水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

ミニシンポジウム 「船からみた日中交流史」

2005年度から5年間、「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成~寧波(ニンポウ)を焦点とする学際的創生」という文部科学省の大きな研究プロジェクトが始まりました。東海大学海洋学部船舶海洋工学科の研究者を中心にしたグループは、「日中交流史における海事・造船技術に関する工学的検討」をテーマに研究しています。このたび、我々の最近の成果に加え、日中交流史に関連した様々な観点からの講師をお招きして、ミニシンポジウムを開催することとなりました。講演者の先生方には、船舶海洋工学、水中考古学、日本造船史の分野から、日本と中国の古船の構造や当時の海事技術が文化交流に与えた影響などの観点から講演して頂きます。

 一般の方にも多く参加して頂き、質疑など活発な意見交換ができればと思っています。

日時: 2006年7月29日(土)14:00-17:00
会場: 静岡市東部勤労者福祉センター 清水テルサ(JR清水駅徒歩1分)
内容: 日中韓の古船の歴史考証、海底に沈没した遺跡や船を復元する水中考古学の世界動向、現代の造船エンジニアから見た古船の抵抗性能など

14:00~14:20 
開会
文科省特定領域研究「東アジア海域交流」造船班の説明
 (研究代表者:寺尾 裕 東海大学教授)

14:20~14:50 
「琉球進貢船の特徴と抵抗性能」  (八木 光 東海大学教授)

14:50~15:20 
「入唐求法巡礼行記から遣唐使船を推理する」
(遠澤 葆 海事史研究会)
15:20~15:40 休憩

15:40~16:10
「アジアの沈没船を復元する:水中考古学の成果」
 (ランディ佐々木 テキサスA&M大学院生)

16:10~16:40 
「大陸・半島・列島の船」   (安達 裕之 東京大学大学院教授)

16:40~16:50 
質疑応答

17:00       
閉会

 
その他: 申し込み不要、入場無料
問合わせ:電話0543-34-0411
東海大学海洋学部
船舶海洋工学科

金属 保存処理

[ 問題 ]

次の金属のうち、保存処理が最も簡単なもの、そして難しいものはどれ?(注:水中から引き上げられた場合)

  1. 鉄は簡単 銅は難しい
  2. 銅は簡単 鉛は難しい
  3. 錫は簡単 銅は難しい
  4. 金は簡単 錫は難しい
  5. 鉄は簡単 金は難しい


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New Port Ship

イギリスで2002年に発掘された中世の船、通称Newport Shipの展示を予定していた会場が狭すぎるかもしれないと懸念されています。発掘されたときにはつぶれていたので船の大きさが分らず、現在も修復、保存、記録作業が終わってません。また、船を展示するスペースは船の2-3倍の大きさが要求されます。これは、人が周りから見れるためだけではなく、その中で船を組み立てる際にも場所を確保する必要があります。

現在、新しく海洋資料館を地域に作るか検討中だそうです。このような沈没船は発掘から展示・活用まで15年は軽くかかると考えられており、新しく会場を設置するのであればそれ以上時間を費やす事になります。

このように大変な時間がかかる水中考古学・船の考古学ですが、地元では人気があり会場の設置まで住民が心待ちにしています。


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「びわ湖と古代人」展:縄文の丸木舟13隻展示

日本国内ではたくさんの丸木舟が発掘されています。琵琶湖のそばでは特に発掘例が多い。滋賀安土町下豊浦の県立安土城考古博物館で「びわ湖と古代人」が開かれています。特に保存の良い丸木舟13隻が展示され、ほかにも湖の生活の遺物などが展示されているようです。9月10日まで公開。私も8月の末に見学に行きます。

縄文の夢へ進水

中日新聞より

富山県小矢部市の市民グループ「桜町石斧(せきふ)の会」(山本護会長)が、古代の工法に沿って造った丸木舟が完成。「海の日」の十七日、同市クロスランドおやべの通称オアシスの海と呼ぶ池で進水式をし、四千年の時を超えた“縄文の丸木舟”の航海の無事を祈った。 (砺波通信局・鷹島荘一郎)

 四人乗りで全長六・七メートル、最大幅七十五センチ。ボランティアを含む延べ約二百人が五月から携わった。航海は八月四日から三日間。小矢部川から富山湾に出て、浜黒崎(富山市)と宮崎浜(富山県朝日町)の二カ所で野営の後、ヒスイの産地・姫川(新潟県糸魚川市)まで約百十キロの“潮の道”をたどる。

 進水式では、山本会長や西川康夫小矢部市教育長が「海の日にふさわしい壮大な計画の第一歩。いつまでも少年の心を忘れないでほしい」とあいさつ。清めの塩や酒を丸木舟にまいた後、試験航行した。

 ボランティアで舟を削り、本番でこぎ手を務める富山大四年の真田泰光さん(21)=考古学専攻=は「ロマンに満ちた計画に携わることができて、うれしい」と話していた。

トレジャーハンティングへの投資???

