お知らせ

連続講座 唐物と東アジアの海域交流

神奈川県の金沢文庫で開催される特別展「唐物KARA-MONO」の関連講座。

金沢文庫の特別展については、こちら

鎌倉と海とのつながりを考える講座が多いですね。12月9日は、興味のある方は、ぜひ。

第1回 11月11日(土曜日)梅沢恵(神奈川県立金沢文庫主任学芸員)「鎌倉地方における唐物受容」

第2回 11月25日(土曜日)石野一晴氏(学習院大学研究員)「観音様に会える島-明代における普陀山復興と巡礼-」

第3回 12月2日(土曜日)西谷功氏(泉涌寺宝物館「心照殿」学芸員)「入宋僧と普陀山観音信仰」

第4回 12月9日(土曜日)佐々木蘭貞氏(九州国立博物館研究員)「鷹島海底遺跡の調査とその後 これからの水中考古学研究」

第5回12月16日(土曜日)長岡龍作氏(東北大学教授)「海をわたる釈迦像-清凉寺釈迦如来像の胎内に見る信仰世界」

ラーム・セートゥ(インドとスリランカの間)で水中考古学調査

インドとスリランカ、実は歩いて渡ることができた?

インドとスリランカの間には「海の橋」とよばれ、小さな島と石が点在しているのを、衛星写真などでも見ることができます。15世紀のサイクロンで一部破壊されるまでは、歩いて渡れたという記述も残っているそうです。『ラーマヤーナ』などにも伝承が伝わっているそうです。この海の橋は、ラーム・セートゥ、または、アダムス・ブリッジという名前で知られています。この点々とする島と石ですが、人の手によって造られたとも伝えられています。人口でないとしても、海洋文化・海洋信仰の場所として文化的価値は高いでしょう。

さて、この海域に開発の計画が立ったようですが、それを受け、水中考古学調査がインド側から提案されています。大きなプロジェクトとして期待されているようです。さて、どんな発見があるのでしょうか?

海賊の海に沈んだオランダ商船の謎

毎月、産経WESTで連載されている「水中考古学へのいざない」、今月は井上たかひこさんが実際に参加された発掘調査から。

ドミニカ共和国のモンテ・クリスティ沈没船の謎・・・ 発掘調査によりオランダで作られたと思われるタバコパイプ(長崎・出島にも似たようなものがありますね)が3万点ほど発見されていますが、実は、この船について詳しいことは分かっていません。そもそも、どこの国の船なのか、現在のドミニカ共和国周辺にいたのはなぜか?海賊行為によって略奪された船なのか?

17世紀、スペイン(ポルトガル)・イギリス、そしてオランダなどが、お互いに海賊行為(私掠勅許状を持っているものも含む)を行いながら大西洋に勢力を拡大していた時代… 文献に残されていない様々なドラマがあったことでしょう。

 詳しくは、連載記事を。

イギリス〜沈没船の引き揚げはしないだろう…

イギリス・ヘンリー8世の旗艦メアリー・ロース号が1980年代に発掘され、ついこの前やっと保存処理を終えて晴れて完全公開がされました。実に保存処理に30年ほど費やしています。数百年前の軍艦が見られるのは、圧巻です。スウェーデンのヴァーサ号も、船体の9割が残っていた船で、1969年代に発掘されていますが、現在の、やっと最終報告書(シリーズ)が出始めているところです。ヴァーサ号博物館は、年間100万人が訪れる北欧No.1の観光スポットとなっています。

しかし、イギリス政府は、この度、もう大掛かりな沈没船の引き揚げ作業は行わないだろうとしています。イギリス周辺には、沈没船など水中遺跡が4万件あるとされ、多くの遺跡が調査され、また、毎年のように保護地区が設定されています。海の環境が遺跡の保存に適切でない場合は、遺跡を完全に埋め戻され、遺跡を見ることはできなくなります。多くの水中遺跡は、このように、海の底の底で眠っています。

遺跡を活用し、歴史を理解する観点からすると、見れない遺跡にはあまり価値がありません。そこで、重要となるのが、VR技術です。おおくの遺跡は、デジタル写真などで記録を取り、貴重な遺物はサンプルとして引き揚げています。詳細な記録は、VR技術で再現され、一般に公開されています。

今後は、積極的に海底での写真実測技術に力を入れていき、また、写真実測ができる考古学ダイバーの育成にも取り組んでいくようです。

 

 

 

水の中からよみがえる歴史

九州国立博物館では、夏休み期間中に水中考古学の特別展示を行います!

詳しくは、九博ホームページで!

 「水の中からよみがえる歴史‐水中考古学最前線‐」

2017年7月15日~9月10日まで

水中考古学のこれまでの歴史を振り返りながら、今後の向かっていく方向を示す。そんなことを思いながら展示を組み立てています。蒙古襲来の沈没船で有名な松浦市の鷹島海底遺跡をプロローグとし、その後は3章構成としております。第1章では、初期の水中考古学の調査~人々が水中遺跡の存在に気が付いた時期を紹介します。第2章は、水中発掘調査の始まりの時期、そして、第3章では、最新の調査や今後の発展へ向けての取り組みなどを紹介します。

図録は、来館者には無料配布予定です。是非、お越しください!

