ラジオ番組のご紹介!

TOKYO FMのTokyo Slow Newsというのがあるそうですが、水中遺跡を取り上げてもらっています。

主に井上たかひこさんの活動について話していますが、日本・世界の現状もそれに関連して話しています。

 

詳しくは、ラジオを聴いていただければと思っています。

https://park.gsj.mobi/voice/show/21687

水中考古学を扱ってもらって、また、面白い番組を作っていただいて感謝です。これをきっかけにもっと多くの人に水中遺跡に付いて知ってもらいたいな~。

文字で読みたい人はこちら!

https://park.gsj.mobi/news/show/68930

 

 

 

 

以下は、マニアックな内容なので、興味のある人のため…

 

内容について、幾つか補足・修正をします。まあ、ラジオというエンターテイメントを媒体としていること、また、記者さんが調べたことなので、限界はあるかと思います。文化庁の取り組みなども、もっと積極的に取り上げてくれれば良かったのに…と思う。高知の地震で沈んだ村の話は、出だしだけ…?

①「水中考古学の調査」について、多角的なアプローチによる調査・遺跡保護の観点からの意見がもう少し欲しかった。

 

遺跡を探して、調査して、周知の遺跡として登録するまでの道のりを紹介しています。日本ではまだまだ事例がない、なかなか遺跡がみつからない。コツコツと寄付金などを集めて調査している。しかし、諸外国では、国が主導で調査を行なって成果を挙げている。というお話でした。

 

ここで問題となるのが、世界各地で行われている調査は開発に伴う調査がほとんどです。世界の水中遺跡の95%は、開発対応でしょう。そして、海の上の工事は、公共事業による開発になることがほとんどです。そのため、いわゆる遺跡を壊す可能性のある「原因者」が公共(国)です。そのため、国が責任を持って水中遺跡の調査をしています。

 

洋上風力発電も、遺跡を破壊する可能性が高いです。北欧では、事前調査のおかげで水中遺跡の発見ブームです。そのために、国家プロジェクトとして遺跡を保護しています。考古学者にとって、毎年数百~千件の新しい遺跡を発見してくれる洋上風力発電プロジェクトは、拝みたくなるような存在…とまでは言いませんが、安定した雇用を生み出しています。

 

また、遺跡の発掘・引き上げは、例外中の例外の中でも極端な例です。基本は、現地で保存すること(埋め戻し)です。数万件ある遺跡で、一部発掘されるのは、ほんのわずか。丸ごと引き揚げるのは、1~2例です。数万分の一ですね。

 

国が開発の原因者

国が責任を持って水中遺跡を(事前に)調査

各国で水中遺跡の調査数が数千~数万件!

遺跡は引き揚げず、現地にて(埋め戻して)保存が基本

お金もそれほどかからない

 

日本の場合

海の上の開発に対してこれまで明確な指針を示してこなかったので、調査事例がない、遺跡数が他国と比べ2~3桁低い...という状況。

研究を目的とした水中遺跡の調査は、コツコツと寄付金や研究費用をあつめて調査を行なっているのは、海外でも同じです。むしろ、厳しい状況の中で、世界的に認められた研究を行なっている日本の研究調査は誇るべきものです。

 

②日本で水中遺跡が少ないのはなぜ?と言う質問の答え…もう少し掘り下げて欲しかった。

暖かい海なのでフナクイムシがいる。注目されるような大発見がなかった。という理由を説明。

 

フナクイムシがたくさんいる場所はもっとあるし、環境的に水中遺跡が日本よりも残りにくい場所はたくさんある。メキシコ、アメリカ、エジプト、東南アジア…多くの国で水中考古学が盛ん。遺跡もたくさん発見されている。スリランカのほうがフナクイムシが多く津波も来る。でも、調査は盛ん。

 

注目される大きな発見がなかった?これは、一理あるが…

そんな発見がなかった国でも力を入れている国はたくさんある。世界で多くの発見がるので、わざわざ「日本で発見」されないと日本で注目されないのはなぜ?日本の人って世界を見ていないのか?そんなはずはないと思う。まあ、身近に感じられない、というのは、少しはあるかもそれないが…

