水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

イタリアの青銅器時代の遺物がイギリスで発見

イギリスDevon沖で幾つかの遺物が発見されました。沈没船かと思われますが、遺物が散乱しており、船体の確認は取れなかったそうです。青銅の剣や槍、金の遺物などが発見され、その中にシチリア島特有のものもあったそうです。イタリアでStrumento con immanicatura a cannoneと呼ばれるものです。これらの遺物は紀元前13世紀ごろのものと考えられており、3000年以上も前からイギリスとヨーロッパ大陸が交流していたことを物語っています。


イタリアの青銅器時代の遺物がイギリスで発見 の詳細は »

USSインディアナ号博物館

USSインディアナポリス号の博物館がインディアナ州に新しく作られることが決まったそうです。この船はフィリピンを出港したあと日本の潜水艦伊58号に撃沈されました。救助が遅れたため1200人中300人ほどしか助からなかったそうです。ほとんどの乗船員は救助が来るまでに疲労で死んだもの、溺れたもの、そして多数のものがサメに食べられてしまったそうです。(世界有数のサメの繁殖地域だったそうです)

さて、このUSSインディアナポリス号が撃沈させられたアメリカ側は過剰に反応を示したそうです。というのも、インディアナ号は広島に投下された原爆をフィリピンまで運んだ船なのでアメリカは日本が原爆のことをすでに知っていたと考えたからです。さらに犠牲者の数が多かったことや戦争のほぼ終結間際での出来事だったこともあり、太平洋戦争の大きな事件として人々に覚えられています。

ちなみに、伊58号ですが、戦争終結後佐世保沖にアメリカ軍によって沈められました。2-3年ほど前、ディスカバリーチャンネル主催のもと水深200mの地点でこの潜水艦が確認されました。(プロジェクトはもともと伊400号の確認を目的としたものでしたが...日本のケーブルテレビでも放送されました)


USSインディアナ号博物館 の詳細は »

イランの深海考古学アップデート

以前にもお伝えしたササン朝ペルシア時代の沈没船の調査ですが飽和潜水による発掘が提案されているようですが、イランではプロのダイバーが少ないため考古学者などを含め、専門家を呼びトレーニングなどを行うそうです。

この遺跡はシラフの港の沖で漁師が発見したものだそうです。漁師が地元の考古学者に連絡をいれ、連絡を受けた国家海洋考古学チームが調査を行ったところ遺跡の年代と重要性が確認されました。水深70Mであるため普通の空気でのダイブは難しいそうです。だからといって貴重な遺跡を無視することは出来ないのでイラン政府はいろいろと計画を練っており、国際的な協力関係もありそうです。イランだけでなく、インド洋の海事考古学の発展に充分貢献できる遺跡だと期待しています。


イランの深海考古学アップデート の詳細は »

イランで海洋文化遺産の保護進む

1880年代にイラン政府がドイツから軍艦を購入したそうですが、イランが最初に外国から購入した軍艦の遺跡が確認され、政府によって厳重に保護されることが決まりました。沈没船の位置はその地方では知られていたそうですが、遺物が売り払われていたことなどから政府が介入し、正式に調査が始まり、その結果船の確認が行われました。これから遺跡の現状維持のための計画が出されることでしょう。


イランで海洋文化遺産の保護進む の詳細は »

韓国の水中文化遺産調査船 シーミューズ

韓国の海洋考古学はアジアの中では今のところ最先端を誇っています。そしてさらに新しい動きがあります。木浦の国家海洋博物館がアジアで初の水中文化遺産調査船、Seamuse 「シーミューズ」が就航します。詳しくは本文の引用をご覧ください。

さて、この船ですが、サイドスキャンソナーなどいろいろな設備を満載しているそうです。また、ウォータージェット方式、Dynamic GPS システムなども搭載しているそうで水中考古学調査にはかなり最先端な装備です。DGPSは船を固定することが出来るので、水中ロボットを使った発掘には必要なシステムです。

