水中考古学の薦め

人間の新しい環境に乗り出していく好奇心と挑戦心が物質的にあらわれたもの、それが“ふね”です。考古学は水中であれ地上であれ基本とすることは全く同じです。過去を愛する人、遺物を将来のために守っていく心を持った人の集まりが水中考古学を発展させていくことでしょう。トレジャー・ハンティングや水中考古学まがいのものが日本では認知されてきていますが、考古学の目的は遺跡・遺物の保護です。過去を大切にすること、それが第一原則です。今こそ日本人の海への関心を高めるべきです。地上の重力に魂を束縛された人間の心を解放し、水中遺跡の関心を高めていく。それが私の使命だと考えています。

2005年4月2日 Randall Sasaki

シルクロード世界遺産と「海上のシルクロード」ユネスコ国際会議

emblemconference

2015年12月1-3日にかけて韓国慶州でユネスコ主催のConference of the Eastern Silk Roads Story 2015が開催されました。中国、韓国、イラン、アフガニスタン、カザフスタン、日本、イギリスの研究者らが東西交流の交易路シルクロードの海上版、「海上のシルクロード」について議論。日本からはシルクロード研究の創価大学林俊雄教授、海事考古学・水中文化遺産専門の東海大学木村淳特任講師が研究発表を行いました。今回の国際会議は、ユネスコがこれまで進めてきたシルクロード世界遺産群の研究の集成にあたり、海上交易路の重要性にも着目して今後の研究の方向性について議論するものでした。水中文化遺産についての発表もありました。またシルクロード遺産に関連して、朝鮮半島と日本を結ぶ海上路に位置する沖ノ島の重要性が、何度も言及されました。海上のシルクロードまたは海の陶磁器路と水中文化遺産、今後の研究進展が期待されます。

http://en.unesco.org/silkroad/about-silk-road

徳川家紋入りの瓦、水中ロボットを使い調査

伊豆半島の初島沖には徳川の家紋が入った瓦をのせて沈没したと思われる船の遺跡があります。数年前に発見・報告されていましたが、今回、改めて調査が行われました。

調査を行ったのは、アジア水中考古学研究所(ARIUA)と東京海洋大学。ARIUAは、長年鷹島海底遺跡などで調査を行い、また、全国の水中遺跡のデータベースなども作成しています。

今回の調査は水中ロボットを使い、集積する瓦などの遺物を撮影すること。今後、ロボットなどを使用した調査が増えていくことに期待がかかります。

詳しくは、朝日新聞の記事で。もしくは、研究所のブログなどもご覧ください!

水中考古学の本

井上たかひこさんは、これまでに水中考古学の本を数冊書かれてきました。その中でも、この本は彼のベストであることは、間違いないでしょう。

専門的に一見見えますが、それでいて、読みやすく面白い。とてもテンポがよく描かれています。水中考古学を踏み出すための第一歩としては良書であると思います。発掘のシーンなども本人の体験談を巧く取り入れながら、学術的な要素も書き込んでいます。

青銅器時代のウルブルン沈没船、スウェーデンの軍艦ヴァーサ号、鷹島の沈没船から幕末の船まで、幅広く書かれていますが、一貫して水中考古学の成果で歴史がどのように変わったのか、そして、この学問が人類の歴史の解明には必要であることをテーマにして書かれてます。本人の情熱も感じられます。

まだまだ、元気に本を書いて欲しいですね。次に私が出そうと考えている本も再構成を迫られそうです…水中考古学、いや、考古学や歴史を学ぶ人には必読の一冊となることを願います。そのポテンシャルは十分あるのではないでしょうか?

海洋考古学からみた海、船、ヒト

海洋教育フォーラム-1

東海大学研究者らによる海洋考古学関連のトークが11月28日に清水で開催されます。テーマは考古学と海の生き物、水中探査ロボット、海底遺跡の公開、水中文化遺産とユネスコなど。水中考古学、海事考古学、水中文化遺産が学べる東海大学海洋学部の研究者らによる一般の方々向けのイベントです。主催は日本船舶海洋工学会で、静岡市教育委員会・教育新聞社の後援を受けています。

日韓国交正常化50周年記念 国際交流特別展「新発見の高麗青磁 ―韓国水中考古学成果展」

いよいよ始まりましたね、韓国の水中考古学展。大阪なので生きやすい人も多いのではないでしょうか?