経済誌フォーブスからの記事発信になります。あるトレジャーハンターのプロジェクトを巡る億単位の投資の話とその顛末です。学術的な話は出てきませんが、水中考古学が海底のお宝探しと考えれられているのは事実で、記事になった話があちこちであるのでしょう。

ソナーで調査 アメリカ最古のイギリス船

最近新しく海洋考古学を設立したロードアイランド大学がアメリカで沈没した最初のイギリスの船の調査に乗り出しました。これは、最初の植民地に失敗した時の沈没船です。いろいろな歴史背景がありますが、特にサーヴェイの方法についてこの新聞記事を元に解説をします。

最近の海洋音響技術の発達は目覚しく、サイドスキャンソナーなどでも3次元でカラーで海底面の様子を映し出す事が出来ます。この調査はNOAA(アメリカ海洋研究所)から600万円($58,000 )の研究費で行ったそうです。約10日間船の上で生活をし、その間、ソナーを船の後ろに取り付け調査区域を往復していました。25平方マイル(7km x 7km程)を調査したそうです。
この結果、約200程のターゲットを発見しましたが、沈没船だと思われるもおは50件あったそうです。その中でも特に沈没船だとほぼ確実なものは20件会ったそうです。この作業は今後もデータの分析など時間を要します。時には調査に20年もかかります。


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沈没船ダイビング雑誌

沈没船のダイビングを専門で扱っている雑誌です。ダイビング好きの人は見てください。あまり考古学的ではありませんが、このような趣味を持った人が増える事で水中考古の宣伝となり、また、遺跡の発見にもつながります。

石見銀山  水中考古学的調査をどうして行わないの?

大田・沖泊で海底に眠る遺物の収集

来年夏、石見銀山遺跡の一部として世界遺産に登録される大田市温泉津町の沖泊で16日、地元や関西などのダイバー10人が、海底に眠る遺物の収集に挑んだ。湾内での遺物収集は初の試み。17世紀中ごろに九州の肥前地方で焼かれた皿の破片など、江戸期の陶磁器片九点の引き揚げに成功し、「一帯にはまだ多くの遺物があるに違いない」とロマンを膨らませた。

 沖泊は、戦国時代後期から銀の積み出しなど、石見銀山の外港として発展。寄港した船の綱を結んだ多数の鼻ぐり岩が残り、湾内の水域も遺産登録される。沖泊北側の櫛島では、17世紀の中国・景徳鎮の皿の破片が見つかるなど、対岸諸国との貿易の痕跡を示す。

 ダイバーたちは、波止場から沖合200メートルまでの湾内(水深2―4メートル)に潜水。海底の砂地から次々と遺物を採取した。島根県教委世界遺産登録推進室の目次謙一文化財保護主任(34)らが鑑定した結果、江戸後期の有田焼の染め付け皿や温泉津焼のすり鉢などの破片が確認された。陶磁器片は絵柄などの保存状態が発掘調査の出土品より良好という。

 調査を呼び掛けた地元のダイビング店経営、浅田昌平さん(48)は「沖泊の水中にはさまざまな遺物が眠っている。行政に協力し今後も調査したい」と意欲を燃やす。収集した陶磁器片は石見銀山課に提供した。

 
 

と、このように報じられていますが調査の方法に疑問を感じます。これらの遺物をただ引き上げるのではなく地上の考古学と同じように発見地点のポイントを抑える事が重要です。新聞の記事を見た限りでは地元のダイバーを使った遺物採集を行ったように見受けられます。これらの作業は本来、考古学者が行うべき作業です。遺物の分布や潮の流れから沈没船の大体の位置を特定し、そこにサブボトムプロファイラーやサイドスキャンソナーで調査を行えば沈没船の発見につながるかもしれません。また、水深2-4mの地点を調査したそうですが、これにも疑問がああります。水深の浅い場所は直接波の影響を受けるため遺物が散乱するのは当然であり、もっと深い地点を調査する必要があります。さらには、たいした深さではないのでわざわざダイバーを使わずに考古学者が簡単なトレーニングでも潜れます。

  本当に「世界」の遺跡を目指すのであれば、水中考古学も世界のレベルの調査をする必要があるのではないでしょうか?この新聞の記事を見る限り、海外での1950年代の調査方法を取っているとしか思えません。文化遺産を大切に守っていく気持ちがあればこの調査方法に疑問を持つものと思います。みなさんはどう考えるのでしょうか?世界遺産を目指すのであれば、周囲の海に目を向けるのは当然のことであり、石見銀山の調査担当者に敬意を表します。調査方法は間違っているのは明らかですが、良い一歩だと思います。あとは真面目に世界の水中考古学の調査例を学べば何が今一番必要かがすぐに見えてくるはずです。

ノースカロライナ州でまた沈没船発見

ノースカロライナ州専属の水中考古学チームがまた新たにCurrituck Soundという場所で沈没船を数隻発見しました。このほかにMonkey Island(サルの島?)地点でも沈没船が見つかりました。この地点で沈没した船の記録は無いのですが、地元の言い伝えでは南北戦争時に沈んだ船だそうです。

このようにアメリカではほとんどの州で専属の水中考古学者がおり、サーヴェイ、沈没船データベースの作成、護岸工事の際の事前調査などを積極的に行っています。内陸の州にもなぜか結構います、川や湖などでも積極的に調査しています。日本での政府の取り組みはどうでしょうか?


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