水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

沈没船の物語 水中考古学の世界 (博多で講演)

来たる2月11日、JR博多シティにて講演いたします。

「沈没船の物語 水中考古学の世界」

⽇時︓2019年2⽉11⽇(⽉・祝)13:00 〜16︓00 (JR博多駅 くうてん 10階 )

⼊場無料 、当⽇参加も歓迎

 

1.⻄洋の船︓神話の船から⼤航海時代まで  ⼭舩 晃太郎(Texas A&M University)

2.東洋の船︓海底からよみがえる真実  佐々⽊ 蘭貞(九州国⽴博物館)   

3.最新技術がとらえる沈没船  菅 浩伸(九州⼤学) 

詳しくは、こちら

主催︓九州⼤学 浅海底フロンティア研究センター 九州⼤学⼤学院 地球社会統合科学府

共催︓九州国⽴博物館

後援︓福岡市,⽷島市


沈没船の物語 水中考古学の世界 (博多で講演) の詳細は »

韓国がんばってます。水中文化遺産のミュージアム(新)

先日もお伝えしました。韓国では、12月にあたらしく水中文化遺産を専門で扱う博物館がオープン。木浦にある博物館の別館になります。すこしだけソウルに近い、泰安郡にあります。

おもに高麗時代の船など。韓国ではすでに10隻以上の古代の沈没船を引き上げています。数万点の陶磁器など完形品が発掘されています。

博物館の動画が紹介されていたので紹介します。

博物館紹介ビデオ Youtubeリンクはこちら

国立海洋文化財研究所

 

 

浅海底フロンティア研究センター 

九州⼤学 先導的学術研究拠点 浅海底フロンティア研究センター

⼀般公開シンポジウム

浅海底の戦争遺跡  その記録と伝承

⽇時︓2019年 1⽉12⽇(⼟)13:00〜17:00

場所︓九州⼤学 椎⽊講堂 ⼤ホール (⼊場無料)

プログラム

「沖縄戦と戦争遺跡 」  ⽚桐千亜紀(沖縄県⽴埋蔵⽂化財センター)

「最先端の地理学で可視化する⽶軍艦エモンズ」  菅浩伸(九州⼤学 浅海底フロンティア研究センター)

「⽔中考古学から⾒たエモンズの戦い」  吉崎伸(京都市埋蔵⽂化財研究所)

「⽔中⽂化遺産と戦争の記憶 ― ハワイ・USSアリゾナの事例」  中⻄裕⾒⼦(⼤阪府教育庁)

「太平洋戦争の歴史と記憶のあり⽅」   マシュー・オーガスティン(九州⼤学⼤学院 地球社会統合科学府)

 

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九大で水中考古学ー戦争遺跡に関する一般向けシンポジウムが開催されます!USSエモンズのマルチビーム画像や写真による実測・フォトグラメトリーなどなど。

他ではほとんど聞く機会がないので、ぜひぜひご参加ください! 残念ながら、私は当日参加できません(途中までなら可能かも…)九州国立博物館でちょうど同じ日の夜(18時)から『夜のュージアムトーク』にてお話をします。世界に存在する海の中の博物館について小話をします。昼間は九大まで行けない方は、夜は九博で!

九大~九博まで、車で1時間で移動できれば、両方参加できるかも…

韓国泰安郡の新しい博物館!(国立海洋遺物展示館~韓国で2館め!)

韓国の水中考古学は、1970年代の新安沈没船から始まっていますが、現在では世界のトップレベルとなっています。これまで、木浦市の国立の研究所と海洋遺物展示館がありましたが、このたび、新たに泰安郡にも国立海洋遺物展示館の別館がオープンしました。

数年前に工事中には現場を見に行きましたが、もうオープンです。

主に、泰安郡周辺から発見された高麗時代の沈没船を扱っています。水中考古学を専門で扱う国立の博物館が韓国内に2館となりました。研究所、保存処理施設、調査船2隻、専用水中ロボットなどなど。韓国が水中遺跡に掛ける予算は日本のそれとはケタが違います。その規模からしても見学・観光に行く価値はあるかと思います。

泰安郡と木浦市は、日本人の一般の観光客にはポピュラーではありませんが、ちょっといつもと違う韓国旅行を味わいたい人にはお勧め!

大阪万博について

大阪万博、決まったようですね。残念なことに、万博に使われる土地は埋め立て地のようです。果たして、どれだけの水中遺跡・沈没船が破壊もしくは埋められてしまうのでしょうか?

