バクテリアのウンコがヘンリー8世の船を破壊する

はい、わけのわからないタイトル、申しわけありません。

でも、本当なんです。

海外で話題となっているニュースです。

 

ヘンリー8世と言えば、浮気好きなあのイギリス国王。彼の旗艦メアリーローズ号は、1980年代に引き上げられ、現在はポーツマスに博物館が建てられています。チャールズ皇太子も潜水調査に参加したことで有名ですね。数百年間、海の底に沈んでいました。シェークスピアが活躍する時代のちょっと前からです。

 

メアリーローズ号の引き揚げ

 

長い間水に浸かった木材は、セルロースが抜けてスカスカ、触るとブヨブヨ。乾燥させると崩れてしまいます。それを防ぐのが、保存処理。木材を強化させる処理と思ってもらえれば良いかと思います。
メアリーローズ号の船体は、水中から引き揚げられた後、保存処理をしていますが、木材表面に硫黄化合物が噴き出るなどトラブルが発生しています。木の中に溶け込んだ海水、硫化鉄、それに保存処理で使用したポリエチレングリコール(PEG)などが反応を起こし、ゆっくりとした劣化を引き起こしています。
メアリーローズ号の保存処理

 

ヴァーサ号など、鉄くぎのある木材をPEGを使用して保存をした例は多くありますが、化合物が形成されることが問題となっています。韓国の新安沈没船もPEGを使って保存処理を行っていますが、同じような問題が起こっています。処理後、数十年してから問題が発生しており、沈没船を展示する博物館では頭を悩ます問題となっています。
新安沈没船については、こちらをどうぞ
今回、特殊なX線装置を使用してメアリーローズ号の木材を調べたそうです。その結果、木材の中に硫化亜鉛のナノストラクチャーが検出され、このナノストラクチャーが劣化を引き起こす原因となっているのでは、ということだそうです。硫化亜鉛は、水に浸かっていた木材、鉄分、海水(塩素など)、それにPEGが加わると発生するそうです。簡単にいうと、そのような条件下でバクテリアが生成する、いわゆるウンコともいえるそうです。
PEGも数年すると劣化していくそうですが、PEGは劣化すると酸性に変化するそうで、そのことも木材を劣化させる要因だとか。

 

最近は、鉄分を含んでいる木材に関しては、PEGを使って処理することが問題視されており、様々な新しい方法が試されています。日本では、トレハロースなどを使用する方法が行われています。

 

木材劣化の要因もわかったので、後は、解決方法ですね。

 

こちらの記事をお読みください

メアリーローズ号 ついに全貌が明らかに!

引用元:https://www.smithsonianmag.com/smart-news/bacteria-poop-is-breaking-down-king-henry-viiis-favorite-ship-180978984/

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