水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

講演会『日本・沖縄の水中文化遺産の調査成果と活用について』

このところ講演会のお知らせが続いてます…どれも行きたい。

日本・沖縄の水中文化遺産の調査成果と活用について

日時:平成26年2月22日(土)18:00開場 18:30~20:30

会場:久米島博物館ロビー

《基調講演》

講演1 片桐千亜紀(沖縄県立博物館・美術館)
「久米島水中文化遺産見学会の様子~海底遺跡ミュージアム構想の実践~」

講演2 小川光彦(NPO法人アジア水中考古学研究所)
「琉球列島・久米島と東アジア海域の碇石」

講演3 吉崎伸(NPO法人 水中考古学研究所・(公財)京都市埋蔵文化財研究所)
「瀬戸内の水中考古学と海底探査船美術館」

講演4 中西裕見子(大阪府都市魅力・観光課)
「イギリスの沈没船メアリーローズ号の保存と展示」

定員:80名(先着順・予約不要)
入場:無料
対象:一般

主催:久米島町教育委員会・久米島博物館
共催:社団法人 久米島町観光協会

南シナ海の水中文化遺産:ベトナム海事考古学の最前線

来週行われます講演会のお知らせです。東海大学(清水キャンパス)で行われます。静岡県ですよ!

さて、静岡はちょっと遠いな…と思われるかもしれませんが、特別ゲストです!海外で活躍する木村氏が貴重な水中考古学のお話をする、またとない機会です!近くに住んでいる方はもちろん、関東・名古屋、もしくは関西在住の方でもぜひ足を運んでみては?

2013年度第2回海洋文明学科公開講演会

講演タイトル:『南シナ海の水中文化遺産:ベトナム海事考古学の最前線』

講演者:木村淳

日時:平成26年1月24日(金)17:30-18:30

場所:東海大学清水キャンパス3401教室

ベトナムを中心とする南シナ海の海底遺跡や沈没船遺跡研究の最前線と水中文化遺産を巡る海外研究の現状について講演。

どなたでも参加可能

問い合わせ:東海大学海洋文明学科 小野林太郎(rintaro@tokai-u.jp)

アジア水中考古学研究所 関東・東北会員連絡会(研究報告会)

日本の水中考古をリードするアジア水中考古学研究所(ARIUA)の関東・東北会員連絡会のお知らせです。

以下がARIUAのウェブサイトの情報です。

日時:2月1日(土) 14:00~17:00

場所:東京海洋大学・越中島キャンパス 3号館4階会議室(405号室)
研究報告:
1.「水中文化遺産としての品川御台場」 長井宣子氏(アジア水中考古学研究所会員))
2.「記録写真で見る水中文化遺産」 山本祐司氏(アジア水中考古学研究所会員・プロフォトグラファー))
水中文化遺産情報交換

参加費:無料

詳しくはARIUAのウェブサイトで!

 

さて、「お台場」は実は砲台として作られた場所というのは、知っている人もいるでしょうが、この台場の遺跡も面白いそうです。お台場だけではないですが、もともと海と陸の境目に作られた建造物にはある特有のコンディションがあります…それは、あまりにも当たり前ですが、海と部分と陸の部分があるが、本来一つの建造物であること!しかし、なぜか考古学遺跡(遺構)として扱われると、場合により海と陸では違った扱いを受けてしまうこともある…ということを聞いたことがあります。『たまたま現在』陸にある部分だけが周知の遺跡として登録されてはいるものの、『水中に浸かっている部分』は遺跡として登録されていなかったりとか…このような話が出るかわかりませんが、面白そうな話が聞けそうですので、ぜひご参加ください!

2本目の講演は、水中写真家の山本さんのお話です。彼は日本の水中遺跡のその大多数に潜って写真を撮っています。日本の水中遺跡の発掘の写真などは多くの場合、彼の手によるものです。日本の水中考古学の写真撮影技術を築き上げてきたその実績を詳しく見ることができます!お見逃しなく!

