お知らせ

ケニアと中国

何度か紹介していますが、中国はアフリカ東海岸の各地で水中考古学調査を試みているようです。鄭和の大航海の痕跡を探すことが目的ですが、本当に国を挙げて精力的に活動をしています。

その一環で、ケニアと中国は合同で訓練や調査を進めています。今年の11月からケニアのモンバサの近くの海域で合同発掘調査を行うようですが、中国船ではなく、ケニア(か周辺地域)の船で150-200年ほど前に沈没した船のようです。

今後もこの2国の水中考古の体制は強化されていくことでしょう。中国はがんばってますね。

海に沈んだタイムカプセル 水中考古学の世界

BSフジで放送中の番組、ガリレオXで水中考古学特集が組まれます!

本放送 5月13日(日)朝 9:30~10:00 再放送 5月20日(日)朝 9:30~10:00

元寇の遺跡ー鷹島海底遺跡はもちろんのこと、初島沖の瓦を積んだ沈没船など、話題は盛りだくさんのようです。

お楽しみに!

 

 

フィリピンと中国:領海問題

フィリピン国立博物館が調査を進めていた中国船の発掘が一時中止になったようです。というのも、中国政府から発掘を中止してくれとの要請があったようです。

スカボロ礁といわれる場所での調査ですが、以前から中国との領土問題が発生していた場所のようです。フィリピン政府は今回の調査の中止は中国政府の要請とは関係がないとは発表しているようですが...中国は元の時代から中国の領域であると主張。考古学調査が行われていた間も軍用機などが「嫌がらせ」のために接近していたり、軍用船が停泊したりと問題ありのようです。

このような問題は今後も起こりそうです。水中文化遺産も資源として管理・活用していく必要がありますが、領土など国際問題に発達する可能性もこのように秘めております。尖閣諸島などでも、もし日本が水中遺跡を発見したらどのように中国が出てくるのでしょうか?色々と考えさせられる問題であるように思います。

 

アジアで進む水中文化遺産の保護

ここ1-2年の間にアジアでもどんどん水中文化遺産保護の動きが高まり始めています。韓国や中国はもちろんですが、一見すると経済的に水中文化遺産をマネージメントするのは難しいのでは?と思える国も進んで水中の文化遺産の保護を国の政策として打ち立てています。

今日は、ここ1ヶ月以内ほどに入ってきたアジアでの水中文化遺産保護の動きについて書かれた一般ニュース記事を集めてみました。どの国も「現状維持」をベースにマネージメントを強調しているのが特徴といえます。水中考古学はお金がかかるというイメージがありがちですが、ユネスコなどが打ち出している水中文化遺産の保護はどれも遺跡のマネージメントで現状での保存を最優先しています。つまり、お金がそれほどかからないことになります。発掘をするという考古学のパラダイムから遺跡をどのように保護・管理しながら情報を得るかというパラダイムへの返還が顕著に見て取れるのではないでしょうか?

 

それでは、最初にスリランカから。

Daily Mirrorからの記事を少し解釈を加えて解説します。元の記事はこちら。No salvaging of wrecks

記事を読む限り、国として方針が定まったように感じられます。また、”strictly implement the law against any form of salvaging of ship wrecks”とありますので、すべての沈没船において(遺物などを持ち去る行為を)禁止することになったようです。沈没船などは良い漁場にもなりえるので、そのことも評価されているようです。ただし、沈没船はダイバーからの観光収入もあるので、沈没船ダイビングについてはOKが出ているようです。現在のところ、スリランカ周辺では約50隻の沈没船が確認されているとのこと。

ひとつ興味深いのは、「コマーシャルダイバーが沈没船を調査することを禁止したわけではない」こと。ただし、遺物を持ち去ることは出来ない。また、引き揚げは国からの許可・指導を受けないと行えないそうです。ユネスコのスタンダードに沿った政策のように感じられますね。ただ、沈没船のパトロールなどを行わないといけないかもしれませんね。まだ多少解決していクべき問題はあるでしょうが、大きな一歩を踏み出した様子です。

 

さて、次にインドネシアはこちらの記事から。Indonesia’s Shipwrecks Mean Riches And Headaches (PHOTOS)

Huffingtonpostからですが、写真などが幾つかあるので、ご覧ください。

インドネシアは現在までに、国が把握しているだけでも500隻ほどの沈没船が確認されています。9世紀のインド洋からの船で中国と貿易をしていた船や、ジャンク船、ヨーロッパの船など実に様々です。2010年に水中文化遺産を保護する法律が出来るまでは、サルベージ会社(トレジャーハンティング)が介入し、国の合意の上(賄賂が横行していたようです)で遺物などを売買していました。しかし、今日ではこれらの行為が違法とされているようです。これまでに国に届出をせずに盗掘された沈没船もあるでしょう。インドネシア周辺の海には1万隻ほどの沈没船がまだ残されている計算もあるようです。

