2020年、東京オリンピックが決まりましたが...

東京オリンピックが決定して連日のようにメディアでは話題となっている今日この頃。新たな会場整備など建設業もこれから大忙しとなりそうです。ですが、建設の前には埋蔵文化財の調査が必要となってきます。東京(関東)の考古学行政関係者はこれからしばらくは大規模工事に伴う事前調査で忙しくなるのではないでしょうか?

そのような大規模事業のなかで、特に建設で破壊される土地が大きいのが羽田空港の新たな滑走路の建設ではないでしょうか?敷地面積も相当な大きさです。長さだけでも3000mもあるのではないでしょうか?これだけの大きな土地ですので、羽田空港の滑走路の建設に考古学調査に割り当てられた予算がどれくらいあるのでしょうか?答えは、みなさんで予想してみてください…

実は、日本では水中に建造物を作る場合でも考古学調査が行われることがほとんどありません。陸上ではきちんと考古学調査を行う義務がありますが、水中ではその義務が曖昧で、水中にある文化遺産を保護する法律もありません。ただ単に現在は海であるために、過去に陸上であった土地は考古学調査がなされないようです。水中に埋もれた遺跡では陸上では残りにくい有機物などが多く発見されます。

数年前までは水中にある遺跡を発見することは難しかったのですが、最近では音波探査や磁気探査機など海洋探査機材が発達し、低コストで水中の探査を行うことができます。家庭用ノートパソコン、ゴムボート、それに30~40万円ほどの機材(サイドスキャンソナー)があればそれなりの探査ができます。もちろん、もっと高性能の機材を使うべきでしょうが、これで最低限で事前調査ができます。

中国やベトナムなど世界各地ですでに水中文化遺産を保護する法律があります。また、アメリカではメキシコ湾では油田のパイプラインなどの施設の前に事前調査が義務として課せられています。2013年の夏に、1330mの海底で水中ロボットを使って沈没船の(発掘)調査が行われました。この沈没船(遺跡番号15577)の深海調査の様子はインターネットを通してライブ映像で全世界に配信され、600,000,000回のアクセスがったようです。一番多い時で1万2千人が同時にアクセスしてライブ映像を見ていたそうです。

このライブ映像ですが、Nautilus号という調査船の様々な海底調査の様子をライブで見ることができます。海外では海底の地質・生物とともに考古学も重要な一部を占めています。基本的には他の海底調査と同じ調査・探査方法で考古学調査・発掘ができるので、海洋学の中の応用として探査をおこなっています。日本でも同レベルの探査は可能です。海洋地質・生物の分野では世界的に見ても素晴らしい研究を行っています。また、陸上の考古学も世界トップレベルの研究を行っています。

沈没船を含む海底遺跡は陸に近い場所に多く存在しています。つまり、比較的発見しやすく、また、大掛かりな組織や機材がなくとも発掘できるものが多い問い事実があります。1000mを超える水深での調査もありますが、それは、水中遺跡の総数の内の0.1%にも満たない数です。水中遺跡は水深50mよりも浅い地点で、人口が多い都市のそば、つまり東京湾・大阪湾などに多く存在していると考えられます。

環境に配慮したオリンピック施設や「おもてなし」など良いスローガンを掲げています。これらに加えて、文化財への思いやり、特に水中文化遺産への影響も考慮した準備を進めていければ世界に誇れるイベントとなることでしょう。しかし、何も大規模工事だけ注意してみればよいのでしょうか?実は、水中遺跡のほとんどは一般の人が偶然発見したものです。

世界最古の沈没船・トルコ青銅器時代のウルブルン沈没船(3300年前)、韓国の新安沈没船、その他有名な沈没船は考古学者が発見していません。水中遺跡を発見するエキスパートは、海底工事施設会社や漁業関係者です。普段何気なく見つめている海、じつは歴史という名の宝が埋まっています。何か遺跡らしいものを発見した場合は、直ぐに最寄りの市町村の教育委員会、そして、同時にアジア水中考古学研究所などに連絡を取ってください。

 

引用元:http://www.nautiluslive.org/videos

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