海の中にも遺跡が存在することは、すでに19世紀以降の研究により明確であり、すでに世界では数十万件の水中遺跡が発見されています。世界では、海の上で開発(埋め立て・ケーブルなどの施設)に先立って調査が行われています。埋立地を作る際に、考古学調査を行わない国は、日本、北朝鮮、アフガニスタンなど以外にはほとんどありません。パレスチナ、ハンガリー、ヨルダン、リビア、ペルー、ナミビアなどでも水中遺跡の調査はどんどん行われています。

どれだけ水中遺跡が存在しているかを示す例として、次の論文がよく示しています。pdfをご覧ください こちらの22ページ。また、サンフランシスコの埋立地の下に眠る沈没船のマップはこちら

万博となる土地の下には、少なくとも10件以上の水中遺跡があるかなと、勝手に考えています。陸の上だと調査せずに開発を行ったとなると大問題です。

 

沈没船の発掘体験~募集中!

フィールドスクール、つまりは現場体験です。スペインで実際の沈没船で水中発掘の体験学習ができます!講師は日本人、しかも安心・安全の浅瀬での作業!対象は学生や埋蔵文化財行政の担当者ですが、どなたでのどうぞ!来年GW期間中に開催予定だそうです。私が水中考古学の世界に足を踏み入れてから20年弱になりますが、ついにこの日が来た!水中考古学に興味のある人ならこのチャンスは見逃せないはずです。

くわしくは、こちらのページからお申し込み

これまで、水中考古学の発掘体験がしたくてもいくつかのハードルがありました…。

①現場がない ②発掘の経験がない ③ダイビングに自信がない ④英語ができない

今回の企画では、この4つのハードルがありません…

①綺麗な海での沈没船が発掘できる ②すべて1から教えます ③浅くて穏やかな海! ④講師・受講者は日本人

が、受講料が掛かるのが少しネックとなります。とはいっても、日本ではこれ以外に水中発掘に参加する方法は自分で道を切り開く以外に殆どありません。今回のフィールドスクールの次に楽な方法として海外の大学院へ行き勉強し、同時進行で自分で潜水の技術を学ぶのが手っ取り早いでしょう。

というわけで、興味のある人は是非

拡散よろしくお願いいたします。

1.期間:2019年4月27日(土)~5月5日(日) 計9日間
*2019年4月26日(金)午後、現地宿泊施設にチェックイン、5月6日(月)午前チェックアウト

2.開催場所:スペイン マヨルカ島 ポートクリスト

3.対象:考古学や文化財保護に携わる研究者、学芸員、学生、プロダイバー等、及び水中考古学に興味のある皆様(18歳以上)

4.参加費(旅費を除く):20万円(消費税別)
*参加費に含まれるもの:宿泊費、食費(朝・昼・夕)、ダイビング費用(1日2回、全11回)、ダイビング機材のレンタル費用

5.参加申込期間:2018年10月1日(月)~2018年1月31日(木)
*参加申込の方法、申込先については下記Ⅳ.をご参照ください。

6.募集人数(定員):14名(最少挙行人数:8名)
*参加申込期間末日の応募者が8名未満の場合には実施しません。ご了承ください。

来週は講演会です

『海から眺める歴史』と題して、講演会をします。

水中・海事考古学に興味のある方はぜひご参加ください! 伊豆半島ですが、よろしく。東京から2時間以上かかりそうですが、近場にお住いの人はふるってご参加ください。

2018.11.16 FRI 18:00~19:30(受付 17:30より)

南伊豆町役場 湯けむりホール 

特定非営利活動法人 南の風創生本部/後援:南伊豆町教育委員会

PDFご案内

黒海でほぼ完全な沈没船発見

ここ数日、テレビのニュースなどでも話題になっています。黒海で2400年ほど前のほぼ完全な形の沈没船が発見されたそうです。かなり凄い発見で、詳細な調査をどんどん進めていってほしいですね。

ブルガリアなどを中心に進められているプロジェクトですが、10年ぐらい前から始まっています。すでに60隻以上の船を発見してニュースを小出しにしていましたが、ここで大きな発見のニュースを発表したようです。見た感じですと、98%ぐらいは船体が残っているのではないでしょうか?