しかし、国の管理などが行き届いていない面もあるようです。漁師などが遺物を引き揚げて売ることはごく一般的に行われているようです。なかなか漁師すべてに禁止令を出したりパトロールをするなど課題は残されているようです。

 

それでは、最後に台湾から。Taiwan Todayからの抜粋です(記事ID Publication Date:03/09/2012)

日本語のニュースなので、抜粋をご覧ください。台湾については個人的な意見は書きませんので、読者のみなさまの自由な意見でお考えください。

台仏水中考古学協力で、海洋文化遺産の保護へ

行政院文化建設委員会とフランスの水中・海底考古学調査部は6日、4年を1期とする、「台湾・フランス水中考古学協力行政協議」を締結すると共に、座談会を開催した。文化建設委員会資産総管理処準備室では、水中文化遺産の保存・メンテナンスおよび宣伝は世界各国が日増しに重視しつつある課題であることに鑑み、澎湖島から台湾海峡にいたる範囲における水中文化遺産の長期的な調査作業に積極的に取り組んでいる。

同準備室ではまた、法令の制定で水中文化遺産を破壊や盗難から守り、関連の歴史文献の収集などで研究を助けられるよう期待。専門的な実験室と修復室を設けて引き揚げられた遺物の保存と修復を行うと共に、海底調査や撮影、発掘、修復の専門人員の育成にも努める。同時に、海洋文化遺産に対する国民の認識を向上させ、特に「それぞれの場所での保護」と「盗難防止」などの国際的な観念の普及を進めて世界との連結を図る。

(中略)

...当時、南シナ海と台湾本島、澎湖島、東南アジア諸国、日本、朝鮮の間の「アジアの地中海」で頻繁な海上貿易があったことの証拠である。古代において台湾は「海のシルクロード」の重要な拠点の一つであり、豊富な水中文化遺産に対する研究と保護が待たれている。

 

 

 

 

 

本の紹介

今日は本の紹介です!東京海洋大学の岩淵先生が書かれた水中考古学のちょっとした専門書です!日本では本当に数少ない水中考古学の本です、是非ご購入検討お願い致します!

 

放射性廃棄物とローマ時代の沈没船

以前に放射性棄物の保管・安全性の確認に沈没船が使われる理由の記事で、アメリカなどの研究者が中心となり、ローマ時代の沈没船から発見されたガラスを研究していることをお知らせしました。これは、考古学の研究ではなく、ガラスの耐久性を調べて、廃棄された放射能物質の保管に本当に適しているかを調べる研究です。ガラスは少しずつ劣化していくので、現在のガラスが本当に何千年も危険な物質の保管に適しているのかを調べる方法はなく、あくまで、推測することしかできません。しかし、実際に古代のガラスでしたら自然環境の中でどのように変化したか判るわけですから、より現実的な「実験」といえるのではないでしょうか?

さて、atom probe tomography systemという機械を使うそうですが...分子トモグラフィーとでも言いましょうか、日本語訳はまだ調べていません。ちなみに、英語版ウィキぺディアには多少システムの説明があります。簡単に説明すると、物体の構造を分子レベル(に近い)状態でみることができるという機械だそうです。CTスキャンとXRF(蛍光X線分析)を足したようなものでしょうか?

まだ研究は初期段階だそうですので、これからもっと情報が出てくればここでも紹介していきたいと思っています。今のところ、マグネシウムの層が2ナノメーターほど分離しているのが確認されたそうです。それが何を意味しているのか、ちょっとわかりませんが、ガラスの耐久性に影響するのでしょう。

このテクノロジーは考古学の研究にもどんどん使えそうですね。まだ値段は高いようです。ですが、このような研究は人々の将来(これから何千年後)の生活を守るためには重要なことだと感じます。特に、放射能に関しては「漏れない」とか「危険ではない」といわれても、千年後は大丈夫?のような質問にはなかなか答えられないでしょう。そこで、沈没船から得られた考古学遺物が役に立つのは非常に有意義なことだと思います。

なによりも、ローマ時代の沈没船から発掘されたガラスを放射線物質の管理状況のテストに使うという発想には驚きです。それだけ沈没船の研究というテーマが海外では研究者や一般の人に知られているといことも意味しています。

 

