お知らせ

なにわの海の時空館「よみがえる軍艦 エルトゥールル号の記憶」

和歌山県串本で沈没したトルコ軍艦エルトゥールル号関連の催しものがなにわ海の時空間で行われるそうです。写真家の赤木さんのよるギャラリー、トルコの音楽などいろいろなイベントが開催されています。

以下、海の時空間のウェブサイトからの引用です。

大阪市立海洋博物館 なにわの海の時空館では平成23年10月4日(火)から11月6日(日)まで、「よみがえる軍艦 エルトゥールル号の記憶~日本とトルコの絆~」を開催します。 1890(明治23)年9月16日、オスマン帝国の親善使節団を乗せた軍艦「エルトゥールル号」は、台風により和歌山県串本町大島沖で座礁しました。この時、500名以上の乗組員が命を落としましたが、駆け付けた地元住民の献身的な救助活動によって、69名の生存者を得ることができました。悲劇の遭難事故ではありましたが、この出来事は、日本とトルコで広く語り継がれ、両国の絆の象徴ともされています。
2008年より、エルトゥールル号遭難海域の水中で、発掘調査が行われました。本展では、120年もの時を経て引き上げられた遺物を展示するとともに、発掘調査・脱塩処理・保存処理・復元・写真記録・遺物の研究など、水中考古学を取り巻く様々な活動を紹介します。また、発掘調査が行われていた串本沖やトルコの海中の様子を3D映像などで体感していただけます。

40カ国承認!

ユネスコ水中文化遺産保護法案にすでに40カ国が承認しています!20カ国になるまでずいぶんと時間が掛かった気がしますが、ここ2年に間で40カ国となりました!中国・アメリカ・イギリスなど水中考古学がさかんな大国はまだ承認していませんが、もし、これらの国もユネスコの法案を承認するとどんどん水中文化遺産保護の動きが高まってきますね。
残念なことですが、アジアではまだまだ承認している国が他の地域に比べて少ないです。もちろん、日本はまだ何の動きを示していません。

さて、新しく加わった国にはベナン共和国とジャマイカがあります。ベナンはアフリカの西海岸に在りますが、タレントのアドゴニーさんの故郷として有名(?)です。ポルトガルの船など大航海時代の船の発見など貿易の要所です。ジャマイカはカリブ海の貿易の拠点、イギリス領・海賊の町であるポート・ロイヤル(映画パイレーツ・オブ・カリビアンでも出てくる港町です)で有名です。地震と津波により壊滅したことで、カリブ海ナンバー1の貿易港に地位は一瞬でなくなりましたが、現在でも水中には当時の町並み(の基礎部分)を残したまま沈んでいます。水中発掘も何度か行われています。

さて、来年には承認国50カ国に乗るのでしょうか?期待が持たれます。

情報考古学シンポジウム

9月10日に東京で情報考古学のシンポジウムが行われます。情報考古学会は3D技術の応用などコンピューターなどを使った考古学の発展を目指しています。そのシンポジウムで水中考古学と3D技術の応用や課題などについての発表があります。興味のある方は是非参加お願いいたします。

2011年度日本情報考古学会シンジュウム

テーマ:考古学研究における3D技術の応用と課題
日 時:2011年9月10日(土) 13:00〜16:00
場 所:同志社大学 東京オフィス・セミナールーム
   (〒100-0004 東京都千代田区大手町2丁目6番2号 日本ビルヂング5階566区、代表TEL:03-3516-7577)
 アクセスマップ http://www.doshisha.ac.jp/access/tokyo_access.html
参 加:無料,事前登録不要

【プログラム】
13:00 開会の辞
13:05 大会委員長挨拶
13:15 講演会
1) 13:15~13:40 考古資料の形情報を可視化する技術
    千葉 史 (株式会社ラング)
2) 13:40~14:05 エジプト、ギザにおける3D計測の調査事例と課題
    河江肖剰 (名古屋大学大学院)
3) 14:05~14:30 水中考古学と3D測量技術
    Randall Sasaki (テキサスA&M大学大学院博士課程)
4) 14:30~14:55 3Dバーチャルワールドの活用と課題
    廣田吉三郎 (創和システム)
14:55~15:10 休憩
15:10~15:50 シンポジウム・ディスカッション
15:50~16:00 総評・閉会の辞

放射性棄物の保管・安全性の確認に沈没船が使われる理由

原子力発電や放射能など最近は話題に取り上げられますが、放射性廃棄物は厄介なものでそのまま捨てられないことは皆さんご存知だと思います。アメリカでは放射性廃棄物をガラス容器に詰め込み、地中や海底に埋める試みが行われています。しかし、ガラス容器が何年持つのかテストした例はほとんど在りません。ガラスの耐久テストなどはせいぜい25年ほどで、これから何百年、何千年と放射性物質をいれても大丈夫なのか懸念されます。

そこで注目されたのが沈没船から引き揚げられたガラスです!1800年前に沈没した船から引き揚げたガラスを分析し、そのデータをもとにどれだけガラスの耐久性があるのかテストするそうです。考古学者もこのデータをもとにガラスの劣化の状況から作られた年代測定などできるようになるかもしれません。

沈没船の調査も歴史の解明だけでなく現在の我々が抱える問題も解決する手がかりとなるのは非常に興味深いことだと思います。

スペイン無敵艦隊の船発掘へ向け

スペインの無益艦隊(アルマダ)のいち部がアイルランドの北海岸で発見され、この度発掘が始まるそうです。

詳しい内容はまだ伝えられていませんが、大掛かりな発掘になるのでしょうか?以前にも無敵艦隊の船は発掘されていますが、アルマダが敗退した理由や、当時の戦争の準備度など詳しいことについてはやはり沈没船から得られる資料が一番でしょう。

読売テレビ グッと地球便

「読売テレビ:グッと地球便」で7月17(日)午前10:25~10:55に現在テキサスA&M大学で勉学中の山船君のお話が放送されます。彼は今年の6月にイタリアで水中発掘に参加しており、そのときの様子が伺えます。これから日本の水中考古学を支える若い世代の活躍を日本のテレビで見れるのは珍しいことですので、時間帯・放送地域など都合が合えば是非ご覧ください!

