2010年も残すところ数日となりました。以前から紹介しているユネスコが進める水中文化遺産保護条約ですが、今年も加盟国が増えました。年末ということもあり、おさらいです。ざっと簡単に説明しますと、水中文化遺産の保護について国が積極的に取り組みこと、国際協力を行うこと、遺物の売買禁止、無駄な引き揚げを抑えて遺産の保護管理を中心とすることなどがユネスコが薦めている方針です。
現在のところ36ヶ国が合意しています。今年は新たに7カ国が加わりました。特にイタリアとアルゼンチンが加盟したことは大きな意義があるでしょう。ところで、コンゴに海はあったの?と思うかもしれませんが、湖や川など水中にある文化遺産(水没遺跡など)の保護も目的としているので沈没船だけに限ったものではありません。ちなみにコンゴは海と繋がっています。アフリカの国々で水中文化遺産保護の意識が芽生えていることはすばらしいことだと考えています。
気になるのが、アジアの参加国なのですが…今のところカンボジアだけです。また、中国、アメリカ、オーストラリア、イギリスなどが参加していないのも非常に残念なことです。これらの国はすでに独自の法律などがあり、なかなか新しい国際法に対応するのが難しいと言う側面も持っています。しかし、スペインは2005年にすでに調印し、精力的に水中文化遺産の保護に乗り出しています。
2011年には私の勝手な予想では40カ国は超えると思いますが、どこかアジアの国が加わって欲しいものです。水中文化遺産は共通の財産であり、私欲のための引き揚げ、商業目的での利用、遺物の売買などは禁止されています。我々水中考古学者にてっては当たり前のことなのですが、国際法の整備となると様々な問題を抱えているようです。その解決のためには、海底ミュージアムや地域参加型の遺跡の保護活動、ダイバーや漁業関係者への呼びかけなどいろいろとやるべきことは残っているようです。多くの人が水中文化遺産の重要性を理解するところから始まっていくものと思います。
1 Albania 2009
2 Argentina 2010
3 Barbados 2008
4 Bosnia and Herzegovina 2009
5 Bulgaria 2003
6 Cambodia 2007
7 Croatia 2004
8 Cuba 2008
9 Democratic Republic of the Congo 2010
10 Ecuador 2006
11 Gabon 2010
12 Grenada 2009
13 Haiti 2009
14 Honduras 2010
15 Iran (Islamic Republic of) 2009
16 Italy 2010
17 Jordan 2009
18 Lebanon 2007
19 Libyan Arab Jamahiriya 2005
20 Lithuania 2006
21 Mexico 2006
22 Montenegro 2008
23 Nigeria 2005
24 Panama 2003
25 Paraguay 2006
26 Portugal 2006
27 Romania 2007
28 Saint Kitts and Nevis 2009
29 Saint Lucia 2007
30 Saint Vincent and the Grenadines 2010
31 Slovakia 2009
32 Slovenia 2008
33 Spain 2005
34 Trinidad and Tobago 2010
35 Tunisia 2009
36 Ukraine 2006
福建省廈門市沖で2004年から2009年にかけてサーヴェイが行われていたようです。約 676,000 平方キロが探索され、考古学調査が可能な沈没船30隻ほどが発見されたそうです。(だいたい琵琶湖と同じ大きさの水域がサーヴェイされたようです)これらの沈没船はどれも積荷が良く残っていたようで、海のシルクロードの解明にむけ調査が進められることでしょう。
最近ではダイバーや漁業関係者が沈船を荒らすようで、ほとんどの沈没船がすでに被害に遭っているようです。これらの違法サルベージを取り締まりでは2006年には45件あり、遺物7000点以上が、そして、2005年には25件、2700点の遺物がこれらの違法ダイバーなどから回収されそうです。
今後中国は水中文化遺産の保護法をしっかりと成立させ、また同時に沈没船の調査も進めていく予定です。現在のところ、中国の水中考古学者の数は100人ほどと、まだまだ国の大きさに比べて少ないですが、どんどん力を入れていくそうです。
長年このウェブサイトをご覧の皆様におしらせがございます。どうも、ここ最近はニュースなどのアップデートの頻度が減ったなとお感じだったことと思います。それもそのはず、実は執筆活動を行っておりまして、少しサボってしまって部分もありました、お詫び申し上げます。今後はすこしずつまたペースを上げれればとかんがえていますので、よろしくお願いします。
さて、実はメディアファクトリーの新書でこの度「沈没船が教える世界史」が発売予定となっております!12月24日が発売予定日となっております。メディアファクトリーの新書のページでも多少情報がご覧になれます!新書ですので、読みやすく書いてあるので、誰でも興味があれば面白く読んでいただけると思います。お値段もお手ごろ価格!