今週もまとめてニュース

今週も親友のWendyさんからニュースがまとめて送られてきました。
先週も書きましたが、このニュースフィードを(ほぼ)毎週受け取りたい方は下に記してあるメールで直接申し込むか、ご連絡ください。
ニュースで読める世界の水中考古学の動向を知るには現在のところ一番の方法と言えるのではないでしょうか?
1. Neanderthals were ancient mariners:
http://www.newscientist.com/article/mg21328544.800
3. Aquatic robot audits Australian seabed health:
http://www.cosmosmagazine.com/news/5363/aquatic-robot-audits-health-seabed
4. HMB “Endeavour” makes port in Adelaide [blog by Cassandra Morris]:
http://flindersarchaeology.com/2012/02/21/hmb-endeavour-makes-port/
5. Pearling lugger photogrammetry [Michael Gregg at work]:
http://museumvictoria.com.au/about/mv-blog/feb-2012/pearling-lugger-photogrammetry/
8. “Cutty Sark” in Greenwich to be reopened to the public:
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-17233100
10. University of Southern Denmark’s Maritime Archaeology Program theses on-line [Jay!]:
http://www.maritimearchaeology.dk/?p=1130
12. The Netherlands and Germany will jointly nominate the Limes Germanicus as a UNESCO World Heritage Site [including Roman shipwrecks]:
http://www.rnw.nl/english/bulletin/german-dutch-roman-heritage-preserved
15. Flag Fen archaeology idea brings in public to dig deep [wetland archaeology]:
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-17211285
23. Platinum plunder or fool’s gold? [commercial salvage]:
http://www.capecodonline.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20120226/NEWS/202260342
26. A Spanish treasure goes home: After many court battles, sunken ship’s contents are returned:
http://www.washingtontimes.com/news/2012/mar/1/a-spanish-treasure-goes-home/
28. Score a half-billion-dollar Win for Spain, but treasure hunters vow to keep digging [commercial salvage]:
http://blogs.browardpalmbeach.com/pulp/2012/03/sean_fischer_treasure_hunters.php
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Wendy van Duivenvoorde, PhD
Lecturer in Maritime Archaeology
Department of Archaeology | Flinders University
GPO Box 2100 | Adelaide, SA 5001 | AUSTRALIA 

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Physical location: Humanities, room 277
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このウェブサイトの秘密を教えます...

水中考古学はマイナーというイメージが日本ではありますが、世界ではそんなことはありません。私が情報発信を行っているのは、常に新しい情報が入ってくる水中考古学の氷山の一角にしかすぎません。その中から選りすぐりの情報・記事をお知らせしております。今日は皆さんに、私がどうやって水中考古学の最新情報を集めているかお知らせいたします。ようは、このサイトのネタをばらしてしまうことです。
最初に、私の旧友であるWendyさんが毎週世界の水中考古学ニュースを集めて配信するサービスをおこなっていますが、今日はその紹介です。下にコピペしたのが、そのリスト。水中考古学の世界のニュースの一部ですが、だいたい動きがコレで読み取れます。Wendyさんの情報を一緒にニュースリストの下で紹介してありますので、興味のある人は是非サインアップしてほぼ毎週送られてくる世界の水中考古学ニュースをお楽しみください。世界の水中考古記事、最近の記事をお探しの方(新聞・テレビ関係者など)も利用していただくと貴重な情報が集まるかと思います。また、水中考古学に興味のある学生さんなども使ってみてください。
この他にグーグルアラートでいくつか水中考古学と関連のあるキーワード設定を数件と、グーグルサーチで「水中考古学」を設定し、また、表示方法を日付順に設定したものをホームページにしております。これで水中考古学の最新情報がそろいます!また、私の場合、テキサスA&M大学で長年勉強・研究していたこともあり、いろいろな方からニュースの種や最新の動きを教えていただいていますので、普通のニュースに載らない情報もあります。これらの中から日本人にも「面白いな」と思ってもらえる情報を発信しております。もっと知りたい方はどんどん自分で調べてみてください!
こちらが、Wendyさんの今週のニュースリンクです。
3. Swedish preservationists document likely cause of sinking of ancient sailing ship [“Vasa”]:
http://www.pri.org/stories/science/swedish-preservationists-document-likely-cause-of-sinking-of-ancient-sailing-ship-8606.html
7. Punjulharjo ancient vessel from 7th century—found in Central Java, Indonesia:
http://www.youtube.com/watch?v=GNohWyUMcKw
8. New website of the Maritime Archaeology Unit (MAU) in Sri Lanka:
www.mausrilanka.lk
10. Maritime trade and Islam in the Indian Ocean: The first Swahili mosques (eleventh to thirteenth centuries) [in French]:
http://remmm.revues.org/7446
12. Profit or preservation? Debate rages over “Titanic” treasures:
http://www.kval.com/news/local/Titanic-treasures-on-the-auction-block-139554238.html?tab=video&c=y
15. Meet the only man alive who has been to the deepest ocean:
16. Job vacancy on UK’s ‘lost world’ of St Kilda:
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-highlands-islands-17127869
17. Four unknown shipwrecks found [Greece]:
http://www.athensnews.gr/portal/41/53466
18. Viking pirates: Creating a maritime identity:
19. Taking tips from Vikings can help us adapt to global change:
http://www.heritagedaily.com/2012/02/taking-tips-from-vikings-can-help-us-adapt-to-global-change/
24. Bulgarian archaeologists find 130 ancient sites along Nabucco Route [gas line]:
http://www.novinite.com/view_news.php?id=136619
26. Harbor-deepening project poses concerns about Fort Sumter:
http://www.thestate.com/2012/02/20/2160009/harbor-deepening-project-poses.html
27. Odyssey seeks to rebuild relationship with Spain:
30. What’s the total value of the world’s sunken treasure?
Wendy van Duivenvoorde, PhD
Lecturer in Maritime Archaeology
Department of Archaeology | Flinders University
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フロリダ・オデッセイ社とスペインの沈没船

