お知らせ

鄭和の復元船(?)沈没

台湾の研究者などが主体となり中国明代の復元船を使い太平洋を横断した太平公主号が台湾到着を目前とし沈没したようです。貨物船と衝突が直接の原因だったようです。もちろん鄭和の船の細部まではわかりませんし、大きさもはっきりしません。どこまで正確なレプリカだったかは疑問です。ゴールを目前としての沈没で残念ですが、サンフランシスコからの行きかえりまでの間にも何度か嵐に遭遇したものの、無事だったそうです。船の性能としては信頼のあるものだったのでしょう。乗組員(日本人含む)全員無事だったそうです。このようなプロジェクトで昔の船の歴史的価値を高めることは重要だと思います。機会があれば考古学の成果を生かしより正確な復元船を作り帆走性能などを調べてみたいものです。

 

 

帆船で台湾と米国を往復する太平洋横断航海の記録達成を目指していた、16世紀のジャンク船を復元した「太平公主号(Princess TaiPing)」が26日、台湾沖で貨物船と衝突し、沈没した。沿岸警備隊が伝えた。

 衝突があったのは、は台湾北東部の蘇澳(Suao)港沖48キロの地点で、台湾警察と沿岸警備隊が、ヘリコプターと警備船で空と海上から、沈みかけていた太平公主号上で漂流していた乗組員11人を救助した。

 沿岸警備隊に救助された台湾人の劉寧生(Nelson Liu)船長は「今の気持ちは後悔どころではない。到着を目前にしていたのに」と悔しさをにじませた。

 沿岸警備隊員がAFPに語ったところによると、太平公主号はリベリア船籍の貨物船「チャンピオン・エクスプレス(Champion Express)」と衝突したが、衝突の原因は明らかになっていない。

 太平公主号は、中国・明朝の軍艦を復元した総重量35トンの船。乗組員は劉船長のほか、米国人6人、日本人2人、台湾人1人、中国人1人。台湾北部の港を前年6月に出発した後、北上して日本に寄港。その後、何度か嵐にあいながらも、5か月かけてサンフランシスコ(San Francisco)に到着した。

 この航海は、600年前の中国の偉大な探検家、鄭和(Zheng He)提督が北米まで航海したという仮説を証明しようという、劉船長とその支持者による試みだった。

ドイツフライベルク工科大学でワークショップ:International Workshop 2009: Research in shallow marine and fresh water systems

この5月にドイツの地方都市で水中探査に関わる国際的ワークショップが開かれるようです。水中考古学のみワークショップではありませんが、ワークショップで発表される技術は私たちの分野でも活用が期待されるものです。

フロリダ州立大学の人類学部閉鎖!?

関係者の話によれば50年以上の歴史を持つフロリダ州立大学 (Florida State University)の人類学プログラムの廃止が決定したようです。同プログラムでは過去船舶・海事考古学関連のプログラムが提供されていました。卒業生はフロリダ州の水中文化遺産保護に貢献してきた他、世界各地の発掘調査に関わってきました。海事考古学が目新しいプログラムでなくなった現在、欧米の研究機関では専門性を高めると共に、新たな研究テーマの開拓にも取り組む必要に迫られています。プログラムの重要性と価値をいかに大学と共有するかいった問題も絡んできます。

Twenty-one degree progams at The Florida State University, including the
Department of Anthropology, are on the chopping block. The department chair has been told to not accept any graduate students for 2009-2010. This
department has existed for over 50 years, and its archaeologists have
conducted cutting edge work on sites such as Windover, several 17th century
Spanish missions, numerous shipwrecks, and established the first underwater
archaeology program in the state of Florida, not to mention renowned work
throughout Mesoamerica.

アジア太平洋地域における水中文化遺産保護のためのネットワーク構築と人材育成

ユネスコ水中文化遺産保護条約では、地域間連携に基づいた効果的な水中遺跡の保護について規定しています。アジア・太平洋地域では水中文化遺産保護に携わる人材の育成が徐々に進んでいます。フリンダース大学の海事考古学プログラムはオーストラリア政府の支援を受けて、この問題について取り組んでいます。1ヶ国だけに焦点を当てる人材育成ではなく、複数の国から研究者を招聘して行う人材育成は、地域間の連携作りを発展させる試みでもあります。この試みが実を結ぶのはまだ先になりますが、文化遺産の保護と人材育成、地域間の連携は切り離すことのできない重要な問題です。

Flinders maritime archaeologist Associate Professor Mark Staniforth attended the inaugural Meeting of States Parties to the UNESCO Convention on the Protection of the Underwater Cultural Heritage, held in Paris during March. The 2001 Convention was activated with its ratification by a 20th national signatory in January this year.

With funding from the University, Associate Professor Staniforth represented two International NGOs at the meeting: the Advisory Council on Underwater Archaeology (ACUA)) and the Society for Historical Archaeology (SHA).

