムで中世の沈没船があいついで発見されています

ベトナムで去年あたりから、沈没船発見のニュースが頻繁に聞かれるようになりました。これはうれしいニュースではありますが、どれも発見されるとすぐに漁師さんなど近くの人々が集まって遺物を取りに集まってくるようです。

この夏だけでも数隻の船が発見されています。基本的に中世~近世にかけての商船で重要な考古学遺跡です。実は水中から発見された遺物の収集は法律により禁止されています。ベトナムではすでに水中文化遺産の保護が義務として課せられています。しかし、一度発見されると話題になり、近くの住人が集まってきます。また、このようなニュースを聞いているので、いままで人知れずに眠っていた情報もどんどん流出しているようです。

実は、水中考古学のユニットがすでに発足しており(Phòng Khảo cổ học Dưới nước)トレーニングなどの活動を中心に進めていくそうですが、今回の一連の発見に対応できないのが現状です。

漁師さんなどが集まって遺物を拾っていくのに海上保安庁などとの衝突もあったそうです。なぜ禁止されているのに集まってしまうのでしょうか?一攫千金を夢見ているのでしょうか?実は、以前、ベトナム政府は外国のサルベージ会社と合同で引き揚げ作業を行い、遺物の売却などを行った経緯があります。これも、当時は水中文化遺産への理解が浅く、また、他の東南アジアの国々も同じように沈没船の引き揚げで利益を得ていたので、しかたのないことです。ベトナム政府も今ではきちんと水中文化遺産への理解を示し、トレーニングの開始や法律の整備も進んでいるので良い方向に向かっているのは確実です。ただし、漁師達にとってみれば今まで国が同じことをしてきたのに、なぜ自分たちがしてはいけないのか?ということでしょう...

なかなか難しい問題です。ですが、沈没船の引き上げなどから博物館などができれば観光収入にもなるでしょうし、文化的遺産にはそもそも金銭価値はつけられません。遺物の売却によって儲かるのは一握りの人間で、しかも、一時的な現象です。しかし、きちんと調査すれば、文化的価値は永続し共有することができます。

もちろん、ベトナムの多くの人たちがそのことを理解していますし、遺物の引き上げに来ている人でもすぐに理解すると思います。しばらくは、似たようなニュースが続くかもしれませんが、見守るしかないのかもしれません。国も対応しているので、落ち着いて、すぐに水中文化遺産の保護が一般への理解も含めて進んでいくと思っています。その最初のステップが始まっているようです。

 

下にいくつかニュースのリンクがありますので、ご覧下さい。

こちらはひとまとめにニュースです。

http://tuoitrenews.vn/features/10550/cemetery-of-ancient-shipwrecks-in-quang-ngai

http://tuoitrenews.vn/features/10627/drying-up-the-sea-to-find-shipwrecked-antiques

http://tuoitrenews.vn/features/10757/aquatic-archaeology-in-vietnam-inadequate

 

先日からの発見のニュース

http://english.vietnamnet.vn/fms/art-entertainment/82375/another-ancient-shipwreck-discovered-in-quang-ngai.html

http://www.thanhniennews.com/index/pages/20130820-old-shipwrecks-keep-showing-up-down-central-vietnam-waters.aspx

http://treasureworks.com/news/treasure/995-vietnamese-fishermen-find-another-old-shipwreck-near-central-coast

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