水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

真珠湾の特殊潜航艇~水中ロボットからライブ配信!

今年は、真珠湾攻撃から75周年です…

12月7日(日本時間の8日深夜~午前中)にかけて、ハワイ島周辺に沈む2隻の潜水艦(特殊潜水艇・甲標的)の調査が行われます。水中ロボットによる調査ですが、その映像がライブ配信されます!真珠湾作戦では飛行機による攻撃がよく知られていますが、特殊潜水艇の働きもありました。

研究者にチャットで質問できるなどちょっとした記念イベント・メモリアル調査となっています。水中ロボットの調査をリアルタイムで見る機会は、そう多くはないので、興味のある人は目覚ましのセットを!

8日の朝1時~3時ごろと8時過ぎの2回の調査だと聞いています。

ライブ配信はこちら

水中の調査には予期せぬできごともあるかもしれません…例えば、新種の生物の発見なども考古学調査中にあるかもしれません。

追記:あべ首相も月末に真珠湾に向かうそうですね…ちなみに、太平洋戦争での日本人最初の捕虜は潜水艇乗組員で、また、最初に亡くなった方もそうです。最初に発射された「弾(アメリカ軍による)」も潜水艇に向けられたものでした。日米の歴史、戦争を語るうえで真珠湾と潜航艇の物語は大きな意義を持ちます。

NHKスペシャル 戦艦武蔵の最期

戦争ネタで続きますが、Nスぺで戦艦武蔵特集。

2016年12月4日(日)
午後9時00分~9時49分

つい数年前、フィリピン沖で発見された武蔵の映像も見れるそうです。NHK独自の取材もしたとか。どのような内容になるのか、正直分かりません。この手の番組は、何らかの形で個人的に関わることも多いのですが、今回は、お呼びがかかりませんでした。

どこまで「事実」がわかったのか、わからないのか… また、今後の武蔵はどうなるのか?きちんと保護されるのか?劣化が進んでいくのをどう対処していくのか?果たして踏み込んだ内容に触れるのか?

調査時の水中ロボットの映像はリアルタイムでネット配信してたのも考えると、「ただ発見しましたよ!」だけでは終わってほしくない番組ですね。

インドネシア沖で消えた軍艦…

スラバヤ沖海戦で沈没の連合軍軍艦が消えた…

とのニュースです… 第2次大戦時の海戦で沈没した連合艦隊が海底で発見され、科学的な調査や記念式典などが計画されていたそうですが、忽然と姿を消したようです。

多くの戦死者も出たので、遺骨などもあり、戦争のメモリアルとして残すべきはずだった。しかし、どうやら違法にサルベージされてしまたようです。インドネシアでは、歴史的沈船などもこれまでサルベージされ、オークションなどで遺物が売却された事もありました。しかし、政府が沈没船の文化財としての価値に気が付き、水中文化遺産として保護していく新たな取り組みが行われようとしていた矢先の出来事。

軍艦などは、政府の所有権が明確に示されるため、保護の権限は旗艦本国にあるのが通常の考え方ですが、国際法でも曖昧な部分が多く残されています。なにせ広い海の遺跡をどのように保護するのかも難しい問題として残されています。

今回の事件、今後、世界の沈没船保護をどのように進めていくのか、一つの大きな転機となるのか?

元記事もリンク先で。

シンポジウム「元寇の島鷹島を水中考古学の拠点へ」が開催!

元寇終焉の地鷹島!沈没船の発見で一躍有名になった鷹島海底遺跡…しかし、国の水中遺跡を管理する体制の整備は他国に後れを取っています。

松浦市では、このたび、シンポジウム「元寇の島鷹島を水中考古学の拠点へ」を開催します!

受  付   12:30~13:00
開  会   13:00
基調講演  13:10~13:55 「日本における水中遺跡の保護」
基調報告①  14:00~14:45 「鷹島海底遺跡における発掘調査状況」
基調報告②  14:50~15:35 「鷹島海底遺跡における発掘調査・活用事例」
パネルディスカッション 15:50~16:50
閉会  16:55

詳しくは松浦市のページで☑!

