トレジャーハンター逮捕

沈没船から財宝を引き揚げて一攫千金…という話は昔の話。今では世界の多くの国で立派な犯罪です。

ちなみに、今まで引き上げられた「財宝」で金銭的価値の高かったものはほとんど引き揚げた人々にとってはマイナスとなっています。違法に引き上げて遺物は没収され罰金の支払い請求など様々です。

さて、その中でも特にひどいのがこのケース。アメリカ・オハイオ州に住むトンプソン氏は、1857年に沈没したSSセントラル・アメリカ号に積まれていた金塊に着目し、引き揚げ事業を起こして出資者を募りました。多くの資産家が彼の事業に投資をし、見事に発見!ところが、いろいろあってトンプソン氏が投資者に約束の支払いをせずに逃亡。2年間におよぶ逃亡生活の末、ついに逮捕されたようです。

もう二度とこのようなことがないように願いたいものです。トレジャーハンター貴重な歴史・考古学資料の破壊行為です。そして、海難事故という多くの命を失った現場の破壊でもあります。確かに時間は過ぎていますが、そのような現場を私利私欲のために利用するのは許しがたい行為です。考古学者は、そこにある歴史を真に受け止めて後世に伝える努力を尽くします。さらに、この事件は現在生きている多くの人々(投資家など)を騙してしまいました。

それでもなおトレジャーハンターを美化する人々がいるのが残念です。そして、居場所を失ったトレジャーハンター達は水中文化遺産の保護に関して法律がなく、一般にもその考えが浸透していない地域に活動の場を移しています。ユネスコが水中文化遺産の保護を進めているため、そのような国や地域はほとんどなくなっています。しかし、日本がそのような場所であることを問題として捉えている人はどれくらいいるのでしょうか?

日本も水中文化遺産保護の機運が高まってきており、数年前に比べて研究の質や関わっている人の数も多くなっています。しかし、実際には水中の遺跡に関する特定の法律はないため、何かあった時に対応できない可能性があります。それを防ぐためには、人々が貴重な遺跡が日本近海には多く眠っていることに目を向けることに始まります。まだまだ多くの人が水中文化遺産の理解を深めることが必要だと思います。詳しくは、このウェブサイトやネットでいろいろな情報を探すことができます。

現在、把握されている日本の水中遺跡は500件以上あります。他国の数と比べると決して多くはなく、実際にはこの数十倍の遺跡があると考えられます。デンマークやオランダのような小さな国でも数千から数万件の遺跡があると想定されています。また、水中遺跡は調査が大変で費用が掛かるというイメージがありますが、スリランカなど決して日本と比べて豊でない国もしっかりと水中遺跡のマネージメントを始めています。あまりうまくは言えていないかもしれませんが、すこしでも水中遺跡(水中考古学)について考えていただける機会になっていただければ嬉しく思います。

引用元:http://www.bbc.com/news/world-us-canada-31039492

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