“The coming into force of the UNESCO Convention marks the beginning of a process whereby it will become an important international instrument for the protection and management of the world’s fragile, finite and irreplaceable underwater cultural heritage,” Associate Professor Staniforth said.

One article of the convention charges states with regional co-operation in the provision of training in underwater archaeology and conservation, and the successful Australian Leadership Awards (ALA) Fellowship Program recently run by Flinders was applauded by both ICOMOS (International Council on Monuments and Sites) and UNESCO.

ALA Fellowships are supported by AusAID, with recipients drawn from the public, private and community sectors of eligible countries for short-term study, research and professional attachment with an Australian host organisation.

The Flinders Maritime Archaeology Program has submitted a proposal to deliver another six-week ALA training program entitled Flinders University Intensive Program in Underwater Cultural Heritage Management in January 2010. Nominations have been gathered from eight countries in the Asia-Pacific: the Federated States of Micronesia, Indonesia, Pakistan, Papua New Guinea, Philippines, Sri Lanka, Vanuatu and Vietnam.

朝日新聞から水中考古学に関する記事

朝日新聞から水中考古学に関する記事が出ていました。諏訪湖の曽根遺跡、開陽丸の調査、近年のエルトゥールル号に言及しています。曽根遺跡論争などで知られる同遺跡は水中考古学の学史においても重要な遺跡です。湖底はシルトが厚く堆積し、調査には困難が予想されますが、未だ遺跡の厳密な範囲も確定されていません。エルトゥールル号は海外の研究機関が日本国内で主導的に水中調査を行った事例として重要な位置づけとなります。報告書の刊行が待たれます。

東京海洋大学のこの分野における「日本初の専門的な教育体制」について興味がある方は同大学のインターネット上のシラバス及びカリキュラムにて講義内容・ワークショップなどを確認してはいかがでしょうか。

朝日新聞主催の「海のエジプト展」はアレクサンドリア沖に沈む遺跡であり多くの注目を集めています。ユネスコ水中文化遺産条約に関する会議上、松浦ユネスコ事務局長も言及しています。フランク・ゴディオ氏が調査の指揮を取っており、エジプト展でも記念講演を行っております。多くの実績があるゴディオ氏ですが、フィリピンなどの調査ではフィリピン政府と合意の下、引き揚げ遺物の売買にも関係しています。「水中文化遺産の商業目的の禁止」を明文化したユネスコの同条約の精神とは相反するのではないでしょうか。

ユネスコ水中文化遺産保護条約について、そもそも日本の海洋政策のなかでは水中文化財・遺跡の研究や保護は真剣に議論されておらず、日本は国際的な水中文化遺産保護の機運の高まりから取り残されています。排他的経済水域や公海上の遺跡の取扱い以前に、現状の文化財保護法では、水中遺跡・文化財への特定の配慮はなく、領海内ですら、遺跡として認知され、保護に至るケースは稀です。

アジアの国々では、水中遺跡が遺跡資源として先進国のグループやサルベージ会社によって搾取されてきました。この構図は人材・設備・予算不足に悩む一部のアジアの国でいまだ変わりありません。ユネスコ水中文化遺産保護条約の基本理念となる水中文化遺産の「原位置保存の原則」は、単に水中遺跡を資源としてみるのではなく、その地域の共通の遺産として将来に残すべく定められたものです。

オランダ東インド会社アヴォンスター号Avondsterの復元

現在内戦が続くスリランカからです。スリランカの南部の都市、ゴールはポルトガル、オランダ、イギリスの植民の跡を港として世界遺産にも指定されています。植民統治時代の要塞と旧市街がその主な文化遺産です。要塞が臨むゴール湾では、VOC(オランダ東インド会社)船籍の沈没船アヴォンスター号が発見されています。沈没船の遺存状況は大変良好であり、原位置での保存が実践されています。ニュースはこの沈没船の模型復元に関するものです。以前にも紹介しましたがアヴォンスター号は日本に寄港したオランダ船であり、水中発掘調査では肥前陶磁が回収されています。現在開発が進むゴール湾の事業には日本の企業も参加しています。要塞、旧市街地と同様にゴール湾に沈む沈没船も遺跡群の一部です。正しい保存と研究の進展が進むことを願っています。

トルコの水中遺跡

トルコ、イズミルの近くのウルラ海底遺跡で発掘が始まったそうです。この調査はアンカラ大学が主体となっています。

この遺跡は2007年に紀元前7世紀頃のイカリが発見されたことが今回の調査のきっかけとなっています。この遺跡は古代の港跡で、約6000年前から使われ始めたものだと考えられており、青銅器時代には主要な港であったと考えられています。紀元前7世紀に起こった地震の被害を受けた後は衰退していったもようです。

今回の調査はイスラエルのハイファ大学などからも協力を得て発掘を行っているそうです。

19 March 2009 | Archaeologists announced today they have begun underwater excavations of the prehistoric site of Limantepe in western Turkey.