史学会公開シンポジウム 「水中遺跡の歴史学」 – 2016 年11 月12 日東京大学開催

第114 回史学会大会公開シンポジウム 「水中遺跡の歴史学」
日時:2016 年11 月12 日(土)13:00~17:00
会場:東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室

遺跡の考古学的な調査成果が歴史学を豊かにしてきたことは、いうまでもない。ここで取り上げるのは、遺跡の中でも水中にある遺跡である。水中遺跡というと、沈没船をよく思い浮かべるが、水中に沈んだ都市・集落もあり、地上の遺跡同様に多くの知見をもたらしてくれている。水中遺跡は、日本ではまだ馴染み薄いが、世界では考古学・歴史学の対象として位置付けられ、遺跡の保護や調査・研究体制が整えられている。このシンポジウムでは、世界そして日本における水中遺跡の調査・研究・保護・活用の現状を確認し、それを歴史学としてどう位置付けていくのか、方向性を探りたい。

<趣旨説明・司会>

  佐藤  信(東京大学)

<報 告>

1 池田榮史(琉球大学)
「日本における水中遺跡調査研究の現況
――松浦市鷹島海底遺跡における元軍船の調査研究を中心に――」
2 木村  淳(東海大学)
「沈没船遺跡と国外におけるその研究」
3 森  達也(沖縄県立芸術大学)
「アジアの水中遺跡をめぐって」
4 水ノ江和同(文化庁)
「日本における水中遺跡の保護」

<コメント>

1 村井章介(立正大学)
「海上の道、海底の船」
2 石橋崇雄(国士舘大学)
「水中遺跡と歴史学研究」

<小討議・司会>

榎原雅治(東京大学)

毎月連載~水中考古学へのいざない

井上たかひこ先生が、産経Westにて毎月連載している『水中考古学へのいざない』

今月で第6回を迎えます。今回は、有名な松浦市鷹島の海底遺跡です。あの、元寇の沈船を発見した場所ですね。

毎回、さまざまな視点から掘り下げた記事を書いています。また、当事者や本当に好きで研究しているからこそわかる記事を書いてます。たんなるニュースではなく、水中考古の本質を知りたい人は是非どうぞ。

水中遺跡の講演会 (九博)

水中考古学フォーラム
『世界の水中遺跡を考える』 〜保護と活用について〜

九州国立博物館は、国際文化交流を館の主要なテーマとして掲げており、海を介した交流の物的証拠が眠る水中遺跡の保護は、その中でも重要な課題の一つとして取り組んでいます。そして、平成25年度から文化庁の委託事業「水中遺跡の保存と活用に関する調査研究」を受け、総合的な水中遺跡の発掘調査・保存・活用に関する考え方や具体的な手法についての調査研究を継続的に実施しています。
このような経緯を踏まえこの度、水中遺跡保護への理解をさらに深めることを目的に、世界の第一線で活躍する専門家を招聘し、国際的な視野から水中遺跡保護についての講演会を開催します。また、日本国内からも専門家を招き、日本の水中遺跡保護の現状と課題について、海外の専門家を交えた討論を行ないます。

日時: 平成28年8月27日(土)
10時00分〜15時45分(9時30分 開場)
会場: 九州国立博物館1階研修室
主催: 九州国立博物館 文化庁
参加費: 無料(当日受付 先着80名)
問い合わせ: 九州国立博物館博物館科学課 佐々木  092 – 918 – 2819

重巡洋艦インディアナポリス号撃沈~発見なるか?

皆さんは、アメリカの重巡洋艦インディアナポリス号撃沈の事実をしっていますか?太平洋戦争の末期に起こった「事件」なのです。実は、この船は極秘任務として原子力爆弾をテニアン島に運び終えたその直後に日本の潜水艦伊58号によって沈められました。また、救助に5日間以上かかったため、乗組員1200人ほどのうち、助かったものは300人ほどだったそうです。沈没した地点が、ちょうど人食いサメが多く集まる海域だったそうで、「多くの人がサメに食われた」と言われています。映画ジョーズとも関連があるそうですが、私が英語を見たのが随分前だったので…実際には、数日間におよぶ救命ボートの上の生活による衰弱死だそうです。

その後、原爆が投下され、終戦を迎えます。アメリカの終戦を伝える当時の記事などを見ると、横に『インディアナポリス撃沈』の記事が見られます(もちろん英語ですよ!)。終戦の記事で隠れてしまっていますが、太平洋戦争最後にしてアメリカ海軍最大級の参事として知られています。また、実際に原爆を運んでいた船が潜水艦によって沈められたわけです…もし、数日前に攻撃されていたら、世界の歴史はどのように変わっていたのでしょうか?