例えば、メキシコ。今や世界が注目する水中考古学の先進地。しかし、ひとつの遺跡を完全に発掘(引き揚げた)ことはない。小さな発見の積み重ねで成果を挙げている。タイやスリランカも1970~80年代から力を入れ、国の専門機関がある。

 

日本では、大きな発見は、すでに1980年代にある。

ラジオでも紹介されていた鷹島海底遺跡。1980年から海外では知られていた。UNESCOは、鷹島の遺跡を、タイタニック号、コロンブスの船、ヴァーサ号などと同列で世界の著名な水中遺跡の例として紹介している。世界から見ると、ものすごい発見である。ただ、それに気が付いていない。

どれだけ世界から注目されているのか、実例を示しましょう。鷹島には、毎年2~3本は海外のドキュメンタリー作成の依頼が来ています。(昨年は、確か2月頃と、5月号に2件依頼が来た。結局、1件だけ秋に撮影しに鷹島に来ていました。その後、コロナの影響だろうか話は聞かない...)

 

まあ、そもそも大きな発見があったのは、開発対応や地元の漁師などが発見したものを報告したことが理由。

③日本では研究機関などが小規模… どれだけ小規模なん?

 

まあ、遺跡数ですが、 北欧各国で数万件に対して、日本は数百。

 

予算  だいたい、他の国と比べて数ケタ(毎年)違うと思っていいでしょう。研究者(補佐など含む)は中国・韓国・ヨーロッパなど、各国で50~100人規模です。

 

日本人で水中考古学の分野で修士を取った人は5人(井上さんはその一人・日本人初の方です)。博士号取得者は3人です。これらの方々の中で、一応研究職で比較的安定したポストに就いたのは、一人だけ。他は、ほぼバイト同然の仕事、もしくは別のキャリを歩んでいます。

 

現在の日本では、様々な研究や仕事をこなしながら、「空いた時間で水中遺跡の研究を行なう」ことしかできません。それでも、成果を出している方々も沢山います。まさに鉄人です。諸外国では恵まれた環境で、お金をもらって数千の遺跡の中から選んで研究して成果を出していますが、日本では…(涙)。

 

④日本の水中遺跡の危機的状況について、ほとんど語っていなかった…

 

世界の水中遺跡調査は95%開発対応。そして、日本では、開発対応で水中遺跡が上がってこない、すなわち、日本では、本来見ることが出来たはずの水中遺跡の5%しかみれていない。

 

文献資料などを調べると、沈没船の多くは比較的浅い海、また、水没遺跡も浅い場所にあります。海岸線から目と鼻の先、100m以内に水中遺跡の9割はあるのでは?

 

現在、日本の海岸線から100m以内の範囲となると...なんと、自然海岸の40%以上は埋め立てられており、自然海岸(昔の海岸)はほとんど残っていません。

多くの遺跡は、すでに埋め立て地の下です。本来、再開発でもあれば、その下を掘れば遺跡が出てくるところもありますが、「埋め立て地の下・もともと海だった場所にはいせきがない」という認識が一般であり、調査は行われていません。

 

さて、最後ですが…私が良く例に挙げるトーゴ。海岸線60kmほどしかないが、義務教育で水中文化遺産を守る意義を教えている。

トーゴで大きな発見あったっけ?専門家いたっけ?いやいや、小規模な水中遺跡がほんの数例あるのみ…専門家も、いません。文化財に関わる人達が、「重要な遺跡があるはずだ」という期待と、それ以上に、「遺跡を破壊してはならない」という責任・義務感が国を動かしています。

 

日本の海岸線は3万キロ。かたや、トーゴの海岸線は60km。日本では1万キロ以上の海岸線(水中遺跡が有った場所)が破壊されていますが、義務教育どころか、大学の考古学の授業でも水中文化遺産の話が出てきません。

 

というわけで、私が前から書いていることを、つらつらと書いてしまったというわけですね…。まあ、参考になれば。

引用元:https://park.gsj.mobi/voice/show/21687

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