主な遺跡と作品です。

曽根遺跡(長野県)13000〜10000年前 旧石器〜縄文時代:石鏃
葛籠尾崎湖底遺跡(滋賀県)4000年前 縄文時代:深鉢(縄文土器)
相島沖海底遺跡(福岡県)9世紀 平安時代:丸瓦・平瓦
倉木崎海底遺跡(鹿児島県)12世紀 平安〜鎌倉時代:青磁碗・白磁碗など
前方湾海底遺跡(長崎県)12世紀 平安〜鎌倉時代:天目、白磁碗など
鷹島海底遺跡(史跡鷹島神崎遺跡)(長崎県)13世紀 鎌倉時代:管軍総把印、「てつはう」など
西浜千軒遺跡(滋賀県)15世紀 室町時代:一石五輪塔
沖ノ島北方海底遺跡(和歌山県)15世紀 室町時代:青磁碗
山見沖海底遺跡(長崎県)16世紀 江戸時代:ハンネラ土器、鉛インゴットなど
高田海岸・オランダ商船遭難の地(沖縄県)19世紀:青花碗、塩釉瓶など
開陽丸遺跡(北海道)19世紀 江戸時代:拳銃、施条榴弾など
推定いろは丸埋没地点遺跡(広島県)19世紀 江戸時代:木製滑車、鮫皮台など
エルトゥールル号沈没地点(和歌山県)19世紀 明治時代:船体の被覆銅板、横浜焼など
 非常に「幅のひろい」展示となっています。北は、北海道から、南は沖縄多良間島まで。時代は、旧石器~現代。そして、発掘・発見されたのは明治から昨年度まで。遺跡の種類も、沈没船だけでなく、湖底遺跡など水中遺跡の多様性を示すような工夫をしております。

関連イベントのご紹介 

①特別講演会「プロカメラマンが魅せる水中遺跡」

日時:7月17日(月・祝)14時00分から15時00分
講師:山本祐司 氏(水中写真家)
 ~プロカメラマンによるスライドショー・トークショーです!

②やっぴい & ランディのサイエンスラボ「水中の宝をさがせ!!」

日時:7月23日(日)13時30分から14時45分
 ~子供向けのサイエンスショー!金属探知機体験やソナーの仕組みなどなど。

③シンポジウム「水中文化遺産の多様性 – 縄文から龍馬まで – 」

日時:8月26日(土)13時30分から17時00分
 ~特別に講師の方々をお迎えして講演・討論会を行ないます!

④夏休み特別企画「鷹島海底遺跡 よみがえる元寇船VR体験」

日時:8月25日(金)~27日(日)
~鷹島海底遺跡のVR体験ができる特別ブース!蒙古襲来クイズ、触れる遺物など。

➄ミュージアムトーク

日時:7月25日(火)・8月22日(火)15時00分から30分程度
会場:九州国立博物館4階 文化交流展示室 第9室
 ~展示室内で、私のトークが聞けます...
 イベントは、すべて無料。当日先着順です。お待ちしております!

 

BIKI 水中ドローン

魚型水中ドローンが開発されているようです。

お値段も手軽、もちろん、カメラも搭載。操作性も良さそうです。流れの速いところでは、ちょっと流されてしまいそうではあります。水中考古学の調査には、これだけのスペックでは難しいかもしれません。しかし、市販タイプでここまでできるとは、10年前には想像もしていなかったように思います。

水中ロボットのテクノロジーは考古学の分野にも応用されています。ですが、私が注目したいのが、このようなテクノロジーを通して、(実際に手にとって使うことがなくても)海という存在を身近に感じてもらえるのではないか?と期待をしているところです。また、たまたま水中に遺物を発見することだってあるかもしれません。

 

 

 

立命館大学の水中(考古)ロボットたち

立命館大学の水中ロボット開発。

用途は様々ですが、琵琶湖の水中考古学(水中遺跡)の調査にも使われています。「堤瑕無(ていかむ)」や「海観(みかん)」など、一風変わった名前のロボット達。人間が潜れない環境で、調査ができるのが強みです。

特に、琵琶湖の北限に近い、葛籠尾崎遺跡の調査に使われています。この遺跡は、水深70mあたりから完形の縄文土器が発見されている珍しい遺跡です。大正年間に発見され、おそらく、滋賀県で最初に見つかった中期の縄文土器の鉢などが有名です。

今後のロボットの活躍に期待です。

埋め立て地の下から船など

サンフランシスコやニューヨークなど、大都市は港町として栄えてきました。都市の拡張ととともに、港の一部を埋め立て、ドンドン海側へ土地を広げてゆく...そう、東京など日本の都市も同じですね。江戸の古地図と現代の地図を比べると、どれだけの土地が埋め立てられているかがわかります。