数年前からちょっとした話題になっているニュースです。アメリカやスペインなどではまたこの記事が出てますが、日本の新聞社などはまだどこも書いていないようなので詳しく解説をいたします。

日本語の最新のニュースとしてはこちらがあります(短い記事ですが) http://www.cnn.co.jp/world/30005491.html

フロリダに本社を持つサルベージ・トレジャーハンター会社が数億円の価値があると見られる金・銀貨が積まれた19世紀のスペイン船籍の船を引き揚げたことに起因しています。この会社はこれらの遺物の売却を検討したが、スペイン政府が「まった」をかけたわけです。そして、裁判が始まったのが、数年前。最初はフロリダ州の裁判所で始まった裁判ですが、会社側が敗訴し、遺物の返還を求められているわけです。しかし、まだ連邦最高裁に上告できますので、最終決定ではない(裁判は時間が掛かりますね)

さて、この件に関して以前に日本のニュースメディアや様々な方のブログなどを書き込みを拝見させていただきましたが、大多数はスペインの行動に違和感(もしくは批判的な意見)を持っていることが多いようです。それは、スペインが「宝は俺のモノだ」と主張する内容に勘違いされているようです。実際に海外のメディアを読むと、スペインの主張は文化的価値を主張していますし、ユネスコの水中文化遺産保護条約に賛成しているので、売却することもできません。スペインは遺物を文化遺産として見ており、遺物・遺跡の保護を考えています。ところが、フロリダの会社は遺物を営利目的で販売することにありますから、貴重な遺物が世界各地に売却されてしまうわけです。スペインはこのようなことを阻止するべく行動を起こした

どうして日本の反応でこのような違いがでてくるのでしょうか?これは、沈没船の引き上げが「宝探し」を前提としており水中文化遺産として沈没船を考える見解がニュースを伝える側や一般の人達に理解がまだ得られていないからだと考えております。同じニュースでも自分達の持ってる見方でこうも変わってしまうのは面白いことなんですが、同時に大きな問題でもあります。

しかし、先日発表された鷹島の元寇関連の遺跡が日本で始めて国指定の遺跡になったことを考えると、これからこのような勘違いが減ってくるのではないでしょうか?例えば、鷹島の沖で外国の会社が元寇関連の遺物を引き揚げて売り払おうとしたら、日本や中国はどのように対応するのでしょうか?もしくは、このフロリダの会社が遣唐使船を発見して遺物を売却したらどうなるでしょう?または、三角縁神獣鏡を30枚積んだ沈没船なども考えられます。それらを売却することも可能です。これは日本に水中文化遺産を保護する法律が存在していないからです。現在、日本にはこれらのことが実際に起こったとしたら、どう対応するのでしょうか?また、スペインの「返却しなさい」という対応を理解していただけたでしょうか?

遠い国の出来ことではなく、日本近海でも起こりえる事件だと思います。真剣に考えてみるには良い機会ではないでしょうか?