インディアナポリスの沈没地点は、実ははっきりしていません。幾度か探査が行われているようです。実は、つい最近、新しい情報があがってきたようです。インディアナポリス号と最後に近くを航行していた船のログなどを突き止めたそうで、そこから新しい位置を割り出したそうです。まだ発見されていませんが、かなり近い点まで絞られているようです。

発見されると大きなニュースとなることでしょう。ちなみに、インディアナポリスを攻撃した伊58号と思われる潜水艦も見つかっています。他の伊号潜水艦(伊402号)などと共にアメリカ軍によって破棄されています。それらの位置は探査機材などにより特定されています。数年前に伊402号の発見のニュースがありましたね。近くに多くの塊があるので、その中の一つが伊58号になります。

インディアナポリスが発見されたなら、今一度伊58号を追うことも必要かもしれません。ただし、我々がこの戦争から学ぶべきこともしっかりと考えるべきでしょう。核兵器を積んでいた船、その船を撃沈した潜水艦。どちらも歴史的に重要な証拠です。海の上でも開発が行われる今日この頃で、実際に水中の戦争遺跡などが開発によって壊されるケースも起こっています。間違っても破壊されないよう周知し、メモリアルとして保護されるべきでしょう。

メアリーローズ号 ついに全貌が明らかに!

イギリスを代表する水中考古学遺跡と言えば、ヘンリー8世のメアリーローズ号ですね。

80年代に発掘が行われ、保存処理が数年前にやっと完成。一部公開をしながら乾燥させておりました。そして、完全中阿地での公開にいたりました。

当時はコンピューターを使っての記録方法など画期的でした。また。イギリス皇室が自らファンドを立ち上げ調査を実施。なんと、チャールズ皇太子も水中で発掘を行いました。特にヨーロッパなどでは皇太子や大統領などが水中遺跡の視察を実際に水中で行うことは稀なことではありません。余談ですが、プーチンさんも潜水艇に乗ったり自ら潜ったりしています。

保存処理には30年ほどかかった計算になりますが、やっと生の目で当時の軍艦を見ることができるようになりました。あまりに昔から有名なので、まだ発掘処理してたの?と思った方もいるかもしれません。発掘を担当した先生方などもだいぶ高齢になておられますし、すでに亡くなられた方もいます。一つの沈没船を完全な形で公開まで漕ぎ着けるのは大変な作業です。

とはいうものの、最近の技術や化学の発達により、保存処理作業も少しは楽になってきております。その話はまた別の機会にでも…

と、またまた最後に余談ですが、メアリーローズ号の発掘を記念して記念切手が過去に発売されたようです。その際、切手をデザインする方に発掘担当者から写真を渡したそうです。その中に皇太子の写真もあったそうです。実際にその写真が切手になったそうですが、何かの手違いかわかりませんが、切手には皇太子の名前もなかったそうです。切手の説明は、「ダイバーが水中で作業をしている様子」とのみ書かれていたそうです。マスクをしてますから、誰だかわからなかったのでしょう。一国の皇太子が「a diver」として記念切手になった珍しい例だそうです…未確認情報ですので、情報の扱いにはご注意ください!

 

 

毎月連載 水中考古学へのいざない

井上たかひこさんが毎月連載記事を書いている産経WEST

昨日も最新記事が載りました。7月は北海道江差に沈む幕末の軍艦「開陽丸」の調査事業について。長崎の元寇遺跡である鷹島海底遺跡も有名ですが、実はこちらの軍艦の発掘が日本の水中考古学の幕開けとなった調査なんです。

北海道に旅行に行かれる際には、ぜひ立ち寄ってみたいですね。

詳しくは、井上さんの書かれた記事へ…