進展する水中考古学

歴史地理教育7月号(2011)に進展する水中考古学と題して特集が組まれております。興味のあるかたは図書館などでお読みになるか、購入をお勧めします。

水中考古学とは何か─現状と課題、世界と日本 ……… 木村淳
考古学研究における水中考古学の意義     ……… 石神裕之
ユネスコ水中文化遺産保護条約について    ……… 中田達也
高校世界史 エルトゥールル号遭難事件と世界をつなぐ授業プラン … 田城賢司
韓国木浦・国立海洋遺物展示館─新安沈船が語る東シナ海交流の姿 … 山田麗子
松浦市立鷹島歴史民俗資料館         ……… 山下寿子

この他に私の書籍「沈没船が教える世界史」の書評もあるようです。

私はまだ読んでいませんが、書かれている先生方や内容などから察する限り読みやすく充実した内容であるとおもわれます。非常によくまとめられているのではないでしょうか?フリンダース大学で博士号目指す木村淳氏や第2回海洋考古学セミナーで後援をいただいた石神裕之先生などなど読み応えがありそうです。もちろん水中文化遺産保護も切実な問題です。中田達也先生の講演は一度お聞きしましたが、難しい内容も分かりやすく説明される方でした。ですので、非常に分かりやすい論文になっていることでしょう。エルトゥールル号事件、元寇の町・鷹島などもお馴染みですね。韓国の国立海洋遺物展示館の新安沈没船も水中考古学ファンには興味の尽きないトピックです。

スミソニアン博物館ー唐時代の沈没船展示キャンセル

スミソニアン博物館の事業で、インドネシアで発掘された唐の時代の沈没船の遺物の展示がキャンセルになりました。以前にもお伝えしましたが、このBelitung沈没船はトレジャーハンター会社によって発掘されたからです。考古学者は商業目的で発掘された遺物の展示に猛反対!結果として、博物館側はこの展示をキャンセルすることになったわけです。

しかし、この沈没船はアラブ・インドからの船で中国の陶磁器などを積んでいました。歴史的にも中国と西の世界を結ぶ海洋貿易の発達した初期の段階の遺跡で非常に価値があります。この沈没船をもとにオマーンでは船が復元されたり、シンガポールでは大きなミュージアムも建設されています。

中国の水中文化財保護法

東京文化財研究所のウェブサイトで中国の水中文化遺産保護条約の日本語訳を見つけました。簡潔な内容ではありますが、それなりに良くまとまっています。まず水中文化遺産の定義、発見した場合の対処方法、外国の機関との関わり、保護の規定など。さらには罰則なども言及しています。ユネスコの条約などと比べるとシンプルですが、必要な規定はあるので、これをベースとすれば充分でしょう。さらに、ユネスコの水中文化遺産保護法の良い点などと組み合わせればよりよい水中文化遺産の保護が可能ではないでしょうか?

東京文化財研究所では他の国の水中文化遺産保護などについても紹介しています。他にも興味のある情報が詰まっているので是非ご覧ください。日本も他のアジア諸国に遅れてはいますが、水中文化遺産に関する法律を作成しなくてはいけないことは確かです。実際にすでに幾つかの船が埋蔵文化財法に触れることなく発掘されています。オーストラリアをはじめとした水中考古学が盛んな国だけではなく、中国やベトナムなど他の国の水中文化遺産保護を学び、日本で適応できる保護条約が必要なのは確かです。日本で水中文化遺産保護法が出来るのはいつになるのでしょうか?

オイルマネーで沈没船調査

アメリカ政府の最新の新しいガイドラインではアメリカ近海でパイプラインなど海底に手を加える場合でもきちんと考古学の事前調査が義務として課せられています。水深に限らず工事区域内で遺跡が発見された場合は工事会社などの責任で発掘をしなければなりません。そのため殆どの場合沈没船が発見されればパイプラインのルート変更などで対処しています。実際に発掘されたケースもあります。Mardi Gras沈没船はその一例です。

製油会社はこれらの事前調査を海洋調査会社に委託するケースがドンドン増えており、新しいビジネスとして広がりつつあります。もちろん遺跡としての保護も大切ですが、経済効果も見込まれるでオイル会社以外にとってはプラスといっても良いのではないでしょうか?また、製油会社も遺跡の保護を目指していますと宣伝することで会社のイメージアップも考えられます。もちろん事前調査にはお金が掛かかりますが、油田設置のための全体の費用に比べれば安いようです…これらの調査で発見された遺跡は他の海洋資源や野生動物保護など共に政府がデータベース管理を行っています。基本的には海洋資源などの調査と並行して考古学調査も行われています。海洋資源も海底文化財もどちらも重要で価値のあるものとしてとらえられています。

日本でも海底や護岸工事、浚渫の際に考古学調査を義務つける必要性があると思われます。それに伴い委託事業が増えれば地域の経済効果も多少あるのではないでしょうか?ユネスコ水中文化遺産保護条約にも遺跡の保護に政府が積極的に介入することを進めています。また、現在海外で勉学に励む若い水中考古学者やこれからこの学問を始めようと思う人にも受け入れ先を作るのには良い機会だと思います。