 

中国の水中考古学

中国の水中考古学について、日本語で読める記事があったので。

中国は国家プロジェクトとして水中考古学を推し進めています。他の国に比べてもこの分野への熱の入り方はけた違いです。これ自体は素晴らしいことなのですが、この記事の抜粋でいくつか気になる点を挙げます。

「南シナ海には1000艘もの沈没船が眠っていることが確認されているが、水中で作業できる考古学関係者は100人にも満たず、作業は困難を極めている」

さて、沈没船の数ですが、とびぬけて多い数ではないということ。スウェーデンでは3000件以上の水中遺跡が保護対象の遺跡として登録されています。しかし、スウェーデンで実際に水中専門で作業している考古学者はそれほど多いわけではありません。ここではスウェーデンという国を例にとりましたが、メキシコや他の国でも状況はそれほど変わりません。何十万とある水中遺跡のマネージメントをごく少人数でおこなっています。

この記事を読んだときに私が最初に感じたのは、「水中遺跡」というものを陸上とは違う「特別なケース」としてみていることです。

日本では年間8千件以上もの陸上遺跡が発掘されていますが、まだまだ陸上の遺跡が無数にあります。遺跡のある場所は「周知の遺跡」として認知され遺跡台帳に登録されます。周辺で開発があった場合に破壊されるために、保存記録として発掘を行います。遺跡がそこにあるとわかっており、重要な遺跡であっても発掘しないケースがほとんどです。陸上の遺跡をただそこに遺跡があるからガンガン掘っていくなどは考古学者の数や資金の面から見ても相当困難です。でも、困難だからといってニュースでそれが取り扱われることはないですね…というよりも、現在の経済状況や世界の考古学行政(および学術調査)の常識から考えて、遺跡があるという理由のみで発掘することはないと考えられます。

遺跡が開発によって破壊されるときにのみそのエリアを発掘すること、これが行政考古学の前提となっています。そのためには、周知の遺跡の範囲をしっかりと把握すること、新しい遺跡の発見、開発業者などにもしっかりと遺跡を大切にすることを認識させ遺跡があった場合の対処が重要となっています。陸上の考古学ではその時の経済の状況などを考え開発とのバランスを取りながらマネージメントを行っています。日本(と世界)の陸上の考古学は調査だけでなく、遺跡の保存・活用と開発のバランスを図るマネージメントが重要です。そして、水中考古学が発達している国では水中であっても陸上と同様なマネージメントを行っています。陸と水中の遺跡の区別がないことが重要であり、水中考古学という言葉は使われません

海の上で開発が行われるケースは陸に比べて多くはなく、そして、そのほとんどが、自治体主体で行われる開発や、大企業でも国・県などから補助金などをもらって行うことが多いようです。開発の範囲に水中遺跡があっても、工事の範囲を動かすことが可能な場合が多いようです~陸に比べて工事範囲に関しては計画の段階から遺跡の範囲を考えてプランを立てれば、融通が利く場合が多いようです(海は広いですから)。開発のエリアを変更することができずに、やむを得ず水中で発掘を行わざるを得ない場合、特に発掘を行った経験のある考古学者が遺跡発掘の監督を行います。実際の作業は潜水ができる作業員が行い、記録などを取る場合に考古学者が行うことが多いようです。日本でも陸上の発掘で実際に掘っている作業員さんは考古学の訓練はとくに受けてないですね?水中でも同様に対応できるというのが、大体の国において行われています。

しかし、中国の記事を読むと、「水中遺跡があるから掘らないといけない」という印象を受けます。開発があった時のみではないようです…また、発掘を行うのも専門の訓練を受けた人のみなのでしょうか?これでは、どう考えても困難になるのは当たり前ですね?ユネスコが進めている水中文化遺産の保護ですが、こちらも開発とのバランス、遺跡の現状保持を第一のオプションとして捉えています。中国はちょっと異質な感じがします。

ユネスコの水中文化遺産を承認した国は2014年中には(私の予想では)50か国を超えると思われます。それらの国々は基本的には開発とのバランスを考え、陸の遺跡と水中の遺跡との対応の違いを無くすことを目的として取り組んでいます。現在、日本では水中考古学の体制が整っていませんが、どのように国としての体制を作るか考えたとき、参考になるのは、中国ではないような気がします。もちろん、資金や人員が確保でき、そして保存処理もきちんと対応できれば中国のような対応もできますが、日本の現状を考えるとそれは無理な気がします。しかし、現状維持を前提とした場合は充分対応できるのではないでしょうか?その方法などについては、また後ほど…

ユネスコの水中文化遺産について 

 