新安沈没船の発見から30年を記念して式典なども行われるそうです。ちなみに、今年の初めだったと思いますが、韓国のある研究者から私の所属するテキサスA&M大学海事考古学研究所で使っている調査船についていろいろと質問をしていました。何か参考になったのか、一度この船を見てみたいですね。


韓国の水中文化遺産調査船 シーミューズ の詳細は »

国防長官ゲイツ氏と水中考古学

ブッシュ大統領が今日、ラムズフェルド国防長官の辞任にともない新しくロバート・ゲイツ氏を国防長官に推薦しました。なぜこのニュースと水中考古学が関係あるのか疑問に思うかも知れません。

実は、テキサスA&M大学の海事考古学研究所(The Institute of Nautical Archaeology)はゲイツ氏と密接な関係にあります。彼はテキサスA&M大学の学長で、海事考古学研究所の主要な顧問メンバーの一人でした。彼は水中考古学の発展に興味を示し、この学問の発展を願っていました。いろいろと新しいプログラムなどを提案していたのですが、途中で辞任することになり、研究所に多少の影響が出るかもしれません。まだ新しいニュースなので詳しいことはわかりません。公認の学長が誰になるかわかりませんが、水中考古学に理解のある人に決まってほしいものです。

さて、ゲイツ氏ですが、国防長官という職なので水中考古学の発展を政府を通して...というのは無理そうです。しかし、何かの機会に水中考古学の話がホワイト・ハウス内で行われるかもしれませんね。というか、ブッシュ大統領も水中考古学の父と呼ばれるジョージ・バス先生に科学の発展に貢献したとして名誉勲章をあたえていますし、UNESCOの水中文化遺産保護法などはそれなりに重要な課題なので、水中考古学が多少話題になっているのではないでしょうか?

水中ロボフェスティバル成功!

先日、神戸で水中ロボットフェスティバルが行われました。いろいろなアイディアが詰め込まれた水中ロボット達が紹介されたようです。今後、このような研究をもとに水中考古学への活用も期待できるのではないでしょうか?

Newport Ship ビデオニュース

中世イギリスのNew Port Shipのビデオニュースです。2番目に出てくるTobyさんは2-3年前TAMUを卒業したばかりの私の先輩です。

簡単にビデオの説明ですが、まず木材などに付着したコンクリーションを取り除く作業が行われています。その後、FARO-ARMを使い木材をすべて3次元復元します。その後、保存処理に脱塩処理に移ります。

6.金属の処理(保存処理を始める前に)

水中から引き揚げられた金属遺物は保存処理を行うものに大きな問題を抱えてきた歴史がある。しかし、長年の試行錯誤の結果、確実で簡単な方法が保存処理方法が確立されてきた。ここでは最初に水中遺跡で最も一般的に発見される鉄(Fe)についての保存を紹介する。特に保存処理そのものでなく、錆の性質、コンクリーションの形成の理由、そして保存処理にいたるまでのステップを紹介する。


6.金属の処理(保存処理を始める前に) の詳細は »

浜辺の監視員が水中遺跡を発見

イスラエルのネタニヤの海岸で浜辺で勤務中の監視員(ライフガード)が鉄の碇を発見し、国家考古学当局に連絡をしました。簡単なサーヴェイが行われ、青銅器時代の碇なども発見されました。ほかの遺物も幾つかみつかっているそうです。時代の違う数種類の遺物があること、そしてアンカーの状況などから撹乱は少なく、この地点が何らかの理由で船の停泊に適していたことが伺えます。

この遺跡を発見した監視員は”ただ単に監視員としての仕事をしただけのことだ”と語っており、”きちんと調査をしないと歴史から消えてしまうからね” 彼は以前にもこの地方で水中遺跡を発見しています。


浜辺の監視員が水中遺跡を発見 の詳細は »