 

海外のニュースはたくさんあるので、お好きなものをお読みください。

http://www.bloomberg.com/news/2012-02-17/odyssey-marine-ordered-to-hand-shipwreck-treasure-to-spain.html
http://articles.boston.com/2012-02-17/news/31072276_1_florida-deep-sea-explorers-coins-and-other-artifacts-nuestra-senora
http://www.aljazeera.com/news/americas/2012/02/20122186547857739.html
http://www.philly.com/philly/news/nation_world/139558663.html
http://www.businessweek.com/news/2012-02-18/odyssey-marine-must-give-spain-shipwreck-treasure-judge-says.html
http://www.mercurynews.com/breaking-news/ci_19988906
http://tvnz.co.nz/world-news/sunken-600m-treasure-loot-going-home-4730071
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2012/02/17/MNKV1N9AVQ.DTL

 

水中考古学遺跡ー初の国指定!

長島県鷹島の海底遺跡が水中遺跡としては日本で始めて国指定の遺跡に指定されました!30年以上も前から調査が進められ「やっと」たどりついたということでしょうか?

元寇終焉の地として知られる鷹島でモンゴル海軍(主に中国船)の積荷や船体の一部などが発見されてきました。いろいろな調査チームや先生方が関わってきた遺跡です。特にアジア水中考古学研究所が長い間調査に関わってきました。もちろん、私も鷹島にしばらく住んで調査をしたこともありました。今を思うととても懐かしいです。

ちなみに、現在、この鷹島海底遺跡の遺物が東京海洋大学で展示中です。2月末にはシンポジウムも行う予定です。 http://www.ariua.org/news/news20120129/

いくつかニュース記事などをまとめたので下にリンクを紹介しておきます。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20120217-OYT8T01272.htm

http://blog.canpan.info/archaeology/archive/220

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/287727

http://blog.canpan.info/ariua/archive/568

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/287683

ちなみに、この鷹島海底遺跡は昔から世界では有名で頻繁に雑誌の記事やテレビなどの取材がありました。何年か前には世界の水中考古学発見ベスト10にも入っておりました。http://www.archaeology.org/0301/etc/kamikaze.html

やっと日本でも有名になった日本の水中遺跡ということになりますね。

水中遺跡は実はそれほど珍しいものではないのです。本当はどこにでもある存在なのです。これは、例えばアルバニア沿岸だけでも数週間の調査で百件近い水中遺跡が発見されていますし、アメリカのメキシコ湾の油田のパイプライン施設に伴う事前調査などですでに2千件以上もの遺跡が発見されていることをみれば明らかです。GPSなどが発達した今日でも船の座礁や沈没事故が頻繁におこっています。木造船の時代は今より海難事故多かったことでしょう。日本の歴史から海を切り離して語ることはできないことは明らかです。どこの海にでも沈没船はまだたくさん埋まっています。しかし、護岸工事などで壊されていることも多いのは事実です。海の上に作られた構造物は良く見かけますが、その下には今回の鷹島の遺跡よりももっと歴史的価値が高く保存状況の良い遺跡があった可能性も充分にあります。(逆に言いますと、鷹島遺跡の保存状況は世界の水中遺跡に比べ決して良いものではありません、ただし、歴史的背景が重要であることが評価されています)世界、そして、日本にはまだまだ保存状況が良い水中遺跡がたくさんあります。海に面した市町村どこでも水中遺跡が発見される可能性はまだまだ充分にあります。

日本では馴染みが薄いようですが、世界では水中考古学は意外とメジャーです。カナダなどは国立公園に水中遺跡がありますし、アメリカなども同じように国が中心となり水中遺跡のマネージメントを行っています。しかし日本はまだまだですが、この国指定が大きなステップになることは間違いないでしょう。日本以外で海に面した国で水中文化遺産保護がない国はほとんどありません。中国などは国家戦略の一環としてスリランカやケニアなどと合同で水中遺跡調査を行っていますし、韓国も国が水中遺跡の発掘に大きな力を入れています。東南アジアでも法の整備が進んでいます。日本の場合、この次の段階としては法の整備となるでしょう。今まで水中遺跡が発見されていなかったことの原因は、海上に建築物を作る際に事前調査が義務として課せられていなかったことにあります。世界ですでに数万件確認されている水中遺跡のほとんどが工事に先立つ事前調査や一般の人が偶然に発見したものです。法律の整備が進めば鷹島海底遺跡のようなすばらしい発見が日本各地でなされるでしょう。

日本の水中考古学の今後の更なる進歩に期待です。世界から見ればまだまだ遅れを取っていますが、充分世界に追いつける発見・研究をこれから重ねていけることでしょう。世界の動きをみて、今回の国指定を受け、日本らしい水中考古を築いていく礎としていただきたいですね。