黒髭ティーチのクィーン・アンズ・リベンジ発掘

おそらく、ここ数年間にアメリカで発掘された沈没船の中で最も有名で成果を挙げているのが、海賊「黒ひげ」のクィーン・アンズ・リベンジ号ではないかと思います。

このサイトでも何度か紹介していますね。通称「黒ひげ」の本名は実はわかっておりません。おそらくティーチ(の発音に近い)名前であることは判っているようです。黒ヒゲのクィーン・アンズ・リベンジ号はノース・キャロライナ州で発見され、調査が継続して行われています。もちろん学術調査ですし、遺跡として、いわゆる遺跡台帳に登録されています。海賊船のイメージにあるような金銀財宝などはほとんどありませんし、あっても、考古学的価値はあまりありません。そのような遺物よりも、歴史的・学術的価値があるのが船体の構造や船で使われていた道具類です。武器なども詳しく研究されています。遺物はしっかりと保存処理がなされ、博物館などで展示され、遺跡から得られた成果を活用しています。

発掘の様子はビデオでアップされています。また、Wikipediaでも彼について書かれています。(英語版はより詳しいです)

海賊の船は、特にフィクションやゲームの中に多く登場しますし、歴史でもよく好んで語られているようです。この他にも、キャプテンキッドの船やキャプテン・モーガンの船なども発見され、研究が進んでいます。しかし、海賊の船というのが実は研究するのが難しいのです。何を持って海賊船とするのかが、曖昧だからです。イギリスのフランシス・ドレークなどはイギリスにとっては英雄ですが、スペインにとっては海賊です。私掠船問いって、イギリスと契約してスペインの船を攻撃して利益を得ることを許されていたから、立場が変われば見方が変わります。また、発見された遺物から海賊船と断定するにも判断材料がないことが多いようです。普通の貿易船などから略奪したものを積んでいれば、商船と見分けがつかない場合も多いですし、また、商船も襲撃に備えて武器を備えているので、なかなか判断できないようです。

そのような中、たよりとなるのが文献資料です。文献から特定の海賊や人物を選び、沈没の記録などから船を特定することが多いようです。特に有名な出来事や有名な海賊などは記述が多く、ピンポイントで沈没船の位置が特定できることもあるようです。

いつの時代も、海賊は人気があるようですね。私の場合、倭寇の船がどんなものだったのか知りたいと思っています。倭寇の船が発見されれば、乗組員の構成などいろいろな研究ができそうです。

漁師の網の中…

読売新聞からのニュースで、漁師さんが底引き網中にほぼ完形の縄文土器を引き上げ、地元の文化財センターに寄付したとのニュースがありました。

この記事についていくつか考えるべきことがあります…

記事の中では、このほかにもよく網に遺物がひっかかるが、大体は欠片で届け出ることはないとのこと。実は、漁師さんは意外と海からモノを拾っていることが多いようです。世界の水中遺跡のその多くはこのような漁師さんや海に関連した仕事をしている人によって発見されています。鷹島海底遺跡や新安沈没船、世界最古のウル・ブルン沈没船など、逆に水中考古学者が発見した遺跡を挙げるほうが難しいです。さて、底引き網ですが実は遺跡を破壊することでも有名です。せっかく発見した遺跡も次の年には破壊されているケースも聞きます。遺跡を発見できる一方で確実に遺跡を破壊しています。

そのような中、環境への配慮も含めて底引き網を禁止する国や地域などもあるようです。しかし、一般的に多いのは水中遺跡があることが判っている地域や遺物の引き上げが報告されたエリアでの底引き網の私用を制限することなどが行われています。周知の遺跡となった場合はやはり制限が必要なのではないでしょうか?陸上の遺跡でも周知の遺跡となると掘削するのに制限がかかります。陸ではOKでも水中ではNGというのも、おかしな話なのでは?