水中考古学とか沈没船の考古学というとどうもオカルト、財宝、詐欺、など真面目にとらわれない部分も(日本では)多いようですが、この本を通して真面目な学問の世界を面白く分かりやすく知っていただけたらと考えています。後ほど詳しい情報などを改めてお伝えします。
最近は中国政府は水中考古学に力を入れていることは以前にもお伝えしましたが、また新たな動きがあったようです。
中国の国家海洋局と国家文物局が共同で水中文化遺産の保護に乗り出すようです。他の海洋調査などの一環で水中文化遺産も取り組むものであり、海洋調査の際には文化遺産も含めて調査を行うことになりそうです。さらには、すでに発見されている水中遺跡のパトロールなどもおこなうそうです。一部の沈没船などに興味のある人だけでなくより多くの他分野の研究者や民間企業なども必然的に水中遺産の保護に取り組むようになるのかもしれません。
沈没船などの発掘や保存処理にもどんどん力を入れているようですし、あくまで個人的な意見ですが、今後中国がこの分野ではアジアのリーダーシップを取っていく準備が整ったようなきがします。
朝日新聞からひとつ面白い記事を発見しました。
沖縄で特攻機に撃沈された米海軍艇エモンズが数年前発見されました。その周辺から日本軍の特攻機の破片も幾つか発見されたようです。特攻機の乗組員に関してはほとんど記録が残っていませんが、発見された破片などからどの飛行機だったか、どこから出撃したかなどを特定する努力を行っているようです。
また、遺族などとの連絡を取ったりとなかなか本格的な調査を行っているようです。日米のダイバーが中心で行われているようです。インタビューに答えた関係者らは「名もないものを解明したいという知的好奇心、それにつきる」と答えています。特に厳密に水中考古学調査を行っているわけではないですが、遺物を守って歴史を世界に伝えていこうという観点では同じだと思います。
画家である日比野克彦さんが開催している個展に毎週のようにイベントが行われているようです。
その中で一風変わった水中考古学のイベントもありますのでご紹介します。11月27日土曜日の開催です。
日 時: 11月27日(土) 14:00~16:00
会 場: 3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田3331)
千代田区外神田6-11-14 http://www.3331.jp
参加費: 1000円(展覧会チケット込み)
定 員: 100名
申し込み方法: 事前申し込み(先着順)
下は日比野さんのサイトからの引用です
すぐ足下にある海底。簡単に見えないがゆえに「ない」ことにされてはいないだろうか?と日比野は問います。身近なのに遠い場所を見いだす視点を「21世紀の思考」と捉え、水中考古学者をゲストに招いてトークを展開します。
参加費:1000円(展覧会チケット込み、定員100名、申込み先着順)
◎林原利明(はやしばら・としあき)
東洋大学で考古学を学び、遺跡(陸上)調査に携わる。長崎県鷹島海底遺跡調査をきっかけに水中考古学の世界へ。現在は水中文化遺産・水中考古学を広く知ってもらうため活動中。ダイビング歴20年。西相文化財研究所・代表。特定非営利活動法人アジア水中考古学研究所・理事。
特定非営利活動法人日本水中科学協会は,
「スクーバダイビングによる活動の安全を確立し、スクーバダイビングによる海の活動を活性化する」
ことを目的に今年の5月に設立された団体です.
団体の代表は,須賀次郎さんです.
須賀さんは,日本のダイビングの黎明期の昭和30年代から、
その普及と安全性の向上に貢献してきたこの分野での日本の重鎮です.
シンポジウムは,以下のように開催されます.
[第1回]スクーバ活動 基準とマニュアル 研究策定シンポジウム
日 時: 2010年12月12日 10時~17時
会 場: 船の科学館・羊蹄丸アドミラルホール
東京都品川区東八潮3-1
参加費: 会員無料/一般1,000円(マニュアル資料代ふくむ)
主 催: 特定非営利活動法人 日本水中科学協会(JAUS)
詳細につきましては,資料を添付しましたので,それでご確認ください.