日本で水中考古学遺跡の遺物を展示することは珍しいので、ぜひ足を運んでみてください。韓国の水中考古学の取り組みもきっとわかるでしょう。国の体制だけを見ると、韓国に比べ日本の水中考古学はまだまだだと感じてしまいますが…日本近海にも多くの沈没船など水中遺跡があるはずです!

興味のない人ある人、期間中に博物館へGO!

九州国立博物館ミュージアムトーク

毎週火曜日午後3時から九州立博物館ではミュージアムトークが行われています。毎週様々なトピックで実際に展示の前で博物館の職員などが遺物・歴史の魅力をわかりやすく語ります。

8月18日は、水中考古学特集です!30分という短い時間ですが、水中考古学の魅力と成果、鷹島海底遺跡についてなど語ります。九州国立博物館へまだ来たことがない人、または、最近言ってない人…どなたでもお気軽にお越しください。現在、特別展では大英博物館展を開催しております。大英博物館のみどころコレクションを取り揃えており、充実した展示となっております。勿論、4階の展示も毎週入れ替えをしているので、いつ来ても違った展示が楽しめます。

お子様の自由課題に水中考古学などいかがでしょうか?

 

鷹島海底遺跡~世界を代表する遺跡!

現在(8月初旬)、長崎県松浦市鷹島では水中遺跡の調査が行われています。この調査はアジア水中考古学研究所が行っている分布調査で、ボランティアなども参加できる事業です。

すでにお馴染みになりつつある鷹島の遺跡ですが、元寇(蒙古襲来)の際に使用された元軍の船が実際に発見されており、日本でも水中考古学を広めるきっかけとなった重要な遺跡です。日本で水中遺跡はおよそ500件ほど知られていますが、世界の調査は桁違いです。例えば、アメリカのメキシコ湾には数千の水中遺跡が発見・登録されています。

なのですが、実はこの鷹島の遺跡は世界を代表する遺跡なのです…数は少ない日本の水中遺跡ですが、そのクオリティーは高い…

ユネスコが進める水中文化遺産保護法ですが(日本は批准していない)、このUNESCOのオフィシャル紹介サイトに世界の水中遺跡の代表例として扱われています。

Underwater cultural heritage encompasses all traces of human existence that lie or have lain underwater and have a cultural or historical character. This includes three million shipwrecks such as Titanic, Belitung and the 4,000 shipwrecks of the sunken fleet of Kublai Khan. There are also sunken ruins and cities, like the remains of the Pharos of Alexandria, Egypt – one of the Seven Wonders of the Ancient World – and thousands of submerged prehistoric sites.

また、別のページでは沈没船遺跡の例として…

Famous shipwrecks include:

  • the Titanic shipwreck;
  • the shipwrecks of the Armada of Philipp II of Spain;
  • the sunken fleet of Kublai Khan off Japan;
  • the ships of Christopher Columbus;
  • the Spanish galleons that connected America to Spain; and
  • the Greek Antikythera wreck.

とされています… タイタニック、アルマダ(スペイン無敵艦隊)、鷹島の遺跡、コロンブスの船、スペインのガレオン船、アンティキセラ沈没船…日本の水中遺跡はタイタニック号と肩を並べるほど世界では有名であり、また重要なんです!

また、海外の考古学雑誌なども日本の遺跡を、世界の沈没船10大発見!としております。個人的な意見かもしれませんが、海外で一般の人に日本の有名な遺跡を一つ挙げてくださいというと、この遺跡を言う人がけっこういます。Takashimaの名前は出てこなくとも、Khublai Khan’s Wreckと出てきます。他には、Jomonとか言う人もいますが、遺跡の名前ではないですね…一度、Edoとか言う意見もありました…

このような世界に誇れる貴重な遺跡をどのように守っていくか、真剣に考える必要がありますね。

どうでもよい話ですが、注意が必要です。

以前、ちょっと紹介しましが、キャプテンキッドの船をマダガスカル沖で発見したと発表した方のお話ですが…ちょっと補足ですが、このキャプテンキッドがどこかの島に財宝を隠したという伝説があり、それが有名な小説『宝島』のもとになった話です。まあ、それが漫画『ワンピース』のテーマにもなっていますね…

さて、この事実を確かめるべくUNESCOが調査に入ったとお伝えしましたが、キャプテンキッドの船ではないとの結論がでました。しかも、船体ではなく、実は港の遺構だったとか…そして、銀製の遺物として引き揚げたものも、実は鉛の塊。もう、トレジャーハンターとか売名行為の時代は終わったような気がしますね。すべて捏造だったのかと…

実は、この人、ちょっと前にハイチでコロンブスの船を発見したと言い出した人なのですが、それも専門家によって否定。次はどこへいくのでしょうか?