ニュース記事によっては短絡的な見出しになっていますので、勘違いされた方も多いかと思いますが、いくつか注意点を…

●最古の船ではない~3300年前のウルブルン沈没船などのほうが古いですし、クフ王の船や丸木舟だって出土しています。

●奇跡的な保存状況~確かに。黒海はもともと湖だった所に海水が一気に流れ込んで形成された『海』です。淡水と海水は殆ど混ざらずに、死んだ湖の上に海がある珍しい場所です。湖はほとんど無酸素状態なので、バクテリアなども不活性のまま。そのため、奇跡的な保存状況が生まれます。このプロジェクトでは、60隻以上の沈没船が発見され、多くの船が驚くべき保存状態にあります。今回の船は、その中でも最も古い部類に入り、そのなかでも最も保存状況の良い船になります。他に状態の良い船だと、バルト海でも保存状況がよく、16世紀のヴァーサ号などは船体の98%ほど残っていました。9割以上の船体が残っている木造船はいくつか例があります。埋葬されたヴァイキングの船やエジプトのクフ王の船なども保存状況は100%に近いですね。

●他に例のない~これだけの保存状況の良い同時代に船は例がありませんが、同時代の沈没船はけっこう出土しています。例えば、キプロス島のキレニア号は、100年ほど時代はずれますが、70%ほど船体が残っていました。地中海では、一度に40隻以上の船が発見される!なんてニュースもありましたね。世界では、すでに数十万件の水中遺跡が確認され、周知・調査・保護されています。水中遺跡は、どこにでもあります。

●引き揚げるのか?~引き揚げません。水中で保存しておくほうが(特に黒海の場合)遺跡が守られることでしょう。将来、保存処理の方法が確立すれば引き揚げるかも….。

と、いくつか指摘しました。発見の興奮を損ねるような指摘かもしれませんが、それでも今回の発見が大発見であるのは明白です。

いくつか日本語で読めるニュース記事を紹介します。

CNN https://www.cnn.co.jp/fringe/35127638.html

ナショナルジオグラフィック https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/102500460/

Livedoorニュース http://news.livedoor.com/article/detail/15485833/

小型AUVで水中遺跡調査〜水中遺跡調査の未来がみえる!

AUV 自立型(つまりケーブルなどがない)の水中ろぼの一種で、あらかじめプログラムされたコースなどを泳いで探査する。ソナーなどで危険を感知し、AIがコースを決めたたりとか、色々できるらしい。

つい5〜6年前までは、大型な機械で、1日数百万円以上かかっていたり、開発に数億円必要だったりと国家規模の研究や大実業家ぐらいしか手が出せなかったのですが、かなり小型化、そして、実験的ではありますが、小回りのきくプロジェクトで使われ始めています。

イタリアなどの大学の共同研究で、イスラエルなどで水中遺跡のマッピングなどで使われています。かなり小型化されており、ラジコン(水中ではラジコン使えませんが…)で動かすおもちゃのようです。また、水中でダイバーがタブレット端末を使う姿も、どこか近未来的。

昔は、水中でもレベル立てたり、テープメジャーとグリッドを持って調査をしていたのですが、もう、デジタル撮影による三次元化、小型ロボットと併用、水中でタブレットに記録…。10年後の水中考古学調査は、どうなっているのか?

ニューヨークでエルトゥールル号の記念イベント

1890年、和歌山県串本で、トルコの軍艦エルトゥールル号が沈没。多くの犠牲者を出すも、献身的な日本人の介護に心を打たれたトルコ人の話は有名です。

イラン・イラク戦争の際、イランの空港に取り残された日本人を救ったトルコ旅客機。彼らは、エルトゥールル号で我々を助けてくれたから、その恩返しをしているだけだ、と言われたとか。

今でも、トルコは親日国で、トルコ人が日本人の美徳を語る時には、よくエルトゥールル号の事故の話が出てくるそうです。そんな沈没船ですが、トルコの研究者などにより発掘作業が行われています。

その引き上げ遺物が11月にニューヨークで展示されるようです。詳しい情報が分かり次第お伝えしますが、とりあえず速報ということで。

トルコと日本の友好を記念するイベントだそうで、コンサートなども企画されているようです。トルコの船ですが、日本に存在する水中遺跡から発掘された遺物がニューヨークで展示される…。ちょっぴり複雑な気分。

松浦市鷹島の蒙古襲来に関する沈没船なども、世界では大きな話題をよんでいます。世界的に著名な水中遺跡がありながら、気がついていないのは、その国に住む日本人、というありがちな話ではありますが。「日本の水中遺跡の成果」のような博物館展示を行ったら、世界では大盛況になるのかもしれません。