保存処理マニュアル

7. 金属の処理 (電解還元法・ER)

みなさまのご要望にお答えするべく水中遺跡から発掘された金属製品の保存処理方法を紹介します。特に日本では水中遺跡からの金属片の処理に関してはあまり論文などもないので専門家の方々でも参考になると思います。今回は電解還元法(Electrolytic Reduction)---ER法について説明します。基本として理解することは、遺物の中で水素を発生させ遺物中に溶け込んだ化合物と水素が結合し遺物の外へ排出されることである。

前回のアップデートではERを行う前までのプロセスを解説したので、それを読んでいない方にはそちらを先に読むことをお勧めします。


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6.金属の処理(保存処理を始める前に)

水中から引き揚げられた金属遺物は保存処理を行うものに大きな問題を抱えてきた歴史がある。しかし、長年の試行錯誤の結果、確実で簡単な方法が保存処理方法が確立されてきた。ここでは最初に水中遺跡で最も一般的に発見される鉄(Fe)についての保存を紹介する。特に保存処理そのものでなく、錆の性質、コンクリーションの形成の理由、そして保存処理にいたるまでのステップを紹介する。


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5.木材保存

木材の保存処理は水中考古学者、特に船の考古学を学ぶ者にとっては必ずと言っていいほどマスターしなくてはいけないであろう。最近では、元興寺や奈良などで糖アルコールなどを使った保存方法が開発されている。まだ一般的ではないがこれからどんどん普及していくと思われる。 ここではテキサスの保存処理クラスのマニュアルの翻訳なので、海外で一般的に使われている方法を紹介してある。 

木材の保存で大切なのは、一つの方法だけにたよるのではなく、様々な保存方法の中から状況に応じて最善の処理法を選択することである。 
シリコンオイルなども小さな遺物の保存にその威力を発揮する。 


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4.骨・角・歯など

骨や角の約70%は無機物で格子状のリン酸カルシウム、フッ化物や炭酸で出来ている。 残りは有機物でOssein(またはコラーゲン)の一種でできている。 骨や角は熱や湿気で簡単に曲がってしまい、長期にわたって水につかっていると腐りだす。

加水分解によって有機物は崩れ、無機物は主に酸によって溶け出す。 水中では骨や角はスポンジ状となって見つかることがしばしばある。 時には有機物がケイ酸(シリカ)などと入れ替わり化石化することがある。 保存処理としては洗浄、補強は出来ても完全に保存することは今のところ無理である。


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3.合成樹脂について

合成樹脂は保存処理に良く使われる接着剤である。 合成樹脂はポリマー(重合体)の一種で幾つかのモノマー(単量体)から出来ている。 このモノマーが他のモノマーを持つ物質と結合しポリマーを構成する。 合成樹脂は大きく熱可塑性の樹脂と熱硬化性に分けられる。
熱可塑性樹脂はモノマーが2次元(平面)で構成され様々な溶媒で溶かすことが出来る。 熱可塑性樹脂は基本的には溶媒で解けいつでも分解可能であるが、熱や光に当たることで分解不可能な部分が出来ることもある。 熱や光が線状分子を架橋(クロスリンク)させ、熱硬化性樹脂に特徴的な3次元構造を作り出すことがある。
熱硬化性樹脂はモノマーが三次元構造を作り出し、いかなる溶媒でも解けることはない。 ただし溶媒によっては樹脂を膨張させゲル状になることもある。 最近一般的に使われている熱硬化性樹脂にはエポキシ、ポリウレタン、スチレンなどがあり、これらは触媒によって硬質化する。
保存処理では様々な合成樹脂が使われ、これらの樹脂は改良、または新しい樹脂が開発されている。ここでは特によく使われる樹脂を紹介する。


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2.保存処理の基本

保存処理の基本をここでは紹介します。多少長く、同じことを繰り返し言っているようですが、一番大切なことは発掘に携わるすべての人が保存処理の基礎を学ぶ必要があることだと思います。 また、実際に保存処理を担当する人は必ず保存処理を専門で学んだ人、そしてやる気があり遺物を大切に思う気持ちのある人であるべきです。 発掘の前に必ず遺物の保存処理プランを打ち立て計画性を持って発掘をし、また遺物を記録していきます。 保存処理なくして水中考古学はありえません。


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1.Introduction

保存処理とひとことにいってもいろいろある。 ここではTexas A&M 大学の授業で使っている保存処理マニュアルを訳してみた。 このマニュアルはDr.Donny Hamiltonによって作られ水中遺物保存処理の基礎と成っている。 世界各国で水中遺物の保存処理に携わっている人のほとんとがこのマニュアルを使って勉強をした。


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