水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

トルコ サーヴェイプロジェクト

海事考古学先進国のトルコですが、これまではアメリカなどの研究者がおもでしたが、最近ではトルコの大学や国が積極的にプロジェクトを行っています。現在、5カ年計画でトルコの主な海域のサーヴェイを行っているようでうす。すでに幾つかの沈没船や水没遺跡が発見され、位置や簡単な事前調査が行われています。これらのプロジェクトによる遺跡の確認、データベースの作成は今後の考古学の発達の大きな意味を持っているものと思われます。


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スペインからローマ時代の沈没船

スペインカルタへーナでローマ時代の沈没船が発見されました。今年から本格的な調査が始まった遺跡で、ローマ時代だと確定できる船のほかに2-3隻の沈没船が一箇所にまとまって発見されています。遺跡は撹乱されてはいるものの、遺物の保存状況は良いそうです。


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ハリケーン Dean

先日メキシコを襲ったハリケーンですが、観光の名所Tulumで大砲が岸に打ち上げられているのが発見されたそうです。大砲は約1.8mでガレオン船のようなヨーロッパのものだそうです。

電話線の修復などの復旧作業もまだ行われているため、詳しい情報はまだ入ってないそうです。現在は空気にさらすよりも比較的安定した海中に保管しており、ダイバーなどが見学できるような措置を取っているそうです。


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水中の洞窟

今から約6000年前、オーストラリアのシドニーの海岸線は20-30kmほど現在よりも沖にあったそうです。つまり、当時の生活の跡は海の底にあるはずです。特に、現在入り江になっている場所では波の影響などを受けにくいので遺跡が現在でも存在している可能性があります。さらには現在海底にある洞窟では遺跡が撹乱されず残っているはずです。しかし、このような調査はあまり積極的に行われていないのが現状のようです。

New South Walesの水中考古学チームが海底の洞窟の分布を調査し、幾つか候補地が挙げられています。現在、アボリジニーから調査の許可などを得るのと同時に助成金など調査費用の確保を進めているそうです。


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海からの視点 最初にアメリカ大陸に到達した人類

カナダのブリティッシュコロンビアのQueen Charlotte Islands(水中)遺跡がアメリカ大陸最初の住人についての研究に新たな一石を投じる可能性があります。

これまではマンモスなどを追ってきた人類がベーリング海峡がつながっていた13000年ほど前に歩いて渡ってきたとされています。しかし、南アメリカ大陸などでは14-16000年前に人類がいた形跡があり(チリのMonte Verdeなど)、それ以前に人類が渡ってきた可能性が強く指摘されています。現在、有力な論はアジア、特に日本周辺から船を使ってアリューシャン列島、そしてアラスカを通り、海岸線を使い南下したと考えられています。アラスカで発見された10000年前の遺骨は日本人、チベット、そして南アメリカの原住民にDNAが類似していたそうです。

カナダ政府や大学が主体となりQueen Charlotte Islandsやバンクーバー周辺を調査したところ、水深50mに当時の地形が残っていたことが確認され、この周辺を発掘する計画が浮上しました。

いままで、人類の歴史を陸からの視点で見てきたが、それを見直す可能性が出てきたと指摘しています。人類の発達において速い段階から海に乗り出し、巧みに船を操ってきたかもしれません。


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韓国の沈没船 

70年代の新安沖海底遺跡から始まった韓国の海事考古学ですが、近年では毎年のように沈没船が1-2隻発見・発掘されているようです。2004年からは全羅北道群山の十二東波島、2005年は全羅南道安佐島、去年は京畿道大阜島など、主に高麗時代の沈没船です。

今年も沈没船の発掘を行っています。詳しくはニュースリンクをお読みください。

雲南省の撫仙湖の遺跡

中国雲南省の撫仙湖の底には石で作られた水没した都市があるそうです。天気のいい日などには山の上から影が見え、また遺物なども時折発見されたりしています。他にも様々な伝説がありますが、雲南省の水中考古学チームが簡単な調査を行ったそうです。

遺物の広がりは2.4-2.7平方キロほどあったそうです。この地方に都市があったのは前漢時代で、その後歴史から姿を消しています。ただし、水没したのか別の場所にあったのかは定かではありません。また、建造物表面に付着していた貝を炭素年代測定したところ1750年前ほどとの結果が出たそうです。

まだまだ疑問点が多いですが、何か進展があるか期待しています。


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黒海プロジェクト(深海ROV) 生放送中

バラード博士が行っている黒海のプロジェクトが今年も始まりました。黒海はもともと淡水だったものが海水が後に入ってきた独特の環境にあります。海水と淡水の比重の違いのため、海水の下に無酸素の淡水の層があります。この環境ではバクテリア他の小動物などがほとんど活動できないため、有機物がほぼ完全な形で残っています。ビザンツ時代の沈没船がすでに発見されており、今後の調査でより詳しく調べる予定。

このプロジェクトはROVを使って調査を行いますが、8月18-26日まで毎日1時間ネットで生放送中継を行うそうです。時間はNY時間で正午になります。日本では夜中の1時になります。夜型の人にはお勧めです。

いろいろと深海考古学について詳しく知りたい人はこちらもどうぞ。
http://iao.gso.uri.edu/iao/index.php

ユネスコ水中文化遺産保護協約15番目の批准国はルーマニア?

Convention on the Protection of the Underwater Cultural Heritage批准にむけてルーマニアが手をあげたようです。

Isle of Wright 8000年前の水没遺跡

イギリスのIsle of Wright沖で1980年代に発見された約8000年前の水没遺跡があります。特に有機物の保存が良いので今まで地上の遺跡からは発見されることがなかった種類の遺物などが期待されています。しかし、潮の流れの関係で毎年少しずつ破壊・撹乱されています。発掘や調査のための費用の調達が現在の課題で、貴重な遺跡が失われる前に対策を講じる必要に迫られています。


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