底引き網の他にも、海岸で様々な遺物を拾うこともできます。このような場合、沖に沈没船や水没遺跡があるケースが多いようです。一昔前までは、これらの遺跡を発見するには大きな機材(と資金)が必要でした。しかし、現在ではサイドスキャンソナー(音波探査機)を個人でも買えるレベルまで値段が下がっています。音波を水中に発射し、その反射から水底面を映し出す装置です。イルカさんやコウモリさんが使ってますね。

この音波探査ですが、ゴムボートとUSBが使えるノートパソコンがあればだれでも沈没船を発見するチャンスがあります。ゴムボートがなければ、スワンボートでも可能。サイドスキャン自体はちょっと大きめの長細いスイカぐらいのサイズですから、観光地でも鞄に入れて、スワンボートを借りれば誰にも気づかれず沈没船の探査ができてしまう...スワンボートに乗ってノートパソコン見ているのも不思議な光景ですね。確認はしていませんが、アンドロイドなどスマートフォンではまだできないと思います。アプリを誰かがつくれば出来そうですね...ソナー自体も最終的にはかなり小さくなりそうです。ポケットサイズになったら、タブレットを使って沈没船探査できる日もそう遠くないかもしれません。遺物が網にひっかかるということは、水底の表面に遺跡(遺物)が露出していることになります。この場合、サイドスキャンソナーで水底面を映し出すことができるので、発見できるポテンシャルは充分あります。

遺跡発見のためには漁師さんや漁業関係者にその都度、地方の文化財担当者に連絡を入れていただく必要があると思います。まだその体制ができていない地方自治体が多いようです。発見があった個所は探査をして、周知の遺跡にすることが現在の日本の埋蔵文化財保護法に沿ったベストな方法であると考えられます。遺跡の保護のためにその周辺は底引き網を制限することなどは法律などがないためまだ施行できないでしょうが、埋蔵文化財担当者と漁業関係者の間での協議が必要かと思います。遺跡があればそれをもとに観光資源として活用することや、地域の歴史を知るためには必要なことだと考えられます。陸上で周知の遺跡があった場合、地権者は勝手に掘ることはできないのに対し、水中に周知の遺跡がある場合は保護対象とならないのは不思議です。

今の日本の体制では、遺跡を破壊する可能性のある行為を禁止するかしないかの基準を、現在の海抜という過去の人類の営みとは無関係なスタンダードで線引きをしています。確かに、保護の対象となる遺跡の基準は必要です。日本の場合、中世までは保護し、それ以降は自治体によって歴史的価値のあるものについてはその都度判断すること、となっています。埋蔵文化財保護法で標高を遺跡保護対象の判断とすることなど全く書いていないので、この海抜0mを基準としているのはおかしな話なのではと思います。どうせだったら、この基準を標高634mにしても良いのでは?この標高よりも上(もしくは下)にある遺跡は保護する(もしくはしない)と…

世界の国々で底引き網が部分的に禁止されてきましたが、もちろん最初は反対もあったようです。ただし、広い海の中の数100mで禁止されているにすぎないので、漁業関係者への負担はほとんど感じられなかったそうです。(海域に全面禁止の場合は別ですが...)また、逆に観光客が増えたりすることや、地域で遺跡を守っているということへの誇りにつながったというケースもあるようです。漁場が減るのであれば、政府は多少の補助金などを払う必要があるのかもしれません。陸上でも地権者に対して補助を行っています。

もう一つ問題になるのが、もし、外国の遺物を拾ってしまった場合です。実はこれは重大な国際問題につながる可能性もあります。沈没船とその遺物にたいして、そのもととなる国が判断できる場合、その所有権はもとの国帰属します。つまり、軍艦などは元の国のものであると。その昔、日本におとずれたスペインやオランダの船は元の国が所持している国有物扱いを受けます。これは、日本も旧日本軍のモノは日本のモノであると主張しているため、他国の要求も認めざるを得ません。スペイン・ポルトガルなどはユネスコの水中文化遺産保護法を受け入れているため、勝手に遺物を引き揚げてしまうと、その国から勧告を受ける可能性も考えられます。オランダもユネスコの保護を承認する予定でいるそうです。

現在の日本では、海上がりの遺物に対しての対処方法が確定していません。遺失物として警察に届けられても、対処方法を知らずに民法で処理をし、発見者に遺物の所有権を譲ってしまうと大きな問題となります。スペイン政府は実際にアメリカなど他国に対して裁判を起こし、引き揚げた側に対して賠償請求を行い勝訴しています。一般の漁師さんやダイバーなどはそんなことは知らないことも多いでしょうから、国際問題となってしまった場合に、引き揚げてしまった側に責任を問うことはできないでしょう。もし、国際問題となった場合、行政の体制を作ることや、一般の人にも海から引き揚げられた遺物に対する対応を周知することを怠ってきた日本政府の責任が問われるかもしれません。水中遺跡に関して周知をしなかったために、多くの人を困らせる可能性もあるので、国としての対応を急ぐ必要があるでしょう。