そこで、私が気にしているのが日本です。というのも、なぜか日本では世界のトレジャーハンター達の情報がほとんど出回ることがありません。あっても、発見のニュースだけで、その後の「嘘」についての報道はあまり出てきません。これハンター達のプレスリリースの方法が徹底しているからなのですが…日本のメディアは、わざわざ海外のニュースを拾ってきて翻訳することはあまりせず、向うから送ってくるニュースは流すからだと思われます。(詳しい仕組みはわかりませんが…)

例えば、数年前にアメリカのサルベージ会社によって発見されたスペイン船の時もそうでした。発見当時は時価数億円がどうだのと大きく報道されていました。その後、スペイン政府が訴訟を起こし、会社に対しすべての遺物の返還を要求しました(文化遺産保護のため)。スペインの要求は受け入れられ、会社にとっては大きな損失となりました。しかし、このニュース発表があった後に日本で報道されたとある娯楽番組では「発見された財宝番付」で上位にランクインしていました。

さて、本題に戻りましょう。どうでもいい話をなぜここでまた書くのか…実は、世界で行き場をなくしたトレジャーハンター達は日本へ来ることが多いようです。それは、自分たちの良い情報だけを活用し利益を上げることができるからです。わざわざ英語でサーチを行って昔のニュース記事を見つける人も少ないでしょう。沈没船の調査の話や投資話など疑わしい話があったら注意が必要です。また、沈没船から引き揚げた遺物を売ったりするのもUNESCOが反対している行為です。

沈没船・水中遺跡に関して儲かる話があったら、確実に怪しいと思ってよいでしょう。非学術的な水中遺跡の発掘が合法な国が世界にはまだ数か国残っています。もちろん、合法であっても(水中遺跡の保護の法律がなくても)遺跡を破壊する行為には変わりがありませんから。

そんなことよりも、本当の学術的な水中考古学の世界を!

アジア水中考古学研究所による鷹島海底遺跡の調査

先日の鷹島海底遺跡の発見は大きなニュースになりましたね。この研究は琉球大学の池田先生が行っているもので、大きな成果を得ることができました。

鷹島ではアジア水中考古学研究所(NPO)も数十年前から、水中考古学の学問的発展のため、調査・研究を進めています。今年度は8月初旬に調査を行う予定です。NPOの会員の方であればみなさんウェルカムですが、会員でない方も見学など可能なようです。水中遺跡の発掘作業は、少し専門性が高く初心者には近寄れないようなイメージがあるかもしれませんが、それは実際とは大きく違います。多くの人に水中遺跡の魅力を知ってもらってこそこの学問の発達はあり得るのです。

というわけで、現在会員の方、昔会員だった方、今回初めて知った方、是非アジア水中考古学研究所(ARIUA)のウェブサイトをご確認ください!

 

鷹島海底遺跡!

もう、水中考古学に興味のある人にはお馴染みですね!

鷹島海底遺跡の元寇船発見のニュース!今回の船は、今までになくしっかりとした船です。今は海底に現地保存をしながら、これからの活用を考えていきます。私も鷹島には10年以上も前から関わっていますが、やっと待ちに待ったものが見つかった!という感動でいっぱいです。実際に潜ってみるのと撮られた映像では全く感じ方はちがいますが、水中で見ると、大発見であることは間違いないことが確信できました。

RKB Newsが一番詳しく、信頼できる映像と解説を行っていますので、ご覧下さい。他のニュースなどと比べましたが、こちらが一番よく臨場感を得られます。

RKB News

 

現地保存の方法論などについて後ほど詳しく書いてみようかと思っています。あいにく日本語で水中遺跡の現地保存方法について書かれた論文や記事など殆どありません。ヨーロッパで行われている現地保存のプロジェクトのページなどはこちら。ニュースなどにも少し説明がありましたが、オーストラリアの専門家の方の書いた(ごく簡単な?)論文などはこちらからどうぞ…

その1  その2

 

他にもいろいろニュースが出てきていますね…グーグルサーチなどでもいろいろ調べることができますね。

毎日新聞

TBS News