今日のリンク先のご紹介ですが、サンフランシスコの古地図と重ねていますが、面白いのは、船が発見された位置を記録していること。使われなくなった船などは、港の拡張と一緒にその場で埋められることが多かったようです。工事の際に、ビルの下から船が現れることもよくあります。有名な話では、ニューヨークのワールドトレードセンターの地下から船が発見されています。そう、911のテロで崩れたあのビルの下は船の遺跡だったんです。ビルの解体中に発見されています。

日本でも、埋め立て地の下にまだまだ遺跡があるかもしれませんね。普通、陸の場合は、遺跡がありそうな場所は、工事の前に遺跡があるか事前審査の対象になるエリアが決められています。しかし、昔海だった場所や埋め立て地は、「遺跡がない」と考えられているので、事前調査の対象外となっている場合が多いです。また、新しく埋め立てをする場合も、多くは考古学調査なしで工事が進んでしまいます。

もしかしたら、自分の住んでいる家の下に、沈没船が埋まっているかも?

 

 

旧日本軍の潜水艦

伊号潜水艦…。当サイトも、だいぶ前から続けていますが、潜水艦はよく扱っています。

伊58号は、個人的には最も興味のある潜水艦です。インディアナポリス号をフィリピンで撃沈したことで有名です。実は、このインディアナポリス号は、原子力爆弾を運んでいた船だったのです。原爆を無事に届け終わり、出港してすぐに日本軍に発見され、沈められました。もし、伊58号が、ほんの数日前にインディアナポリス号と遭遇していたら、歴史は大きく変わっていたことでしょう。

戦後、アメリカ軍の持ち物になった潜水艦ですが、海上処分されました。さて、この場合、所有権はどうなるのか?終戦を迎えた時点で、一度アメリカ軍が所有していたことになります。一応、アメリカの法律で、アメリカ軍に帰属していた船舶は、その所在に係わらず、アメリカが所有権を主張しています。日本の領海内ではありますが…ただし、アメリカ軍が破棄した船舶ですので、その時点で所有権を放棄したことになるのでしょうか?処分されているので、戦時中に沈んだ船とはちょっと扱いが違います。

また、今回(?)のような発見~すでに10年ほど前に発見してます~が報道されると、すぐに「引き揚げ」の話が出てきます。現在の技術で、確かに小さな破片などは回収できますが、その後どうするのでしょうか?空気に触れると劣化が進行しますので保存処理が必要です。回収品の大きさにもよりますが、2年間はほとんど触れることも出来ません。費用も掛かります。いったいどこに保管するのでしょうか?博物館を建てるなども考えられますが、収益は見込めるのでしょうか?

画像は著作権などあるので、ニュースの画像を見てもらいたいのですが、ソナー画像で、船体の周りになにやらモヤモヤとしているモノが見えますが…魚です!そう、沈没船は漁礁になるので、多くの生物が住んでおり、ひとつの生態系を形成しています。実は、地元の漁師さんなどは、絶好のポイントとして利用しています。沈没船を探す最善の方法は、実は地元の漁師さんなど海と日ごろから関わりを持っている人たちへのインタビューだったりします。

ひとつ、気になることですが…やはり鉄の船体ですので、海底でも徐々に劣化が進んでいきます。今は、まっすぐに立ったままですが、数年後には崩れてしまうこともあるでしょう。例えば、タイタニック号なども発見された当初からどれだけ劣化が進んでいるかの記録を取っていますが、予想以上に進行が早いようです。海水温度の上昇などもバクテリアなどの活動を活発にさせるので、劣化のスピードが早くなる可能性も考えられます。タイタニック号の調査によると、水中ロボットなどで訪れて、船体に傷をつけたりするだけでも、海底の環境が微妙に変化し、大きな影響を及ぼす可能性があるといわれています。

貴重な資料であることは間違いないので、慎重に研究などを進めて欲しいものですね。上手に活用すれば、地域の活性化などにも利用できるかもしれませんね。

NHK News

朝日新聞 News

海上シルクルート関連世界遺産登録に関する専門家会議

2017年5月30-31日にかけてロンドン大学で、「海上シルクルート関連世界遺産登録に関する専門家会議」が開催されます。
水中文化遺産も議論の対象となります。
http://whc.unesco.org/en/events/1378

中国からの助成もあって、ユネスコのシルクロード関係の研究が盛んになっています。

2015年には韓国慶州で、ユネスコが主催した「東方のシルクロード」圏の海上シルクロード交易路の重要性が陸上のシルクロードと合わせて議論され報告書が刊行されています。
http://www.unescobkk.org/fileadmin/user_upload/culture/Silk_Roads/The_Eastern_Silk_Roads_Story_2015_Conference_Proceedings_UNESCO_re.pdf