保存処理

寛永通宝の保存処理

C県のとある海岸で見つけてしまった寛永通宝...これは多分船に詰まれていたもの(もしくは個人の持ち物だったのか?)が海岸に打ち上げられたのでしょう。保存状況は完全に錆び付いて緑色。小さな砂なども取り込まれ保存状態は良くありません。

今回は実験的にこの古銭に保存処理を施してみました。電解還元法(ER)を使用しました。この方法は、遺物に微電流を流し、水素を発生させ、遺物の中に溶け込んだ塩化化合物と水素を結合させて取り除く方法です。

保存処理そのものの説明は以前の金属の保存処理でしてあるのであまり細かくは説明をしてありません。それよりもこの保存処理方法のメリットなどについてケース・スタディとして解説しています。


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7. 金属の処理 (電解還元法・ER)

みなさまのご要望にお答えするべく水中遺跡から発掘された金属製品の保存処理方法を紹介します。特に日本では水中遺跡からの金属片の処理に関してはあまり論文などもないので専門家の方々でも参考になると思います。今回は電解還元法(Electrolytic Reduction)---ER法について説明します。基本として理解することは、遺物の中で水素を発生させ遺物中に溶け込んだ化合物と水素が結合し遺物の外へ排出されることである。

前回のアップデートではERを行う前までのプロセスを解説したので、それを読んでいない方にはそちらを先に読むことをお勧めします。


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6.金属の処理(保存処理を始める前に)

水中から引き揚げられた金属遺物は保存処理を行うものに大きな問題を抱えてきた歴史がある。しかし、長年の試行錯誤の結果、確実で簡単な方法が保存処理方法が確立されてきた。ここでは最初に水中遺跡で最も一般的に発見される鉄(Fe)についての保存を紹介する。特に保存処理そのものでなく、錆の性質、コンクリーションの形成の理由、そして保存処理にいたるまでのステップを紹介する。


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保存処理のお仕事

よく“留学するにはお金が掛かるから...”と聞きますが、大学院レベルでは奨学金やアシスタントシップ、そのほかの仕事などが提供されるため、比較的安くて済む場合もあります。学校側としてもやる気のある生徒を探してるわけですので、多少資金面でバックアップが可能です。そして、大学の仕事はもちろん水中・海洋考古学関連ですから、ピザの配達よりも給料が少なくても実戦や経験を積むためにも大切です。私の場合、テキサスA&M付属の保存処理ラボ(Conservation and Research Laboratory 以下CRL)で働いています。週20時間(ハーフタイム)働くこと、またクラスを9単位以上(フルタイムの学生扱い) 取ることが決まっています。給料はそこそこ出ますが、それに付け加えて授業料が全額免除されます。(人や場合によって条件はいろいろ違います)。

CRlの中の様子です

ここではCRLでの仕事の様子を説明しましょう。


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5.木材保存

木材の保存処理は水中考古学者、特に船の考古学を学ぶ者にとっては必ずと言っていいほどマスターしなくてはいけないであろう。最近では、元興寺や奈良などで糖アルコールなどを使った保存方法が開発されている。まだ一般的ではないがこれからどんどん普及していくと思われる。 ここではテキサスの保存処理クラスのマニュアルの翻訳なので、海外で一般的に使われている方法を紹介してある。 

木材の保存で大切なのは、一つの方法だけにたよるのではなく、様々な保存方法の中から状況に応じて最善の処理法を選択することである。 
シリコンオイルなども小さな遺物の保存にその威力を発揮する。 


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4.骨・角・歯など

骨や角の約70%は無機物で格子状のリン酸カルシウム、フッ化物や炭酸で出来ている。 残りは有機物でOssein(またはコラーゲン)の一種でできている。 骨や角は熱や湿気で簡単に曲がってしまい、長期にわたって水につかっていると腐りだす。

加水分解によって有機物は崩れ、無機物は主に酸によって溶け出す。 水中では骨や角はスポンジ状となって見つかることがしばしばある。 時には有機物がケイ酸(シリカ)などと入れ替わり化石化することがある。 保存処理としては洗浄、補強は出来ても完全に保存することは今のところ無理である。


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3.合成樹脂について

合成樹脂は保存処理に良く使われる接着剤である。 合成樹脂はポリマー(重合体)の一種で幾つかのモノマー(単量体)から出来ている。 このモノマーが他のモノマーを持つ物質と結合しポリマーを構成する。 合成樹脂は大きく熱可塑性の樹脂と熱硬化性に分けられる。
熱可塑性樹脂はモノマーが2次元(平面)で構成され様々な溶媒で溶かすことが出来る。 熱可塑性樹脂は基本的には溶媒で解けいつでも分解可能であるが、熱や光に当たることで分解不可能な部分が出来ることもある。 熱や光が線状分子を架橋(クロスリンク)させ、熱硬化性樹脂に特徴的な3次元構造を作り出すことがある。
熱硬化性樹脂はモノマーが三次元構造を作り出し、いかなる溶媒でも解けることはない。 ただし溶媒によっては樹脂を膨張させゲル状になることもある。 最近一般的に使われている熱硬化性樹脂にはエポキシ、ポリウレタン、スチレンなどがあり、これらは触媒によって硬質化する。
保存処理では様々な合成樹脂が使われ、これらの樹脂は改良、または新しい樹脂が開発されている。ここでは特によく使われる樹脂を紹介する。


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2.保存処理の基本

保存処理の基本をここでは紹介します。多少長く、同じことを繰り返し言っているようですが、一番大切なことは発掘に携わるすべての人が保存処理の基礎を学ぶ必要があることだと思います。 また、実際に保存処理を担当する人は必ず保存処理を専門で学んだ人、そしてやる気があり遺物を大切に思う気持ちのある人であるべきです。 発掘の前に必ず遺物の保存処理プランを打ち立て計画性を持って発掘をし、また遺物を記録していきます。 保存処理なくして水中考古学はありえません。


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1.Introduction

保存処理とひとことにいってもいろいろある。 ここではTexas A&M 大学の授業で使っている保存処理マニュアルを訳してみた。 このマニュアルはDr.Donny Hamiltonによって作られ水中遺物保存処理の基礎と成っている。 世界各国で水中遺物の保存処理に携わっている人のほとんとがこのマニュアルを使って勉強をした。


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保存処理とは?

なぜ私たちは土の中、水の中に埋もれている過去に生きた人間のごみ、要らなくなったもの、なくしたもの、その他の遺物に興味があるのだろうか? なぜそれらをわざわざ探して実際に手に取り目で見るのであろうか? なぜ写真や絵だけではいけないのだろうか? どうしてわざわざ博物館や美術館へ行き”実物”を見るのだろうか? 遺物そのものを見るとき私たちは過去に生きた人をもっと身近に感じることが出来る。 もし、保存処理がなかったら我々は実際の遺物を手にして観察することができなくなるのである。


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