少し難しい話となってしまいましたが…最後にもうひとつ。海底から引き揚げられた遺物は塩分を含んでいるため、脱塩処理を徹底する必要があります。でないと、土器の中から塩が吹き出し、ボロボロに崩れてしまいます。特に縄文土器などは多孔質なので、陶磁器などと違い劣化が進行するのが早いでしょう。脱塩処理は簡単で、しばらく真水に浸しておくこと。時々水を入れ替えればOKです。一番簡単なのは、トイレのリザーバータンクに入れておくこと。常にきれいな水に入れ替わるので、半年で脱塩処理が終わります。海で拾った縄文土器がある方は、応急処置でどうぞ…また、地方の埋蔵文化財担当者に相談してください。水中遺跡に対して対応できない人が多いでしょうから、その場合はご連絡を。

 

伊400号

太平洋戦争当時、世界最大の潜水艦を日本軍が開発しました。伊400号クラスの潜水艦で、潜水艦でありながら、飛行艇を折りたたんで中に収容することができました。全長120m以上の、当時としては化け物のような潜水艦でした。戦争終結後にアメリカ軍の手に渡り、ハワイ沖で沈められました。

この度、この伊400号が海底から発見され、ニュースなどで報道されています。調査に関わったのは、このブログでも紹介したことのあるDelgado教授で、今回の発見について、その重要性について書かれています。

 

伊400号のビデオはこちら

 

おまけ~少し前になりますが、旧日本軍の小型潜水艦(ハ号)もハワイ沖で発見されています。この船は、真珠湾へ攻撃に向かう最中にアメリカ軍に発見され撃沈させられました。パールハーバーへの攻撃が開始される前、太平洋戦争最初の犠牲者が出た潜水艦で、その歴史的価値は高いです。また、もちろん戦没者もいますから、きちんと戦没遺跡(碑)として保護されています。

その映像はこちら

ニュートリノと沈没船と鉛

ちょっと難しい話になります…

鉛は科学の研究に良く使われるそうです…特に放射線を使用した計測とかニュートリノの研究などなどなど。鉛には同位体が幾つかあるようですが、半減期も短く、数百年で完全に安定するそうです。Wikipediaによると、…鉛が全元素中で最も質量数の大きい安定同位体を持つ元素として挙げられ、鉛の同位体の1つである208Pbが、最も質量数の多い安定同位体…であるらしい。まあ、何か放射線などの計測中に同位体の崩壊がないので安定した測定結果を得られるということなのでしょう。詳しくはちょっと専門外なので調べていません。

自然界で発見される鉛には多くの同位体が含まれており、安定していませんが、一度加工され時間が経った同位体は崩壊していきます。…例えばPb210は半減期が22年だそうです。ですので、数百年もすれば、ほぼ完全に安定します。実験には加工した鉛を使いますが、より古い加工された鉛のほうが安定していることになりますね?

ローマ時代(2000年ほどまえ)の鉛となると、実験に使うには完璧に安定した鉛となっているそうです。しかし、そんな古い時代の鉛をどうやって見つけてくるのか…と、ここで沈没船の登場です。地中海には鉛のインゴットや鉛を重しとしてつかったアンカーなど水中から頻繁に発見されます。ローマ人は鉛をよく使っていようです。

当然、科学者は鉛を実験に使いたいわけですが、考古学価値のあるものを使用して良いのか?なかなか面白い議論が話題となっているようです。考古学的立場からすると認可できないことです。しかし、鉛を積んだローマ時代の沈没船は数千隻ありますし、実際に考古学調査された船もたくさんあります。多少の供給はできるのでしょうが、歴史価値のあるものを利用してよいのか…(身近な例に例えると、三角縁神獣鏡を溶かしてダークマターの解明に役立てることができたら日本の考古学者はどう動くか?)