The underwater research, headed by Professor Hayat Erkanal of the Archaeology Department of the Ankara University, explores the prehistoric settlement located in the coastal town of Urla near İzmir in western Turkey.

The harbour settlement was inhabited as early as starting from 6,000 years ago and, as such, it is one of the oldest known artificial harbours in the Aegean Sea. A big part of it, including a fortification wall, was submerged in the sea due to a massive earthquake which occurred in 700 BC, according to Erkenal.

Layers from three different periods have been found at Limantepe. The lowest layer belongs to the Early Bronze Age and dates from the third millennium BC onwards. The second one dates to the Middle Bronze Age from the first half of the second millennium BC onwards.

According to experts, evidence from these two early periods indicate cultural ties with the nearby prehistoric sites of Tepekule, Bayraklı within the city of İzmir and the Panaztepe site at the mouth of the River Gediz.

The third layer belongs to the Late Bronze Age and covers the time period from the fourteenth to the thirteenth century BC, with some artifacts discovered from this period suggesting a cultural proximity with the Mycenaean culture.

According to Erkanal, Limantepe was a major sea transportation centre with large political significant in the Aegean Region in 3000 BC.

Interest in the site grew in 2007 when a wooden anchor dating from the seventh century BC was discovered wedged in the sea ground during underwater explorations. It is said that it could be the oldest such anchor ever found.

The current excavations are being carried out with the support of experts and equipment from Israel’s Haifa University.

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第1回ユネスコ水中文化遺産保護条約批准国会議

ユネスコ水中文化遺産保護条約は2009年1月2日
に批准された国際条約です。批准国は現在で22
ヶ国ですが、これら批准国による条約に関する
初の国際会議が3月26-27日にかけてユネスコ本
部のあるパリで開催されます。FIRST MEETING
OF STATES PARTIES OF THE UNESCO 2001
CONVENTION ON THE PROTECTION OF
THE UNDERWATER CULTURAL HERITAGE。
参加する批准国は条約の実践に伴う様々な提案と
決定権を与えられています。また非批准国やNGO
の専門家や研究者などがオブザーバーとして招聘
されています。オーストラリアからはAIMAや
Maritime Archaeology Program (Flinders University)
といった団体の専門家が会議に招かれています。

会議の重要項目の一つは、科学技術諮問委員会
(Scientific and Technical Advisory Body)
の設置とされています。ユネスコ水中文化遺産保
護条約の批准国は国内に専門家や設備を有してい
るわけではありません。委員会は批准国に専門的
見地からアドバイスを行うことを目的に組織され
ます。委員会のメンバーは批准国が推薦すること
ができます。推薦者の割り当て人数は、地域の批
准国数によって決まります。アジア・太平洋地域
ではカンボジア1ヶ国のみが批准国となっている
ため、この地域からはさらに1ヶ国が委員会に推薦
されます。

カンボジアでは現在水中文化遺産の保護や海事考
古学の専門家を育てる動きがあります。これまで
同国の考古学の発展には、日本の大学が少なから
ず寄与してきました。水中文化遺産保護・海事考
古学の分野での提携は未だ行われていませんが、
今後のこの分野で両国の協力が実現することを願
っています。国内の発展には、国外の組織との連
携が欠かせない時代となっています。ユネスコ条
約の批准国会議においてもこのような観点から建
設的な議論が行われることになります。

カンボジア政府 沈没船の保護を目指す

プノンペンポストからの記事によるとKoh Kong省で2006年に発見された沈没船をカンボジア政府が発掘を計画しているものの、カンボジア国内で水中考古学者がいないことなどや水中での発掘・保存などの専門的な知識が不足しているため、調査が難航していることを伝えています。また、沈没船から陶磁器などを盗掘に来るダイバーなどがいたため、海軍が海域をパトロールしているそうです。

この沈没船はKoh Sadech海岸沖で発見され、14-15世紀の中国の船だと考えられています。最初はロシアのダイバーなどを使い調査を行ったのち、中国政府に調査協力を依頼などもおこなったそうです。しかし、国内の研究者を使い考古学的手法を用いて発掘を行うことを目的としてオーストラリアなどでトレーニングを行っているそうです。国立博物館では水中文化遺産の保護などの強化に今後力を入れていきたいと語っている。     

HMS Victory トレジャーハンターによって発見!

1744年に沈没したイギリス海軍の船、HMSヴィクトリー号がトレジャーハンティング会社Odyssey Marine Explorationによって発見されたようです。ちなみにこの船はトラファルガー海戦(1805年)で活躍した同名の船とは違うものです。この船が沈没したとされる地点とは100kmほど離れた地点で発見されたそうです。まだ情報は少ないですが、保存状態はそれほどよくなく、また海域も引上げ作業にはあまり向いていないそうです。

ちなみに、軍船に関しては元の国に所有権があるため、発見した会社は遺跡に触れることができません。しかし、トレジャーハンティング会社はイギリスと交渉を行っているそうです。