また,JAUSのホームページからも確認できます.
http://www.jaus.jp/
「船の文化からみた東アジア諸国の位相」というタイトルで関西大学文化交渉学教育研究拠点主催国際シンポジウムがおこなわれます。10月16-17日ですが、ライブ中継も行われるようですので、興味のある人は是非見てください。豪華な専門家の先生方が集まっています。韓国やベトナムの著名な先生方も参加しており、非常に価値のあるシンポジウムです。また、ライブ配信もなかなか新しい試みで楽しみです。
ライブ中継はこちらから
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今年、2010年は水中考古学が誕生して50年の節目の年となっています。いつからが水中考古学の始まりかと聞かれると、人によっては違う意見もありますが、一般的にジョージ・バス先生によるケープ・ゲラドニアでの発掘だといわれています。ケープ・ゲラドニアで始めて考古学者自らが潜って、陸上とまったく同じ(もしくはそれ以上の)正確なスタンダートで沈没船を発掘・記録したことに紀元があるとされています。今年は、その発掘から50年目にあたります。
これを記念して、夏にケープ・ゲラドニアで再び発掘が行われました。当時は沈没船すべてを発掘できなかったので多少残っていた部分などもあったようです。50年前に発掘に携わったジョージ・バス先生も実際に水中に潜り遺跡をその目で再確認しました。また、当時のメンバーのうちまだ潜れる数名が遺跡を訪れています。著名な画家のヘンリー・マチスの孫であるクロードさんも50年前とそして今回も海に潜っています。当時のメンバーは陸の上ではもうすっかりおじいちゃんですが、水に入ると若い人顔負けの凄腕ベテランダイバーに返信します…
ナショナル・ジオグラフィク社がケープ・ゲラドニアの記事を書いていますので、リンク先をご覧ください。当時の写真の今年の写真があります。
これから50年先はいったいどんな水中考古学が発達するのでしょうか?これからはアジアや日本にも期待がされています。ちなみに、ケープ・ゲラドニア遺跡を始め、世界のほとんどの水中遺跡を発見したのは考古学者ではなく漁業関係者やファンダイバー達です。水中遺跡かな?と思ったら触らずに専門家に連絡を取りましょう。水中では陸に比べて保存状態が驚くほど良いことがあるので、昨日沈没したように見える舟でも何百年も前に沈んだ船である可能性もあります。水中文化遺産は人類共通の遺産であることを認識し、ダイバーと考古学者など協力して文化遺産の保護に取り組んでいきましょう。
この研究会は、アジア水中考古学研究所と韓国文物研究院及びウリ文化財研究院共催によるもので、2年ごとに日韓交互で開催するものです。
第1回は2年前の2008年5月に韓国・釜山で開催しました。
今年度の研究会は第2回目で,日本では初めての開催で、日本財団助成事業「海の文化遺産総合調査プロジェクト」の一環として第4回『水中文化遺産と考古学』シンポジウムを兼ねて開催します。
日本のみならず,韓国での水中考古学の実情を知ることのできる機会です。
興味がある方は,参加してみてください.
以下,研究会の詳細です.
日本財団助成事業
2010年度「海の文化遺産総合調査プロジェクト」調査報告会
第4回『水中文化遺産と考古学』シンポジウム
第2回日韓共同水中考古学研究会
開催日時: 9月12日(日) 9時~17時
場 所: 福岡市博物館・講堂
発表者およびタイトル
[日 本]
・田中克子(ARIUA会員・福岡市教育委員会)
「長崎県五島列島小値賀における日宋交易に関する一考察
―前方湾海底遺跡調査の成果より―」
・高野晋司(ARIUA会員・長崎県教育庁学芸文化課)
「蒙古襲来を掘る」
・宮城弘樹(ARIUA会員・沖縄県今帰仁村埋蔵文化財課)
「南西諸島の水中文化遺産の概要」
[韓 国]
・金炳菫(国立海洋文化財研究所)
「水中発掘の高麗船舶の構造と時代区分」
・魯京正(国立海洋文化財研究所)
「忠南泰安郡馬島の沖における水中発掘調査の概要」
・金尹姫(韓國文物研究院)
「海底遺跡出土の高麗靑磁の現況と特徴」
・兪炳琭(ウリ文化財研究院)
「水中考古学の現況」
連絡先: 特定非営利 アジア水中考古学研究所
TEL&FAX 092-611-4404
E-mail kosuwa@h6.dion.ne.jp
※資料代は別途(500円程度)となりますが、参加費は無料です。
事前の申し込みも不要ですので,参加される方は当日直接会場にお越しください。
なお,ご不明な点等は、アジア水中考古学研究所にお問い合わせください。