 

いくつか同じことに関してのニュースがあるので、興味のある方はぜひ。

http://gizmodo.com/should-we-mine-ancient-shipwrecks-to-push-science-into-1474900582

http://www.heritagedaily.com/2013/11/controversy-over-the-use-of-roman-ingots-to-investigate-dark-matter-and-neutrinos/100315

http://www.upi.com/Science_News/2013/11/29/Use-of-ancient-lead-in-modern-physics-experiments-ignites-debate/UPI-10401385765979/

http://www.pasthorizonspr.com/index.php/archives/12/2013/researchers-call-for-debate-on-underwater-cultural-heritage

ユネスコ水中文化遺産会議~アフリカで開催

お馴染みのユネスコ水中文化遺産条約ですが、そろそろ加盟国が50国を超える勢いで伸びています。近年では、フランスなど大国の条約承認、そして、イギリスやオーストラリアでも承認の準備が進んでいます。

特にイギリスやオーストラリアなど、昔から水中文化遺産の取り組みが盛んな国では国内法とユネスコの条約の間に矛盾が生じないために、最初に国内法の整備が必要でした(現在ある水中文化遺産に対する保護法の整備など)また、州の法律と国の法律、そして、国際法のすり合わせなど時間を要しました。

そんななか、アフリカ(ナイジェリア)で地域(アフリカ大陸)の水中文化遺産を検討する国際会議が開催されました。アフリカ各国の専門家や政府役人などが参加し、アフリカ大陸でどのような水中文化遺産に対する保護が必要かなど検討・議論されたようです。まだ数は少ないですが、アフリカでもユネスコの条約を批准する動きが高まることでしょう。すでにナミビア、チュニジア、コンゴ、ナイジェリア、モロッコなどが批准しています。すでにアフリカの様々な地域で水中考古学の調査が着々と進められています。特に東海岸の国々が力を入れているようです。条約を批准せずとも調査をどんどん進めています。今回の会議で広く国際的な取り組みも進められていくでしょう。

水中文化遺産の取り組みは実はアジア地域では消極的です。アジア地域でユネスコ水中文化遺産条約を承認した国はイランとカンボジアだけ。もちろん、タイや韓国・中国では水中考古学の調査が積極的に行われていますし、近年では特に若い世代の研究者を中心にベトナムやインドネシアでも取り組みが始まっています。今回のアフリカの国際会議の成功をもとに、アジアでもこれからもっと盛んに取り組みが行われていくことが期待されます!

 

 

 

水中考古イベント情報 (訂正・延期のお知らせ!)

本日は、水中考古学の講演会のお知らせです!といっても、こじんまりとしたトークと勉強会・情報交換会のご紹介です。どちらも福岡で開催されますので、お近くの方はぜひお越しください!

イベントその1

博多塾「水中考古学の可能性を考える」 11月5日(火)18:30~20:00

~こちらは、毎月第一火曜日に集まっている博多の歴史ファンの方の集いです。アイリッシュパブでビールとおつまみ(Fish and Chips!)をつまみながら、1時間半ほどお話をします。テーブルを囲んでみなさんからの質問を受けながら、まったりと水中考古学の話をします。

場所:The Celts (ザ・ケルツ)福岡市中央区警固1-1-23〔薬院六ツ角のそば)

詳しくは、こちらのお知らせをご覧ください。または、ウェブサイトでも。

 

イベントその2

水中考古学勉強会 11月15日(金) 19:00頃スタート

いろいろな方から参加したかったがすでに用事がある!とのご連絡を承りました。勝手ながら、日程を変更いたしますので、ご了承ください!新しい日程は11月29日(金)を予定しております。場所は福岡・天神となります。あらかじめ参加人数を把握したので、参加ご希望の方はご連絡をお願いいたします。

~予定は未定ですが、水中考古学の勉強・情報交換会(オフ会?)を福岡で開催します。今のところ、11月15日11月29日を予定しています。こちらも参加者でテーブルを囲んで水中考古学についていろいろと話します。多くの参加者がいればそれぞれの意見・情報なども交換していきたいと考えています。以前、東京でも同じような会をしましたが、学生などを中心に10数名の方が集まっていただきました。福岡在住で水中考古学についてなんとなく興味がある方、ぜひご参加を!

参加希望の方は、フェースブック ツイッター もしくは、メールでお問い合わせください!

参加したいけどその日は予定があるという方もご連絡を。日程変更もまだ可能です。